まえがき 更新が遅れ、もうわけございません。コメントありがとうございます。最近朝方が寒くなってきてメンタル的に凹み始めたsyukaです。さて、今回は恋ちゃん&ねねちゃんの拠点です。甘えんぼのねねとお腹の中はブラックホールの恋ちゃんですが、良いですね。恋ちゃんの部屋の中がペット・・・もとい、家族が多いのも好感度○です。セキトが可愛い。うちでも飼いたいとか思ってたり・・・。それではごゆっくりしていってください。
今俺は恋とデート・・・しているつもりなんだけど、セキトの散歩をしている。
「ご主人様、楽しくない?」
「? そんなことないけど、どうして?」
「困った顔、してる。」
「楽しいよ。 セキトが一緒だったのに少し驚いてるだけだから。」
「そう。 良かった。」
ほっとした様子を見せる。普段の表情とあまり違いはないんだけどね。セキトはこっちを見ながら尻尾をぱたぱたと振っている。
「そう言えばねねは? 一緒に来るって言ってなかったっけ?」
「用事があるって。」
「用事・・・なんだろ? 何かあったかな? 最近は案件は届いてないはずなんだけど・・・。」
「個人的なもの、って言ってた。」
「そっか。 それなら仕方ないな。」
また今度機会があったらご飯でも奢ってあげようかな。・・・渋々頷いてるねねの顔が浮かぶ。
「・・・それはともかく、なんで美以も一緒なのさ? 突っ込まなかったけど。」
「恋に散歩って聞いたからついて来たにゃ。」
「猫は散歩しないよ?」
「猫じゃないにゃ!」
「・・・(なでなで)」
「ふにゃ~♪ ・・・はっ!?」
・・・これで猫じゃないとよく言い張れるな。
「ち、違うにゃ! 今のは何かの手違いにゃ!」
「・・・(なでなで)」
「ふにゃ~♪」
恋が撫でても結果は同じのようで。結論、美以は猫である。
「美以!」
「にゃ!?」
「祝融さん?」
城の方から祝融さんがこちらに走ってくる。美以が思わず俺の背の後ろに隠れた。多分バレてるだろうけど。というか名前を呼ばれた時点でバレてるか。
「朝からいないと思ったら、やっぱり恋ちゃんの部屋にいたのね。 今日は私と警邏だと知らせてなかったかしら?」
「・・・うっかり。」
「うっかりじゃないわよ、まったく・・・。 かずくん、恋ちゃん、せっかくのでーとを邪魔しちゃってごめんなさいね。」
「別に邪魔とかじゃなかったから、そんなに怒らないであげて。」
「(こくこくっ)」
「はぁ・・・。 二人とも優しいのねぇ。 分かったわ、今日は二人に免じて怒らないであげる。」
「・・・ほんとかにゃ? 星みたいに嘘ついてないかにゃ?」
星、どんだけ美以で遊んでるんだ?ここまで信用ないのも珍しいぞ?
