No.613243

英雄伝説~光と闇の軌跡~  外伝~演奏家の捜索~前篇

soranoさん

外伝~演奏家の捜索~前篇

2013-08-28 00:11:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:813   閲覧ユーザー数:779

~クロスベル駅~

 

「…………………………」

サングラスをかけた黒服の大男は黙ってロイド達を見つめ

(おいロイド……なんだかすげえ雰囲気のヤツがいるみてえだが……)

大男を見たランディはロイドに耳打ちし

「フッ…………」

ヴァイスは静かな笑みを浮かべて何も語らず

「(もしかして、今回の依頼者って………)あの、すみません。特務支援課の者ですが…………」

耳打ちされたロイドは考え込んだ後大男に話しかけ

「……お待ちしていた。来てくれて感謝する。自分の名はミュラー……エレボニアで音楽マネージャーをしている者だ。短い間だがどうかお見知りおき願おう。」

話しかけられた大男―――ミュラーは口元に笑みを浮かべて名乗った。

「お、音楽マネージャー…………ですが。(全然そうは見えないけど……)」

ミュラーの自己紹介を聞いたロイドは疲れた表情で頷き

(どう見てもマネージャーには見えないよな?スーツで隠しているけど身体つきがいいし、あれは絶対何か武術をやっているよ………)

(どちらかというとSPって感じの雰囲気ですよね……)

(それに前にも似たような肩書きを聞いた事があるような……)

リィンとノエル、エリィは小声で相談し

(フッ……音楽マネージャーか。)

ヴァイスは口元に笑みを浮かべて呟き

(ヴァイス?)

(うふっ♪どうやら事情を知っていそうね♪それをあえて言わないって事は……ロイド達で遊ぶ気のようね♪)

ヴァイスの様子を見たアルは首を傾げ、エルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべた。

「……どうかしたのかね?」

ロイド達の様子を見たミュラーは不思議そうな表情で尋ね、ミュラーに尋ねられたロイドは仲間達と共に焦りながら話を続けた。

「い、いえ……え、えっと……それでは依頼について詳しく説明をいただけますか?」

「確か『演奏家』が行方不明になったとかいう話だったね。察するに、あなたがマネジメントしている人なのかな?」

「ああ、その通り。自分達は、演奏旅行のためクロスベル入りしたのだが……少し目を離した隙に、その演奏家とはぐれてしまってな。勝手のわからない街で探すアテもなく、困っていたところだったんだ。」

ワジに尋ねられたミュラーは答え

「それは、確かに大変そうですね……クロスベル市は広いですし。」

ミュラーの答えにエリィは頷いた。

「ああ、それもあるが……厄介な問題もある。早速捜索を頼めるだろうか?」

「了解しました、お任せ下さい。それでは、捜索する『演奏家』について詳しくお聞かせ願えますか?」

ミュラーの確認に頷いたロイドはミュラーに言った。

 

「うむ、よかろう。演奏家の名は……『オリビエ・レンハイム』。20代の金髪の男で、白いコートを羽織り、リュートを携えている。」

「ふむ、楽器を持ってるとなるとなかなか目立ちそうだね。探すのはそこまで難しくなさそうな気がするけど。」

「そうだよな。特にリュートなんて大きな楽器、持ち歩いていたら絶対に目立つしな。」

ミュラーの話を聞いたワジとリィンは言い

「ああ、それだけなら探して連れ帰るのにはさほど問題はないのだが……オリビエは、少々性格に問題があってな。頼んでもいないのに自ら面倒事に首を突っ込み、更なる面倒事にしてしまう。正直言って、厄介な人物と言ってしまっていいだろう。」

「は、はあ……」

「おいおい。今日は厄介な捜索人物の依頼ばっかだよなあ……」

「アハハ……確かに。」

ミュラーの話を聞いたエリィは戸惑い、ランディは疲れた表情で溜息を吐き、ランディの言葉にノエルは苦笑していた。

「演奏旅行に支障がないよう、速やかに探し出して欲しいが……まあ、そこまで高望みはすまい。せめて、悪目立ちする前にふん捕まえてくれると助かるが。」

「マ、マネージャーにしちゃ随分な物言いッスね。」

「と、とりあえずイメージはある程度つかめました。あとは、行きそうな場所に心当たりはないですか?」

「そうだな、強いていうなら……いかがわしい場所、あるいは賑やかな場所を好む傾向があるだろう。美食家ぶって、どこぞの食事処に居座っている可能性もあるが……」

「とにかくトラブルの火種がありそうな場所ってことですね。

「だとすると、旧市街や歓楽街、裏通り……そのあたりが考えられそうだね。」

ミュラーの説明を聞いたノエルとワジは呟いた。

「ああ、いい線だと言えるが……実は、歓楽街はすでに一通り探し終えていてな。探索範囲から外して構わないはずだ。おそらく俺が探しに来ると踏んでいかにもな場所は避けているのだろう。」

「な、なるほど……でも、賑やかな場所といったら今日は港湾区も入るかもしれませんね。確か、公演でみっしぃの出張イベントをやっているはずですし。」

「ふむ……まあ絞り込めそうなのはそんなところだろうか。すまない、もう少し大した情報を提供できればよかったのだが……」

「いえ、参考になりました。それでは、早速捜査に当たらせていただきます。」

「どうかよろしく頼む。連れてくるのに苦労するなら多少、痛い目にあわせても構わないからな。」

「りょ、了解しました……(ほんと、どんな関係なんだ?)」

そしてミュラーの助言を聞いたロイドは仲間達と共に冷や汗をかいて頷き

(な、なんだかさっきの光景―――エリゼさんとリフィア殿下のやり取りを思い出すわね……)

(た、確かに……)

(フフ、あんな変わった主従コンビはあの2人ぐらいだと思っていたけど、世の中似たような存在はいるもんだね。)

(ハハ……)

エリィとノエルは苦笑しながら小声で会話し、ワジは静かな笑みを浮かべ、リィンは苦笑していた。その後ロイド達は演奏家の捜索を開始した………………

 


 
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