No.613255

とある ガールズトーク又は上条ハーレム会議

女の子同士の会話♪

2013-08-28 00:33:00 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:14272   閲覧ユーザー数:14147

とある ガールズトーク又は上条ハーレム会議

 

 

上条ハーレム会議参加予定者

 

第1位  一方通行

第2位  佐天涙子

第3位  御坂美琴

第4位  姫神秋沙

第5位  食蜂操祈

第6位  吹寄制理

第7位  月詠小萌

第8位  白井黒子

第⑨位  インデックス

第10位 鳴護ありさ

第11位 神裂火織

第12位 御坂妹

 

お茶汲み 五和

 

「それでは時間になったので、上条ハーレム定例会議を始めるのですよ」

 7月終盤の蒸し暑い土曜日の午後3時、学園都市第七学区某高校体育館アリーナ。その中央に円形状に並べられた12個の机を囲うようにして見目麗しい美女たちが座っている。

 その中でも最も小柄な少女、もとい美人教師である月詠小萌は定例会議の開始を高らかに告げた。

「全員参加が原則なのに今回もまた欠席者がいるようですね」

 司会進行役を務める上条ハーレム第7位の小萌は円卓を見回して3つの空席が生じていることを確認する。

「上条ハーレム第1位である一方通行ちゃんが会議に参加しないのはいつものことなのです。一匹狼気取って盗んだバイクで走り出したい年頃の困った坊やちゃんなのです」

 学園都市最強の異名を持つレベル5序列第1位の少年も小萌から見ればただの反抗期のツンデレ少年でしかない。

「一方通行ちゃんはもやしでアルビノなので、夏の直射日光を浴びると死んでしまうから欠席ということにしておくのです。まったくまったく困ったお子ちゃまなのです」

 小萌は大きくため息を吐きながら首を回していく。

 

「鳴護ちゃんも欠席のようですね」

 『第10位 鳴護ありさ』と書かれたネームプレートが置かれている机は空席になっている。

「ありさは歌の収録が急に入っちゃったから来られなくなったってわたしの所に連絡がきたんだよ」

 手を挙げて答えたのはありさの左隣の席で『第⑨位 インデックス』と書かれたネームプレートの前に座るシスター少女だった。

「芸能人は忙しいのですね」

「ありさは全世界規模の歌姫だもん。忙しいのは当然なんだよ」

 ありさの親友であるインデックスは我がことのように自慢しながら踏ん反り返った。

「同じ姫でも常盤台のエース、最強無敵の電撃姫さんは出席率100%だよね。予定ないの? 暇なの?」

 インデックスは対極線上にいる『第3位 御坂美琴』と書かれたプレートの前に座る少女に挑発的な視線を送る。

「⑨……アンタ、喧嘩売ってんの!?」

 美琴はムッとした表情を隠そうともせずにインデックスを睨む。

「お姉さまが暇人とは心外なご意見ですわ」

 美琴に呼応するようにして立ち上がったのはインデックスの右隣に位置する第8位の白井黒子だった。

「お姉さまは偶然を装って上条さんと出会い割とどうでもいい短い会話をこなすためだけに、1日中必死になって街を探索し続けているのですわ。暇人だなんてとんでもない」

 黒子は首をゆっくりと横に振りながらインデックスの意見を否定した。

「全然フォローになってないじゃないのよ!」

「フォローをしたのではなく真実を申し上げただけですわ」

 美琴に怒られても黒子は冷静なまま。いや、ほんの少し息が荒くなって頬が赤く染まっている。

「大体何でアンタが私の行動を知ってるのよ?」

「それはもちろん黒子がお姉さまを1日中ストーキングしているからに決まっていますわ」

 黒子の返答は堂々としていた。

「失せろ変態」

 その黒子に対する美琴の返答もまた単純明快なものだった。電撃姫は10万ボルトの電流をお見舞いした。

「我々の業界ではご褒美ですわぁ~~♪」

 黒子は満面の笑みを浮かべながら黒焦げになって机に突っ伏した。

 

「御坂さぁん。あんまり暴力的なことばっかりしていると男の子にモテないんダゾ♪」

 一際目立つブロンドの長髪をなびかせる少女がウインクしながら美琴に注意を促す。

「自分の意のままに記憶も行動も操るゲス女より不人気ってことはないと思うけど」

 美琴は『第5位 食蜂操祈』と書かれた自身と同じ常盤台の生徒に向かって厳しい嫌悪の視線を送る。

「でもでもぉ私ってばぁゲス可愛いって評判だからぁ~御坂さんに人気で負けるつもりはないんダゾ」

 操祈は美琴に向かって再びウインクしてみせた。

「ゲス可愛いなんてそんな変態趣味の連中に人気があるからって、アンタはそれでいいの?」

「おっ、おっ、お姉さまぁ~~♪ イッツ・快楽ですわぁ~~♪」

「…………御坂さんにだけは言われたくないわぁ」

 操祈は黒焦げになりながら快楽に悶えるツインテール少女を冷たい視線で見ながら美琴に小さな声で返した。

「まあまあまあ。同じ学校の美少女同士、しかもレベル5同士が喧嘩しちゃダメですよ♪」

 学園都市を代表する7人しかいないレベル5同士の仲裁に入ったのは長いストレートの黒髪が煌く少女だった。

「御坂さんも食蜂さんも私の大切なおもちゃ……じゃなくて、大切なお友達じゃないですか。みんな仲良しが一番です」

 上条ハーレム序列第2位の佐天涙子は明るく微笑んだ。

「佐天さん、今私たちのことを大切なおもちゃって言わなかった?」

「私たちみんなのおもちゃですよね。独占しようだなんて失礼しました」

「むしろ表現が悪化したのだけど?」

 爽やかに笑い続ける佐天に美琴はこれ以上何も言えなかった。

 

