No.610032

第七話

資源三世さん

イナズマイレブンGO 二次創作。作者HPより転載

2013-08-18 19:41:24 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1025   閲覧ユーザー数:1025

 鬼道をコーチに加え、着々と力をつけてホーリーロードを勝ち進む雷門。全てが順風満帆に進んでいると思われる中、新たに加わった仲間、狩屋マサキ。彼は雷門に一粒の暗い雫を落とす……。

 

 

『暗闘、ホーリーロード!! ―北沢との再開―』

 

 スタジアムへ向かう途中、月山国光の選手たちと遭遇した天馬達。そこに見慣れた姿を確認するのだった。

 

神童「な、なんで、あなたが月山国光に……」

 

南沢「……久しぶりだな、神童」

 

神童「北沢さん! なんで月山国光にいるんですか?!」

 

南沢 篤志「北じゃない南だ。タイトルも間違っているぞ」

 

北沢 暗犯マン「やあ、神童。久しぶりだね。そして、雷門のみんなも」

 

 南沢の後ろにいたまるでアンパンのような顔をした北沢は嘲りのこもった表情でかつてのチームメイト達を見渡す。

 

南沢 篤志「って、いるのかよ! 俺じゃないのかよ?」

 

神童「……あ、南沢さんもいたんですね。それより、北沢さん! これがあなたの答えだというんですか?!」

 

北沢 暗犯マン「ふっ……」

 

南沢 篤志「つーか、お前、誰だよ?!」

 

神童「北沢さん!」

 

円堂「キャプテン……」

 

 かつて共に戦ったメンバーの姿を見て驚愕の色を隠せない神童の肩に、円堂はそっと手を置く。

 

神童「か、監督……」

 

円堂「キャプテン……。もしかして知り合いか?」

 

南沢 篤志「いや、俺は元雷門のレギュラーですよ! 雷門辞めたとはいえ、真面目な顔してとんでもないこと言わないでくださいよ!」

 

円堂「雷門の? そうか、俺が監督になる前に転校したやつか。そういえば、そんな話を久遠監督から聞いたことがあったな。確か、東沢だっけ?」

 

東沢 華麗犯マン「久遠監督から僕の華麗なる活躍は話は聞いてましたか。フゥー!」

 

 南沢を押しのけて現れたのは、北沢や南沢と同じく、かつての雷門レギュラーだった東沢だった。昔に比べ、カレーパンの頭は更にカリカリになっていた。

 

南沢 篤志「いや、お前のことじゃないだろ! あと東じゃなくて南です。それと俺はあなたが監督になってから転校してますから!」

 

円堂「そうだっけ?」

 

神童「そうですよ。西沢さんは三国先輩と一緒のクラスになったのが嫌で嫌でたまらなくて転校したんですよ。ここにいる東沢さんとは関係ありません」

 

西沢 食犯マン「彼とは美的センスが合わなくてね。まったく、僕はブロッコリーよりカリフラワーが美しいと思ってるのに」

 

 キラキラと輝くミラーボールと共に食パン頭の西沢が姿を現す。

 

南沢「だから、お前ら誰だよ?! あと俺は西じゃなくて南だっての! つーか、三国と一緒のクラスになったのが嫌で嫌でたまらなくて転校した西沢って誰だよ?!」

 

三国「ミナミン…… お前、そんなに俺のこと嫌ってたのかよ?! そんなにお前の弁当にちょっと傷んだブロッコリーを入れたのが気に入らなかったのかよ?! でも、仕方なかったんだよ! 弁当残したら母さん悲しむだろ?」

 

南沢「ミナミンじゃなくて南沢だよ! なんで急に馴れ馴れしくなってるんだよ! つーか、俺の弁当にブロッコリー入れたの、やっぱりお前だったのかよ! あれ、食ったら寄生虫にやられたんだぞ、せめて中韓産のを食うのはやめろよ!」

 

天馬「南沢先輩! 転校前に俺から借りたまんまのグラビア、返してください!」

 

南沢「南で合ってるけど、グラビアなんて借りてねぇよ! なんで、このタイミングで関係ない話で割り込んで名前が正しいんだよ!」

 

 過去の因縁に振り回される?沢を見かね、兵頭が?沢を呼び戻す。

 

兵頭「東西南北沢、そんな奴らのことなど相手にするな。どうせ、試合が終われば敗者として消えうせるだけだ」

 

東沢暗犯マン「それもそうですね」

 

西沢華麗犯マン「フゥー! なら僕たちは華麗なる勝利を手に……」

 

