No.61125

一刀伝07 真桜 沙和

三国堂さん

今更ですが、前書きで軽く中身について触れているので、そういうの嫌な人は本文読み終わってから読んで下さい。
システムの関係上仕方ないとはいえ、突っ込んだ事書けないのはちょっと寂しいのう。


ぎゃー、何故か前半半分が桂花さんに~~。

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2009-03-02 02:53:34 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:21925   閲覧ユーザー数:13938

洛陽の宮殿、その中心である玉座の間。

今そこには俺を中心にして、華琳と魏の重臣達、そして天和ら15人が集まっていた。

「一刀、待たせすぎよ。でもまあ、おかえりなさい」

笑顔と共に送られる華琳の言葉。

それを皮切りに、周囲の皆が一斉にこちらへ集まってくる。

「北郷!」「北郷」「変態!」「兄ちゃん!」「一刀殿」「お兄さん」「兄様」「一刀!」「隊長!」「隊長」「隊長~」「一刀~」「一刀」「一刀さん」

口々に呼ばれる俺の名、その声はどれも喜びを滲ませている。

なんだか微妙なのも一人いるが。

「華琳、そしてみんな……、ただいま!」

「「「「「「「「「「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

一刀伝 帰還編 完!

 

 

と、こういう感じになると、帰ってくる前の俺は予想していたわけだが。

「私の身体は隅から隅までことごとく華琳様のものなのよ!? それをアンタみたいな……」

俺はいまだに河原で桂花にギャンギャン吠えられている途中だったりする。

「ちょっとそこの発情男、聞いてるの!?」

「聞いてる聞いてる」

もうかれこれ四半刻(30分)は経ってるんじゃなかろうか。

桂花の後ろにいた三人の兵士は、なにやら相談をしたかと思うと狼煙を焚いて、どこかに合図を送った後に一人を残していなくなってしまった。

残った一人はどこかで見たことがあると思ったら、昔ウチの隊にいた奴じゃないか。

本隊に所属を希望してたし、結構有能だったから推薦書を書いてあげたんだが、幹部クラス(桂花)の護衛に廻されているってことは、順調に出世しているらしい。

きゃんきゃん、キャンキャン!

尚も続く罵倒は右から左にスルー。

やる事もなく手持ち無沙汰にしているので、軽く手を振って挨拶でもしておこう。

お、頭を下げられた。

何となく興が乗り、北郷隊で使用していたハンドサインで合図なんかを送ってみせる。

『調子ハドウダ』

相手は一瞬目を丸くした後。

『問題アリマセン』

おお、ちゃんと返ってきた。

ちなみにこの合図、俺が考案したもののひとつで、相手を取り押さえる時に影から近づく仲間への合図や、周囲の音が大きくて声が通らない数え役萬☆姉妹のコンサート警備など、地味に色んな所で活躍している代物だ。

