No.611595

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-08-23 17:15:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:612   閲覧ユーザー数:596

 

 

 

episode204 集結する者達

 

 

 

「くっ!」

 

「・・・・」

 

 同じ形の光と闇が互いに残像を出しながら上空をメビウスの輪を描くように激しく交差する。

 

 一夏は両手で持つアロンダイトを左へと薙ぎ払うように振るい、闇一夏は対艦刀を前に出して防ごうとするが、デスティニーのパワーに負けて勢いよく吹き飛ばされる。

 

 直後に背中左側の長距離ビーム砲を展開してトリガーを引いて太く赤いビームを放ち、闇一夏はとっさに左手の甲のリフレクターで防ごうとするが、そのまま押し切られる。

 

「くそがぁっ!!」

 

 闇一夏はとっさに体勢を立て直して飛び出して対艦刀を振るうが、一夏はアロンダイトを一瞬の速さで振り上げるとビーム刃を通り越して対艦刀を真っ二つに切り裂く。

 

「ぐっ!」

 

 とっさに左手を広げてビーム砲を一夏に向けるが、一夏は左手のパルマ・フィオキーナを突き出して闇一夏の左手を掴む。

 

「っ!?」

 

 その直後にゼロ距離でビームを放って闇一夏の左腕を吹き飛ばす。

 

「この野郎・・・!」

 

 闇一夏は苦し紛れに後ろに下がると切り裂かれた対艦刀を一夏に向けて放り投げるも、アロンダイトを振るって切り裂くが、その間に闇一夏は左肩のビームブーメランを抜き放って勢いよく投げる。

 

 一夏はアロンダイトを振るって光波を放ち、ビームブーメランを切り裂くも、闇一夏はそこから一気に後ろへと飛び出して戦域を離脱する。

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

 一夏は息を整えると、背中の光の翼が消えて赤い翼が閉じて、そのまま俯く。

 

「一夏!!」

 

 と、レギナの攻撃を構わず受け続けて装甲がボロボロになりながらも箒が一夏の元にやって来る。

 

「ほ、箒・・・」

 

 しかし息を整えていても一夏は息を切らしている。

 

「腕は大丈夫なのか!?」

 

 箒は慌てて一夏の腕を見る。

 

「大丈夫だ。まぁ何が起きているのか分からねぇけど・・・」

 

「そ、そうか。だ、だが、本当に・・・本当に・・・よかっ、た」

 

 全身装甲なので箒の表情は見えないが、涙を流している。

 

「・・・・」

 

 すると突然宙に浮いていたデスティニーが落ちそうになるが、箒はとっさにデスティニーの左腕を掴む。

 

「ど、どうしたんだろうな。何か急に身体に・・・力が・・・」

 

「一夏・・・」

 

 箒はそのままデスティニーを引き寄せて抱える。

 

 

「っ!?」

 

 心配する箒であったが、直後にハッとして気付く。

 

 

 一夏と箒の周りには大量のレギナが囲み、背中のバインダーライフルを構えて狙いを付けていた。

 

(しまった・・・)

 

 血が引いていく感覚がして、周囲を見渡しても他のメンバーもレギナに囲まれている。

 

(やはり・・・戦力が少なすぎたのか・・・)

 

 元々多いとは言い切れないの戦力だったので、この状況も予想は出来ており、出来るのなら起きて欲しくは無かったが、現実は甘くは無い。

 

 

 

 

 

「いやぁ、これは進退窮まっちゃったかな」

 

 ネェル・アーガマのブリッジで束は窓からレギナに囲まれている事を確認し、冷や汗を掻く。

 

(こうなるなら、ちーちゃんにあれを渡しておいた方が良かったかもね。まぁ今更後悔したって意味無いけど)

 

 内心でブツブツと呟くも、イスの背もたれにもたれかかる。

 

(やっぱり無謀だったのかな。どれだけ私達がはっくんに頼っていたのかが分かるねぇ・・・)

 

 出撃させったリゼル部隊は全滅し、ネェル・アーガマ上に配置されていたガンキャノン・ディテクターも全滅している。

 ネェル・アーガマの火器は奇跡的にも全部無事であるが、砲撃した途端一斉射撃が行われる恐れがある。

 

「・・・・」

 

 束はもしもの事を考え、ある事を考える。

 

 しかしそれは、命と引き換えにする、最終手段でもある。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 その頃基地内部では―――――

 

 

 

 

「くっ!」

 

 隼人はその場から後ろに跳び退くと、さっきまで居た場所をヴィヴィオが飛び蹴りをして床を砕く。

 

 直後にヴィヴィオはその場から跳び出し、右拳を勢いよく突き出すが隼人は左腕で受け流すとするも、それによって左腕のビームトンファーの基部が吹き飛ばされる。

 

 とっさにスラスターを噴射してヴィヴィオより離れると頭部バルカンを放つも、ヴィヴィオは床を蹴って横に跳んでかわす。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 と、両手に球体状のエネルギーが纏うと、それを投げるようにして隼人に放つも、とっさに横に跳んでかわす。

 

 更に右拳にエネルギーを纏うと、エネルギー球を放り投げ、握り締めていた右手を一気に開くとエネルギー球が弾けて拡散する。

 

「くっ!」

 

 隼人はとっさに両腕を交差して拡散したエネルギーを防ぐ。

 

(何をしている!このまま何もせずに居るつもりか!)

