No.619076

ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』

piguzam]さん

一発ネタだと言ったばかりなのに……スマン、ありゃウソ(ry

2013-09-13 16:24:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:7530   閲覧ユーザー数:6491

 

前書き

 

 

やっちまった……幾らスランプ続いたから箸休めにネタに入ったっつっても、これはねぇよ……。

でも書いて他のサイトに投稿してしまったので、一応コチラにも載せておきます。

 

 

 

 

 

 

「…………フ~~」

 

さて困った、こりゃホントに面倒だぞ。

 

溜息を吐きながら心の中で疲れた思いを浮かべる俺。

その元凶は只今自分が陥ってるワケ分かんない状況の所為だ。

 

「なぁ、この餓鬼は何で攫ったんだよ?獲物はアッチの嬢ちゃん2人だろ?」

 

「仕方無かったんだって。彼処は人通りも結構あったから、見られちまったコイツも攫う必要があったのさ」

 

「ありゃりゃ~、そりゃツイてねぇなぁ~ボウヤ。もうお家にゃ帰れねぇぞ?」

 

自分の意志に関係無くこうなっちまった俺の目の前で、黒い服を着たオッサン達の片割れが面倒くさそうに話していた。

片やもう1人の男はニヤニヤしたウゼェ顔で俺を楽しそうに見下ろしている。

 

 

そう、只今俺は絶賛誘拐されてる所なのだ。

 

 

 

普段の俺なら速攻でブチのめす所だが、あいにく今の俺はパイプ椅子に体を荒縄で縛り付けられちまってるのでそれも叶わねぇ。

オマケに今俺が居る場所はどこぞの廃墟。

更に面倒くせぇのは……。

 

 

 

「ボウヤも可哀想ね。後15ぐらい歳があったら、アタシが飼ってあげたのに」

 

「おいおい、コレ以上奴隷増やしてどうすんだよお前は?もう30人ぐらい居るじゃねぇか」

 

「あら?奴隷だなんて下劣な言い方は止めてくれない?ちゃんと『ペット』って呼んで欲しいわね♪」

 

「どっちも変わんねぇよ。服も着せずに鞭で嬲ってんだからなぁ」

 

そんな馬鹿丸出しの会話に、この廃墟に集まった男女の楽しそうな笑い声が木霊する。

話してる内容はクソ以下だがな。

そう、この廃墟には34人の人間が居る、多分全部コイツ等の仲間だ。

ん?何でそんな正確な数が判るかって?

そりゃまぁ、アレだ。ちゃんと『映ってた』からだ。

しかし、こんだけの数の敵がいても、別に俺にとっちゃ物の数じゃねぇ。

『俺1人』なら余裕で切り抜けられんだが……。

 

 

 

「ちょっとアンタ達!?こんな事してタダで済むと思ってんの!?直ぐに私達を開放しなさいよ!!」

 

「ア、アリサちゃん刺激しちゃ駄目だよ!?」

 

 

 

俺と横並びの形で、2人の少女が同じ様に椅子に縛られてる。

ぶっちゃけこの2人を連れ出して逃げるのも不可能じゃねぇが……ちょいと厳しいかも知れん。

 

「ほぉ~?威勢の良いお嬢ちゃんだなぁ……でも、あんまりウルセェと喋れなくしちまうぜ?(ジャキッ)」

 

「ひっ!?」

 

縛られてる絶望的な状況で俺達を攫った男に啖呵を切った少女は、男に向けられた拳銃を見て小さく悲鳴を挙げてガタガタと震えてしまう。

 

「や、止めて下さい!?私が謝りますから、アリサちゃんには何もしないでぇ!!」

 

男に拳銃を向けられて震えた金髪の少女……えーっと、アリサちゃんだったか?