南沢色犯マン「彼らには美しい敗北を与えに行きましょう。フォー!」

 

北沢篤志「俺とこいつらをまとめて呼ぶな! 東西南北が入れ替わってるし! つーか、こいつら知ってるのかよ?!」

 

 なんだかんだと騒ぎながら、東西南北沢と兵頭はスタジアムへと行ってしまったのだった。

 

狩屋「へぇ、あれが東西南北沢さんね」

 

天馬「狩屋が雷門に転入する前に転校しちゃったけどね。でも、俺達にはグラビアを借りパクされた因縁深い人なんだ……」

 

剣城「俺達には……って、僕達もグラビアを借りパクされたみたいにいうんじゃねぇ! それをされたのお前だけだろうが!」

 

天馬「え? 剣城は返してもらったの? そんなずるいよ! 悪いと思うなら剣城が貸したグラビアを俺にも貸してよ!」

 

剣城「返すも何も、そもそも貸してねぇし、グラビアも持ってねぇよ!」

 

天馬「別にグラビアの十や二十持ってたって恥ずかしがることないのに。ねぇ、狩屋」

 

狩屋「なんで俺に振るのさ」

 

 かつてのチームメイト、東西南北沢と敵として再開した雷門。このとき、彼らに待ち受ける運命をまだ知るよしもなかった。

『暗闘、ホーリーロード!! ―西沢との再開(訂正)―』

 

解説『前半も残り五分。しかし、試合は0対0と膠着が続く。両チームともここで流れを変えたいところだ』

 

天馬「剣城、頼む!」

 

剣城「あぁ!」

 

 天馬のパスを受け取った剣城はそのままシュート体勢に入る。

 

兵頭「北沢、剣城にシュートを打たせるな!」

 

北沢「任せて! 暗……」

 

 北沢 暗犯マンは、全身に力を込めて、一足飛びに剣城へと襲いかかる。

 

北沢 暗犯マン「パーンチ!」

 

剣城「ぐわっ!」

 

 北沢 暗犯マンの強烈なパンチは剣城を弾き飛ばし、最大のシュートチャンスを潰してしまう。

 

剣城「って、今のファウルだろ?! 一発レッドカードだろ?!」

 

審判「目が…… 目が……! うわぁ、誰だ、俺の目にカレーをかけた奴は!」

 

解説『おぉっと! 剣城選手、今の北沢選手のブロックを抗議するも、審判は目にカレーが入って見ていなかったぁー!』

 

剣城「目にカレーってなんだよ!」

 

東沢 華麗犯マン「フゥー! 審判に抗議なんて華麗さに欠けるよ」

 

 口からカレーをこぼしながら、東沢は剣城を批難する。

 

剣城「って、明らかにお前が犯人だろうが!」

 

天馬「剣城、そいつらにかまってる場合じゃないよ!」

 

剣城「ちっ!」

 

 こぼれ玉を拾った西沢は、南沢と共に既に雷門のゴール目指して切り込んでいたのだ。

 

霧野「守るぞ、狩屋!」

 

狩屋「それでですね、霧野先輩がぼそぼそと言ってるの聞いちゃったんですよ。天城先輩が部室にいると神童キャプテンの盗撮の邪魔だって」

 

天城「霧野の奴、そんなことを言ってたのかド?」

 

霧野「って、何をやってるんだ二人とも!」

 

 話し込んでいる二人を美しくスルーして、西沢はゴール前まで来てしまう。二人はもう使えないと判断して、霧野は単身、ゴール前に立つ。

 

三国「霧野! ここは俺に任せろ!」

 

霧野「そんなの出来るわけないでしょうが! ザ・ミスト!」

 

 霧野の生み出した霧が瞬く間に周囲を覆い尽くす。視界を奪い、ゴールがどこかさえもわからなくしてしまった。

 

西沢 色犯マン「霧で僕の美しさを隠せなどしないよ! ザ・ミラーボール!」

 

 周囲が霧で覆い隠されながらも、しかし西沢は強烈な光を放つミラーボールを生み出してゴールまでの視界を確保する。

 

西沢 色犯マン「決めろ、南沢!」

 

南沢 篤志「三国、お前にこれは止められない! ソニックショット!」

 

三国「させるか、フェンス オブ ガイア!」

 

解説『南沢、シュート! しかし、三国も負けじと応戦するが……!』

 

 南沢のソニックショットはなんの抵抗も受けずにゴールネットを揺らす。

 

三国「なっ?!」

 

解説『ゴ、ゴール! 南沢、あっさりとゴールを決めた! 守りに入った三国は…… なんと無関係なところを守っている! 霧でコースを見誤ったか?!』

 