ちなみにさっきのやり取りは、あくまで日常風に解釈したもので、正式には

『状況ハ?』

『問題ナシ』

というやり取りだったりする。

今の合図で、俺が自分の事を覚えている事に気付いたのだろう。

嬉しそうな顔をして、もう一度ペコリと頭を下げた。

「ほ~~ん~~ご~~~~」

なにやら禍々しいオーラを感じる。

「聞いて無いでしょ、聞いて無いわよね!? 聞きなさいよ!」

やばい、とりあえず何とか誤魔化さねば。

「そ、そういえば桂花、こんなところで何してたんだ? 護衛も三人しかいなかったみたいだし」

「……」

「……?」

帰ってきたのはポカンとした空白。

こいつ、もしや。

「兵士の事、忘れてた」

「おい!」

いや、まだ任務の事、とつかなかっただけマシなのか。

「荀彧様」

「なによ」

うお、声かけられた途端に目尻引きつったぞ。

こいつ、本当に男が嫌いなんだな。

「合図の狼煙は上げ、一緒に来ていた二人に言付けて、他の者は集合場所に待機するようにしておきましたが、これから如何なさいますか?」

「ふん、とりあえず目的のモノは見つかったから、とっとと洛陽に帰るわよ」

「桂花、帰るのはいいんだけどさ。お前さっき腰抜けてただろ。ここが山のどの辺りかは分からないけど、ちゃんと歩いて下山できるのか?」

「……歩くくらいは、できるわよ」

言って立ち上がる桂花だが、まだ力が入りきらないのか、どうにも立ち方が心もとない。

「とりあえず俺が手を貸せば、山を下りるくらいは出来るか……」

「げ、あんたの手を借りなきゃいけないの?」

「怪我するよりはマシだろ? 背負ってやってもいいけど、俺にも荷物があるしなぁ」

「無責任孕ませ男に背負われるとか、正直勘弁して欲しいんだけど」

「孕ませてねぇよ! お前は相変わらず呼吸するように悪辣なデマをまくな!? そこのお前も引かない!」

帰ってきて早々、元部下にうわぁ、みたいな眼で見られた。

というか信じるなよ……。

「申し訳ありません。北郷様はその手の武勇伝に事欠きませんので、つい」

「君、なかなか言うね……」

「あははははっ、元部下にも信用無いのね、あんた」

「いえ、信用はしております。むしろ尊敬していると申しますか……」

「そういうので尊敬とか言われても嬉しく無いんですけど!? いやいや、話逸れ過ぎだ。今は下で待ち惚けしてる兵士をどうするかって事だろうが」

とりあえず状況を纏めると、連れてきた兵士30人が麓で待ち惚け。

率いてる軍師はここにいる。

一緒にいる兵士は小隊長の一人。

って事は、騎兵は最低10人単位を小隊とするから、集まってる集団の中には小隊長が二人残ってる。

その状態で既に四半刻(30分)が経過。

こちらは桂花に足を合わせると、山を下りるまで半刻(1時間)は掛かりそう。

「30人ってのはそんなに多くないけど、統率する人間がいないのは結構問題かもなぁ」

「騎兵のみで構成されていますので、そろそろ馬に飼葉もくれてやらねばなりません」

「待たせておいてもいいけど、さっさと帰しちゃった方が手間が掛からないかもしれないわね」

「おいおい、護衛帰しちまうのはやばくないか?」

「いえ、麓まで下りてしまえば、洛陽は目と鼻の先にあります。この周辺は魏が完全に掌握していますので、盗賊の類も出てくる事は無いかと」

「……決まりね。あなたは先に山を下りて部隊に帰るように伝えなさい。私はこの不愉快な万年発情男と一緒に後から行くわ」

「はっ。帰還した後には何か御命令はあるでしょうか」

これはやっぱり、俺の事を報告するかどうかって事かな。

「どうするの?」

「ん~、特に口止めする気は無いけど、正式に報告とかはしなくていいかな。どうせなら華琳を驚かせたいし」

「そう。じゃあ、そういうことよ」

「了解しました。それと、よろしければ北郷様の荷物をお預かりしましょうか? 部屋は昨年のままですので、そちらの方にお届けしておきますが」

言われてチラリと荷物を見やる。

本やら何やらがメインなので確かに重い。

それでも俺ひとりなら問題は無いが、今は桂花を支えていく必要がある事を考えれば……。

「じゃあ、頼むよ。特に壊れ物とかは入ってないから、そこまで丁寧に扱わなくていいから」

言って、荷物の上から相州水心子兼定だけを手にとって腰に差す。

学ランだと差し辛いな、仕方ない、前を開けるか。

「お預かりします。では、お先に」

キビキビとした動きで去っていく背中を見送って、俺は隣の桂花に手を差し伸べた。

「ほら、手」

「うーー。……分かったわよ。ただし! もし欲情して襲い掛かってきたら、後であらゆる策略を使って焼き殺すわよ!」

この後、手を握られて真っ赤になった桂花がやたらコケそうになったので結局背負って下山したり。

麓に馬が一頭しか残されてなかったせいで相乗りになり、さらに桂花が赤くなったり。

桂花を前に乗せてニヤニヤしてたら、我慢の限界が来た桂花に街に着く直前で突き飛ばされて落馬したり。

というハプニングもあったが、何とか無事洛陽の街にたどり着く事が出来た。

 

