No.615597 超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編2013-09-03 15:31:10 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:844 閲覧ユーザー数:803 |
夢見る白の大地『ルウィー』。
この地は、一年中そのほとんどが冬の季節で、積もった雪が溶けることは少ない。
目に見える景色は白銀の世界。木も、道も、全てに雪が積もって幻想的な雰囲気を感じる。
厳しい環境の為、ここに生息しているモンスターは他の大陸と比べてかなりレベルの高い奴らが多く、噂ではドラゴンのほとんどの生息地はここだとか。モンスターが強い分、貴重な素材や特殊な地域で育つ山菜は大陸とは違う種類が多く発見されている。
この国には、他の大陸とは違ってあまり科学方面は進歩していない代わりに魔法が存在する。
俺がいつも使う様な摩訶不思議な、そして物理法則を無視した物がこの国では一般的に使用されている。
元々、女神の奇跡を誰でも使えるように劣化されたのが魔法とされている。この国自体はかなり鎖国的で、入る者はいても、出る者は少ない。過去、この厳しい環境に打ち勝てる強さを国民に与える為、女神がルウィー国民に魔法という画期的な技術を授けたとか。因みに魔法取得は幼い頃からの鍛錬と、才能が必要であるため、他の国の人が魔法を会得するのは、かなり難しい。なので、魔法が使えるのは大体ルウィー出身に絞られる。魔法取得の為にこの地に留学してくる人も少ない訳ではないが、あまりの環境の変化と才能が求められるどうしようもない難易度に挫折する人が後を絶たない。
「はぁ……こぅちゃんの温かみを感じるよ…」
「ねぷねぷと同じです。……温かいですぅ……」
「……紅夜のコートって結構便利だったのね。そういえば、蜂の巣になっても次の日は新品みたいに治っていたし……」
とアイエフがネプテューヌとコンパを見ながら呟く。
ネプテューヌは長袖のパーカーだが、これはミニスカートでもあり、太ももとか、かなり露出している。それを少しだけ残すようにニーソックスで隠している。
コンパはセーター服なのでネプテューヌよりはマシだと思うが、腕の所が露出していたりこちらもミニスカートの茶色のニーソックス姿、つまり俺が何をいいたいかというと、この地域においてネプテューヌとコンパの姿は正気を疑うほど、薄い服装なんだ。
……まぁ、アイエフも厚い布のコートを羽織っている物の、下にはインナーしか着ていないし、バックルブーツを履いているものの、足が普通に露出してかなり寒いように見えるが……大丈夫なのか?
『普通だったら、君も寒いよね』
「普通はな」
ルウィーの入国手続きを無事に済ませて、入ったのはいい。
なんだかんだ強敵と戦ってきた俺達にとってここらのモンスターなんてザコな方だと言えるが、街に続くにつれて、温度はどんどん寒くなって、薄着なネプテューヌとコンパが凍えだしたのでコートを二人で被せた。
俺の全身を隠す様な漆黒色のコートは魔法を纏っており、外がどんな環境であろうと中では一定の気温のままなので、ネプテューヌとコンパに貸した。どちらかといえば温暖な気候のリーンボックスからいきなりこんな極寒地域に来たんだ。体調を崩してしまうかもしれない。
「本当なら、俺も凍えていたな」
コートを脱いだ俺は黒い長袖のシャツ一枚に、長ズボンだけとこの地域では見ただけで寒いと思われる薄い服装なのだが、それは右手に握っている物が解決してくれた。
それは、黒と紅を基調した
『邪神の力を宿した銃をまさか、カイロ代わりにするとか……凄いね紅夜』
「そうか?俺は別に使える物を使ったまでだが……」
因みにこれを顕現させようとしたとき、かなり騒がれた。
リーンボックスで魔女を相手にしたとき、俺は暴走した。その時、魔銃を形成する
それを間近で最後まで見ていたらしいネプテューヌは、若干トラウマになっていたのか、物凄く震えられた。デペアがちゃんと封印できたことを説明すると、全員安堵のため息を吐いた。そんなに危険な物を扱っていることを再認識しつつ、俺達は白い道を進んだ。
「ルウィーって、いつもこんなに寒いの?」
「温かい時もあるわ。けど、その期間はかなり短いわね。もうすぐでお昼時だから、徐々に気温を高くなると思うわ……でも、ねぷ子の服装じゃそれでも寒いわね…」
「うう、速く街に着かないかな……」
「確かに、コンパと一緒に紅夜のコート羽織っている状態でいきなりモンスターに襲われたら、不味いわね……」
団子状態のネプテューヌとコンパを見ながら同意する。
戦闘になったら絶対にコートを脱がないといけないし、この寒さに慣れていないネプテューヌ達なら動きが鈍る。
「……そうだ。確か近くに教会あったからそっちにいって予備のコートを貰おうか」
「道、分かるの?」
「あぁ、これでも四大陸を駆け巡ったモンスターハンターだぜ?」
頭に残っている記憶を頼りに、歩いているルートから少しずれる。
教会はあっさりを見つかった。暖炉を焚いているのか、煙突から出る煙で直ぐに場所が特定できたからだ。
ここまでくれば安心と、ネプテューヌとコンパがコートを返してくれた。教会の扉を開けると、書類などを運んでいる教会関係者が見えた。俺達に気づいたのか、教会に属する者が着る祭服姿の中年男性が優しい笑みを作りながら、こちらに近づいてきた。
「外は寒かったでしょう。大丈夫ですか?」
「大丈夫です。でも、ちょっと冷え気味なので暖炉がある場所まで案内してくれませんか?」
「ええ、いいですよ」
男性の先導の元、足を進ませた。
部屋の奥には大きめの暖炉があり、休憩場所を含めているのか椅子が置かれていて、俺達はそれに腰を下ろして一息ついた。
「魔銃を顕現させている間は使ってなくてもガリガリ魔力が減るからしんどい……」
「あとで、防寒用のコートをいただけないか相談しないとダメです。こぅさんに頼りっぱなしじゃダメです」
「えぇー……ねぇねぇ、こぅちゃん、ここは相傘ならぬ相コートで私の胸で暖まって「却下」……せめて、最後まで言わせてよ……!」
『そうだぞ紅夜!せっかく合法的に紫ッ子のおっぱいの触感を楽しめるイベントを「……」すいません、無言でイォマグヌットの銃口を僕の宝玉に向けないでください……!』
全く、このバカども、相変わらずと言えば相変わらずだが、もうちょっと場所を考えろ!
