まえがき こめんとありがとうございます。夏休み終了間近で少し憂鬱感が漂い始めたsyukaです。今回はハムこと白蓮と麗羽たちの拠点ですね。個人的にはこの面子だと斗詩推しですかね。あのため息をついている表情が良い!というか麗羽と猪々子もうちっと自重してあげて。白蓮は・・・普通っ子ですからねぇ。頑張って目立って!それではごゆっくりしていってください。
朝、目を覚ますと突然ビッグニュースが飛び込んできた。・・・というよりうちで抱える悩みの種だ。目の前で頭を抱える愛紗。この件については俺も頭が痛い。
「で、今日は麗羽が何をしでかしたの?」
「市に華やかさがないと突然言い出して、神輿を担いで闊歩しているとのことです。 ・・・あいつは何を考えているんだ?」
「・・・俺が止めてくるよ。 周辺の人たちにも謝りにいかないと・・・。 はぁ。」
「一刀さんたちも大変なんですねぇ。」
「麗羽にも百合の落ち着きが少しくらいあればなぁ。 俺の部屋に来たのが薔薇と百合で良かったよ。 それと、悪いけど今日はデートできそうにないかも。 明日でもいいかな? ちゃんと埋め合わせするから。」
「今は私たちのことより麗羽たちを止めることが先決でしょ?」
「ほんとごめん! じゃあ、俺行くから。 愛紗、現場まで案内して。」
「分かりました。」
俺と愛紗は共に部屋を出た。
「薔薇ちゃん、よく我慢できたね。 えらいえらい。」
「姉様、頭を撫でないで下さい。 まぁ、自分でも結構抑えましたから。」
「結構楽しみにしてたもんね~。」
「そうです! 明日はたーくさん奢ってもらいます!」
薔薇ちゃんもなんだかんだ甘えるのに夢中で、明日には忘れてそうですね。私も楽しみにしてたのは秘密ですよ?
・・・
「おーっほっほっほ! 南蛮兵の皆さん、もっと雄々しく優雅に行進するのです!」
にゃーにゃーにゃ!
「・・・美以たちまで肩入れしているのかよ。」
「食事に釣られて買収されたようですね。」
「流石というか、美以たちはご飯に弱いからなぁ。」
とりあえず美以たちを止めようか。
「美以、ちょっと待った。」
「にゃ? ご主人様だにょ。 どうかしたかにゃ?」
「どうかしたかじゃないよ。 というかこの神輿はどうしたのさ?」
「これか? これは麗羽しゃまがお金をはたいて作ったって言ってたにゃ。」
・・・前にやった競馬で得た金か。麗羽、そう言えば全額賭けて全勝だったからな。オッズが底辺クラスなやつも当ててたし・・・生まれつきの豪運で得た金だから俺は何も言わないけどさ・・・。
「美以、このままやってたら愛紗にまた怒られちゃうよ? この前も蔵の食べ物を盗み食いして怒られてたよね。」
「にゃ!? もう愛紗に怒られるのは嫌にゃ。 皆の者、撤収にゃ!!」
「もう撤収にゃ? まだ遊び足りないにゃ。 けど、大王しゃまの命令なら仕方ないにゃ。」
「次は何をするのかにゃ?」
「ふみゃぁ・・・。 眠いにゃ。」
美以たちが一目散に逃げ出す。
「ほら、シャムも逃げないと・・・。」
「ふみゃぁ・・・。」
「仕方ないなぁ。」
美以たちのとこ・・・恋の部屋にシャムを運んで俺はもう一回現場に向かった。
「麗羽、今度こそお縄だ!」
「出ましたわね! 白馬鹿面!」
「白馬鹿じゃない! 白馬仮面だ!白馬!」
「どっちでもいいですわ。」
あぁ、こんなときに白蓮が来ちゃった・・・。俺の背後にはお怒りモードの愛紗がいるのに、なんとタイミングの悪い。
