はやてさんが作ってくれたお粥を食べた後、リインさんは 眠ってしまった。
一緒に寝ようと誘われたが丁寧に断っておいた。
そんなリインさんを部屋に残して、俺は昼から仕事を再開 今日はなのはさんが俺を部屋に誘わなかったため帰宅した 。
「お帰りなさいですぅ」
部屋に入るとリインさんは力なく俺に言う。
「ただいま、リインさん」
俺はソファーに腰掛けるとリインさんに尋ねる。
「体調はどうですか?」
すると、リインさんは嬉しそうな笑みを浮かべながら言う 。
「君のおかげで大分良くなりましたよぅ
本当にありがとうですぅ」
「別にこれぐらいなら構いませんよ」
……明後日の夜に用事が入ってしまったが まぁ、リインさんが元気になってくれる代償と考えれば安 いものだ。
俺が明後日の夜何があるか心配しているとリインさんは口 を開く。
「リイン、お風呂に入りたいですぅ」
風邪を引いてる人をお風呂に入らせるのは……
いや、別にいいんだっけ?
俺がそんなことを考えているとリインさんは自慢げに言う 。
「風邪を引いててもお風呂に入っていいって昔シャマルが 言ってましたぁ」
まぁ、シャマルさんが言うなれば別にいいんだろうな。
「ですから、一緒に入りたいですぅ!」
顔を赤くしながら元気良く言いだすリインさん。
……えっ?
俺が言ってることを理解しようとする前にリインさんは続 ける。
「リインも恥ずかしいですけど、1人じゃ入れないですし ぃ……」
……まぁ、そうだな
でも、どうしようか……
この時間にはまだ人がいるため女であるリインさんとお風 呂に入るわけには……
「リインの我が儘聞いてくれませんかぁ?」
リインさんは悲しそうな顔をする。
我が儘……
そうだ! こういう時は!!
俺は早速彼女に念話を送る。
(フェイトさん、今時間ありますか?)
念話を送ってすぐにフェイトさんから返事がくる。
(どうかしたの?
あなたから頼みごとなんて珍しいね
(何でも言ってよ
他の人達と違って私はあなたの言うことを何でも聞くよ )
フェイトさんは嬉しそうに言う。
(だったら――)
まずは、部屋に来てもらうとしよう。
―――――
「リインのお風呂に付き合う?」
部屋に来てもらったフェイトさんには早速事情を説明した 。
フェイトさんは首を傾げながらリインさんに言う。
「何でリインは彼と一緒にお風呂に入りたいなんて言った の 「お風呂に入りたいならはやてとかに頼めば良いんじゃな いかな?」
フェイトさんがリインさんを軽く睨みながら言う。
言われているリインさんは俯いたまま何も言わない。
一応だが、リインさんはフェイトさんとお風呂に入ること に納得してもらっている。
「それじゃ、フェイトさん後は……」
「うん、私に任せて」
そう言うとフェイトさんは顔を近付けてくる。
「今回は私に頼ってくれたし大目に見て上げるよ 「でも、次私以外の人の我が儘聞いたら駄目だよ 「今のリインは病人だからまだいいけど 「それ以外の人は――」
フェイトさんは顔を離すとリインさんを大事そうに胸に抱 える。
「それじゃ、行こっか」
「わかりました?」
リインさんとフェイトさんは部屋から出ていく。
……さてと
俺は今日、最後になるであろう1人の時間を大切にするこ とにした。
―――――
時間を見計らって俺は風呂場へと向かった。
少し行くと何か話しているフェイトさんとリインさんを見 かける。
「フェイトさん」
俺が2人に近付きながら声を掛ける。
すると、気づいたのか、フェイトさんはリインさんを抱え ながら俺に近づいてくる。
「リインさんは俺が預かりますよ」
そう言ってフェイトさんからリインさんを受け取る。
「わざわざありがとうございました」
俺がフェイトさんに頭を下げる。
すると、そんな俺の頭をフェイトさんが撫でだした。
「お礼なんか言わなくても良いよ
私とあなたの仲だもん、今さらこんなことでお礼なんて ――
でも、お返しがしたいっていうんなら今日一緒に入れな かった分今度一緒にいたいな
――2人っきりでね」
フェイトさんがそう怪しげな笑みを浮かべながら言うと、 俺の頭から手を離して、歩きだす。
「私はもう帰るね 、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
軽く手を振るフェイトさんに返事をして俺も部屋に戻るた めに歩きだす。
「もう少し強くし抱き寄せてくださいぃ」
すると、さっきまで黙っていたリインさんが急に口を開く 。
「病人なんですから馬鹿なこと言わないでください」
俺はリインさんの言うとを軽く流しながら部屋へと向かっ た。
―――――
俺の目の前でリインさんが幸せそうに笑う。
部屋に帰り、早速寝ることにしたのまではよかった。 本当だったら俺はソファーで寝るつもりだったのだが、リ インさんが一緒に寝たいと騒ぎだしたため寝ることにした のだ。
「えへへ
幸せですぅ」
顔を赤くしながらリインさんは言う。
「君と一緒にいられて今日は幸せだったですよ?
……このままずっと2人でいたいですけど
何で皆リイン達の邪魔をするんですかねぇ?」
リインさんは続ける。
「リインは、はやてちゃんと君とリインの3人で幸せにな りたいだけ――「それだけ――」
リインさんが俺の左手を繋ぐ。
「えへへー
暖かくて、心地よいですぅ
このまま寝ちゃいそうですぅ」
……寝ないのか?
そんな心配もあったが、それからすぐにリインさんは寝た 。
――――幸せそうな寝顔だ
俺はリインさんのそんな横顔を見ながら思う。
――――彼女を看病する1日はこれでお終いだな。
そのまま俺は、意識を手放した。
後書き
そろそろストックがなくなった時ように話のリクエストをとりたいと思います。
こんなキャラのこんな話がみたい等あればコメントください。
私で書けれそうであれば頑張って書きます。
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これは、彼を巡る物語
――― 自分の行動を邪魔されて、他人の 行動を邪魔する
――― これは、そんな物語
『人間を愛すること は必然だ』