No.615223

恋姫無双 ~~紅と蒼の悪魔~~ 3-12話

morikyouさん

この作品は「DMCシリーズ」「真・恋姫無双」の二次創作です。
作者の妄想成分が過分に含まれているので、ご覧になる際はこのことを頭の片隅にでも置いておいていただけたら幸いです。

2013-09-02 06:50:34 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5500   閲覧ユーザー数:4745

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 注、この作品は「DMCシリーズ」「真・恋姫無双」を私の個人的妄想により都合よく改変しております。

詳しくは1話を参照してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝者、バージル選手!」

 

審判の雪蓮がそういうと、会場の空気から一気に緊張が抜けた。

中を見ると、翠は倒れて気絶し、そのそばでバージルは納刀したまま立っている。

何か雪蓮と話していたが、雪蓮が首を横に振った後、背を向けて会場を降りようとしていた。

 

「ま、待ちなさい!貴方に、いえ、貴方たちに聞きたいことがあるわ!」

 

しかし、それを見て珍しくあわてた様子で華琳が声をかけた。

そして、さらに珍しい(ダンテにとって)ことにバージルがそれを聞いて足を止めたのである。

何せ、この二人は唯我独尊を地で行ってることを互いに自覚している。

だから、あのただでさえ気難しいバージルが人の要請に素直に反応した事にダンテは驚いていた。

 

「…手短に頼みたいんだが」

「ええ、まずは貴方の技について聞きたいんだけど?」

 

めんどくさそうにいうバージルに対し、単刀直入に聞く華琳。

それをうけたバージルは

 

「だ、そうだが。解説?」

「おい、逃げんな!」

「お前の技は俺が説明したんだが?」

「…ちっ」

 

ダンテに丸投げした。

 

「…しょうがねえな。つっても結局氣としか言えねえんだが。何を説明しろと?」

「貴方ねえ、いくらなんでもそれは無理があるでしょう。確かに、氣を使えば説明できるかもしれないけど、氣を実体化なんて出来る訳ないのよ!」

 

華琳はダンテの説明を聞いても納得してないようだ。

無論、他の武将達も険しい表情で睨んでいたりしており、とても納得したようには見えない。

 

「それは、前例がないからか?だとしたら、拍子抜けだが」

 

ダンテはその反応にあきれた様に言った。

 

「貴様!華琳様に向かって!」

「止めなさい!春蘭!ダンテ、それはどういう意味かしら?」

 

思わず激昂した春蘭を止めた華琳は再度ダンテを促した。

 

「氣を実体化出来ないなんて、誰も証明できてないだろ。要は、今まで誰もそんなことが出来てないからそんなことは出来ないって思ってるだけだ」

 

肩をすくめてダンテはそう言った。

 

「そもそも氣を自覚してるのなんて少ねぇだろ。しかも、大体が打ち出すとか精々が武器に纏わせるとか。そんなんだから、その先に出来ることがあるかもしれないってことに考えが至らない」

「…そもそも、氣なんてものは誰もが持ってる。だから、身体強化やら物体を作り出すなんてのは誰だってできるはずなんだがな」

 

バージルもそう言った。

 

「あんたらは今、自分たちの知らない事、出来ない事を目の当たりにして受け入れられないだけだ。肝心なことがまるで分かってねぇのに、そんなんでいちいち殺気ぶつけられてもめんどくさいし疲れるだけなんだが」

 

皮肉っぽくダンテがそういって解説席から立ち去った。

バージルをそれを見てため息をつきつつ

 

「すまんな、弟がきついことを言った。だが、間違ったことは言ってないとだけ言っておく。失礼する」

 

といって会場から立ち去った。

 

観客も、武将達も一連のやり取りの後は沈黙してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルの広範囲攻撃により、再び舞台の修復をしなければいけなくなったため、休憩時間が再び生まれた。

 

その間、店陣営以外の三陣営は特に示し合わせたわけではないが会場の外の一角に集まっていた。

ちなみに店陣営は街の自分たちの店に戻って休憩をとるといって戻ったそうだ。

ただ、なぜか月と詠はこちらに来ていたが。

なぜか、月のほうがこちらの方に来たいといったらしい。

 

「………」

 

とはいえ、話すことなんて特に決めていたわけでもないので沈黙ばかり。

というより、話したいことは皆共通であったが、どう切り出したらいいのかが分からない、というのがこの状況を的確に表していた。

 

「…翠の様子は?」

 

ポツリと、桔梗が誰に聞いたでもなくつぶやいた。

 

「…試合による打撲、擦過傷はあるものの、大きな怪我はなかったようだ。どうやらバージル殿は…」

 

愛紗はそこまで言って少し迷った風だったが、やがて意を決したように

 

「翠に怪我をさせぬよう手加減をしていたようだ。翠もそう言っていた」

 

と言った。

 

三国でも個人の武ではかなりの上位に入るであろう翠に対し、あまつさえ手加減をして尚圧倒してしまうという彼の武に、再び沈黙してしまった。

 

「…月殿にお尋ねしたい」

 