「お前ら! この騒ぎはなんだ!?」
来ちゃった。
「白蓮までそのような妙な仮面なぞ被りおって。 どうせ星に触発されただけなのだろうが。」
「妙とはなんだ妙とは! この美しい白馬の仮面の良さが・・・!」
「黙れ!」
「うっ・・・。」
白蓮が後ずさる。白蓮は悪くないのにな・・・かわいそうに。機嫌の悪い愛紗に捕まったのが運の尽きだな。
「それに麗羽もだ! これだけ大きな神輿を出せば市民に多大な迷惑がかかるとは思わんのか!?」
「市に華やかさを提供していただけですわ。 私が自前で出したお金なのです。 何か問題がありますか?」
「神輿を担ぐこと自体、問題があると言っているのだ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
あぁ、斗詩が平謝りしてる。不憫な・・・。
「愛紗、そんな眉間に皺よせてっと疲れるだけだぜー?」
「誰のせいだと思っているんだ!!」
「ぶんちゃん!!」
「まぁまぁ、斗詩も謝ってるしそのくらいで良いんじゃない?」
「・・・そうですね。 しかし、怒るときにはご主人様も怒るべきです。」
「俺も怒るときは怒ってるつもりなんだけどなぁ。 まぁ、俺には俺のやり方があるってことで納得してくれると助かる。」
「はぁ。 分かりました。 では私は兵の鍛錬がありますので城に戻ります。 それと、今回の後始末にかかった費用は麗羽たちの来月の金から引かせてもらうぞ。」
そう言い残して愛紗は城へと戻っていった。残された麗羽たちだが・・・
「ちょっ、私の金も天引きされるのか!? ・・・そりゃないって。」
地にへたり込む白蓮。そっか、麗羽たちを止めに来たんだよな。
「うーん、その仮面をつけてなかったら怒られることもなかったような・・・。」
「この仮面をつけて騒動を鎮静できれば英雄になれると言われたんだ。」
「・・・誰かとは聞かないでおくよ。 とりあえず俺は周辺の人たちに謝りに行くよ。 麗羽たちは大人しくしとくこと。 いいね?」
「城に戻っても面白いことはないではありませんか。 一刀さん、何かありませんの?」
「そう言われたってなぁ・・・。 璃々ちゃんの遊び相手に付き合ってあげてよ。 そうすれば必然的に遊べるし。」
「璃々の遊び相手ですか。 しょうがないですね。 猪々子さん、斗詩さん、行きますわよ。」
「へーい。」
「すみません、麗羽様。 私はご主人様と皆様に謝ってきます。」
あら珍しい。斗詩は麗羽について行くと思ったんだけどな。
「私も行くよ。」
「そう? じゃあ頼むよ。」
俺、斗詩、白蓮は市の人たちに謝りに。麗羽と猪々子は璃々または紫苑を探しに城へ戻った。
・・・
三人で市のおっちゃんやおばちゃんたちに謝り倒した。皆の反応が、
「袁紹様がやることはいつも突拍子がないけど、見ていて飽きないからねぇ。 ワシらもちとばかし楽しみにしているんですよ。」
とか、
「子供たちも喜ぶから私たちも助かるっちゃ助かるんだ。 別に謝んなくていいよ。 それと、この人参。 買っていかないかい?」
などなど。特に困った様子を見せた人たちがいなかったというのが驚きだ。皆順応しすぎじゃないか?まぁ・・・華蝶仮面とか意外と人気だからなぁ。現代のチビッ子が特撮ものにハマる感じなのは分かるんだけど・・・、この狭いとは言わないが広くもない市。怪我人がまだ出てないのが唯一の救いだ。