 

(そんな事言ったって、相手はヴィヴィオなんだぞ!ISも纏っていない彼女に攻撃が出来るわけ無いだろ!)

 

 各所に鎧を纏っているとは言えど、ほぼ生身の人間だ。本気でやれば確実に怪我を負いかねない。

 先ほどのバルカンはあくまで牽制である為に当てるつもりはもとより無い。

 

(だが、時間が過ぎている間にやつは力がどんどん増している。それこそ彼女を救う術がなくなるぞ)

 

(くっ・・・)

 

 するとヴィヴィオが勢いよく跳び出して右拳を突き出すも、隼人はとっさに左手を広げて拳を受け止めるも、直後に左拳も突き出してきてとっさに右手を広げて拳を受け止める。

 

「・・・っ!」

 

 その場で両者が押し合いになり、足元の床がめり込む。

 

 隼人はタイミングを見計らって相手の押した力による反動を利用して後ろに跳び、ヴィヴィオと距離を置く。

 

(・・・どうすれば・・・どうすればいいんだ)

 

 頭の中で様々な考えが交差する。

 

(ヴィヴィオがこんな事を自ら行うはずが無い。やはり操られているのか・・・)

 

 原因は分かっても、それを解決する手段が無い。

 

(その受信源は何所にあるんだ。ヴィヴィオの身体の中のどこかにあるんだとしたら・・・)

 

 一瞬サイコジャックで止めようと考えたが、ノルンが否定する。

 

(無駄だ。サイコジャックをするのに動きを止めないといけない上に、彼女が大人しくしているはずが無い。それに連中もサイコジャックの対策をしているし、それ以前に今の彼女にそんな手は通じない)

 

(そんな・・・)

 

(そもそも、受信機が体内にあるのなら、どうやって受信機自体に触れるつもりだ?彼女の身体を切り裂いて直接触れようって言うのか?)

 

(っ!)

 

 隼人は焦っているあまり、重大な欠陥の事をノルンに指摘されるまで気付かなかった。

 

 

 サイコジャックは対象物に直接触れなければ効果を発揮できない。対象物の間に別の物があると、サイコジャックの電波が通らない。

 ヴィヴィオの様に体内のどこかに受信機を埋め込まれているのがその例えだ。

 

(打つ手なし・・・なのか・・・)

 

 

 

 

 するとヴィヴィオが床を蹴って隼人に向かって跳び出して来る。

 

「っ!」

 

 隼人は我に帰り、とっさにヴィヴィオの右拳を左腕で受け流すと、右拳を突き出してヴィヴィオの腹部にカウンターを入れる。

 

「うぐっ!」

 

「しまっ!?」

 

 ヴィヴィオは一瞬顔に苦しみの表情が浮かぶが、その瞬間右足で隼人の足を払い、右肘をバンシィ・ノルンのマスクに叩きつけてそのまま床に叩き付ける。

 

「ぐぅっ!?」

 

 顔に激痛が走るが、とっさにヴィヴィオの右腕を掴むとスラスター全開で起き上がってそのまま背負い投げの様にしてヴィヴィオを前方に放り投げるが、宙で体勢を立て直して床に着地する。

 

 

(気を抜けば確実にお前は破壊されるぞ)

 

(・・・・)

 

 バンシィ・ノルンの牙の様なディティールがあるマスクに肘打ちがされた箇所を中心に亀裂が入っていた。

 

(しかし、さすがは我が娘の末裔だな)

 

(こんな時に感心している場合か)

 

(いや、すまんな。私の娘もこれくらい強かったのだ)

 

(・・・・)

 

 しかしヴィヴィオはお構いなしに右手にエネルギーを纏うと、それを勢いよくエネルギー波として突き出し、隼人はとっさに横に跳んでかわす。

 

 

 

(いよいよ選択の余地は無いな)

 

(・・・・)

 

 隼人は身構えてヴィヴィオを見る。

 

 先ほどより息が上がっているものも、未だに威圧感に衰えは無い。

 

 

(このままだと彼女はもう元には戻れんかもしれんな)

 

(・・・・)

 

(時間はもう掛けられない。と、なれば、方法はもう一つしか残されてないな)

 

(・・・・)

 

 隼人も今ノルンが言おうとしている方法を思い付いていた。

 

 しかし、その方法はあまりにもリスクが大きすぎる。

 

(『アブソリュート・ブレイク』しか、彼女を救う方法は無い)

 

(だが、あれは・・・!)

