No.617864

太守一刀と猫耳軍師 第19話

黒天さん

今回は紫青さんと桂花さんのお話。
真であったという落とし穴が出てきます。

2013-09-09 21:41:16 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9571   閲覧ユーザー数:7306

今日はいつも以上に政務が忙しい。

 

どれぐらい忙しいかというと仕事を始めたら次々に仕事が増えてやれどもやれども増える一方。

 

というぐらい。

 

ここまで来ると逆に今日中には無理と割りきって余裕ができてくる。

 

コンコンとノックの音。開いていると伝えれば入ってきたのは桂花だった。

 

「書簡の山に埋まってるわね、すっかり」

 

「正直、今日中に終わらせるのは諦めてる」

 

「だと思ったわ。こっちの仕事が片付いたから手伝いに来てあげたわよ、感謝しなさい」

 

「助かるよ、ありがとう」

 

2人でかかればどうにか終わるか?

 

「多分、もうすぐ紫青も来るはずよ、あの子も今日のしごとは少ないらしいから」

 

「なんで今日は俺の所にこんなに仕事が集中するんだか……」

 

たまにはこういう日もある。そして仕事が遅いので処理速度をすぐに上回ってしまい、

 

その結果が現在の書簡に埋もれるような有り様になる。まぁここまでになるのはめったにないんだけど……。

 

「この前のお墓参りを黙ってたのを根に持たれてるんじゃないかしら?」

 

「いやいや、流石にそれはないだろ……」

 

「まぁ、隠したいのもわかるけど。墓前でマジ泣きした、なんて」

 

「うっ……」

 

そう、あの墓を作って最初に墓参りしたとき、いろいろ思い出してマジ泣きしたのだ。

 

知ってるのは紫青、朱里、桂花の3人だけ。あと護衛の兵士数人。

 

後から気まずかったのは言うまでもない。

 

最近落ち着いてはきたけど、今後またそういうことが無いとも限らないので墓参りはこっそり行くことにしていたのだ。

 

「ご主人様、紫青がお手伝いしに来ましたよ」

 

「お、ありがと……。そっちの書簡の一山お願いできる?」

 

「はい」

 

手伝い、といいつつ、俺なんかより2人の仕事の速度は早いし、いつの間にか俺が手伝ってるような状況に。

 

俺も頑張ってはいるが、流石にこの2人には追いつけないからなぁ……。

────────────

 

仕事がようやく一段落ついたのが昼も随分過ぎた頃。

 

「ようやく終わった……」

 

ぐったりと机に倒れこむ俺。

 

「確かにかなり多かったわね、今日は」

 

「紫青も疲れました」

 

とはいいつつ俺より随分元気そうな2人。

 

「仕事が一段落ついたしお茶の用意でもしようかな」

 

机から体を引き剥がしてゆっくり立ち上がり。思い切り背伸びをすればあっちこっちベキベキ言いそう。

 

食堂にいって、お湯を沸かしてお茶の準備をしてっと……。

 

「あれ?」

 

部屋に戻ってくると桂花が居ない。

 

「桂花さんなら、お茶うけ取りに行くっていってましたよ」

 

「ああ、そうなの?」

 

「紫青が入れます」

 

そういえば紫青にお茶いれてもらった事ってまだないけど。

 

やっぱりこういうのも習ってたんだろうか? 結構手慣れた感じに見えるけど。

注いでくれたお茶をすすれば、これは桂花より上手かも……。

 

「うん、美味しい。やっぱり家で習ってたとか?」

 

「この手の簡単なことならひと通りは習ってますよ」

 

キッチリ習ってると違うものだなぁ、なんて思いながらお茶をすする。

 

「しかし、外交関係はこの後どうしようか……」

 

先ほどの仕事の中にもちらほら外交関係の案件があったのだ。

 

目下問題なのはやっぱり呉と魏、他の弱小諸侯は取り敢えず考えなくてよさそうなのだが。

 