「義務教育中のお子ちゃまたちは些細な話題からでも盛り上がれて羨ましいのですよ」

 外見最年少で実年齢は最高齢の小萌は美琴たちを見ながら大きく息を吐き出した。

「それで、第11位の神裂ちゃんも欠席のようですが、一体どうしたのですか? 真面目な神裂ちゃんが無断欠席とは珍しいのです」

 小萌は鳴護ありさの隣の空席へと目を移す。

「誰か神裂ちゃんの欠席の理由を知らないですか?」

 小萌は首を回して少女たちの反応を窺う。反応を示したのは円卓からやや離れた位置にお盆を持ってひっそりと佇む少女だった。

 肩まで届くセミロングの髪型と二重まぶたが印象的な柔和な印象を与える少女は小さく手を挙げた。

「五和ちゃん。聞かせて欲しいのです」

 小萌が五和と呼んだ少女は困った表情を浮かべながら第11位不在の理由を告げた。

「女教皇様でしたら、エンデュミリオンの事件で生身で宇宙空間に飛び出してからいまだ地球に帰還されていません」

「えっ? まだ宇宙を彷徨っているのですか!?」

 小萌は顔を引き攣らせた。火織が宇宙遊泳する遠因となったインデックスもまた表情を強ばらせている。

「地球帰還用に推進剤を準備していなかったのですか?」

「女教皇様は宇宙空間でも生命活動を維持できる方ですので、帰還には特に気を使われなかったのだと思います」

 五和は頭を下げた。

「宇宙からの生身での帰還は究極生物カーズさまでもできなかったのです! どうして神裂ちゃんともあろう子が先人の失敗から学ばなかったのですかっ!」

「……女教皇様に肺から空気を吐き出せば地球に戻れますよと進言したのは私ですけどね」

 五和は嘆く小萌には聞こえない小さな声で呟いた。

「神裂ちゃんが地球に戻れなくなってその内に考えることを止めてしまわないか心配なのです」

「……これで第11位は空位ですね。クスッ」

 五和は顔を上げた。

「小萌先生……どうぞ」

 柔和な表情を浮かべながら荒ぶる小萌におしぼりを差し出す。

「五和ちゃんは気が利くのですね」

 小萌は差し出されたおしぼりを広げて顔を拭き始めた。その様子を見て他の少女たちがオヤジ臭さに引いているが小萌は気にしない。伊達に大半の参加者の倍以上生きてない。

「みなさんも……どうぞ」

 五和は1人1人に丹念におしぼりを配って回る。五和の親切な態度にささくれ立っていた美琴やインデックスの態度も軟化していく。

「冷たいお茶もありますから……どうぞ」

 おしぼりを配り終えた五和は今度は1人1人に冷茶を配って回る。

「せっかくの五和ちゃんのご好意なのです。お茶を頂いてから会議を始めるのですよ」

 全参加者が一斉に頷いて同意を示す。

 そうでなくても夏の体育館は暑い。可能な限り窓や扉を全て開放しているとはいえ気温は相当に高い。少女たちは水分を欲していた。

「どうぞ……召し上がれ」

 五和はとても癒される笑顔で会議参加者たちが冷茶を飲むさまを眺めていた。

 

「それではいよいよ今日の会議を始めるのですよ」

 冷茶を飲んで一息ついた参加者に小萌が本題の開始を告げる。

「では今日の議題を発表するのです」

 全員の緊張した面持ちが小萌へと向けられる。

「今日の議題。それは上条ちゃん攻略に当たり、各々誰が敵で誰が味方なのかはっきりさせようということなのです」

 小萌の提案に顔を引き攣らせる一同。ロリBBAの提案は微妙な恋の駆け引きを無視してぶっちゃけ過ぎていた。けれど、そんな空気を無視して小萌は話を進める。

「上条ちゃんのお嫁さんの座は1つ。全員が敵同士なのは当たり前のことです。私たちは殺戮しあう運命にあります。ですが……」

 小萌は瞳を細めて一同を見回した。

「上条ちゃんを巡って殺人機械とならざるを得ないみなさんも人間です。コイツだけにはどうしても負けたくない。反対にこの子なら涙を飲んで我慢する。そんな微妙な人間関係を先生に晒して欲しいのです。ゲッヘッヘッヘ」

 小萌はドロドロした人間関係を好む昼ドラ好き主婦の顔で愉悦を浮かべている。この世全ての悪の雰囲気を漂わせている。

「会議の議題は提唱者であり場所の提唱者でもある先生に一任されているのです。10代のみなさんのドロドロ!プリキュアを先生に見せて欲しいのです」

 小萌は瞳を爛々に輝かせている。

「クスッ。小萌先生ってばぁ相当に意地が悪いんですねぇ」

 操祈は顔では笑っている。けれどその身体は微かに震えている。操祈は怯えている。

 他の中学生少女たちも一様に小萌に対して身構えている。そんな中、最初に口を開いたのは今まで黙っていた第4位の肩書きを持つ長い黒髪の少女だった。

 

