~一刀side~
「終わった。」
もともと俺たちは策などほとんど眼中に入れてなく、我らが頭脳役のソウにまかせっきりだった。
別にソウを攻める気なんて全くないけど、やっぱりソウに頼り切っていたんだと痛感させられた。
桃香や俺、鈴々では策なんて物を作れるわけないし、愛紗もさすがに今からでは大変だろう。
「人の話を最後まで聞けと習わなかったのでしょうかねぇ……。」
orz状態の俺や、狂ったように笑う桃香、空元気の愛紗に、どこ吹く風の鈴々に対しソウは呟いた。
「『僕は』考えも策もないと言っただけなのに。」
僕はを強調して言うソウ。
すると俺や桃香、愛紗はソウの方をバッと振り向く。
「ど、どういうことなのかな?」
まだ微妙に狂っているようにも見える桃香がソウに笑顔なのに笑顔じゃない威圧の顔で問う。
「まあ、待っていればいずれ来るでしょう。」
「「「??」」」
「まだ話終わってなかったのかー。なら白蓮のとこに行ってくるのだー!」
いったい何を言っているか分からない俺たちと、真っ白になった白蓮の所へ走っていく鈴々。
そして意地悪そうに笑うソウ。
一体これから何が起こるんだ!?
十分経過
「……遅いですねぇ。」
「遅いですねぇ、じゃないよ!!」
思わずソウの台詞につっこんでしまう。
あれから暫く待ったが何も起きず、もうすぐ出陣というところまで来てしまっていた。
これは本格的にまずくなってきた、と思ったとき
「しゅ、しゅみましぇん!あぅ噛んじゃった。」
どこからともなく声が聞こえてきた。
「……???」
キョロキョロと周囲を見回してみるも、声を上げたであろう人物の姿が見えない。
「はわわ、こっちです。こっちですよぉ~!」
「えーっと……声は聞こえど姿が見えず……」
「もしかしてソウ殿の声ですか?」
「そんなことあるわけないでしょう!!もっと良く捜してみてくださいねぇ!!」
首を捻る俺たちと天然でボケる愛紗。
「……みんなひどいこと言うのだなー。チビをバカにするのは良くないのだ。」
いつの間にか戻ってきていた鈴々が、俺たちの手を引いて視線を下にするように促す。
―――と、そこには。
「こ、こんにちゅは!」
「ち、ちは、ですぅ……」
可愛らしい帽子と……歯でも生えていそうな帽子を被った二人の少女が、緊張した面持ちで立ち尽くしていた。
「こんにちは。えーっと……どちらさん?」
「わ、私はしょ、諸葛孔明れしゅ!」
「私はあの、その、えと、んと、ほ、ほと、ほーとうでしゅ!」
「……二人ともカミカミすぎなのだ。」
「んーと……諸葛孔明ちゃんに、ほ、ほ……」
「鳳統でしゅ!あぅ……」
「諸葛孔明に鳳統、か。……あなたたちのような少女がどうしてこんなところに?」
「あ、あのですね、私たち荊州にある水鏡塾っていう、水鏡先生という方が開いている私塾で学んでいたんですけど、でも今この大陸を包み込んでいる危機的な状況を見るに見かねて、それで、えと……」
「力のない人たちが悲しむのが許せなくて、その人たちを守るために私たちが学んだことを活かすべきだって考えて、でも自分たちだけの力じゃ何もできないから、誰かに協力してもらわなくちゃいけなくて……」
「それでそれで、誰かに協力してもらえば良いんだろうって考えたときに、ソウ先生に天の御使いが義勇兵を募集してるって文をもらったんです!」
「それで色々と話を聞いて行くうちに、天の御使いが考えていらっしゃることが、私たちの考えと同じだって分かって、協力してもらうならこの人だって思って」
「しかもソウ先生がおすすめしてくれてるから安心できますし……だから、あの……私たちを戦列の端にお加えください!」
「お願いします!」
真剣な眼差しで俺たちを見つめ、必死に懇願する二人の少女。
「んー。ご主人様、どうしよっか?」
「戦列の端に加えるには、歳が若すぎるような気もしますが……」
「でも、それを言うなら鈴々だってそうだろ?」
「それはそうですが、鈴々の武は一騎当千。歳は若くとも充分に戦力になります。しかし二人は見たところ指は細く、体格は華奢……。戦場に立つには可憐過ぎるかと……」
「まあまあ、落ち着いてくださいねぇ。」
熱く語る愛紗に対してソウは落ち着いて言う。
「そういえばさっき二人はソウ先生って言ってた気がしたけど?」
「以前、水鏡殿に私の私塾で少しの間、講師をして欲しいと頼まれましてねぇ。」
「と、とってもソウ先生の教え方は分かりやすかったでしゅ!」
「それで戻りますが、何も剣を持って戦うことだけが将の仕事ではありませんねぇ。」
「そうそう♪武芸が達者で無ければ戦えないなんて言ったら、私なんてこれっぽっちも戦えないもんね♪……って、自分で言っててへこんできたよぉ。」
フォローしようとして、自爆してへこむ桃香。
「ソウの言う通りだ。……それに俺は、この子たちがきっと俺たちを助けてくれるって、そう信じてる。」
名前を聞いたときに思わず仰け反りそうになったけど……諸葛亮に鳳統と言えば、三国志を代表する智謀の士なんだ。
そんな二人が俺たちに協力してくれるなら、これからの戦いにだって希望が持てる。
「そうですか。……ならばご主人様の判断に従いましょう。」
まだ納得していないのか、愛紗は渋々といった表情を見せる。
……その辺りそこはかとなく三国志演義の関羽っぽい心情が見えるなぁ。
それにしても……黄巾党討伐の時期に、諸葛亮が劉備陣営に加わるなんて話は聞いたことが無い。
この世界は単純に三国志の世界って訳じゃないのかな?
多分、俺がこの世界に落とされたことで物語の筋が違ってしまったのかもしれない。
「だったら……これからの道を切り開いていくのは、俺たち自身の力しかないってことかな……」
どこまで出来るかわからないけど……。
でも俺は、いや俺だけじゃない。
今、俺を支えてくれる仲間たちと共に、この世界で生き抜かなくちゃいけない。
「そういうことで……二人とも、俺たちに協力してくれるかな?」
「はひっ!」
「がんばりましゅ!」
「ありがとう。……俺の名前は北郷一刀。一応、天の御使いって身分らしい。」
「わ、私はえと、姓は諸葛!名は亮!字は孔明で真名は朱里です!朱里って呼んでください!」
「んと、姓は鳳で名は統で字は士元で真名は雛里って言います!あの、宜しくお願いします!」
「朱里ちゃんに雛里ちゃん、か。……こちらこそ宜しく!」
「はいっ!」
「は、はいっ!……朱里ちゃん朱里ちゃん、えへへ、真名で呼ばれたよぉ……」
「良かったね、雛里ちゃん♪」
「うんっ!えへへ……」
Tweet |
|
|
7
|
2
|
追加するフォルダを選択
ここでようやくロリ登場。
全員18歳以上?なんのことやら