「こんなことで嘘なんてつかないわよ・・・。」
祝融さん、2度目のため息。
「とりあえず警邏に行くわよ。」
「分かったにゃ。 ご主人様、恋、また今度一緒に遊ぶにゃ。」
「了解。」
「(こくっ)」
祝融さんは美以をつれて市の南側へと向かっていった。
「とりあえずさっきお昼ご飯食べたばかりだから、どこか休憩できるとこ行こっか。」
「涼しいとこ。」
「じゃあ・・・町外れの川辺でどうかな? 木陰で一休みってことで。」
「桃まん、買ってく。」
「了解。」
「わふっ!」
セキトの元気な鳴き声と共に俺たちも移動を開始した。
・・・
むぅ~・・・今日の恋様は普段より嬉しそうだったのです。大抵の奴ならねねのちんきゅーきっくで成敗してやるのですが、あいつには一度も成功した試しがないのです・・・。
「ん? ねねじゃない。 こんなとこで何してるのよ?」
「詠ですか。 ・・・あいつをどうにか成敗したいのですが、妙案が浮かばないのです。」
「あいつねぇ・・・。 ぼくだって一度ぎゃふんと言わせたいけど、そしたら月が悲しむから。」
二人でしばらく考えるですが、どうやっても上手く流されるのが目に浮かぶのです。
「あらん、二人で何をしてるのよん? もしかして~、禁断の恋かしら♪ ぐふふ♪」
「背後から突然現れるな! あんたみたいなバケモノがいきなり出てきたら驚くじゃない!」
「だ~れが背後にとり憑いた顔面妖怪のバケモノ! ですって~!!」
「そこまで言ってない!」
「それで、何の話をしてたのよん?」
「あいつをぎゃふんと言わせる作戦を練ってたのよ。 けどあいつ、どう言っても許しちゃうし、ぼくかねねが言っても月と恋がいるから強くは言えないし・・・。」
「詠ちゃんもヤキモチを焼くお年頃なのね♪」
「やっ・・・そんなんじゃないわよ!」
相変わらずよくわからないバケモノですね。深く関わらない方が良さそうなのです。
「とりあえず、ご主人様をぎゃふんと言わせたい・・・と。 私としては夜にご主人様から上なり下なりを好きにされ鳴かされる方が・・・(ぽっ)」
「うえっ・・・。」
「腰をくねらせるな!」
「まぁそれはさておき、ご主人様をぎゃふんと・・・ねぇ。 一筋縄ではいかないわよん? それと、これを敢行しても二人に得はあるのかしら? 後々、月ちゃんや恋ちゃんだけでなく愛紗ちゃんからも怒られるわ。」
「ねねの覚悟はその程度じゃ揺るがない・・・のです。」
恋様に怒られるのは・・・正直嫌なのです。ですが、それ以上にあいつに一度目にもの見せなくてはねねの気が済まないのです!
「恋様は毎日のようにあいつの話をするのです。 このままねねの恋様をあいつに取られるわけにはいかないのです!」
「分かったわ。 私も協力するわよん。」
何故かこの変態も話に加わり、再び会議が再開した。それからしばらく話が進み・・・、
「ねねちゃんのちんきゅーきっくを強化すれば、ご主人様をぎゃふんと言わせるのも可能だわ。」
「時間もないんだし、それが妥協案ね。」
「けど、どうするです? 勢いを増すにしてもねねはそんなに早く走れないですぞ?」
「他人から力・・・もとい、勢いを加えてもらえば良いわけよね?」
「それはそうですが、一体どうやって・・・。」
「ぐふふ♪ 私に妙案があるわ。」
「?」
「とりあえず付いてきて頂戴。」
「???」
ねねと詠は互いに首を傾げながら、この変態についていくことにしたです。
・・・
「おいハゲだるま、もう少し分かりやすく説明しろ。 出会いたくない顔に出くわしたと思ったらいきなりねねちゃんを投げろだと? 出来るわけがないだろ。」
「あらん、祝融ちゃん・・・困ってる顔も素敵よん♪」
「黙れ。」
市に向かったと思ったら祝融と美以がいたです。それからねねと詠の考えていることを話し、この変態が考えていることについても説明したです。