「先生にだけは負けられない」

 姫神秋沙は立ち上がりながら静かに、けれど堂々と己の想いを語った。

「ほぉ~。姫神ちゃんは先生をライバル視するのですか?」

 小萌の頬が愉悦に歪む。

「先生には恩がたくさんある。でも。それと恋愛とは別物」

 姫神の瞳が鋭くなる。

「悪のロリBBAに上条くんを委ねるわけにはいかない」

「担任教師に向かって悪のロリBBAとはなかなか面白い戯言を述べてくれるのです。先生は今日そういう話が聞きたくて仕方ないのですよ。くっくっく」

「本当に困った大人」

 姫神は小萌に向かって指を突き刺した。

「私は先生の屍を踏み越えて。上条くんと結ばれてみせる」

 姫神から小萌への宣戦布告だった。

「あっはっはっはなのです。姫神ちゃん、最高に輝いているのですよ」

 小萌は大声を張り上げて嗤う。

「先生の半分も生きてない小娘……跡形もなく踏み潰してやるのですよ」

 小萌は指で拳銃の形を作り撃つ真似をしてみせた。小萌の顔はキラキラと輝いている。

 

「そういうことなら、あたしは上条当麻と同じ教室で過ごす者として秋沙にも小萌先生にも負けられないな」

 続いて立ち上がったのはおっぱいの付いたイケメン女子校生。上条ハーレム序列第6位吹寄制理だった。

「吹寄ちゃんも先生の覇道を邪魔すると言うのですか?」

 自らに敵対を公言する者が現れたことで小萌は高揚している。

「上条当麻の平和な日常の象徴である学校。あたしはこの優しさに包まれた空間で彼を包み込みます。それはあたしの使命です」

 イケメンはキリッとしたいい表情を見せながら己の本分について述べた。

「なるほど。同じテリトリー内にいる先生と姫神ちゃんがライバル。先生の生徒は素敵な強敵(とも)に育ってくれているようですね。くっくっくなのです」

 小萌の瞳孔が開きっ放しになっていく。けれど、小萌のそんな愉悦を無視して吹寄は顔を俯かせた。

「ですがあたしは彼の帰るべき場所を守ることはできても……彼と並び立って戦うことはできません」

 吹寄は寂しそうな瞳で美琴を見た。

「もし上条当麻が共に戦ってくれる女性を望んでいるのなら……あたしは敵わないだろうな、きっと……」

 会議場内を重い空気が走る。

 美琴は目を固く瞑って一言も発さない。

「なかなか……心地いい息苦しさなのです。先生の望むドロドロ!プリキュアなのです」

美琴が何も発さない以上、小萌としても進行させ辛かった。

 そんな空気を打ち破ったのは小萌の隣に座るツインテール少女だった。

 

「わたくしは上条さんもお姉さまも両方手に入れたいですわ」

 白井黒子は堂々と自分の欲望を口にした。

「わたくしは中学に入学して早々にお姉さまにフォーリンラブしました。ですが最近は類人から素敵な殿方に昇格した上条さんにも恋をしてしまいました。ならば、黒子は二兎を追って二兎を得るしか生きる道はありません。必ず手に入れてみせます」

 黒子はごく澄まし顔で、本来の恋愛であればあり得ないはずの結果を望んでいることを吐露する。

「それは同性愛であり、二股なのですよ」

 小萌が目を光らせながら黒子を試す。

「そんな世間の評価が何だと言うのですか? 黒子の愛の何の障害になると?」

 黒子は眉一つ動かさない。

「さすがは白井ちゃん。変態恋愛歴が長いだけあって鋼の精神の持ち主なのです。先生はそういう標準から外れた恋愛が大好きなのですよ」

「褒めても上条さんは譲りませんわよ」

「12、3のお子ちゃまに男を譲られるほどぬるい人生は送ってないのです」

 小萌は黒子を見ながら笑った。

「それでは白井ちゃんにとって御坂ちゃんは敵ではなく……」

「ええ。お姉さまは黒子にとっては攻略対象に他なりませんわ」

 黒子は力強く頷いてみせる。貫禄の最年少少女だった。

 

「私はそこのツインテ少女とは違います。私にとってお姉さまは倒すべき、克服すべき敵です。と、ミサカはお姉さまに向かって宣戦布告をここに宣言します」

 上条ハーレム会議出席者の中で最後に口を開いたのは美琴そっくりな顔にゴーグルを掛けた少女だった。

「私が序列第12位の最下位に甘んじているのも1+2で序列第3位のお姉さまを意識してのことです。と、ミサカは己の内の黒い炎を吹き上がらせます」

 御坂妹は鋭い瞳で美琴を睨む。美琴は吹寄に話を振られた時以来、目を固く瞑ったまま目立った反応を見せない。

「1人の男を巡って姉妹同士での怒露怒露。ご飯が美味しくなる最高の調味料なのですね」

 小萌はそんな姉妹の葛藤を目の当たりにしながら愉悦に頬を緩ませている。

「例え私がお姉さまの出来損ないに過ぎない存在でも……上条さんは譲れません。私の方があの少年を先に好きになったのですから」

 美琴の体が一瞬震えた。

「スペック差を理解してもなお強者に挑む。そういう根性、先生は大好きですよ。見せ場をいっぱい作って最後には玉砕。ゾクゾクしますねえ♪」

 悪の女帝としての本性を全開にしている小萌は両肩を自分で抱いて快感に打ち震えている。御坂妹は美琴を鋭く睨み続けている。姉妹の交錯は止まらない。

 

「私はぁ~上条さんも大事だけどぉ、みんなでワイワイしている今この瞬間が好きだったりするんだぞぉ」

 一方で、御坂妹の決意とは反対の方向性を打ち出したのが操祈だった。

「御坂さんにも他の誰にも負けるつもりはないけれどぉ、こうしてみんなで集まっているこの瞬間もぉ無駄じゃないっていうかぁ」

 操祈はちょっとだけ照れ臭そうに頬を染めながらこの会議の意義を解いている。

「つまり、常盤台では女王さまに持ち上げられてはいるものの本当はぼっちで寂しい食蜂ちゃんは、全員が対等なライバル関係でいられる上条ハーレムに自分の居場所をみつけたというわけですね」