星が沈黙を破って月に尋ねた。

 

「なんでしょうか?」

「あの御仁らは実際はどの程度の武なのだろうか」

 

そこにいた全てのものがはっとして月達の方を見た。

 

「…私も詠ちゃんも武人ではありませんよ?」

「それでも、恋や霞、華雄といった猛将と共にいればこう感じるものもあろう?その程度でよいのだ」

 

言外に教えられないと言った月に対し、食い下がった星。

 

「…ここからは独り言ですが、前に私達の店でささやかな宴会を開いたとき、霞殿が冗談で『この店の戦力で天下は取れたかなあ』と口にしたのです。その時、詠ちゃんは『そうねえ。洛陽の禁軍が味方なら半分はいけたかしら』なんて言ったのですが、そうしたらダンテ様は『俺達二人で全武将を落として良いなら、後は雑兵だけだから、ゆっくりやれば落とせるだろ』といい、バージル様も『ふっ、そうだな。霞、恋、華雄の三人がいて、ここで帰りを待っていてくれるものがいるなら、五人で十分だろう』と珍しく笑いながらそう言ってました」

 

どこかあらぬところを見ながら何かを思い出すように月はそう言った。

 

「なんだと!そんなことがありえるわけがない!それは我々に対する侮辱ではないか!」

 

春蘭はそれを聞いて激昂した。他の武将達も不服そうな顔をしている。

 

「…そんなんだから、二人にそう言われたんでしょうが」

 

それを見ていた詠がそう言った。その瞬間、

 

「今すぐその言葉を取り消せ。さもなくば…」

 

愛紗が持っていた刀を首筋に突きつけていた。後ろで桃香が止めようとしていたが、どうやら頭に血が上っているらしく、聞いていないようだ。

 

「事実を言っただけよ。貴女達は結局何も変わってないのよ」

 

武器を突きつけられているにも拘らず、詠は言葉を続けた。

 

「何だと?」

「連合のとき、たった二人に関を守らせたのは私よ。で、貴女達はこちらが撤退しなければ結局抜けなかった。忘れたとは言わせないわよ。その時点で、あの時いた面子では彼らを倒せないってことでしょうが」

「だ、だが、あれから我々とて鍛錬を積み、数多くの戦を乗り越えてきたのだ。少なくとも、以前よりは善戦できるはずだ!」

「それよ」

「何!?」

 

詠の説明に食って掛かった春蘭を指差して詠は続けた。

 

「確かに、武そのものは伸びたんでしょうね。でも、貴女たちは精神的に全く成長してないのよ。だから、指摘を受けても激昂ばかりで自らを省みようとしない」

「なっ…!」

 

思わぬ反論を受け春蘭はうろたえてしまった。

 

「貴女達、華雄は知ってるわよね。当然アイツの欠点だって知ってるんでしょ?」

「ええ、自らの武に誇りを持っているため、挑発などにすぐ乗ってしまうと聞いていますが」

 

詠の質問に対し、稟が答えた。

 

「そう。でもね、彼女はそのことをあの二人にコテンパンにされながら指摘されてね。そこからずーっと精神的に修行してたのよ。貴女達は霞とか恋がさらに強くなってることばっかり気に掛けてるみたいだけどね」

「………」

 

詠の指摘が図星だったのだろう、全員は黙り込んでしまった。

 

「あいつはね、彼らから技を何も教わってないんだって。精神が強くなったらそんなことしなくても、霞とか恋にだっていい勝負が出来るからだって」

 

詠はそういうと、

 

「あいつらも言ってたけど、あんたらは見なきゃならないこと、知らなきゃいけないことが分かってないのよ。そういう私だって彼らに言われるまで自分の視野の狭さなんて気づいてなかったのだけれど。とにかく、はっきり言ってこのままの三国なら私だってあの五人で落とす策位すぐに考え付くわよ」

 

といって、店のほうへ歩いていってしまった。

 

「す、すみません。詠ちゃんはああいってますけど、でもきっと皆さんのことを信用してるんだと思います。武なんて分からないのにほんとすいませんでした」

 

月はそう言って詠のほうへ走っていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魏 陣営

 

詠達が立ち去ってから、三国の者たちは何も言わぬままそれぞれの場所へ戻っていた。

 

「………」

 

魏の陣営では、華琳が何も言わないままじっとしている。

 

「う~~~!やっぱり、気に食わん!今すぐ店へ行って…」

「止めておけ、姉者。返り討ちにされるのがオチだぞ。それに、店で暴れるのは彼らが最も嫌っていることぐらい姉者だって見たことあるのだから知っているだろう」

「ぐっ…」

 

いまだ、気の晴れぬ春蘭を秋蘭が止めた。

実は、主にバージルの店では、「店内で暴れてはならない」という不文律がある。

それを破ったものの末路を春蘭も見たことはあったため、ギリギリで踏みとどまったようだ。

 

「しかし、華琳様だけでもあれなのに三国の王を前にあの不遜とも言うべき態度と言葉…。とても許していいことじゃないわ!」

「…確かに、詠殿にしては思慮深い行動とは言えませんね。ですが、それを自覚してないとは思えません」

「だからこそ、このことを今言ったのは意味があると風は思うのですよー」

 