さっきから、忙しそうに働く教会関係者の視線が痛い!
「そういえば、ここは教会なのです。女神様に会って鍵の欠片の場所を聞くです」
「……あーー、ここに女神いないぞ?」
「? どういうこと?普通教会に女神様が住んでいるじゃないの?」
「ルウィーは他の大陸と違って、教会としての組織が違うんだ。そうだな……例で言えば、ここは支店と言うべきだな」
コートに付いた雪を掃いながら、俺は説明を開始する。
「他の大陸では、大陸に教会は一つでそこに女神がいるんだが、ルウィーではいくも教会があって、その一つ一つが自治都市として稼働しているんだ。勿論、俺達が向かうのはこの先の森を抜けた本社と言うべき教会だな」
「ルウィーは他の大陸と比べて色々と違うんですね」
「あぁ、俺がいつも使っている魔法だってルウィーの独自文化だと言ってもいいしな」
「独自文化だったら、紅夜はここの大陸出身じゃない?」
アイエフの何気ない言葉に息が詰まった。
自分と言う存在は異世界の存在。そして消えゆく存在。暖炉の中で燃える炎の所為か、額に汗が流れた。
正直な所、これ以上ネプテューヌ達に心配を掛けたくないし、悲しませたくない。俺が異世界の存在だということは信じてもらえないだろうが、それでいい。しかし、俺と言う人格は偽りの元で本来の人格が復活すれば、俺という人格は消滅する。仲間であるネプテューヌ達にどう話を逸らそうと考えていると、先ほどの中年男性がこちらに走ってやってきた。
「あ、あの……二人の少女を見なかったですか!?五歳ぐらいですが…!」
その手には、二つ写真が握られていた。
双子だろうか、薄い茶色をして濃い青色をした双眸に教会関係者が言った様に五歳くらいの童顔の少女達だった。
ネプテューヌ達に視線を向けると、首を横に振った。
「すいません俺達この国に来たばかりで見ていないんです。この子たちは迷子ですか?俺で良ければ協力しますが……」
「しかし、外にはモンスターが……」
「モンスター退治なら日常茶判事よ。写真貰っていいわよね?」
「あ、あぁ……すまない!」
慌ただしく中年男性は走っていった。扉の前には対モンスター戦を意識した物騒な武器を持った人が集まっていた。
「よし、行くか」
「おぉー!ここに来たのも縁。迷子探しの始まりだね」
気合の入ったガッツポーズを決め、ネプテューヌは立ち上がった。俺はそれにため息を吐きながら口を出した。
「ネプテューヌお前はお休みだ。コンパもここで待っていてくれ」
「は、はいです」
「えぇ!?なんで!?」
「まだこの地域に体が慣れていないだろう?防寒コートが手に入っても体を激しく動かせば体調を崩し、よって今回お前らはお休みだ」
俺がコートを貸す前までは、生まれたての鹿のようにガクガクブルブルしていたのだ。
それにネプテューヌとコンパは、ルウィーに来たのは初めてだ。そんなところで迷子探しなんてしたら、逆に迷子になるぞ。
「あいちゃんは、あいちゃんだけ特別扱いなの!?」
「アイエフ、お前はこの大陸に来たことあるだろう?」
「えぇ、多少の地理はあるわ」
「こういうことだ」
「むぐぐぐ………」
「ねぷねぴ、ここはこぅさんの言う事は正しいです。私達じゃ迷子さがしどころじゃないです……」
納得いかないようだが、コンパのいうことも理解したのか、ネプテューヌは悔しそうに椅子に腰を下ろした。
「よし、行くか」
「えぇ、ねぷ子、コンパ。行ってくるわ」
そういえば初めてアイエフと二人っきりで行動するなと思いながら、写真に写る二人の少女を確認して、教会の扉を開けて、白銀の世界に再度足を踏み入れた。
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