No.606565

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 636

soranoさん

第636話

2013-08-08 11:57:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:954   閲覧ユーザー数:900

探索を続けたロイド達は牢屋らしき場所に到着した。

 

~太陽の砦~

 

「あ……!」

「もしかして……行方不明になった?」

牢屋がある場所に到着し、牢屋の中に閉じ込められている一般人達を見たロイドとティオは声をあげた。

「あ、あんたたちは……!」

そして牢屋の中に閉じ込められている一般人の一人―――ガンツはロイド達に気付いて振り向き、ロイド達を見つめて驚いた。

「ガンツさん………ご無事で何よりです。」

ガンツを見たロイドは安堵の表情で言った。

「警察の兄ちゃんたち………!た、助けに来てくれたのか!?」

ガンツは希望を持った表情で尋ね

「ほ、本当に!?」

「あたしたち、出られるの!?」

ガンツと同じ牢屋に閉じ込められている市民達もガンツの言葉を聞いて希望を持った表情になった。

「それは………」

ガンツ達にどう答えるかロイドは悩み

「………とにかく扉だけでも開いてしまいましょう。」

悩んでいるロイドにエリィは提案し

「どうやらあれが扉の開閉装置みたいだね。」

「向こう側にもあるからとっとと開けちゃいましょ!」

「ああ!」

牢屋の開閉装置らしきレバーを見つけたヨシュアとエステルの言葉にロイドは頷いた後仲間達と共にレバーに近づいてレバーを降ろした。すると牢屋の扉は全て開き、ロイド達は嬉しそうな表情で牢屋から出てきた市民達にすぐに脱出できない事を説明した。

 

「す、すぐには出られない!?」

ロイド達の話を聞いたガンツは信じられない表情で叫んだ。

「………すみません。自分達も敵の目を盗んで何とか潜入している状態です。」

「魔獣や操られたマフィアがあたりをウロウロしている………この遺跡もそうだが街までの安全も保障できねぇ。」

「しばらくここで救援を待っていただく方がいいかと。」

「そ、そんな………」

「ああっ………どうしてこんな事に………」

ロイド、ランディ、ティオの説明を聞いたサーベルバイパーの少年は信じられない表情をし、アルカンシェルの劇団員は嘆いた。

「じきに混乱が収まれば警官隊も駆け付けると思います。どうかそれまでご辛抱を。」

「遊撃士協会も全面的に事態の収拾に協力しています。」

「みんなの事は絶対に助けるからどうか安心して!」

「わ、わかった………」

「私達も出来るだけの協力をさせてもらおう………!」

そしてエリィ、ヨシュア、エステルの言葉に市民達は希望を持ち、力強く頷いた。その後ロイド達は探索をさらに続け、別の牢屋がある広間に到着した。

 

「ここも牢屋か……」

「ここは誰もいないようだね?」

牢屋がある広間に到着したロイドは呟き、ミントは不思議そうな表情で呟いた。

「いえ――――」

「あら……」

その時何かに気付いたティオがジト目である牢屋の方向を見つめ、レンは意外そうな表情でティオと同じ方向を見つめた。すると

「だ、誰かいるのか………!?」

2人が見つめた方向から男性の声が聞こえ、声を聞いたロイド達が見つめるとそこには

「マルコーニ会長………!」

なんとマルコーニを始めとしたルバーチェのマフィア達が数人牢屋の中にいた。

「え………あの”ルバーチェ”の!?」

「何故”ルバーチェ”のトップがこんな所に……」

ロイドの言葉を聞いたエステルは驚き、エクリアは驚きの表情でマルコーニ達を見つめた。そしてロイド達はマルコーニ達の牢屋の前まで移動した。

 