というか、桂花、ここまで来て置いていくなよ……。

 

城門近くの大通り。

そこを、巨大なドリルを先端につけた槍を持つ少女と、蒼い双剣をぶら下げた少女の二人がのんびりと歩きながら警邏している。

「なあ、商人の話聞いた?」

「商人? 新しいお店がとか、そういう話?」

ドリルを持つ紫の髪に青い瞳を持つ少女は、姓を李、名を典、字を曼成、真名を真桜。

双剣を持つ茶髪に碧の眼をした少女は、姓を于、名を禁、字を文則、真名は沙和という。

二人ともその見た目こそ愛らしいが、こうみえて、都の治安を一手に担う北郷隊の副隊長である。

「いやー、もっと悪い話や。ウチら警備隊の予算って、結構な割合で寄付が占めとるやんか」

「うん。隊長が警備隊を充実させる為にそういう制度を作ったんだよねー」

何気なく出してしまった"隊長"の言葉に、一瞬二人の顔に陰が走る。

北郷一刀が消えて既に一年以上。

軍部の縮小と治安への注力の為、実質的な後釜には将軍職との兼任で霞が。

実務の負担は副隊長である凪ら三人を合わせた四人でこなしている。

とはいえ、彼女達の強い意見の元、未だ隊長職には北郷一刀の名があり、彼女達三人にとっての"隊長"は、北郷一刀以外にはあり得なかった。

良くも悪くも魏の重臣達は、未だ天の御遣いの存在に縛られているのである。

それはたぶん、天下の覇王、華琳すら例外ではなく……。

だが少なくとも、一年という月日は心の傷をかさぶたで覆い、その名を会話に出す程度のことは出来るようになっていた。

「そうや、お陰でウチらは戦争中で国庫が厳しくなっても、最低限の治安は保つ事が出来てたわけやな」

「だね~。それで、それに何か問題でも出たの?」

「どうもなー、商人達が寄付金出し渋り始めとるらしいいんよ」

「ええー! なんでなんでー!?」

「向こうは、寄付は天の御遣い様のお人柄に感じる所があったからこそ、とか言うてるらしくてなぁ」

「うぅー、そう言われちゃうと反論し辛いけど、隊長がいなくなってからも治安が悪化しないように頑張ってるのに~」

「そやんなぁ。隊長の残した指示書もあるし、草案も上手い事形に出来とるから、治安自体はむしろ向上してるはずやねんけどなぁ」

更に言うなら、戦争が一段落して軍の人員が警備に回されるようにもなっており、こと治安に限っていうなら、はっきりとした向上を見せている。

「姐さんや凪も、治安は良くなって来てるからー、言うて説得したらしいんやけどな。その場は収まっても、なーんか微妙に不満は残っとるみたいなんよ」

「訳分からないのー」

「まったくや。まあ、いきなり寄付打ち切り、とはならんやろうし、国の予算にも余裕はあるみたいやから、今すぐどうこうって事もないんやろうが、原因くらい分かっとらんときついわなー」