その子に拳銃がむけられたのを見た薄紫の髪をした少女は、必死に声を張り上げてアリサって子を庇った。

そんな風に必死な表情を見せる女の子に気を良くしたのか、男はニヤつきながら拳銃を引っ込めた。

それとなく周りを見れば、誰も彼もがスーツの内側が異様に膨らんでいる。

コイツ等全員拳銃を持ってやがるんだ。

さすがにこの数の拳銃が一斉に撃たれでもしたら、俺は大丈夫でも2人を守り切る自信は無い。

だから俺は下手に手を出せずにいる訳だが……。

 

「うんうん。友達を庇う友情ってのは美しいねぇ~。良し、おじさん良い気分になったから、コレは仕舞ってあげよう」

 

「あ……ありがとう、ございます」

 

心にも無い言葉を口から吐き出しながら、男は嫌な笑みを浮かべて拳銃を懐に仕舞い込んだ。

それで漸く友達の命の危機が去ったと気が抜けたのか、紫ヘアーの女の子は脱力したかの様に疲れた声で男に礼を言う。

そんな光景を見ながら、俺は1人で頭をフル回転させていた。

さぁて、どうすっか……今、俺達が居るフロアは2階。

ここに居る犯人達は全部で13……6割ぐれーの数が、下のフロアに居る。

そうなると、ココを突破した後が面倒くせぇ。

せめて全部の数がこのフロアに居てくれりゃ、コイツら程度問題無くあしらえるってのによ。

ったく、なぁ~んで俺がこんな面倒くせぇ事考えなきゃいけねぇんだ。

本当なら今頃家でマドンナのCD聞いてる頃だっつうのに。

 

 

 

「……あの」

 

「ん?」

 

 

 

と、心の中で盛大な愚痴をこぼしていた俺は、横から聞こえた遠慮がちの声に現実へと引き戻された。

 

「ゴメンね……私の所為で、こんな事になって……本当にゴメンね」

 

「すずかだけの所為じゃ無いわよ……悪かったわね。多分、私のパパの会社に身代金を要求しようとしてるんだと思う……」

 

俺が顔を上げた先には、先程の薄紫の髪の少女が俺を申し訳なさそうな表情で見詰めつつ、申し訳なさそうな声で必死に謝ってくる姿があった。

更にその隣に居たアリサって子まで、申し訳なさそうに俺に謝罪の言葉を向けてくるではないか。

いやいや、悪いのはどー考えてもこんな事仕出かしたこの黒服達だろ?

 

「……別に良い。こうなっちまったモンはしょうがねぇよ」

 

かと言って、目の前に居る犯人達を刺激する様な言葉は言う訳にゃいかず、なるべく当たり障り無く言葉を返す他無かった。

 

 

 

「おーおー、お前等見たか?『バケモン』がいっちょ前に『人間』の心配してるぜ?」

 

 

 

…………あ?

 

「ッ!!?」

 

「……何よそれ……化物って、どーいう意味よ?」

 

目の前の女の子が、犯人を刺激するかも知れねぇって危険を犯してまで俺に謝罪の言葉を言ってくれた直ぐ後、犯人達の中の誰かが、訳の分かんねぇ事を言い出した。

俺の反対側に居るアリサって子も訳が分からないのか、気丈にも犯人達を睨みつけながら言葉を返す。

だが、何故か俺の隣に居る少女は顔色を真っ青にしていた。

 

 

 

――まるで、今の『バケモノ』って言葉に聞き覚えがあるかの様に。

 

 

 

「へへっ……それはなぁ――」

 

「そこの紫髪のガキの、そして我々夜の一族の事さ」

 

と、先程まで上機嫌に話していた男の言葉は途中で遮られ、そこにまた別の人物の声が割り込んできた。

その声の主は、こいつらとは真逆の白いスーツを身に纏った姿で現れた。

両隣と後ろに表情の欠けたメイドを引き連れて。

顔は正に美男子そのものだが、俺達を見る視線は養豚所の豚を見る様な目付き。

つまるとこ人として見られてねぇってワケだ。

 

「……氷村の叔父様?」

 

そして、さっきまで震えていた少女は、顔面蒼白といった顔色のままに、こっちまで歩み寄ってきた男を視界に捉えてポツリと呟く。

叔父?……って事は、主犯はこの子の親戚って事か?