 霧で視界を奪われた三国は、ミラーボールの光を頼りにゴールを守ろうとした。だが、その光は偽物だったのだ。三国はあっさりと騙されて、まるで無関係の場所を守っているあいだに南沢がゴールを決めてしまった。

 

三国「し、しまった……!」

 

霧野「何やってるんですか、三国先――」

 

狩屋「いやぁ、今のはまずかったですよ、霧野先輩」

 

 三国を責め立てようとする霧野の後ろから、狩屋はため息混じりに声をかける。

 

霧野「な、なんだと?!」

 

狩屋「だって霧でゴールを隠さなければ、何かの間違いで三国先輩が止めていたかも知れないじゃないですか。それをわざわざ邪魔して……」

 

霧野「試合中に話し込んでるお前に言われたくない!」

 

天城「お前、自分のミスを三国だけじゃなく狩屋にまで押し付けるつもりダド?!」

 

霧野「いや、天城先輩もディフェンスサボってたじゃないですか!」

 

狩屋「うわぁ…… 都合が悪くなると全部、人のせいにして。これじゃあ、ストーカーされてる神童キャプテンも大変だなぁ」

 

神童「分かってくれるか、狩屋!」

 

 チームの雰囲気は完全に狩屋へと傾いていた。

 

霧野「くっ…… 俺に味方はいないのか?」

 

天馬「霧野先輩、俺はいつでも霧野先輩の味方です! だから、今度、霧野先輩用に買っておいた女性用下着をつけているところを見せてください!」

 

霧野「いないようだな……」

 

剣城「なんでそんなものもってるんだよ、お前は……」

 

天馬「いやぁ、この前、秋姉に頼んで買っておいてもらったんだよ。不自然じゃない言い訳考えるの大変だったんだから」

 

円堂「……この前、秋が年頃の男子のことについて相談を受けたが、こういうことだったのか。とりあえず、ベンチで詳しい話を聞こうか」

 

天馬「ちょ、ちょっと待ってくだだわぁぁ!」

 

 そう言って天馬を連れて行ってしまう円堂であった。

 

円堂「ついでに霧野、お前もこい。少し、ベンチで頭を冷やせ」

 

霧野「……くっ」

 

天馬「ベンチで頭を冷やせば、きっと女性用下着をうわぁー!」

 

円堂「お前はいいから!」

 

 不協和音の原因である霧野と、ついでに天馬を連れて円堂はベンチへと下がる。そこに不安だけを残して……

『暗闘、ホーリーロード!! ―東沢との再開(再訂正)―』

 

兵頭「攻撃陣形変幻自在、タクティクスサイクル!」

 

北沢「承知! いくぞ、東沢、西沢、何とか沢!」

 

東沢「フゥーッ! 華麗に決めてあげるよ!」

 

西沢「あぁ、僕はなんて美しいんだ!」

 

何とか沢「なんで俺だけ何とか沢なんだよ! 南だ、南!」

 

 兵頭の号令の元、ごちゃごちゃと喧嘩しながらも東西南北沢は菱形に並び、ボールをキープしたままグラウンドを疾走する。

 

解説『月山国光、四人でボールをキープしたまま、どんどんと加速してゆく! 早い! これは早いぞ!』

 

神童「これ以上の失点はまずい! 絶対に止めるんだ!」

 

信介「はい!」

 

解説『一気に雷門ゴールへ突き進む! だが、DFの要となる霧野、性春まっしぐらの松風が抜けた今、これを押さえ込めるのか?!』

 

天城「ここは通さんド! ビバ! 万里の長城!」

 

 タクティクスサイクルで襲い来る月山国光の東西南北沢に対して、天城は万里の長城で通り道を塞ぐ!

 

北沢 暗犯マン「この程度で止められるとでも? 甘い! 餡よりも甘いよ!」

 

東沢 華麗犯マン「ならば、現実の辛さというものを華麗に教えてあげよう!」

 

 東西南北沢は陣形を変え一直線になると、先頭を走る華麗犯マンがボールと共に高く跳ぶ。そこへ後ろに控えていた暗犯マンが大きく拳を構える。

 

暗犯マン「ロケット――」

 

華麗犯マン「ヘッド!」

 

 華麗犯マンは暗犯マンのパンチをまるで発射台のように受けて、ボールと共に頭から万里の長城へ突撃を行う。

 

 華麗犯マンのカリカリに揚がった頭と暗犯マンのパンチの威力が合わさったロケットヘッドは積み木を崩すようにいとも容易く万里の長城を打ち砕き、そのまま三国へと突き進む!

