No.607327

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 648

soranoさん

第648話

2013-08-10 08:24:56 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1133   閲覧ユーザー数:1065

~太陽の砦・最奥~

 

「……よし………!」

「ハッ………賭けは俺達の勝ちだな!」

「大人しく投降しなさい!」

地面に膝をついているヨアヒムを見たロイドは声を上げ、ランディは口元に笑みを浮かべ、エリィはヨアヒムに命令した。

「クク………やれやれ。………一つ教えてあげよう………知っての通り”グノーシス”の効能は単純な身体能力の強化などではない………感応力の強化、引いては服用者の潜在能力を引き出すものだが………その使い方を極めれば……こんな事もできるのさ………!」

一方地面に膝をついているヨアヒムは溜息を吐いた後、凶悪な笑みを浮かべて説明し

「ハハハハハッ!!」

なんとクラフト―――魔眼を使ってロイド達の身体の動きを止めた!

「な…………!?」

「なんだコイツは!?」

「く、空間が………呪縛されている………!?」

身体が動かなくなったロイドとランディ、ティオは驚き

「こ、これって……ワイスマンの”魔眼”………!?」

「馬鹿な………どうやって!?」

「何で使えるの~!?」

見覚えのある技にエステル、ヨシュア、ミントは驚いた。

「クク――――そちらの3人とティオ・プラトー、そしてレン・ヘイワーズは随分と興味深い体験をしているようだな。”リベル=アーク”に”影の国(ファンタズマ)”か………」

そしてヨアヒムは口元に笑みを浮かべて呟き

「こいつ………あたしたちの記憶を!?」

「まさか………そこから再現したのか!?」

ヨアヒムの言葉を聞いたエステルは驚き、ヨシュアは驚きの表情で叫び

「ワイスマン…………ほう、これはなかなか共感を覚える人物のようだ。『身喰らう蛇』の情報も思っていた以上に興味深い………フフ……なかなか愉しませてくれそうだ。」

エステル達の情報を読み取っていたヨアヒムは笑い

「……………………」

「くっ……………こんなヤツに………」

「む~……………!」

ヨシュアは真剣な表情でヨアヒムを睨み、エステルとミントは悔しそうな表情でヨアヒムを睨んでいた。

「クク……賭けは僕の勝ちだ。―――さっそく君達には”グノーシス”を飲んでもらうよ?そうすれば君達は僕の思うがまま………キーア様も納得してお戻りになって頂けるだろう。」

「てめえ………!」

「そ、それが狙いで私達をここまで………!?」

そしてヨアヒムの話を聞いたランディとエリィは驚いた後ヨアヒムを睨み

「クク、君達のような愚物にどうしてわざわざ面会の時間を割いたと思っている?全てはキーア様のため………それ以外の理由がどこにあるというんだい!?」

「………あ、あなたは………」

睨まれたヨアヒムが叫んだ言葉を聞いたティオはヨアヒムを睨んでいた。

「………そこまでの力を手に入れておきながら………その上、キーアに拘る理由が一体どこにあるんだ………?」

その時考え込んでいたロイドはヨアヒムに疑問を投げかけ

「ほう………?」

ロイドの疑問を聞いたヨアヒムは興味深そうな表情でロイドを見つめた。

「彼女が本当に500年前の時代の出身だったとしても………あくまで普通の女の子であるのは変わらないんじゃないのか………?それだけの力を手に入れながらどうしてキーアに拘る……?」

「た、確かに………」

「根本的な疑問だね………」

ロイドの疑問を聞いたエリィとヨシュアは頷いた。

 

「クク、言っただろう。彼女は”神”となる御方………キーア様の前には、この力など比較するのもおこがましいだろう。いや、クク………そもそも比較すること自体、意味が無いとも言えるのかな………?」

「ワケの判らねぇことを………」

「本当に………誰かさんにソックリだわ………」

「そうだよね~。」

ヨアヒムの言葉を聞いたランディはヨアヒムを睨み、エステルとミントは呆れていた。

「まあいい………この際だから聞いておく。――――どうしてキーアは競売会の場にいたんだ?」

その時ロイドは真剣な表情でヨアヒムに尋ね

「…………………………」

尋ねられたヨアヒムは何も答えず、黙り込み

「確かにそれも………まだわかっていないわね……」

「マフィアの方でも……心当たりが無いそうですが………」

ロイドの質問を聞いたエリィとティオは考え込んでいた。

「………続けて聞くぞ。俺の兄―――ガイ・バニングスを殺したのはあんたか………?」

「ほほう………そうか、そうだったのか!なるほど………2人きりの兄弟………歳の差は10近く……兄の殉職後はクロスベルを離れ再び戻ってきたというわけか………はは―――これは傑作だ!まさか君があの厄介な男の弟だったとは………!」