いやそれよりも……。

 

「……夜の一族って何よ?」

 

俺の疑問と同じ事を聞いたのはアリサって子だ。

彼女の言葉を聞いた氷村とかいう男は、その言葉に不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「下等種如きが僕に話しかける等、身の程を弁えないとは……まぁ良い」

 

氷村は不機嫌な顔付きを変えて口元を歪ませると、紫の髪の女の子に指を突きつける。

その動作を見てる女の子は、目尻に涙を溢れさせながらうわ言の様に呟いていた。

「止めて」、と……。

 

「ソコに居る月村すずかはなぁ、僕と同じ夜の一族!!吸血鬼なのさ!!」

 

しかし彼女、すずかって子の懇願は聞き入れられず、氷村は彼女の知られたくなかったであろう言葉を高らかに宣言してしまった。

 

「ッ!?……あ……あぁ……あぁぁぁぁ」

 

それが引き金となったんだろう。

今まで気丈にも泣かなかったすずかって子は、声を押し殺し、泣いた。

しかし、俺とアリサって子は今聞いたワードが信じられないって感じに呆けてた。

ちょっと待て……コイツ今なんてった?

 

「……吸血鬼?」

 

「あぁそうさ!!人間という下等種を遥かに上回る超人的な肉体!!頭脳!!そして吸血衝動に狩られ、人の生き血を啜る選ばれた種族!!それが夜の一族だ!!」

 

氷村はまるで大々的に誇る宣伝の様な大声で、この廃墟一体に自分の演説を披露する。

両手を仰々しく広げて天を仰ぐその姿は、自分という存在に陶酔してる様にしか見えねぇ。

 

「いや……いやぁ……やだよぉ」

 

一方で、同じ血を受け継ぐと言われたすずかは、まるでこの世のお終いを体験したかの如く顔色が悪い。

そんなすずかの怯える様子を見た氷村は、これでもかと不機嫌な表情を浮かべた。

 

「ふん……だというのに、この上位種たる僕を差し置いて夜の一族を統べる当主という立ち位置に居座った月村の一族、そしてこの女は自分を偽って人間共という下等種と友情なんぞが築けると疑って……いや、縋っていたんだな?秘密を隠し通せば、友達等と言うくだらんモノが出来ると本気で考えていたんだろう」

 

しかし話していく中で、氷村は蔑みを篭めた笑みですずかを見下ろし、残酷な言葉を叩きつける。

この子の全てを否定するかの如く……コイツ……真性の屑だな。

 

「……」

 

「止めて……止めてよぉ……言わないでぇ」

 

すずかの懇願する声を聞いて、氷村は更に笑みを深めていく。

更に今度はアリサにまでその目を向けやがった。

まるで長年の鬱憤を晴らすかの如く……決めた、コイツは今、ココで――。

 

 

 

「だが残念だったなぁ、下等種共?貴様の友とやらは、夜を彷徨うバケモノだったのだか「……のよ」……何?」

 

 

 

だが、俺が正に目の前の汚物をブチのめそうとした時、氷村の言葉に被せる様にアリサは何かを呟き――。

 

 

 

 

 

「だから何だってのよ!!この気持ち悪いヘタレナルシストッ!!!」

 

「――ッ!!?」

 

 

 

 

 

途轍も無く強い意志を篭めた瞳で氷村を睨みつけ、威勢の良い啖呵を切った。

その啖呵を聞いた氷村は、驚愕の表情を浮かべる。

 

「黙って聞いてたのが馬鹿らしいわッ!!何かとんでも無い理由が出てくるのかと思ってたら、要は自分が当主だか何だかになれなかった事への八つ当たりじゃないッ!!陰湿どころかヘタレ過ぎてちゃんちゃら可笑しいったらありゃしないわねッ!!見た目はそこそこでも、アンタみたいなマザコンのヘタレじゃ生きててもしょうがないわよッ!!」

 

「なッ!?……なぁッ!?」

 

まるで水を得た魚の如く、暴言という名の攻撃を繰り出すアリサ。

突然過ぎるアリサの変貌に、今まで泣いていたすずかも顔を上げた。

彼女の顔は、涙の痕が残っていたが、今はその瞳に悲しみは現れていない。

一方でその言葉を聞いた氷村は、声にならない声を出し、顔を赤に染めていく。

うわ~……人が怒りで顔真っ赤にするとか初めて見たぜ。

しかしそれでもアリサのターンは終わらず、彼女の口撃は激しさを増す。

 

「すずかはアンタ何かとはぜんっぜん違うわ!!えぇ比べるのもおこがましい!!あんたみたいな万年厨二病の痛いヤツが、私の親友を馬鹿にしてんじゃないわよ!!」

 