「・・・つまり、私がねねちゃんをかずくんの方に投げることで勢いが増す。 で、ねねちゃんのそのちんきゅーきっく・・・だっけ? それがかずくんに当たりさえすれば作戦は成功ということで良いのね?」
「そうなのです。」
「これはわざわざ私がしなくてはいけないことなのか? これだけのことなら貂蝉、お前がやっても変わらないだろう?」
「私が投げちゃったらねねちゃん、どこまで飛んでいくか分からないわよん? 力の調整が下手なの、祝融ちゃんも知っているはずよ?」
「・・・。」
「私の槍投げの結果。 あれの投擲する物がねねちゃんにすり替わるだけよん?」
「・・・分かったわ。」
祝融が渋々了承してくれたです。
「祝融ちゃんとねねちゃんのコンビネーション技・・・その名も、うるとらちんきゅーきっく! ね。」
「いや! 真空滅殺脚じゃろ。」
「うひゃあ!」
ね、ねねの背後に変態その二が現れたです・・・。心臓が止まるかと思ったですよ・・・。
「その名前だと元々の原型留めてないじゃな~い。」
「これを機に一新するのも有りと思うのじゃが。」
「名前なんてどうでもいいのよ! やるなら早く済ませたいんだから。(かずくん、私を恨まないでね! 恨むならこの筋肉ダルマ共を恨んでね!)」
それからねねたちは恋殿たちを探したのですが・・・、
「中々見つからないのです。」
「もう城に戻っていたり?」
「それもありえるわね。」
くぅ、こういう時に限って見つからないとは・・・。小癪な奴なのです。
「あなたたち、何をしているのですか?」
「あら、管轤じゃない。 かずくんを探しているのだけど、中々見つからないのよ。」
「一刀様ですか。 確か市を出たところまでは知っていますが、そこからどこに行ったかは知りませんよ。」
「ということは城、市にはいないわねん。」
「早く見つけてねねのちんきゅーきっくであいつを蹴飛ばしたいのです・・・。」
恋殿とあいつが二人っきりだと考えただけで頭の中がもやもやするです・・・。あいつを蹴っ飛ばせばこのもやもやもきっとスッキリするです。
「ねねさん、一刀様のことを傷つけたら・・・許しませんよ?」
管轤が腰に携えている刀・・百夜に手をかける。管轤は微量ながら殺気を纏わせるとねねがにじりと後退する。
「まぁ、一刀様が家臣の攻撃を避けきれないとは考えらませんがね。」
殺気を消すとねねが、「はぁ・・・。」と息を吐いた。額に若干の汗が浮かんでいたところを見るに、一瞬の間に精神的に追い詰められたのだろう。
「祝融、あまり騒ぎを大きくならぬよう監視を頼みますよ。 一刀様たちのめいわくにならぬよう。 私はそろそろ失礼します。」
管轤が立ち去ったのを確認すると、ねねの隣にいた詠がふと口を開く。
「あそこまで言われて、まだやるつもり? やるって言うならぼくは止めないけど。」
「・・・やるったらやるのです。 管轤なんて怖くないです・・・。 怖く・・・(がたぶる)」
素直に怖いとは言えないねねなのであった。
・・・
市にいないと分かったねねたちは場所を変え、一刀の行きそうな場所を探すこととなった。それから歩くこと半刻。
「よ、ようやく見つかったです。」
「阿呆面晒して寝てるわね。」
恋殿に寄り添って木陰で寝てるです。あいつの膝の上でセキトも寝てるですね。
「可愛い寝顔ね。 寝てるところで悪いけど、頼まれたからにはちゃんと完遂したいと。ねねちゃん、このくらいなら蹴りも届くかしら?」
「大丈夫なのです。」
「そう? じゃあ思いっきり投げるけど、絶対当ててね? 当てなかったらどこまででも飛んでいくことになるわ。」
「わ、分かったのです。」
蹴った後にねねの体は無事残っているでしょうか?