 小萌がドヤ顔して操祈の心情を解説して述べた。

「そういうこと……正直に言っちゃ駄目なんだぞ」

 操祈は小萌に向かってリモコンを構えてボタンを押す。

 しかし──

「愛と希望と大きなお友達の欲望を一身に背負った魔法少女小萌にそんなチャチな技が通じると思っているのですか?」

 一瞬にして白とピンクのフリフリドレスの魔法少女に変身した小萌は操祈の精神干渉を防いでいた。

「所詮レベル5など青銅聖闘士、良くて精々が白銀聖闘士。今風に言えば3級パラサイト。魔法少女となった先生を倒したいのならレベル6を3人は連れてきなさいなのです」

 小萌は操祈に格の違いを叩きつける。

「最近強さのインフレに押し流されてぇ私が弱体化しているのは十分承知しているしぃ。最凶無敵の女王さまやってるのも飽きたからぁ上条さんに守ってもらえるか弱いお姫様に私はなりたいんダゾ」

 操祈もまたタダでは転ばなかった。女王の異名は伊達ではない。

「ここは超の付くヤバい人たちの集まりだからぁ、逆に肩肘を張らなくて済むから肩の力が抜けて楽しくていいんダゾ♪」

 操祈は笑いながら肩を回してその超中学生級の膨らみを見せる胸を揺らした。

 

「この会議自体を楽しみにしているという点なら私も食蜂さんと同じですね♪」 

 操祈の意見に同意したのは、出席者の中で本日最高位の2位に付ける佐天涙子だった。

「みんなで遊ぶのは楽しいじゃないですか♪」

「さすがはクイーン・オブ・リア充。姫神ちゃんや食蜂ちゃんや御坂ちゃんには決して言えないリア充理論なセリフを堂々と言ってのけやがるのです」

 小萌は佐天を睨み付ける。

「先生はそんなリア王な佐天ちゃんがどんな心の闇を持っているのか知りたくてウズウズしているのです」

「別に私は心の闇を隠したりなんてしていませんよ」

 佐天はゆっくりと首を横に振った。

「私はみなさんと仲良くしたいです。その中でも御坂さんと食蜂さんとは特に仲良くしたいですね♪ 2人はレベル5ですから♪」

 佐天のスマイルに美琴と操祈の体がまた一瞬震えた。

「佐天ちゃん。そのリア充スマイルは兎を狩ろうとする獅子の瞳で浮かべるものではないのですよ」

「私はレベルに対するコンプレックスが強いからいいんですよ♪」

 佐天は笑みを重ねた。

「私は上条さんが誰とお付き合いしてもいいと思っているんですよ。私と結婚するその時まではね」

 リア充が本気になった真リア・オーラが佐天より放たれる。非社会的な存在が大半であるこの会議場では何よりも重く辛いオーラとなる。

「子供ができたら全員手を引いてもらう予定ではありますけど。上条さん次第では……すぐに全員とサヨナラしてもらうっていう展開になっちゃうかも知れませんね♪」

 佐天は笑顔の中にブリザードを含ませながら全方位攻撃を放った。

「全員と仲良くする用意があり、一方で必要とあらば全員を容赦なく斬り捨てる。リア王はその辺の切り替えがパネェのです」

「そんな風に褒められると照れちゃいますよぉ♪」

「褒めてねえのです」

 小萌は参加者の中で最も非力な力しか持たないはずの佐天にプレッシャーを受けている。

「何でこんな無能力者の小娘が第2位なのか……少しだけ分かった気がするのです」

 小萌は佐天に対して考えを改めた。

 

「私は……佐天さんにも、食蜂にも、妹にも、黒子にも、他のみんなにも、誰にも負けたくない」

 厳かに口を開いたのは美琴。

「私は当麻のただ1人の女の子になりたい。だから、誰にも負けられない」

 美琴の話は簡潔だった。けれど、その分熱い想いを感じ取れる力強い言葉だった。

「上条ちゃんを見るとまともに話もできなくなるツンデレちゃんの言葉とは思えないのです」

 小萌が意地悪く呟く。

「なぁっ!?」

 美琴の顔が一瞬にして真っ赤に染まり上がる。少女のシリアスも弱点を突かれては長続きできない。

「確かにそうですよねぇ。私や食蜂さんが割り込む余地があるのも、御坂さんがいつまでも上条さんとの仲を進展させないからですもんねぇ」

「上条さんと初めて会った時にぃ2人が既に恋人同士だったら割り込む余地はなかったんダゾ」

「ヘタレなのがお姉さまのいい所ですから。と、ミサカは抜け駆けして買ってもらったペンダントを見せつけながらお姉さまに対する優位性を確認します」

「上条さんに素直なお姉さまなんてそれはもうお姉さまではなく、別の何かですわ」

 隙を見せた美琴に対して集中砲火が放たれる。

「アンタたちぃ~~ッ!!」

 美琴の全身から青白い電撃の光が立ち上る。

「ツンデレちゃんは薄い本ナンバーワンなだけあって、ここにいるみんなからライバル視されているようですね。バトルロイヤルな世界に生きてください」

 最も敵が多い少女を見ながら小萌は小さくため息を吐いた。

 