「なのー」

そんな感じに云々唸りながら歩く二人だが、ふと、沙和が何かに気付いたような声を上げる。

「んー、もしかして」

「お、なんか心当たりでもあるんか?」

「隊長は無意識なタラシだったから、指示書とかに書いてなくて、その上で隊長はやっていた事とかはあるかも知れないの」

「あー、なるほど。女たらしもそうやけど、結構な人たらしやったもんなぁ。普通あんだけ女はべらかしとったら男に恨まれそうなもんやけど、隊の兵士にも慕われとったし」

「天の御遣いっていうのもあるけど、ぶっちゃけ、はべらせてるのが一癖二癖じゃすまない人達だから、羨ましいと思われて無い可能性もあるのー」

言われて浮かぶ女性達の特徴をツラツラと考えてみると。

覇王、魏武の大剣、魏武の閃光、王佐の才、曹魏の悪魔……。

軍の幹部という性質上しょうがないのかもしれないが、どれもこれも物騒なものばかりである。

「あー、そう言われると、そうかもなぁ。春蘭さまなんか、一歩間違えるとすぐ首が飛びそうやし」

言葉より先に拳が、拳より先に大剣が飛ぶ猛将に、よく叩き斬られそうになっていた自分達の隊長を思い出す。

いくら美人だからと言っても、確かにアレでは羨ましくは無いかもしれない。

ちなみに彼女達も同じ穴のムジナ、と周囲には思われているのだが、そんな事は全く意識していない。

「ウチのフニャチン共が、夏侯惇様どころか曹操様まで手を出すとは、マジパネェッ!とか言って騒いでたの」

「ウチにも、男が下手に声をかけるとそれだけで首を切ろうとしてくる荀彧様まで喰っちまうとは、さすが魏の種馬!おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!とか言うてる変な二人組みがおったなぁ」

