No.608997

運・恋姫†無双 第十八話

二郎刀さん

ぼちぼち投稿。
今回はあの人登場。
この外史は好みが分かれると思うのです。

2013-08-15 20:49:46 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1551   閲覧ユーザー数:1372

「はっはっはあ! 雨だ! 雨だぞ公台!」

 

 

雨だ。

これを、バケツをひっくり返したような、というのだろうが、そんな比喩も実際に体験してみると、成る程、と思える豪雨である。

身を打つ雨は、押し付けようとばかりに重い。

抵抗しなければ潰されるのではないか、と思うほどである。

そして大雨は、よく視界を遮った。

台を引く馬の鼻先からちょっとが見える位で、進んでいた荒野の道はすでに見失っている。

馬が歩を進めるたびに、泥が跳ね飛び、水溜りの中を進んでいるような気分になってきていた。

 

陳宮がずっと中に入れと喚き立てている。

その荒げた声も雨の騒音で、途切れ途切れに聞こえる程度である。

陳宮と喬は、新しくした天蓋付きの馬車のおかげでさほど濡れてはいない。

横殴りの雨にも、紗羅がかけた妖術のおかげで、雨は入ることは無いのである。

そして、彼だけが馬を操ってずぶ濡れになっているのである。

しかし雨は冷たくは無いのだ。

その中に温かささえ感じられる。

 

馬の息が上がり始めていた。

どこもかしこも悪路になっているため、普段より息が上がるのがずっと早い。

そろそろ休むべきだ。

紗羅自身も、すでにどこを進んでいるかは分からなくなっている。

並走していた絶影二号が嘶きをあげた。

何か、と思った。

転げ落ち、泥まみれになる。

陳宮と喬が出てこようとするのを、怒鳴って押しとどめた。

 

太刀を抜く。

襲撃者は雨の奥に隠れてしまった。

雨は、『気』を隠してしまう。

だからこそ奇襲を受け、ここまで接近を許してしまったのだ。

何人いるか分からない。

その見えない不安が、焦りを生み始めていた。

二度ほど側面から突っ込んでくる敵を斬り捨てる。

馬車を狙うより先に仕留めにかかってくるようだった。

 

 

「邪魔」

 

 

聞こえた。

正面からだ。

剣を突き立てようと飛び込んでくる。

打ち払い、斬る。

感触はない。

長い黒髪だった。

そして少女である。

片手に持った剣で、雄叫びを上げながら右へ左へと飛び跳ね、あらゆる方向から滅茶苦茶な斬撃を繰り出してくる。

受けるのがやっとで、それでも浅手が増えていく。

自分の血は、いつも熱い。

それだけはいつも通りで、雨は重い。

それは相手も同じようだ。

段々と動きが鈍くなってきている。

思い切り胴を蹴飛ばした。

 

 

「ほう、下駄は蹴り心地が良いな」

 

 

激しく動いていた分、消耗は激しいはずだ。

距離を詰める。

武器と力の差だった。

太刀が、剣とかち合う。

力任せに振り抜いた。

少女の頬を浅く斬る。

しかし、それでも怯まず懐に潜り込んできた。

膝で蹴り上げる。

もう体力もないのか、まともに入った。

片脚を掴み、持ち上げる。

 

 

「防げよ」

 

 

遠心力で力任せに叩きつける。

一度、二度。

防ぎきれなくなったか、頭部を防いでいた腕が伸びている。

三度目。

顔面から直撃させた。

急に重くなった。

意識はすでにないようだ。

 

 

「戦利品だな」

 

 

一瞥して、馬車の中に投げ込んだ。

太刀を握り、次に備える。

視界は、頼りにならなかった。

馬車を離れる訳にはいかず、待つしかない。

絶影二号の嘶きが聞こえた。

そちらは大丈夫なはずだ。

 

剣が、目の前に転がってきた。

 

 

「待ってください」

 

 

何も持たず走り込んできた女が、必死の形相で跪いた。

 

 

「無礼を働きました。重ねて、無礼を承知で頼みます。あなた様から剣を引きます。どうか、先ほどの者を返していただけないでしょうか」

 

「断る。貴様らを全員殺すまで、剣は収めんぞ」

 

 

女が剣を取り、馬車に投げつけた。

男の悲鳴がした。

振り返ると、荷台に取りつこうとした男を殺したのだということが分かった。

 

 

「あの女は」

 

「我らは江賊です。そして、その中心となる者があの娘です」

 

「頭領か」

 

「はい。あの者に勝てる者は、我らにはいません。そしてあなた様は勝たれました。もはや、勝てるとは思いません」

 

「臆病者め」

 

「我らは卑しい賊です。統率なくては、遠からぬうちに滅ぶでしょう。出来るのは、あの者だけなのです」

 

「では、俺は正義の味方かな」

 

「可能な限りの償いをさせてください。この時期の雨は、まだ暫く続きます。我らの住処に案内させてください。衣食住の心配はさせません」

 

「俺の言いたい事は分かるな」

 

「あなた様の信用のために出来ることを教えてください。それで」

 

 

雨の止む気配はない。

紗羅は太刀を収めた。

 

 

「ならば一つ。俺の荷には手をだすな。陳宮という者が、馬車の中にいる。それが俺の荷だ」

 

「必ず。しかし、これでは口約束です」

 

「破れば、お前らを殺せばよい。案内せよ」

案内された住処は川の近くで、廃屋の様な外見をしていた。

中に入ると、散らかってはいるが、生活の場があり、一部雨漏りしている部分もある。

粗末だが、外に厩舎もあった。

馬はそこに繋いでいる。

この江賊たちは、馬を持たぬため使っていなかったようで、すぐに修繕すると言っている。

 