「どうしてみんな、とうまの正妻であるこのわたしを無視して勝手に話を進めるかなあ?」

 インデックスが首を傾げながら立ち上がる。

「とうまの正妻は、長年同棲を続けている最も淫靡な関係にあるわたしなんだよ」

 ふんぞり返るインデックス。全身が彼女の余裕を物語っている。しかし──

「アンタ、当麻と長い間一緒に暮らしておきながら全く手を出されてないって……女として見られてないってことでしょ? ⑨はそんなことも分からない馬鹿なの?」

「インデックスさんは健康的だからこそ上条さんと一緒に暮らしていけるんですよねぇ。佐天さん的にはちょっと羨ましくありますよ。私だったら、同棲1日目で……ポッ」

「インデックスちゃんはぁ私も寮でペットとして飼いたいんダゾ♪」

「黒子のようなお色気ランジェリー装備ならともかく、そのペッタンコで同棲を語られても困りますわ」

「上条くんがロリコンでないことを知って安心する日々」

 散々な言われようがインデックスに襲い掛かる。

「何さっ! とうまと一緒に暮らしたこともない有象無象に何て言われてもわたしの絶対的優位は変わらないんだからね!」

「「「うっ!?」」

 インデックスの反撃に今度は美琴たちが黙らせられる。上条当麻との同居という彼女たちにとってのゴールの一角に辿り着いているのはインデックスしかいない。内縁の妻状態にいるインデックスが羨ましくない筈はなかった。

「上条ちゃんとのラブラブ生活を満喫するためにはシスターちゃんという具体的な障壁をどうにかしないといけないというわけなのです」

「わたしはみんなより一段高い存在だということを忘れてもらっちゃ困るんだよ」

 インデックスはドヤ顔で小萌に返してみせた。

「負けた場合には追い出される運命にある前妻ちゃんのご高説なのでした」

 小萌は笑顔で話を締めくくった。

 

「では、最後にこの会議の開催のために尽力をつくしてくれている五和ちゃんに話を聞いてみるのです」

 小萌は後ろに控えている五和へと話を振ってみる。

「上条ハーレム会議の正式メンバーでもない私が発言なんてとんでもないです」

 五和は首をブンブンと勢い良く横に振る。

「遠慮することはないのですよ。五和ちゃんも上条ハーレム入りする資格は十分にあるのです」

 小萌は謙遜する五和の態度を気に入って積極的に話させようと勧める。熟女特有の押しの強さに五和も口を開くしかなくなる。

「でしたら……私は天草式の信徒ですから女教皇様の恋を応援します。女教皇様の一途な恋が実るようお祈りさせていただきます」

「今時の若者にしては本当に謙虚で優しくて出来すぎな娘さんなのです。先生は五和ちゃんの幸せを祈ってしまうのですよ♪」

 上機嫌の小萌。そんなおばさん女教師に対して五和はおしぼりと冷茶をそっと差し出す。

「どうぞ」

 五和は笑みを浮かべながら他の参加者たちにもおしぼりと冷茶を差し出していく。

「第1セッションも終わったのでみんな休憩にするのですよ♪」

 小萌の号令で会議は休憩を迎える。

 緊張を解きほぐす参加者一同。

「……女教皇様が戻られなかったり逝去した場合には私がいただきますけどね。クスッ」

 五和の小さな呟きが他の参加者の耳に入ることはなかった。

 

「ハァ~。繋がんねえか」

 上条当麻は大きく息を吐き出して首を落としながら携帯電話を閉じた。

「せっかくの夏休みだってのに上条さんは独り寂しく街の中を徘徊中ですよ」

 当麻は第七学区の自宅近所の公園内を肩を落として歩いている。

ようやく訪れた平和な日常。当麻はそれを満喫しようと思った。けれど、一緒に満喫してくれる相手がみつからない。

「彼女の1人もいないなんて上条さんは寂しい青春を送っていますよ」

 モテない我が身を嘆くハーレム王。

 そんな当麻は公園内を当て所もなく彷徨っている内に1人の見知った少年がベンチに座って砂場を眺めているのを発見した。

「よおっ」

 当麻は白髪で肌の色も真っ白な少年の隣に座りながら声を掛ける。

「………………なンだ。幼女じャなくて三下ハーレム王か。チッ」

 やる気のない瞳が当麻へと返ってきた。

「何でお前は夏真っ盛りの昼間からそんな死んだ魚の目で砂場を見つめてるんだよ?」

 当麻は一方通行の行動を変に思って声を掛ける。

「俺は今、心の底から悩んでるンだよ。万年補習の馬鹿なテメェには分からねェ深遠な悩みだ」

 一方通行は当麻を馬鹿にしながら切り捨てに掛かる。

「確かに上条さんは馬鹿ですけどね。これでも数多くの人々の相談に乗ってきたみのさんクラスの相談請負人ですよ」

「テメェは今までぶん殴る以外の解決法を示したことがあったか?」

「それはともかく、上条さんに悩みを話してみろよ。友達もいないお前じゃ、俺以外に話を聞いてくれる奴もいないだろう」

「テメェ……レベル5に言っちゃいけない一言を……」

 一方通行は空を見上げた。

 

「いいかァ、一番大事なことを先に述べておくぞ」

 一方通行は空を見上げたまま小声で自身のポリシーを述べた。

「小学生はなァ……最高なンだよッ! 中学生はなァBBAなンだよッ!!」

「ハッ?」

 当麻には一方通行が何を言っているのか分からない。けれど一方通行はそのまま話を進める。

「だがなァ、それはJSが中学生以上のBBAと区別される高尚な存在だと明らかにしただけに過ぎねェ。問題はどの小学生が最高かという内部闘争だ。小学生の頂点だァッ!」

「頼むから理解できるように説明してくれ」

 当麻の願いは届かない。

「個性豊かな小学生が10人ともなレば、誰が最高か迷うのは人間として当然のことだろッ?」

「小学生が10人って一体何の話なんだ?」

「小学生が10人って言ったらロウきゅーぶ!SSの話に決まってるンだろうがァッ!! テメェ、本当に馬鹿かァッ!?」

 一方通行が大声を張り上げる。

「クソガキに匹敵する愛らしさを持ったガキが10人も出てくるアニメだァッ! テメェ、まさか6年生の智花、真帆、紗季、ひなた、愛莉。5年生のミミ、椿、柊、かげつ、雅美を知らねェってンじゃねえだろうなァッ!?」