「ご主人様、申し訳ありません。 麗羽様や猪々子の後始末などをさせてしまって。」
「まぁ、麗羽のお祭り好きは今に始まったことじゃないし。 麗羽や猪々子も俺の仲間なんだ。 勿論、斗詩もね。 助け合うのって当然だろ?」
「ご主人様・・・ありがとうございます。」
助け合うのは当然だが、斗詩の負担が軽くなるのを助ける程度なんだよなぁ。これを連合が組まれるより以前から麗羽や猪々子と付き合ってたんだよな?・・・。
「斗詩も苦労してるんだなぁ。」
「二人とも悪い人たちではありませんから。 少し飽き性で落ち着きがないだけで。 もう少し落ち着きを持ってくれればなぁ。」
「ほんとにやばいと思ったらいつでも呼んでよ。 いつでも助けに行くからさ。」
「はい。 しかし、お呼びすることはないと思いますよ? なんだかんだで、麗羽様も猪々子も危ないことはしませんから。 安全も十分に気を配っているんです。」
「・・・さっきの神輿騒ぎは?」
「美以ちゃんたち南蛮兵は神輿を担がせるためのみでなく、周辺の子たちが近づきすぎないように見張りも任せてたんです。 案外、抜け目無いんですよ?」
「へぇ・・・。」
「意外・・・ってお顔をされています。」
「うん。 正直言って、意外だった。」
ほんとに意外な一面を知ったな。
「おーい二人とも、そろそろ昼食にしないかー? 」
先を歩いていた白蓮がこちらに問いかけてくる。あら、もうそんな時間か。
「分かった。 斗詩もそれでいい?」
「良いですよ。」
ということで、すぐそばにあった中華料理屋に入った。俺も歩き疲れて休憩したかったからちょうど良かったな。
・・・
「ところで一刀、ひとつ聞きたいことがあるんだ。」
「ん?」
食事中、ふと白蓮が口を開いた。どうしたんだろ?
「普通ってどうやれば普通じゃなくなるんだろうな?」
「・・・は?」
ど、どうしたんだいきなり?
「私、どれもこれも普通だろ? 体型にしても剣技にしても知識にしても、並み以上程度にはあると自負している。 だが、これといって特化したものがない。」
「それで良くない? 俺もそんなもんだし。」
「いやいやいやいや! 一刀が並み以上なら私はどうなる? 見る影すらなくなってしまう。」
「そんな大袈裟な・・・。」
「全てそつ無くこなせるっていい事じゃないですか。」
「まぁ困ることはないな。 だが・・・目立たない!」
・・・目立ちたいのか。
「というより元から影が薄いのだ。 この前の一刀争奪戦だって私は呼ばれてすらいない。 桃香に終わってから知らされたよ・・・。」
「・・・。」
そう言えばいなかったな。ここで気付かなかったとは言わない方がいいんだろう。
「で、でも私も取り柄という取り柄はありませんよ?」
「斗詩にはその胸があるじゃないか。 それだけで目立てる。 だが私はどうだ? あっても普通。 微妙なんだ・・・。」
どうしよう、これに関してはフォローしようにできないんだけど・・・。
「私が通っていた私塾でも皆何か光るものがあった。 桃香はあの正義感に人を引き寄せる人徳に卑怯なほどに膨らんだ胸。 曹操は武、知、政、料理など。 どれに関しても最高点をたたき出すだけの才能。 孫権は王族でありあの美貌。 それに知識の吸収力はずば抜けていた。 それに比べて私は・・・。」
どんどん白蓮のテンションが急降下していく。だ、誰か助けて!
「お兄ちゃん?」
「お兄様?」
お?