 

(確かにリスクは大きい。成功すれば彼女を救えるが、失敗すれば命を落とす事になる)

 

(・・・・)

 

(だが、体内にある洗脳装置を身体を傷つけずに破壊する確実の方法はこれしかない)

 

(確かにそうだが、まだあれは完全に使いこなせているとは・・・)

 

(お前は二回も成功させているだろ?)

 

(颯や一夏の時はIS自体を破壊するだけだったんだ!だが今回は生身の人間の体内のピンポイントに狙っての攻撃だぞ!しかも洗脳装置の位置すら・・・)

 

 

(洗脳装置の位置ならもう私が把握した)

 

(なに?)

 

 すると隼人の頭の中にデータが入る。

 

 

(ヴィヴィオの心臓のすぐ近くだと!?)

 

 洗脳装置がある場所を知って隼人は驚愕する。

 

(場所はかなりシビアだが、場所が分かったのだから、やれるはずだ)

 

(軽く言うな!どれだけ難易度が高いと思っているんだ!)

 

 洗脳装置は心臓のすぐ脇にあり、もし少しでもずれたら心臓を切り裂く最悪の事態になりかねない。

 

(だが、もうやるしか無いんだ。愚痴った所で彼女の苦しみを増やすだけだぞ)

 

(・・・・)

 

(覚悟を決めろ、隼人)

 

(・・・・)

 

 隼人は苦渋の決断の末に、右手にグラディウスを展開して鍔にカートリッジのマガジンを装填する。

 

「やるしか・・・無いのか・・・!」

 

 グラディウスの柄を両手で持って身構える。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 シノンと颯はそれぞれ武器を身構えて周囲を囲うレギナに警戒する。

 

「さすがにこれだけの数を攻略するのは、無理があったようだな」

 

「・・・確かに、姉さんの言う通りかもしれない」

 

 颯は左腕を曲げてビームサーベルを上に向けるが、次の瞬間にはビームサーベルの刃が消えていく。

 

 装甲維持と活動エネルギーを残して、戦うだけのエネルギーがほとんど残っていない。

 

「お前も限界か。私もエネルギーと弾薬が尽きてしまっている」

 

 ジェスタ・キャノンの武装は殆ど弾薬が尽きており、残っているのはビームサーベルのみ。

 

「・・・・」

 

「絶体絶命か」

 

「・・・・」

 

「普通ならもう諦めている所だが、このまま諦めるわけにはいかない。そうだろ、颯?」

 

「・・・うん。兄さんだったら、こんな状況でも諦めなかった!」

 

「あぁ」

 

 シノンはビームサーベルを抜き放つと、身構える。

 

 

 

「・・・・」

「・・・・」

 

 ラウラとリアスは背中合わせになって、自分達を囲んでいるレギナを見る。

 

「どうやら、私達もここまでのようだな、ラウラ」

 

「・・・・」

 

「まさか最後がお前と一緒になるとはな」

 

「私もだ」

 

 

 

「こんな時に言うべきではないのだがな、この際言わせてくれ」

 

「こんな状況で、何だ?」

 

 

「・・・こんな事がなければ、私達はいい姉妹になれただろうな」

 

「・・・・」

 

 ラウラは首を横に向ける。

 

「戦う宿命や、A、Sプロジェクトがなければ、こうして共に居られたかもしれん」

 

「・・・リアス」

 

 

「こうして短い間だが、共に戦えた事を誇りに思う」

 

「・・・・」

 

「だが、どうせやられるのなら、戦って散る事を望む」

 

「そうだな。私も、それを望もう」

 

 二人は突撃しようと身構えた―――――

 

 

 

 

 

 しかしその瞬間突然レギナ数体が突然爆散する。

 

「「っ!?」」

 

 突然の事に二人は目を見開くと、レギナが次々と撃破されていく。

 

「い、一体何が!?」

 

 ラウラは周囲を見渡すと、他のメンバーを囲っていたレギナも次々と撃破されていく。

 

 

 

『お待たせしましたわ、皆様!!』

 

「っ!」

 

 すると聞き覚えのある声が通信機越しにする。

 

『こっからが反撃やで!』

 

『形勢逆転だよ!』

 

『・・・好きにはさせない!』

 

 と、右方向の遠方より、複数の見覚えのある機影が五機戦域に侵入してくる。

 

 

 

「セシリア、シャルロット、エリーナ、シャーリー、簪!」

 

 それはバラバラになっていた仲間達であった。

 

 五人も一応秘密前線基地の場所をISにインプットしていたので、場所は知っている。

 しかしここに単機で来るとは思っていなかった

 

 

「・・・前言撤回だ。それを言う時ではなかったな」

 

「全くだな」

 

 二人は鼻で笑うと、その場から飛び出してレギナの包囲を脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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