そしてロイドの疑問を聞いたヨアヒムはロイドの記憶を読み取って興味深そうな表情をした後笑った。

「………それは肯定の言葉と受け取っていいのか?」

「フフ、確かに当時、彼は僕の存在に迫っていた。厄介だからルバーチェに頼んで抹殺するよう依頼したんだが……どうやら殺したのは全く別の勢力だったようだな。3年前、マルコーニはさも自分達の手柄のように僕に恩を着せてきたが………ガルシアの方は否定していたからその可能性は無いだろう。」

「なるほど………だろうと思ったよ。―――あんたみたいな男に兄貴が負けるとは思えないからな。」

自分の疑問に答えたヨアヒムの説明を聞いたロイドは頷いた後口元に笑みを浮かべ

「!!ほう………面白い事を言うじゃないか。」

ロイドの言葉を聞いたヨアヒムは目を見開いた後、ロイドを睨んで呟いた。

「キーアが競売会の場にいた経緯………多分それも、あんたにとっては想定外の出来事だったはずだ……自らが”神”と崇める存在を簡単に手放すわけがないからな………」

「………確かに……」

「余りに非合理的ですね………」

ロイドの推理を聞いたエリィとティオは頷き

「……くっ………確かにあの日………キーア様は永き眠りからようやくお目覚めになった………だが、僕がそれを知った時にはこの祭壇から居なくなっていた……おそらくご自分で地上に彷徨い出たと思ったが………」

ヨアヒムは唸った後考え込んだが

「そして偶然、出品予定だった人形のトランクに入り込んだ………?―――馬鹿げている。そんな事がありえる訳がない。”黒月”にもたらされた情報もある。つまり―――今回の事件に関しては黒幕であるあんたも知らないことが少なくないという事だろう。」

「ぐっ………」

ロイドの指摘を受けて悔しそうな表情をし

「はは………良いツッコミだぜ!」

「ロイド君、凄い!」

「さすがは捜査官だね……」

ランディとエステル、ヨシュアはロイドを称賛した。

 

「だ、だからどうした!キーア様がお戻りになればそのような瑣末な疑問は―――」

そしてヨアヒムが狼狽えた様子で答えかけたその時

「”真なる叡智(グノーシス)”?冗談も大概にしたらどうだ………?あんたが今していることは、誰かの記憶を盗み見て、誰かの力を真似ただけだろう………あんたが非道な実験を元に完成させた薬とやらも同じ………罪も無い子供達を弄んで愚かな試行錯誤を繰り返した挙句、偶然見つけた結果でしかない………そんなものが断じて”叡智”であるものか……!」

ロイドは笑った後ヨアヒムを睨み

「き、貴様………」

ロイドの言葉を聞いたヨアヒムは怒りの表情でロイドを睨んだ。

「確かに”叡智”というには下劣すぎるかもしれないわね………」

「………卑しいと言ってもいいかと思います。」

「全くだぜ。同じ”叡智”で呼ばれているルファディエル姐さんの異名が穢れるぜ。」

ロイドの言葉に頷いたエリィはヨアヒムを睨み、ティオとランディは呆れた表情で見つめ

「ごめん、ワイスマンの方が遥かにマシだったかも……」

「ああ………僕も同感だ。」

「ミントも。」

エステルは呆れた表情で答え、エステルの言葉にヨシュアとミントも頷いた。

 

「そして今もなお………あんたはその下らない幻想をキーアに押し付けようとしている。あの陽だまりのように明るくて、無邪気で天真爛漫で……そして思いやりのある俺達の大切なあの子に……!」

そしてロイドは怒りの表情でヨアヒムを睨んで呟いたその時

「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」

なんと全身からすざましい気を発してヨアヒムの魔眼の効果を打ち砕き

「――――そんな馬鹿げた事をさせるものか!!」

大声で叫んだ!

「ば、馬鹿な………」

それを見たヨアヒムは信じられない表情をし

「あ……」

「身体が………動くぜ!」

「呪縛が………解けた………!?」

「そうか……彼の”魔眼”は所詮コピーしただけのもの…………動揺すれば保てない程度の不完全なものだったのか………!」

「ロイド君の気合いがブチ破ったってわけね………!」

「凄い!まるでママみたい………!」

「フフ、どうやら私達の力は必要なかったようですわね………」

「ええ……………」

呪縛が解けたエリィ達は次々と立ち上がった!

「うふふ。それともう一つ、あなたは勘違いしているわ、ヨアヒム・ギュンター。教団(あなたたち)は必死で空の女神(エイドス)の存在を否定しているようだけど………かつて存在し、今も空の女神(エイドス)は生き続けている事をあなたたちは自分達が手に入れた”真なる叡智(グノーシス)”で証明してしまっているのよ?」

そして立ち上がったレンは余裕の笑みを浮かべて呟いた…………

 

 

 

次回は恐らく期待していた展開が待っています♪………感想お待ちしております。


 
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