「鈴々に流琉じゃないか。 二人も昼食?」
「はい。 ここのおじさんの料理が美味しいと鈴々ちゃんに教えてもらったんです。」
「で、勉強がてらここまで足を運んだ。」
「そうです。 まぁ、私もお昼がまだでしたので、たまには外で食べるのもいいかなと。」
「なるほどね。」
「ところで、白蓮はどうしてどんよりしてるのだ?」
「実はな・・・。」
二人に白蓮の悩み事?を簡潔に伝えた。
「それはその人の考え方一つではないのですか?」
「だよね? 俺も流琉の言うとおりだと思うんだけど、これだと白蓮が納得しないでしょ?」
「う~ん。」
「そんなこと、答えは簡単なのだ!」
「それはなんだ!? 教えてくれ!」
白蓮が身を乗り出して鈴々に迫る。しかし、鈴々がこんなに簡単に答えを見つけるとはな。少しその答えに期待を寄せつつ鈴々の言葉を待つ。
「普通じゃない白蓮は白蓮じゃないのだ!」
「・・・。」
空気が凍った。というか、白蓮が真っ白になった。まるで燃え尽きた某ボクサーのように。
「鈴々ちゃん・・・それ、答えじゃなくて止めをさしてる。」
「にゃ?」
何が?と言いたげに首を傾げる鈴々。
「ぱ、白蓮、鈴々には悪気はないんだ。」
「・・・。」
返答なし。これは外に出して新鮮な空気を吸わせたほうがよさそうだ。
「お、おっちゃん! お勘定おねがーい!!」
「へい。 おや? 公孫賛様のお皿がひとつ手を付けられていませんが?」
「これは・・・鈴々に譲ってあげて。 彼女、もうお腹いっぱいみたいだから。」
「いいのか?」
「うん、ちょっと冷めたかもしれないけど良い?」
「無問題なのだ!」
ということで余った料理を鈴々に託し、俺たちは固まったままの白蓮を連れて店を出た。
・・・
店を出て城までの帰路を進むこと30分。ようやく白蓮が我に返った。
「はっ! 私は・・・なんだ? 店の中でこの世の終わりのような言葉を聞かされたような気がしたのだが・・・。」
「き、気のせいだよ気のせい? ね、斗詩!」
「え? そ、そうです。 幻聴ではないのですか? 私たちはそのようなことは聞いていません・・・よ?」
「そ、そうだよな。 普通でない私は私でないなど・・・私に地味なまま墓場まで行けと言われたように解釈してしまったが。 そうか、気のせいだったか。」
上手く誤魔化せたか微妙なとこだけど・・・まぁ結果オーライということで。俺たちはとりあえず麗羽たちを探しに庭へ向かった。もし璃々ちゃんと遊んでいるならあそこらへんだろうから。
「あら、ご主人様ではありませんか。」
「紫苑、璃々ちゃん・・・というか麗羽たち見てない?」
「璃々たちでしたらあちらで遊んでいますわ。」
紫苑が指差す先には璃々ちゃんが壁に手をついている。その璃々ちゃんにこっそりと麗羽と猪々子が近づく。あれは・・・だるまさんが転んだ?
「だるまさんがー・・・ころんだ!」
「っ!!」
「っっ!?」
「麗羽お姉ちゃん動いたー♪」
「また捕まりましたわ!? なぜ上手くいかないのです!?」
どうやら何度も捕まっているらしい。
「始まってからかれこれ十二回目ですわ。 今は璃々がたまには鬼をしたいということで鬼をやっていたところなのですよ。」
「・・・なんか璃々ちゃんのお情けみたいになってるな。」
「ちなみに、猪々子ちゃんは十回捕まりました。」
「どうしたらそんなに鬼になれるんだ?」
そんなことを疑問に考えていると、こちらを見ていた璃々ちゃんと目が合った。
「あー! ご主人様たちだ! 一緒に遊ぼー!」
「なんです? 一刀さんに斗詩、それに白蓮ではありませんか。 一緒に遊びますわよ。 この遊び、なかなかに難しいのですわ。」
「よっしゃー! 斗詩がいれば百人力だぜー!」
「い、猪々子、この遊びは私がいるいない関係ないよ・・・。」
「一刀さん、鬼になりなさいな。 私でも何度も鬼になり苦戦を強いられているのです。 一刀さんもきっと苦戦するはずですわ。」
「はいはい。 じゃあ紫苑、ちょっと行ってくるよ。」
「はい。」
そんなこんなで、六人で日が暮れるまでだるまさんが転んだをして遊んだ。ちなみに、俺は初回以外で鬼になることはなく、結局麗羽と猪々子が代わりばんこで鬼をやることになった。
翌日、麗羽と猪々子が璃々ちゃんの下で動かない練習をしていたのはまた別のおはなし。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回の拠点はいかがでしたか?麗羽たちですが、おバカですがどうも憎めません。あと白蓮、止めをさしてごめんなさい。ちなみに、神輿担ぎから逃げ出した美以たちは恋の部屋で一日中くつろいでいたそうです。それでは次回、 第八節_拠点:双子のでーと 紅白に染まる想い でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。