「マジパネェの」

「特にシビれも憧れもせんけどな」

そんな風に、自分達の隊長に話していると、驚くほどに話が弾む。

あの日、一刀が消えたことを聞いてから、魏の重臣たちの間で彼の事が語られる事は滅多に無かった。

もちろん忘れたわけではない。

初めの頃は皆、北郷一刀が消えたという事実を自分の中で消化する為に、彼の名を口に出す事は無かった。

だが、その事実を受け入れた後、涙や悲しみを伴わず彼のことを語った事があっただろうか。

彼を思い、一人叫んだ事がある。

友と語らい、涙した事もある。

「でも、泣いてばっかりじゃダメだよねー」

「やなぁ。隊長も自分の名前が出る時、いっつも女の子泣いとると知ったら凹んでまうやろ」

「隊長女の子大好きだもんねー」

「ドが付くスケベなだけっちゅー説もあるけどな!」

「くすくす……♪ 言えてるのー」

そして多分、彼の名をこんな風に語ることが出来なかったのは、他の皆が、どれだけ一刀を思っているかが分かっていたからだ。

その気持ちは、真桜や沙和自身が抱いている気持ちと同じものだろうから……。

「あー、あかんわ」

「ん~?」

「いやぁ、やっぱウチ、隊長の事がむっちゃ好きやねんな」

「いきなり、どうしたの?」

「今話しててな、最初はちょっとキツかってん。隊長の名前が出ると、どうしても置いてかれたことを思い出してまうからなぁ」

「……うん」

「でもな、それでも幸せやねん。こうやって誰かと隊長の話をしとると、胸の中がポッポッして、凄くあったかい気持ちになる」

「それは、分かる……けど」

「もちろん隊長が側にいてくれたら、もっともっと幸せになれると思うで? でもな、こうやって隊長の事を思うだけで、ちょっぴり幸せになれることに気付いてもうた」

「やっぱりウチの心も身体も、みーんな隊長のモンやってことなんやろうな。ウチは……隊長のオンナやから」

そういって笑う真桜の笑みは、僅かに陰があるものの、自信と誇りに満ちた、清々しいものだった。

「真桜ちゃんは馬鹿なの」

「かもしれんなぁ」

「凄く都合のいい女なの、騙される女第一位って感じなの」

「わかっとるよ」

「でもね、わたしもきっと、同じくらい大馬鹿なの」

「うん」

「沙和もね、もう二度と隊長に会えないかも知れない、そう思っても、それでも、やっぱり隊長の事が大好きだから」

話している内に気が昂ぶって来たのだろう、目尻には薄らと涙が滲んでいる。

だが、それでもそれは、かつて彼女達がその隊長と四人で過ごしていた時、その幸福な時を思わせる、無邪気に輝く彼女本来の笑顔だった。

「しっかし、こうやってちゃんと笑えるようになるのに一年と……三ヶ月かぁ。しかもウチらでたぶん最短記録やで」

「そうだよねぇ。凪ちゃんも華琳さまも他の皆も、やっぱりどこかぎこちないもんねー。ほ~んと、隊長ってば鬼畜なの~」

「あー、ホントにごめんなぁ、二人とも」

「「ふぇ?」」

響く声に振り向けば、そこにはたった今彼女達が、二度と会えなくても愛し続ける、そう心に誓った男の姿。

記憶より逞しく見える体を、記憶どおりの純白の衣に包み。

夢にまで見た顔に、懐かしい、困ったような苦笑を浮かべ。

彼女達の隊長がそこにいた。

「「隊長~~~~~!?」」

「おう。二人とも、ただいま。帰ってきたぞ」

言って、今度は柔らかく笑う北郷一刀。

本来なら、ここは感動的なシーンだろう。

だがしかし、彼女達にはまず、聞かなければならない事がある。

「隊長」

「ん?」

「ね、念の為お聞きしますが、一体何処から聞いておられたのでしょうか?」

「いや、真桜、突如話し方を変えられると、"色々"と混乱が起きるんだが」

「そんな事はどうでもいいのー!」

「……」

「……」

訪れる沈黙。

数瞬考え込んでいたが、嘘を言っても仕方ないと思ったのだろう。

「あー、何処から聞いていたのかというと、だ」

「「……ごくり」」

「やっぱウチ、隊長の事がむっちゃ好きやねんな」

だが、その答が導いた結果は劇的なものだった

「…………」

「…………」

「二人にこんなに思われてるなんて、正直、すっごいうれし」

「ぎゃああああああああああ!」

「いっそ殺せー! なの~~~~~~!!」

「いよ、ありがとう。っていないし」

視線を飛ばせば、二人の姿はまっすぐに続く道の遥か先。

「そういや御前訓練の時も、あいつらの方がテレてたよなぁ」

意外と凪の方が、こういう雰囲気には強いのかもな。

小さく呟いて、ふと、気づいた事を口にする。

「え? あの二人との再会、コレで終わり?」

 

 

 

終わり

~おまけ~

 

先に帰還した小隊長Aと部下達の会話。

 

「そういや隊長。結局流星と一緒に降って来たのって、隊長が持ってるその青い円筒形したやつですか?」

「いや、北郷様が帰ってきてたよ。これは北郷様の荷物な」

「ホントですか!? そうか、魏国12人斬りのあの人が帰ってきたのか」

「あ、それ15人らしいぞ。数え役萬しすたーずも頂かれちゃってるらしい」

「げー、マジですか!? 俺地和ちゃん好きだったのにー」

「瓦版に載ってた恋人って、あの人の事だったのか……」

「俺、天の御遣い様の事知らないんですけど、その話ってマジなんですか?」

「マジだ」

「いや、だって荀彧様なんて男嫌いじゃないですか。護衛の兵士が近付くだけで嫌な顔するのに」

「あの人再会して早々、荀彧様の唇奪って、荀彧様が腰抜かしてたぞ」

「俺達が先に帰されて、今はあの方達が二人きりってのもまた、なぁ?」

「なんと……」

「さすが天の御遣いは格が違った」

「それに、あの人がいなくなってから、魏の上の方々は火が消えたようになっちまったからなぁ」

「あー、それ親衛隊の奴も言ってましたねー。許緒様や典韋様も暗くなっちゃったって」

「やっぱあの二人にも手を出してるんですね。でもそれ、犯罪じゃ」

「天の御遣いだからなぁ」

「御遣い様だからなぁ」

「曹操様は本気を出せば、七人まで同時にいけるって言ってたらしいが、あの人の場合は何人だろうな」

「少なくとも曹操様と互角に渡り合ってるだろうから、七人以上は確実じゃないか?」

「七人……(ゴクリ」

「御前訓練の後に、北郷隊の副隊長三人がご褒美に云々……、とか。許緒様と典韋様と一緒に風呂から出てきたとか、あの人の噂にはことかかんからなぁ」

「天の御遣いは化物か……」

 

………………

 

…………

 

……

 

以下、延々と続く

 


 
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