「まっすぐ投げるから、かずくんが不意に避けないことだけを祈っておきなさい。」
「覚悟は・・・できたです。」
草陰のちょっと手前、目測30mほどの距離からねねを片手で持ち上げる。
「いくわよ! せぇぇぇい!!」
「うるとらちんきゅーきーーーーーっく!!」
思いっきり振りかぶってから繰り出された公台。スピードで言えば時速200キロほどじゃな。儂が投げればまだ早く投げれるわい。まぁ、流石の怪力というべきか。さてさて、ご主人様は・・・。
・・・
「寝ている一刀の邪魔をされては困る。」
一刀の中に待機していた鈴が突如現れ、寝ている一刀の体を少しずらす。
「な、なんですとーー!?」
そう叫びながら視界から遠ざかっていくねね。川を抜け、川をはさんだ森の奥へと姿を消した。
「その草陰に隠れている者、出てこい。」
「バレていたのね。」
「これは何の余興だ?」
「そこでボケっと寝ているやつにぎゃふんと言わせるです! とねねが言い出したのよ。」
「こいつにぎゃふんとな。 何故そのような無理難題を考えるんだか、理解に苦しむぞ。」
「恋ちゃんを独占してるから・・・甘えんぼなのよん、ねねちゃんは。」
「そうか。 こいつに素直に甘えればよかろうに。」
「まだ幼子なのじゃ。 そこまで思考がいかぬのじゃろ。(じろ)」
「なんでボクを見るのよ?」
「特に意味はないぞい。」
「どうせぼくは素直じゃないわよ。」
簡単に素直になれたらぼくだって苦労しないわよ・・・。
「とりあえず、私はねねちゃんを探してくるわん。 気絶してるかもしれないから。」
「任せたぞい。」
貂蝉が森へ飛んでいったのを確認すると、一刀と恋に視線を移す面々。
「あまり騒動を起こしてくれるなよ。 一刀はいつも皆に気を配っているからな。 こいつは平気な顔をしていても確実に疲れは溜まっているぞ。」
「そうですよ。」
「管轤?」
私たちのいた草陰のまだ背後から管轤がこちらに向かってきた。
「ついてきたの?」
「えぇ。 あなたたちが何かしないか見張っていました。 ですが、鈴さんのお陰で杞憂に終わりましたので良しとします。 とりあえずここを離れますよ。 ここで話していては一刀様たちの眠りを妨げる可能性がありますので。」
「そうじゃな。」
「では私は勾玉の中に戻るぞ。」
鈴が姿を消し、私たちも一へ戻ることにした。ねねちゃんに関しては貂蝉がどうにかするでしょう。
・・・
「ん・・・、もう夕方か。」
「ご主人様、起きた。」
「わふっ。」
「俺もいつの間にか眠ってたのか。」
恋の寝顔を見ているうちに俺も寝ていたようだ。
「ご主人様、お腹空いた。」
「ここに来る前に桃まん食べたよね? ・・・って言っても恋だからしょうがないか。 じゃあ帰りに何かつまめるものを買って帰ろうか。 晩御飯に差支えのない程度だからね?」
「(こくっ)」
俺たちは夕陽を背に感じながら城へ戻ることにした。うーん、俺が寝てる間にねねの声が聞こえた気がしたんだけどなぁ。まぁ、気のせいだろう。
城に戻った一刀たちは正座して愛紗にお説教されているねねを発見した。
「・・・ねねがお説教をくらうなんて珍しいな。」
「一刀、お帰りなさい。」
「ただいま、母さん。 ところで、ねねは何で怒られているの?」
「私にもさっぱり。 私たちが市から戻ってきた時には既にこうだったから。」
「そっか。」
それから晩の食事の時間までねねはお説教されていたそうな。
食後、ねねが愛紗に怒られた腹いせに一刀に普通のちんきゅーきっくをしたところ、見事成功したそうな。このことから、うるとらちんきゅーきっくが日の目を見ることはなくなったのは言うまでもない。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。恋&ねねの拠点はいかがでしたでしょうか。ねね、好きですねぇ。この子は詠のツンデレとは違う感じのツンですから。私はどちらかと言うと恋ちゃん派ですが。恋ちゃんが敵兵、敵将相手に無双するのも好みですが、やはり動物に囲まれのんびりと過ごしている恋ちゃんの方が好きです。食べものを頬張っている恋ちゃん可愛い!うちにも恋ちゃん一人ほし・・・食費がすごそうなので今回は見送りましょう。それでは次回、第八節_拠点:胡花、初めてのプレゼント でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。