「そうですね、魏と呉のどちらかと同盟なりできればまだ動きようもあるんですけど」

 

「魏はそもそも曹操が攻撃的だし、侵攻しようっていう理由があれだしなぁ……」

 

「一応言っておきますけど、紫青は魏にいくのはイヤですよ?」

 

「紫青は傍に居てくれないと困るから、魏にいかせたりしないよ」

 

軽くその頭を撫でると紫青は嬉しそうに目を細め。

 

「はい、紫青もご主人様のお傍にいたいので同盟の交換条件等で魏への出向とかはしたく無いです」

 

「もし同盟を組むとするならまだ呉のほうが脈がありそうだよなぁ」

 

お茶をすすり、それがなくなると紫青が2杯目を入れてくれる。

 

「それにしても、お茶うけ取りに行っただけにしては随分遅いな」

 

「そう言われればそうですね、何やってるんでしょう?」

 

「見に行ってみるか」

部屋から出て桂花の部屋の方向へ向かって歩く。

 

それほど離れているわけでもないからすぐにつくはずなんだが。

 

「あれ?」

 

庭になんか穴が開いてる……?

 

その穴に近寄ってみると穴には目を回した桂花が。穴の中にはなんか爬虫類とか虫とか一杯いるし……。

 

つまり、自分の部屋にいくのに庭を突っ切ってショートカットしようとして落とし穴にハマったのか?

 

一体誰がこんな穴を……。それほど深い穴じゃないし、自力で普通にでれそうなきがするけど。

 

「桂花、大丈夫か?」

 

「あうぅ……。た、助けて、こ、腰が抜けて出られない……」

 

なるほどそういうことか。罵り言葉も出てこないとなるとよっぽどだなぁ……。

 

「ほら捕まれ」

 

桂花を穴から引っ張りだして、部屋に連れて行って、

 

お茶を飲ませてどうにか落ち着かせ、話しを聞いた所……。

 

おそらく紫青か朱里のしわざ、との話し。

 

紫青と桂花から詳しく話しを聞いてみると、どうにも軍師3人の間で落とし穴が流行ってるらしい。

 

誰かが最初に落とし穴を作って、ハマった桂花が仕返しに仕掛けて今度は朱里がハマって仕掛け。

 

そんなこんなでいつの間にか3人で戦争状態になった、という。

 

怪我してないからいいようなものの、このままエスカレートして怪我でもされたらたまったもんじゃない。

 

他の人が引っかかったら問題になるし、絶対。

「何考えてるんだお前らはっ!」

 

というわけで朱里も呼び出して床に正座させてお説教。

 

愛紗や星あたりに通報しないのがまぁ甘いとこではあるけど

 

しょんぼりとうなだれる軍師3人がなんか可愛いなーなんて思ったりはしたが。まぁそれはそれ。

 

結局事の発端が誰だったのか、とか、仕掛け始めた理由が何だったのかとかそのあたりは聞けなかったが、

 

現在3人でやりあってるってところが一番問題だし。

 

今後やらないように、というようにしっかり言い含めて。

 

うっかりすると実害があるので今回は罰則つき。

 

3名に今日の晩飯抜きを言い渡し、今回の件は一応決着となった。

 

紫青と桂花に今日これだけ仕事手伝ったのに!

 

っていうような事を言われたが、これについてはまた話しが別。

 

後日2人には何か礼をするということで、話しをおさめさせて、3人仲良く晩飯抜きとなった。

 

 

あとがき

 

どうも黒天です。

 

今回はちょっと短めで、紫青さんと桂花さんの日常話。

 

月ちゃんと詠ちゃんの話しが思いつかないので書かない可能性がでてきました……。

 

このままいくと、次回桂花さん拠点2回目、紫青さん拠点とやって曹操戦突入かも?

 

趣味でやってくのでどうなるかはまだわかりませんが。

 

紫青さんで1本ガッツリ書きたいなぁ、などとも思っております。

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。


 
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