 

三国「フェンス・オブ・ガイうわぁー!」

 

 三国はフェンス・オブ・ガイアでそれを止めようとするも、万里の長城でシュートが見えなかったゆえ技を出すタイミングを外し、またしても守りきれなかった。

 

霧野「くっ! 俺が出てさえいれば……!」

 

 三国が打ち破られ、もはやこれまで……。その様子を見るしかなかった霧野は悔しそうに顔を歪める。だが、まだ諦めていない選手もいた。

 

狩屋「させるかよ! ハンターズ・ネット!」

 

霧野「か、狩屋?!」

 

 ゴール直前まで下がっていた狩屋が最後の壁として止めに入ったのだ。

 

狩屋「うおぉー!」

 

三国「あとは俺に任せろ! バーニング……!」

 

信介「危ない、狩屋! ぶっとびジャンプ!」

 

三国「ぶぼぉ!」

 

 信介はすかさずボールを止めようとする三国に体当たりをぶちかまし、三国と華麗犯マン、ボールを弾き返すのだった。

 

狩屋「ったく、余計なことを…… って言いたいところだけど、今回は助かったよ。ここで三国先輩までこられたら、どうなるか分からなかったからね」

 

信介「気にすることないって。勝ちたい気持ちはみんな同じなんだから」

 

三国「な、なら、なんで俺の邪魔まで……?」

 

 グラウンドの様子を見ていた霧野は、何かを悟ったように円堂を見る。

 

霧野「監督、俺が…… 俺が間違ってたんですね?」

 

円堂「もう大丈夫みたいだな。よし、行ってこい!」

 

霧野「はい!」

 

 選手交代をして霧野は再びグラウンドへ入る。そこに今までの迷いは微塵もなくなっていた。

 

狩屋「また戻ってきたんですか?」

 

霧野「すまないな、狩屋。俺はお前のことを見誤っていたようだ……」

 

 敵意剥き出しの狩屋に対し、霧野は何かを悟った表情で返す。今まで敵意に敵意を返されてきた狩屋にとっては意表を突かれることだ。用意していた二の句が喉元で止まってしまう。

 

霧野「俺はお前がただの嫌味な猫かぶりクズの最低の下衆野郎だと思っていた……」

 

狩屋「さりげに何、とんでもないことをカミングアウトしてるんですか?! 俺でもそこまで思ってなかったですよ!」

 

霧野「だが、それは間違いだったんだな。お前はただ…… 好きな子に構って欲しくてつい憎まれ口を聞いたり意地悪をしてしまうタイプだったんだな。お前のプレーをベンチから見ることで気付くことができたよ」

 

狩屋「いや、全然違うし! つーか、どんなプレーをしたらそういう結論にいくんだよ! おかしすぎるだろ!」

 

霧野「ふっ…… 今までなら罵詈雑言と聞き流していたが、この言葉の裏にあるお前の気持ちが見えると可愛らしいものだな」

 

狩屋「見えてねぇだろ! 心底嫌ってるだけだよ!」

 

霧野「よし! 俺とお前の力を合わせれば東西南北沢なんて恐れるに足りない! この試合、勝つぞ!」

 

狩屋「だから、なんであんたと力を合わせなくちゃならないんですか!」

 

霧野「……勝ちたいんだろ? なら、俺の言うことを聞け」

 

 今まで狩屋のペースに持っていかれていた霧野だったが、狩屋の本心を知ることで自分本来のペースを取り戻した。そう、グラウンドでは守りの要、私生活では攻めまくる本来の姿を……!

 

解説『さあ、残り時間は5分を切ったぞ! 雷門、この僅かな時間で1点差を逆転できるのか? はたまた月山国光が守りぬくのか? 目が離せない展開だ!』

 

狩屋「くそ……!」

 

 霧野のいうことは聞きたくないが、試合に勝つには霧野の力が必要なのだろう。だが、霧野の「勝ちたいんだろ? ん?」とでも言いたそうな屈辱を与えるような視線に従うのは耐え難いものだった。

 

狩屋「勝つためには霧野先輩の力が必要で……。でも、あんなのの言うことなんて聞きたくないし……。でも、このままじゃ、負けちまって……。うわぁー、もう! わかった! 分かりましたよ! けど、必ず勝てるんでしょうね?!」

 

霧野「任せろ!」

 

 霧野と狩屋、ぶつかり合う二つの魂が今、ここに結束をみせる。敵は強大な月山国光の東西南北沢。果たして、彼らはこの逆境を覆すことができるのか?!


 
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