「…………そのアニメなら青髪ピアスから毎週データを送りつけられて見てるよ」

 当麻は一方通行から目を逸らしながら答えた。

「じゃあ、話は早ェッ。三下ァ、テメェはロウきゅーぶ!SSキャラクターの中で誰が一体好きなンだァッ!? 王道で智花かァ? クソガキに似た性格の真帆かァ? それとも洋ロリのミミかァ!? どのガキも魅力的過ぎて一番を決めるのが辛ェ。悩み過ぎて死にたくなる」

 両手で頭を押さえながら一方通行は悩んでいる。

「お前はそんなことで心の底から悩んでるのかよ?」

「早く答ェやがれェッ!」

「ヤレヤレ」

 当麻はため息を吐いた後に自分の考えを伝えた。

「俺が好きな子は……主人公長谷川昴の幼馴染の荻山葵だ」

「なァッ!?!?」

 一方通行が顔を引き攣らせ声を詰まらせた。そんなもやし少年の変化を無視して当麻は語り続ける。

「上条さんは思うんだ。葵ちゃんみたいにお色気タップリで一途な幼馴染で趣味の合う可愛い女の子が側にいてくれたら俺の人生にはどんなに潤いがもたらされるだろうかと」

 自称モテない男子高校生当麻は遠い目をして空へと語り掛けた。

「テッ、テメェッ! 小学生のガキが10人もいるってのに、よりによって幼馴染の高校生BBAを選ぶってのかッ!? テメェは熟女専門かァッ!?」

 一方通行が吼える。

「けど、智花たちはいくら可愛くても小学生だし、グッとくるのは高校生で胸の大きな葵ちゃんだけだろ、普通に考えて嫁に欲しいよな、葵ちゃん」

「木ィ原ァくん並に頭がイカれてやがるぜ、コイツはよォ……」

 学園都市第1位は変態を見る瞳で当麻を見ている。

 

「チッ! BBA好みの馬鹿三下相手にいきなり幼女10択は難しすぎたか。仕方ねェ」

 一方通行は気を取り直して再び問い直した。

「それじゃあプリズマ☆イリヤに出てくる2人の小学生魔法少女イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと美遊・エーデルフェルトのどっちが最高だ? アアッ!?」

「どっちって言われてもなぁ……」

 当麻の額に皺が寄る。

「過去を遡ればプリティー・サミーと美紗緒、なのはとフェイト、そして現在のイリヤと美遊。2人の小学生魔法少女のどっちがいいかなんてェ問いは究極の選択に他ならねェ。だがなァ、三下のような低脳でも、2人の内のどっちがいいかなら判断できるだろうよ」

「俺がプリズム☆イリヤで好きなのはセラさんだ。家庭的なお姉さんキャラは男の永遠の憧れだよな。あんな美人でしっかり者のお姉さんと将来結婚したいもんだぜ」

 当麻は照れ臭そうに笑ってみせた。

「極上のガキが2人もいるってのに、テメェは敢えて教育係のBBAを推すってのか? 頭が完全に逝かれてやがるゼ……」

 一方通行の当麻を見る視線は完全に変態を見るものだった。

「三下がこンなにも常識が通じねえ熟専だったとはな」

「俺は優しいお姉さん風の女の子が好きなだけだよ。変な言い方するな」

 

「なら、テメェがまともに人間をやっていンのかを問う最後の質問ダ。人間でないと判断したら駆逐すっからなァ」

「何で俺の人間性がそこまで疑われてんだよ? 俺は善良な一般市民として真っ当な回答をしていただけだろうが」

 当麻は首を捻るが一方通行は止まらない。一方通行ゆえに仕方ない。

 そして小学生ヒロインが登場する深夜アニメについてスラスラ答えられる当麻が善良な一般市民であるのかは疑わしい。

「うちのクソチビと超電磁砲オリジナルと妹を名乗る出来損ないのクローンとクソ生意気な番外個体。テメェが一番魅力的だと思うのは誰だァ? これなら答えるのは簡単だろォ」

「ラストオーダーと御坂と御坂妹と番外個体で誰が一番魅力的かって?」

 当麻の脳裏に4人の姿が次々と浮かび上がっていく。

 顔は全員そっくりだが、容姿と性格が異なる4人。

「どの御坂にも長所がたくさんあって、どの御坂も可愛い。だから1人だけ選ぶなんて俺にはできないさ」

 当麻は素直な感想を述べた。

 その直後だった。

「テメェは俺のラストオーダーの唯一無に可愛さを認めねェってのかァアアアアァッ!?」

 当麻が左頬に激しい痛みを覚えると共に視界が回転したのは。

 

「ぐわぁああああああああああぁっ!?」

 当麻が一方通行に殴られたのだと気付いたのは空中に投げ出されてからのことだった。

 頬に激痛を感じながら地面に強く叩き付けられる。

「痛てぇじゃねえかッ!」

 長年の戦いの経験が当麻に気絶を許さない。無意識に立ち上がり一方通行に対して迎撃の構えを取っている。

 その一方通行は──

「なんで背中から羽生やしてんだよっ!? そんな怒る部分がどこにあったんだよ!?」

 背中から漆黒の翼を生やして怒りに満ちた瞳で当麻を睨んでいる。

「テメェは俺のクソチビを否定したァッ! 絶対ェ許せねェッ!!」

 黒い翼をはためかせ一方通行が当麻を襲ってきた。

「俺はラストオーダーを否定なんかしてないだろうがぁっ!」

 当麻は回れ右をして全力で逃げ始める。今の怒り狂った一方通行相手に勝てるとは微塵も思わなかった。

「テメェは俺のラストオーダーをBBAと同列に語ったじゃねえかッ!」

「みんな可愛いって言ったことの何がいけないってんだよ!?」

「BBAと一緒にされたんじゃ、女盛りの小学生幼女のあのガキがァ可哀想だろうがっ! テメェの逝かれきった頭を砕いて豆腐でも詰めてやるぜェッ!!」

「逝かれてんのはJSにしか反応しないお前の方だってのッ!!」

 当麻は反応を述べながら必死になって逃げる。 

 2人の鬼ごっこはこの後1時間以上に渡って続けられることになった。

 