「ちゅ、厨二?……僕が、厨二?」

 

「えぇそうよ!!何よ、自分の事を選ばれた者みたいに長々と語っちゃって!!気持ち悪いったら無いわよ――すずかが化け物だろうと何だろうと知ったこっちゃないわッ!!アタシはすずかの『親友』なのよッ!!」

 

言いたい事を言い終えてスッキリしたのか、アリサは満足そうに息を吐いて氷村を睨みつける。

しかし氷村はと言うと、アリサに言われた事が余程ダメージがデカかったのか、茫然自失って状態だった。

しかも周りに居る黒服共までもがポカンとした間抜け面を披露してるから、俺まで笑いそうになっちまったよ。

 

 

 

「――――アリサちゃん」

 

 

 

そして、水を打ったかの如く静けさに満ちた空間に、すずかの感極まった声が小さく響く。

彼女の目からは、またもや大量の涙が零れ落ちていた。

でも、それは悲しみの涙じゃなく――。

 

「私……私ぃ……」

 

「……ゴメンね、すずか……言い出せなくて辛かったでしょ?……でも、これだけは覚えておいて?」

 

もはやナイアガラの滝と思える程の涙を流すすずかに、アリサは優しい声を掛ける。

 

「アンタにどんな秘密があろうと、私はそれを受け入れる……なんてったって、『親友』なんだからね」

 

「うん……ぅん……ありがとぅ」

 

2人は互いに優しい笑みを浮かべながら見つめ合う……その心に確かな友情を持って――。

 

 

 

 

 

「……犯せ」

 

「「ッ!!?」」

 

しかし、この状況はそんな2人の優しい友情すら食い物にしてしまう。

さっきまでショックを受けていた氷村は突如、顔を起こすとそう呟きやがった。

その顔は、美形とはかけ離れて、これ以上ないぐれーに醜悪に染まっている。

 

「この金髪の餓鬼を犯せッ!!その後四肢を斬り落として灼けた棒で死ぬまで甚振ってやるッ!!サッサと犯れぇえええッ!!!」

 

ソイツの吼える言葉の内容も、正にゲスに相応しくおぞましい言葉だ。

自分達のリーダーの言葉を聞いた黒服達は、その顔に汚え欲望を貼り付けて、アリサの元へとゆっくり近づき始めた。

まだ小学生の幼気な少女を、大の大人が数人がかりで犯そうとする。

コレ以上ねぇ醜悪だ。

 

「ッ!?止めて叔父様ッ!!アリサちゃんに乱暴しないでぇええッ!!!」

 

「五月蝿い黙ってろッ!!お前はソコでお前の親友とやらが嬲られる様を良く見ておけッ!!後でお前も同じ様にしてやるからなッ!!」

 

すずかの懇願も聞き入れず、氷村は黒服達と同じ様な汚え欲望の瞳をすずかにぶつけながら、醜悪に嘲笑う。

 

「へへへっ……まだ餓鬼だが、上物にゃ違いねぇ」

 

「あぁ、さっそく楽しむとするかぁあああッ!!」

 

「ッ!!?」

 

ここまで気丈にも強い侮蔑を篭めた視線で男共を見ていたアリサだったが、やはり怖いモノには逆らえず、ギュッと目を瞑って震えてしまう。

 

 

 

 

 

「――止めてぇえぇえええええええええええッ!!?」

 

 

 

 

 

そして、男達の手がアリサの服に殺到した――――。

 

 

 

 

 

シュパパパァアンッ!!!

 

 

 

 

 

――――瞬間、群がる男達の5指全てが、空中に『舞った』

 

 

 

 

 

「――――え?」

 

「……?…………え?」

 

この理解不能な現象に、悲痛な顔でアリサへと視線を向けていたすずか。

そして男達の慰み者にされかけ、何も無いのを不思議に思って目を開けたアリサ。

2人は揃って疑問の声を上げた。

勿論、この状況が理解出来ていないのはアリサ達だけで無く、今正にアリサに襲いかかろうとした黒服達も同様だった。

しかしココで黒服達とアリサ達に決定的な違いがあるとすれば、それは『見ているだけの側』と『斬り落とされた側』という点。

勿論、痛覚の通った人間がその痛みを理解出来ないワケも無く――。

 

『――……~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!??』

 

数十人の獣の様な合唱が、部屋に木霊する。

しかしそれは人の心を癒やす合唱じゃねぇ。

正に痛み、絶叫、負の念が篭った汚ねぇコーラスだ。

 

 

 

――まぁ、やったのは俺だけど?