気絶した女は、紗羅が担いでいる。

その状態で入った時は、ぎょっとした顔と殺気を向けられた。

陳宮は気丈に振舞っていたが、喬が意外に胆力をみせ、落ち着いた様子だった。

 

案内された部屋は大き目の部屋である。

しかし、その少女含め合計四人で入るには狭く感じる。

部屋の寝台に、気絶した少女を降ろした。

服を脱ぎ、渡された布で体を拭く。

身体は、やはり冷えていた。

火も無いと、余計に寒い。

少女の服を脱がす。

 

 

「あの」

 

「こいつは、俺が面倒を見る。信用した訳ではないからな」

 

 

人質を簡単に返す訳にはいかない。

それを悟ると、女は曇った顔で出て行った。

 

服を脱がせ、身体を拭いていく。

やはり冷えている。

そのせいか、身体は強張っているように固い

拭き終ると、掛け物をかけて自分も倒れ込んだ。

陳宮は顔を真っ赤にして何かを言って、身体に手の平を当ててきた。

熱い。

しかしそれ以上に眠かった。

叫びと共に突き飛ばされる。

自分は眠っていたのか、よく分からなかった。

 

 

「貴様は!」

 

「怒鳴るな、煩い」

 

 

掛け物で前を隠し、片手で紗羅の太刀を構えている。

 

 

「それは、俺の得物なのだがな。名は?」

 

「周泰!」

 

「ほう」

 

 

紗羅の目に獰猛さが宿った。

 

 

「名は、紗羅と言う。字は竿平。お前の字も聞いておこう」

 

「……幼平だ」

 

 

――後の英傑か。こんな所で。

 

良い眼をしている。

怒りの形相が幼い虎の様だ。

困惑と羞恥が、さらに怒りを呼んでいる。

まだ飛び掛かってこないのが不思議な位だった。

 

 

「お前は一度俺に負けた。殺し合いでな」

 

「それがどうした」

 

「意志を持て、と言っているのだ」

 

「私はこうして生きてきた。こうする以外の生き方は忘れた」

 

「困惑のままに剣を向けるな。殺される方が報われん」

 

「何を」

 

「敵なら、殺せ」

 

 

周泰も陳宮も喬も、驚きで固まっていた。

さきほどの女が駆け付け、剣を抜いた。

後ろに、同様に剣を抜いた数人が付いている。

 

 

「手を出すな」

 

 

周泰が、低めの声でそう言った。

視線は、紗羅から離れてはいない。

女が斬りかかってきた。

それに釣られて、残りの者も殺到してくる。

紗羅が手を払った。

皆が、見えない何かに弾き飛ばされたように吹っ飛んだ。

 

 

「妖術使い」

 

「そうだ。お前は、来なくていいのか」

 

「本当は、名前も覚えてない。私は誰一人として覚えてない。私はただここに居ただけで、仲間と呼べるものではないのです」

 

「急に大人しくなったな」

 

 

周泰が、痣だらけの顔を赤らめた。

すでに殺気は無い。

太刀を収め、差し出してきた。

 

 

「どうすればいいのか分からない。自分がどうしたいか、あなたをどうすればいいか」

 

「幼平」

 

「はい」

 

「それはお前にくれてやろう。銘は『魂切』という」

 

 

周泰の顔が驚きに染まった。

彼女の手首を取り、寝台に押し倒す。

 

 

「あの、えっ」

 

「力で押さえることが、乱世の習わしよ」

 

 

雨はまだ降り続いている。

全てを掻き消してくれる、と紗羅は思った。

あとがきなるもの

 

最近TINAMIでランキングを知りました。二郎刀です。TINAMIの機能まだ分かってない部分が多いです。ラウンジとかあるんですね。使い方はよく知りませんが。コラボレーションとか面白そうですね。小説を書きあっていくみたいな。やっぱり使い方よくわかりませんが。

 

では本文を。

 

やっちゃったよ。原作キャラでもないのに原作キャラとやっちゃったよ。オリキャラが原作キャラとやるのって大丈夫なのかね・・・・・・まあいっか! この外史人気ないし! しょっぱなが躓いたんだぜえ・・・ってこんな話をするのもう何回目でしょうか。最初書き始めた時はこの作者様みたいに書きたいなっていうのがあったんですよ。自分には無理でした。無理しちゃ駄目。本気で書き直そうかって思ってはいるんですが、一度出したものなんでそれはどうなの?って思いもあるんです。ぶっちゃけめんd(ry

まあそういう思いもある訳で。悩みますね。自分としては泥臭いものを書いてみたいのですが。

 

 

さて、

 

明命賊時代。

 

です。キャラ改変ですね。原作では確か昔から武一辺倒だったとか呉の武官だったとか。それは亜莎でしたっけ?まあ似たような物だったと記憶しています。

 

言葉使いはまだぎこちない感じです。

明命が原作通りの言葉使いになるのはもう少し先ですかねー。明命の魂切ですが、小説ではたしか反りが無いとか直刀だとか書かれていましたが、もう反りが~と書いた後だったので手遅れでした。でも恋姫たちの戦闘の立ち絵って武器しなってますよね。

 

愛紗=関羽=青竜偃月刀=金属製=82斤=約20キロ

 

それがしなるほどの力で振り回すとどれくらいの威力なんでしょうね。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恐ろしいですね。

 

 

しなっても耐えられる耐久力を持つ金属。それを振るう怪力。やべー。きっとそういう作りをしている外史なんですね。外史って言葉って便利。

 

 

では今回の話はどうでしたでしょうか? 少しでも楽しんで頂ければ幸いです。


 
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