 

「それじゃあ休憩も程よく取れた所で第2セッションを始めるのです」

 2杯目の冷茶を飲み終えて一休みした所で小萌は会議の再開を宣言した。

「次のお題は上条ちゃんとどんなデートをしたいのかなのです。乙女らしく理想のデートを語ってくださいなのです」

 小萌はパッと顔を花咲かせた。

「ちなみに先生は、上条ちゃんに首輪を付けて自室に飼ってゲッヘッへな淫靡な日々を過ごしたいのです♪」

「「「サイテー」」」

 女学生たちから一斉に非難の声が上がる。

「大人の恋も分からないお子ちゃまたちには先生の理想はまだ早すぎるだけなのです。フンッ」

 小萌は頬を膨らませて美琴たちの非難を突っぱねた。

 

「まったく小萌は聖職者と呼ばれる職業のくせにエロいことばっかり考えてサイテーなんだよ」

 小萌に対して白い目を向けながら言葉を吐き捨てたのは白い修道服姿のインデックスだった。

「それではシスターちゃんはどんなデートをしたいのですか?」

 ムッとしながら小萌が尋ねる。少女シスターはない胸を反らして偉そうに答えた。

「とうまがご飯を作ってわたしがそれを食べる。それを永遠に繰り返す。それこそがわたしの考えるデートの究極系なんだよっ!」

 会議場が沈黙が支配する。

 あまりにも色気のない意見に小萌でさえ何も言えなくなってしまった。

 そんな重苦しい雰囲気を破ったのはツインテール少女だった。

 

「小萌先生もインデックスさんも聖職者の身でありながら自身の欲望に忠実すぎて情けないですわ」

 黒子は大きなため息を吐く。

「じゃあ、ツインテールはどんなデートを望むって言うんだよ?」

「わたくしはジャッジメントの1人。いわば公に奉仕する者。ゆえに、自分1人だけが満足を得るようなデートなど望みません」

 インデックスの苛立ち混じりの質問に対して首を横に振る。

「わたくしが理想とするデート。それは即ち、わたくしもお姉さまも上条さんも3人が一緒に気持ち良くなれること!」

 黒子は両手を大きく横に広げ

「即ち3ピ……」

 最後まで述べる前に美琴の放った電撃に声もなく沈んだ。

 

「敵であるお姉さまと一緒などと私には理解できません。と、ミサカはこれを機に己の野望を打ち明けることにします」

 沈んだ黒子に代わって立ち上がったのは御坂妹だった。

「世の中に疎い私たち妹達は文献調査を徹底的に行い年頃の男女のデートとはどんなものか研究し尽くしました。その結果1つの結論に至ったのです」

 御坂妹は鼻から息を吐き出して笑みを浮かべた。

「私が得た結論。それは……まずは既成事実からということです。言い換えれば一番最初にまず子作……」

 御坂妹は最後まで述べる前に美琴の放った電撃に声もなく沈んだ。

 

「御坂さんってばぁお友達や妹を電撃で黒焦げにするなんてぇ野蛮なんダゾ♪」

 続いて立ち上がったのは操祈。

「だってこの子たちが中学生らしくないハレンチなことを口走ろうとしたんだから仕方ないじゃないの!」

 美琴は真っ赤になって反論する。

「う~ん。多分みんなこう思っているにちがいないんダゾ。御坂さんがぁエロエロ力で一番なはずなのに純情気取ってチャンチャラおかしいって」

「誰が一番エロエロなのよ!」

 美琴の頭上で電気がスパークする。

「そういうアンタこそ、どんなデートを望んでいるのよ?」

 操祈は頬に指を当ててポーズを取りながら考え込む。

「う~ん。私は上条さんと一緒にいられればぁそれで幸せ力を満喫できるからぁ~特に何もしなくてもいいかもぉ。あっ、でもでもぉ」

 操祈は自身の豊満な胸を両手で掴んで見せ付けるように持ち上げてみせた。

「上条さんがぁ~この胸に興味を示したらぁ、私は彼のなすがままになっちゃうかも。上条さんたらぁ中学生少女相手にもエッチで困るん……ぞ……」

 操祈は喋っている途中で美琴の電撃を食らった。精神操作能力は学園都市最強でも電撃に対する防御手段を彼女は持っていなかった。

「ふふふ……これで私も白井さんや御坂妹さんと同じ……なんだぞ……」

 操祈はとてもいい表情を見せながら沈んだ。

 