「お、お前達どこかで見たような………」

目の前まで来たロイド達を見つめたマルコーニが不思議そうな表情をしたその時

「お、お前らは………!?」

「特務支援課のガキども……!」

「それに”殲滅天使”までいやがる………!」

マフィア達は驚きの表情で叫んだ。

「なに………!?”黒の競売会(シュバルツオークション)”を台無しにした上、こちらの戦力の4割を使い物にならなくした連中だと!?」

マフィア達の叫びを聞いたマルコーニは驚き

「クスクス。たかが地方組織如きがレンの事を知っているなんて………レンも有名になったものね♪」

マルコーニの言葉を聞いたレンは小悪魔な笑みを浮かべ

「絶対良い意味での有名じゃないでしょう、あんたの場合は。………悪名高いって言った方がいいんじゃないかしら?」

「アハハ………」

エステルは溜息を吐いた後ジト目でレンを見つめ、エステルの言葉にミントは苦笑していた。

「別に台無しにするつもりはありませんでしたが………」

「いずれにしても自業自得ではないかと。」

一方ロイドは溜息を吐き、エリィは厳しい表情で指摘した。

「ええい、黙るがいい!お、お前らのせいでわしは議長の機嫌を損ねて危ない橋を渡る事に………す、全ては貴様らのせいだ!」

ロイド達の言葉を聞いたマルコーニはロイド達を睨み

「物凄い責任転嫁っぷりね……」

「この後に及んで悪あがきとは………下らない連中ですわ。」

「ヨアヒム氏と共謀していた訳ではないと言い張るつもりですか?」

マルコーニの様子を見たエステルは呆れ、フェミリンスは蔑みの表情でマルコーニ達を見つめ、ヨシュアは真剣な表情で尋ねた。

「も、もちろんだとも!”グノーシス”……ま、まさかあんな恐ろしい薬だったとは……」

ヨシュアの疑問にマルコーニは力強く頷いた後表情を青褪めさせ

「さ、最初は潜在能力を高める薬という話だった……”黒月”と”ラギール商会”の襲撃も成功して皆、競い合って服用したが………」

「昨日の夜、服用した連中の様子が全員おかしくなってしまって………そ、それでこんな事に………」

「………それどころか……化物みたいになったヤツも………」

「おお女神(エイドス)よ………!我等の罪をお許しください………」

マルコーニに続くようにマフィア達は事情を説明した後祈った。

 

「………なるほどな。」

「大方、睨んだ通りですね。」

「…………………………………」

事情を聞いたランディは頷き、ティオは真剣な表情で呟きロイドは考え込んでいたが

「こ、これでわかったろう!ワジも被害者の一人なのだ!とっととここを開けて安全な場所に連れて―――」

「――――ふざけるな!」

「な……!」

胸を張り、口元に笑みを浮かべて語るマルコーニを睨んで怒鳴り、マルコーニを黙らせた。

「元凶は確かにヨアヒムだろう!だが、あんたたちに責任が無いと言わせるものか!市民達に薬を流したのは他ならぬあんたたちだろうが!?」

「そ、それは………」

ロイドの言葉を聞いたマフィアは口ごもった。

「………その狙いもわかっている。”グノーシス”に危険が無いか市民を使ってテストしたんだろう。あわよくば販売ルートを確保して、抗争後には広めようとすらした……違うか――――!?」

「ぐっ………」

ロイドに睨まれたマルコーニは唸り

「…………………」

「……さすがにやりすぎだったかもな………」

マフィア達は肩を落としたり、後悔していた。

「………今度ばかりは貴方がたをかばう議員は現れないでしょう。ハルトマン議長に至ってはヨアヒム氏との関係について幾つもの疑惑が持たれています。もう後ろ盾は無くなったと覚悟した方がいいでしょうね。」

「ぐぐぐぐぐぐ………」

そしてエリィの話を聞いたマルコーニは悔しそうな表情で歯ぎしりをした。

「ま、それはともかく………ガルシアのオッサンはどうしたんだ?てっきり一緒に捕まってるものと思ったが……」

一方ランディは目を細めて尋ね

「………若頭は最後までヨアヒムに抵抗していた………」

「だが、化物になった仲間達に力ずくで抑えこまれて……」

「その後は見かけていない………」

「フン………そうか。」

マフィア達から話を聞き、頷いた。

 

「………ちょっと心配ですね。」

「うーん、確かに………―――ねえ、ロイド君。この牢屋の扉、どうするつもり?」

ティオの意見に頷いたエステルはある事に気付いて真剣な表情でロイドに尋ね

「なっ………」

エステルの疑問を聞いたマルコーニは驚いた。

「このままにしておいたらちょっと危険な気もするし………かといって扉を開けたら逃げられちゃうかもしれないし。」

「……ああ。」

「正直、難しい判断だと思う。僕達は君の判断に従うよ。さすがに遊撃士が守るべき民間人とは言いにくいからね。」

「うふふ、それならいっそここで始末するのはどうかしら?今までの犯罪を考えると処刑されてもおかしくない罪も重ねているでしょう?」

「そうですわね…………確かにそれは一理あるかもしれませんわ。」

大鎌を出してマルコーニを見つめるレンの言葉に頷いたフェミリンスは膨大な聖気を纏った槍をマルコーニ達に向け

「ヒッ………!?」

「け、警察の前で殺人を犯す気か!?」

レンとフェミリンスに視線を向けられたマルコーニは悲鳴を上げ、マフィア達は慌て出し

「うふふ、レンの事を知っているなら当然知っているわよね?レンがメンフィルの皇女である事も。レンは今、教団に繋がっている者達の拘束及び討伐の任務についているから、警察に指摘されても大丈夫よ♪それに今のこの状態で貴方達を殺した所で、ここにいるみんなが秘密にすれば誰にも犯人はわからないわ♪今まで犯罪を隠蔽して来た貴方達のように………ね♪」