 

 

 

部屋が混乱に満ちている中、俺は今しがた男達の指を切り落とした『ソイツ』に命令を送る。

俺を縛ってる縄を切断せよ、と――。

 

『……(スパァアンッ!!)』

 

そして、ソイツは『何時もと同じ様に』一言も喋らず、俺の命令を忠実に実行した。

俺を縛る縄が解け、俺は久しぶりに動けるという事を噛み締める様に伸びをする。

 

「ん~~……うしっ」

 

気分はあんまりよろしくねぇが、別の意味でテンションは最高潮。

まっ何とかなるだろ。

 

「え?……ッ!?ア、アンタ何時の間にッ!?」

 

と、俺が縄から開放されてるのを見たアリサは、驚愕って感じの声を挙げる。

その声で正気に戻ったすずかも目をパチクリとさせてた。

俺はその問いかけには答えず、右手をアリサ達に差し向け――。

 

「縄だけカッ切れ」

 

俺の側に佇む『騎士甲冑』に命令を送った。

すると、俺の時と同じ様に、騎士甲冑は目にも止まらないスピードでレイピアの様な剣を振るい、2人の縄を切断した。

 

「な、何よそれ……」

 

「喋った通りになった……ど、どうして?」

 

縄から開放された2人はもう何が何やらって混乱した表情を浮かべている。

 

「何でって言われてもなぁ……『斬った』としか言い様が……おっと」

 

ギャインッ!!

 

俺が話してる途中で、氷村の隣に佇んでいたメイドの1人が刀を手に斬りかかってきて、それを止める為に話は中断させられてしまう。

その音と目の前に迫る凶器を見て、2人は状況を思い出した様だ。

2人は急いで俺の側まで走り、俺の背中に隠れていく。

良し良し、この方が守りやすいな。

 

「二人共、俺の後ろから出るんじゃねぇぞ?そうじゃねぇと守りにくいからよ」

 

「ま、守るってアンタ、あっ!?危ないッ!?」

 

俺の言葉に戸惑いを隠せず聞き返してきたアリサだったが、彼女はいきなり叫び声を上げたので、後ろを振り返ってみる。

 

「……」

 

そこには、今にも手に持った刀を振り下ろそうとしてる無表情なメイドがいやがった。

 

「あっ、悪いけど――」

 

しかし、俺はその不意打ちに焦らず暢気な声を返しつつ、『銀の騎士甲冑』にメイドの刀を受け止めさせ――。

 

「そんな剣速じゃ、不意打ちにもなんねぇよ?」

 

『……ッ!!(ズドババババッ!!!)』

 

目にも止まらぬ高速の突きを腕と足にお返ししてやった。

その突きの連打を受けた無表情メイドは、腕と足からスパークを散らしながら地面へと倒れ伏した。

って……何だ?あのメイド……機械なのか?

随分とおかしな手応え、そして目の前のメイドが撒き散らしたのが血では無く火花ってのを見て、俺はあのメイド達に警戒心を張る。

 

「ぼ、僕の自動人形が……」

 

しかし、俺がメイドをブッ倒したコトで現状を理解したのか、氷村は俺が倒したメイドを見て信じられないって顔してやがる。

っていうか自動人形だ?って事はやっぱり……。

 

「あ、あのね?あれは自動人形って言って、ロボットに近い存在なの」

 

俺が考えを纏めていると、俺の後ろに居たすずかが服の裾をチョイチョイと引っ張りながら説明してくれた。

ロボットに近い、つまりは生き物じゃねぇって事だ。

その結論に、俺は少し苦い顔をしてしまう。

 

「なるほど……だから『エアロ』の『レーダー』に引っかからなかったのか」

 

「?……エア、ロ?」

 

「ん~、まぁ気に済んな。」

 

「お、お前等何してるッ!?コイツを撃ち殺せぇええッ!!?」

 