華琳命!の桂花の言葉に同意しつつも、そう指摘する稟と同意する風。

 

「ん~、ウチには難しくてよう分からん」

「沙和にもさっぱりなの~」

「二人とも…。詠様ほどの頭の良い方があれだけの侮辱をしたのだ。それをおかしいと言ってるんだ」

「「おお~」」

「お前ら…」

 

真桜と沙和の様子に頭を抑える凪。

 

「…そう、あれだけ不遜なことをあの場で言ったこと。それに私達が分かっていないこと…」

 

華琳はその様子を眺めながら、ポツリとつぶやいた。

 

 

呉 陣営

 

こちらは少し違った様子を見せていた。

 

「お、お前は何も思わなかったのか!?」

「うん、言われたらなんかストンって嵌ってね。ああ、この事かって。そしたら感謝こそすれ、怒りなんて沸いてこなかったわ」

 

感情を抑えようとして抑えきれていない冥琳に対し、そう答えた雪蓮はむしろさばさばとした表情だった。

 

「ね、姉さま!あれだけ我々を、三国を侮辱したにも拘らず、怒りが出てこないとはどういうことですか!」

 

むしろ蓮華の方がその様子に食って掛かっている。

 

「こればっかりは、本人が分からなきゃ無駄よ。無論、その捉え方もね」

 

雪蓮はそう答えて、臣下達の方を向くと

 

「けど、これだけは言える。あの言葉に怒りのみを覚えるのならば、彼女の、ひいては彼らの言っていることは正しいわ。私達が全力で向かっても、おそらく私達は負けるでしょうね。分からなければならないこと。それに自分で気づかなければ、ね」

 

その時の表情はとてもふざけているようには誰にも見えなかった。

 

 

蜀 陣営

 

「くそっ!詠のやつ!一体何様のつもりだ!我々をここまで侮辱してただで済むと…!」

「落ち着かんか!ばか者が!!」

 

激昂している焔耶に拳を振り下ろす桔梗。

 

「ふぅ、少しは成長したかと思ったのが馬鹿みたいじゃ」

「仕方ないわよ。自分の武に誇りを持っているものなら誰だってああなるわよ」

「そういう紫苑はそれほどでもないのじゃな」

「あら、そういう桔梗こそ」

 

なだめる紫苑につい愚痴のようなものをこぼした桔梗が見事に切り返されて黙ってしまった。

 

「しかし、まさか詠があそこまで言うとはのう」

「そう?私はむしろ、あの店の誰かがいつかは言うと思っていたけれど」

「ほう、それは?」

「身内ではなかなか言いづらい、気づき辛いことも外からなら指摘できるでしょ?」

「…ふむ、そうじゃな」

 

年長者組が納得している中、こちらでは

 

「ふむ…」

「おや、先ほどはあれほどに激昂していたのに今度はどうしたのだ?」

 

何かを悩んでいる愛紗に気づいた星が声をかけた。

 

「いや、先ほどは短慮な行動をとってしまったが、今冷静に考えてみると、色々と腑に落ちんことがな」

「ふむ、それに気づけるほどには判断力が残っていたか」

「ぐっ…、言い返せんな…」

 

そう言って愛紗をからかった星だが、

 

「おそらく、あの言葉は我々全員に向けられたものではなさそうだな」

「何?」

 

次の言葉に、愛紗は驚きを見せた。

 

「現に、蜀では紫苑と桔梗、呉では祭殿と…雪蓮殿は何かをつかんだか。魏は誰も変わっておらんな。とにかく、あらかじめそれに気づいていたものには特に反応が無いからな」

「…そういう星はどうなのだ?」

「私か?私は紫苑の様子を見ていて気づいたぞ」

「何!?」

 

愛紗は星の肩に手を置いて

 

「一体何なのだ!?」

「痛い痛い!!わかったから落ち着いて、手を離せ!」

 

と催促したが、星の様子を見てあわてて手を離した。

 

「全く…、それを指摘されたのだ」

「それ?」

「今の一連の愛紗の行動だ」

「???」

「やれやれ…これは骨が折れるぞ…」

 

星はこれからの説明の大変さに頭を痛めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 

どうも、作者のmorikyouです。

今回はいかがでしたか?

 

今回間が空いてしまいまして申し訳なかったです。

いやあ、自動車教習って大変ですね。

 

さて、今回ですが二人からの意味深な言葉を受けたそれぞれの様子を書きました。

私が苦手なシリアスになってしまったのがちょっと悔やまれますが、これも致し方なし。

といっても、そこまでこれを引っ張るつもりもありませんけども。

桃香の知っているあのことをばらすかとも考えましたが、ちょっと先送りにしました。

この状況でやったらさらにカオスになるのでw

というか、このままで大会はうまくいくのか私が一番不安です^^;

 

次回はこの続きからです。まだまだ重いですが、がんばりたいと思います。

それでは、お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
5
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択