「”因果応報”という言葉の意味をその身に教えて差し上げましょうか………?」

「………………………」

「た、頼む!ど、どうか命だけは………!」

不敵な笑みを浮かべて自分達を見つめるレンと静かな表情で武器を構えているフェミリンスの言葉を聞き、表情を青褪めさせると共に身体を震わせたり命乞いをしていた。

「レ、レンちゃん。それは幾らなんでもあんまりだよ。フェミリンスさんも止めてあげて。」

「クスクス。ちょっとした冗談じゃない♪」

「そうですわ。このような者達の血で我が神槍を穢したくありませんもの。」

その時、ミントは冷や汗をかいた後2人を諌め、諌められた2人は武器を仕舞い

「レンさん達の場合だと冗談に聞こえませんよ………」

ティオはジト目でレン達を見つめた。

「…………………………………」

一方ロイドは考え込んだ後近くにあるレバーを降ろしてマルコーニ達の牢屋の扉を開いた。

「は、ははは………!」

「おお……!」

「お、恩に着る……!」

ロイドの行動を見たマルコーニ達は明るい表情をし

「ロイドさん………」

「やれやれ………甘いねぇ。」

「ふふ………仕方ないわね。」

ティオは驚き、ランディとエリィは苦笑し

「うふふ。エステルみたいに甘すぎね。」

「あんですって~!?それはどういう意味よ!」

「まあまあ………」

レンは口元に笑みを浮かべ、レンの言葉を聞いたエステルはレンを睨み、ヨシュアはエステルを宥めていた。

「………あくまで緊急措置だ。それに、丸腰で脱出できるほどこの遺跡の魔獣は生易しくはない。大人しく警察の救出を待った方が身のためだと思いますよ。」

「フ、フン!ワシに指図するな!これで貴様らも用済みだ!とっとと行ってしまえ!」

ロイドの警告にマルコーニは鼻を鳴らした後ロイド達を睨んで怒鳴り

「………行きましょう。」

エリィはロイドに先を進むよう促した。

「いや……その前に一つだけ確かめたい事があったからそれをここで確かめておくよ。………マルコーニ会長。一応、聞いておきます。これに見覚えはありますか?」

促されたロイドは首を横に振った後マルコーニの目の前に傷ついた警察徽章を見せた。

「警察のバッジ………?どこかで見たような……!!!そ、それはあの忌々しい捜査官の……!ど、どうしてお前達がそれを持っている!?」

警察徽章を見つめたマルコーニは不思議そうな表情をした後目を見開いて叫んだ。

 

「………それはこちらの台詞です。このバッジを持っていた捜査官………やはり貴方たちが始末したんですか?」

「さ、さあな。何のことやらサッパリ………フン、お前達も調子に乗っているとそいつと同じ目に遭うかもしれんぞ?少しは自分達の立場を弁えて我々に配慮を―――」

ロイドに尋ねられたマルコーニは誤魔化そうとしたが

「………………………(ギッ)」

「……ひっ………わかった、正直に言う!あのガイという捜査官を殺ったのはワシらではない!た、確かに色々嗅ぎ回って恐ろしく厄介な相手だったから始末するつもりだったが………その前に、どこぞの連中に先に殺られてしまったんだ!そのバッジはウチの人間が現場から持ち去った物にすぎん!」

ロイドに睨まれて悲鳴を上げた後答えた。

「……………………………」

「本当……なのかしら?」

「……嘘を言っている気配は感じられません。まあ、そう装っているだけかもしれませんが。」

マルコーニをロイドは厳しい表情で黙って睨み、エリィは考え込み、ティオは答えた後ジト目でマルコーニを見つめた。

「しかし、それが本当なら他人が殺った標的の遺品を手に入れて悦に入ってたってことか。なかなか良い趣味してんな、ルバーチェの会長さんよ?」

ランディは呆れた後目を細めてマルコーニを睨んだ。

「ぐうっ………と、とにかく本当にワシらが殺ったのではない!そ、そうだ………ヨアヒムが殺ったに違いない!あの捜査官、ワシらの他にヨアヒムのことも探っていたそうだからな!」

「兄貴が………?」

「そんな昔から今回の黒幕をマークしていたのか………」

「ロイド君のお兄さん、すっごく優秀だったのね………」

「……………………」

マルコーニの説明を聞いたロイドは驚き、ヨシュアとエステルは感心し、レンは真剣な表情で考え込んでいた。

「………………いずれにせよ、その辺りの真偽は黒幕を追い詰めればわかることだ。………時間を取らせた。みんな、先に進もう。」

「ええ………!」

その後ロイド達は探索を再開し、奥に向かって進んで行くと聞き覚えのある声が聞こえてきた………


 
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