と、俺がこの状況をどうするか悩んでいた時に、我に返った氷村が鍔を撒き散らしながら手下に命令する。

その声でハッとした手下達の内、指が落ちてない奴らは懐に手を入れて拳銃を取り出し始めた。

う~~む……まぁこんぐらいの数なら『アイツ等』に任せるか。

 

「撃てぇえええええッ!!!」

 

氷村の叫び声に呼応して、弾き出される大量の弾丸。

その迫り来る殺意に、すずか達は体を強張らせて俺にしがみついてしまう。

ったく、こーゆうのはガラじゃねーんだが……仕方ねぇ。

 

 

 

ここはいっちょ、俺が守ってあげますか。

 

 

 

「――さぁ出番だぜッ!!セックス・ピストルズッ!!」

 

『『『『『『イイイーーーッハァァァーーーッ!!』』』』』』

 

俺の叫び声に応じて小さな小人の様な存在が現れる。

ソイツ等はNo.1~3と5~7の数字が振られた六体の存在だ。

ちなみにNo.4はいない。

まぁ4って数は縁起が悪いってのは大賛成だ。

そして、六体の小さな存在は、迫り来る弾丸の雨に飛び込み――。

 

『キャモォオオオーーー―ンッ!!!』

 

『パスパスパーーースッ!!!』

 

『イィィ―ーーーッハァーーーーーーーッ!!!』

 

『ウェェ~~ンッ!!コンナニイッパイナンテ無理ダヨォーーーッ!!!』

 

『コッチダコッチッ!!ソノママ突ッ込ンデ来イィーーーッ!!!』

 

『消火器ヲ見ツケタカラヨッ!!野郎ドモッ!!ブッ壊セェーーーッ!!!』

 

時には殴り、蹴り、若しくは弾丸に跨って乗り、迫り来る弾丸を全て操作する。

しかも殴って弾き返した弾丸が別の弾丸に当たって両方とも軌道を変える等、もはや人の手では不可能な操作をやってのけた。

そして、奴等の殺意は、そのまま奴等へと跳ね返っていく。

撃った者の手や足、そして意図的に狙った消火器が爆発を起こし、その衝撃に巻き込まれて窓から外に弾き出される哀れな者達。

銃撃が止んだ頃には、殆どの黒服達が倒れ伏していた。

 

「バ、バカな……」

 

そして、その光景を受け入れられない者が居る。

それはこの誘拐事件を企てた氷村とかいうクソ野郎。

爆発と弾丸を受けずに済んだラッキー……いや、アンラッキーな奴等が10数名。

後、俺の背中で呆けた顔になってるアリサ達だ。

 

 

 

まぁ、こんだけ色々やってもこの場に居る中で、俺だけしか今のピストルズやさっきの騎士甲冑の存在、姿を『認識』する事は出来ねぇから仕方ねぇか。

他の奴等から見たら、『いきなり指が切れた』とか『弾丸が独りでに曲がった』って認識になっちまうんだもんな。

 

 

 

「……貴方は、一体――」

 

「あ?……あー、そういや自己紹介して無かったな」

 

後ろから呆然とした声で俺に質問してきたすずかに、俺は少し苦笑しながら2人に視線を合わせた。

 

 

 

「俺の名は城戸定明。アダ名は『ジョジョ』ってんだ……まぁ、よろしくな」

 

「……城戸」

 

「……定明、君」

 

 

 

アリサ達が俺の名前を噛み締める様に呟いてるのを尻目に、俺は今だ呆けてるバカ共に向かって笑みを浮かべながら、最初に使っていた騎士甲冑を再び呼び出す。

コイツ等は少し特殊で普通の人間には見えないが、確かに俺の側に存在している。

俺の生命エネルギーが創りだすパワーある(ヴィジョン)

 

 

 

 

 

側に現れ立つという所から、その(ヴィジョン)を名付けて――。

 

 

 

 

 

幽波紋(スタンド)

 

 

 

 

 

――――俺は。

 

 

 

 

 

「小学生の女子供泣かせて笑うとか……ちぃとばかし調子に乗り過ぎだぜ。オッサンオバサン諸君――――順番にブッタ斬ってやるッ!!『銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)』ッ!!!」

 

 

 

 

 

幽波紋(スタンド)使い、城戸定明だ。

 

 

 

 


 
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