「まったく、キジも鳴かずば撃たれまいっていうのに食蜂さんも仕方ない人ですねえ」

 佐天がニヤニヤしながら電撃に倒れた3人を順番に見回す。

「それで、3人を攻撃して気絶させるからには御坂さんには素敵なデートプランがあるってことですよね♪」

 満開の笑みを浮かべながら隣に座る美琴を見つめる。

「えっ?」

「3人の汚れを知らない乙女を黒焦げアフロにして沈黙させるに値する御坂さんの素敵デート計画を是非ご教授ください」

「ええぇ~~っ!?」

 美琴は佐天のお願いに面食らった。

「さすがリア王。普通のお願いの形式を採りながらその実とんでもねえドSなのです」

 小萌の額から汗が流れる。

「で、でで、デート計画なんて人に話すもんじゃないわよ」

「でもそれがこの会議の今の話題ですし」

「けど、そんな込み入ったプライバシーを話す義理はないわ」

 美琴は酷く焦っている。全身真っ赤になってしどろもどろな返答を繰り返している。

「遊園地に行って夕日が差し込む観覧車の中でキッスですか? 暗がりの映画館の中で手を握り合ってキッスですか? それとも海の見える丘の上で永遠の愛を誓いながらのキッスですか?」

「なっ、なななっ!? 何でそれをっ!?」

 美琴が大きく状態を反らしながら驚いてみせる。

「いや、漫画のベタなデートシーンを抜粋してみただけなんですが……」

 発言した佐天の方が呆れた表情で美琴を見ている。

「とっ、とにかくっ! 私は当麻のお嫁さんになるんだからぁっ! デートだってお嫁さんになるための通過点なんだからぁっ!」

 美琴は我を忘れて大声で叫ぶ。

「お嫁さんって言ったらあれなんだからっ! 将来は当麻の子どもを生む仕事があるんだからっ! 当麻のお嫁さんになって赤ちゃんを産むためには……赤ちゃんを作る方法は……私と当麻が……」

 美琴の顔から湯気が噴き出した。

「佐天さん……」

「えっと、何でしょうか?」

 佐天の額から汗が流れ落ちている。真っ赤に染まった美琴が佐天の肩に手を乗せる。

「先に謝っておくわ。…………ごめんなさい」

「何故に謝るのですか?」

 佐天の額の汗の量が増える。

「佐天さんを巻き込んじゃうことになってしまって。でも、私が気絶するためにはこれしか方法がないの」

「何故に気絶……を……」

 佐天には真相を確かめる機会が与えられなかった。美琴の電撃を受けて気絶した佐天の体は急速に傾いていく。

「私がエッチなことを考えちゃったのも……当麻がハッキリさせてくれないからなんだからね。バカぁああああああああ……ぁッ」

 ここにいない少年への不満を叫んでいる最中に佐天の頭が美琴の頭に激突。美琴は沈黙して机に突っ伏した。

 

「5人のJC全員が沈黙するとは……理想のデートとは我ながら恐ろしい議題を提案してしまったのです」

 屍累々の会議場を見渡しながら小萌が額の汗を拭う。

「後、義務教育っぽい年齢の子はシスターちゃんだけですね。五和ちゃん、ちょっと頼みがあるのです」

「何でしょう?」

 五和が小萌の元へと近付いてくる。

「シスターちゃんをちょっと家庭科室まで連れて行っておむすびでもご馳走して欲しいのです」

「分かりました」

 五和は恭しく一礼すると、インデックスの元へと近付いていく。

「よろしければ私手製のおむすびをいかがですか?」

「わたしは最高のおむすびを欲している。五和にそれが提供できるのかな?」

「誠心誠意努力します」

 五和は再び深々と頭を下げた。

「それじゃあ早速家庭科室に向かうんだよ」

「はい…………………最後の晩餐ですね♪」

 インデックスは五和を伴って体育館を出て行った。

 

「さて、これで義務教育のお子ちゃまはご退場となったのです」

 小萌が手をパンッと叩いて場を仕切り直す。

「先生は。本当に人が悪い」

「まっ、教育者として間違った判断とは言えないがな」

 姫神と吹寄が瞳を細めた。

「それではこれから第3セッション。上条ちゃんとの理想のデート。大人のデートおうち編を始めたいと思うのです」

 2人の女子高生は小さな拍手をもってこの題材を歓迎した。

「それじゃあ姫神ちゃんから、どんと話して欲しいのです♪ アダルトな女同士の無礼講なのです」

「それじゃあ私は──」

 これ以降の記録は議事録に残っていない。

 3人の話は中学生5人が目を覚ますまで続いたという。

 

 続く

 

 

 

 次回予告

 

 会議は踊る。殺戮の狂想曲を奏でながら

 

「ならば、暴力なのです」

 

「ライバルが全員冷たい躯を曝せば自動的に上条ちゃんは手中に納まるのです。各自、暴虐の限りを尽くして上条ちゃんの愛を手に入れるのです」

 

 

 おしぼり少女は1人穏やかに微笑む。

 

「おかわりもありますよ。どうぞ………………天草式特製の全身麻痺薬入りですが」

 

 

 英雄同士の避けては通れぬ信念を賭けた戦い

 

「俺はなぁ……っ! 年上の家庭的なお姉さんタイプが好みなんだよッ!」

「小学生が最高だという当然の理さえも受け入れられねェのか貴様はァッ!!」

 

 

 英雄同士の戦いに割って入るか弱き健気な少女たち

 

「枝先さん1人でレベル5第1位の一方通行さんを撃破してください♪ または支配下に置いてください♪ そうすれば枝先さんもレベル6に昇級ですよ♪」

「えぇええええええええぇっ!?!?」

 

 

 熾烈を極めるサバイバルレース

 

「地球に帰還できず宇宙空間を漂っていた所、偶然に究極生物カーズを名乗る男とぶつかって軌道が変わってな。こうして地球に帰還できたというわけだ」

 

「おしぼり使いが自分の差し出すおしぼりより弱いと思ったら大間違いですよ」

 

 

 最後に笑うのは誰か?

 

 次回 上条ハーレム会議完結編 サヨナラノツバサ

 

 

 


 
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