私は妹たちと話をするのが得意じゃない。

けれども、最近ではその悩みが少し解消されつつある。

それもこれも、あのゲームのおかげ。

共通の話題があるっていいものね。

「ねえねえ、ロムちゃん！三ヶ月目の初日なんだけどさっ。」

ロムとラムが楽しそうにお喋りをしている。

いつも仲良しな二人の会話に、とてもじゃないけど割り込んではいけない。

だけれど、今までの私とは違う。

二人の会話についていくために、あのゲームをあらゆる選択肢を試してプレイしている。

もちろんちょっとしたヒントや情報も見逃さない。

おかげですっかりゲーム漬け。

けど、そのおかげで本編の攻略に関しては完璧のつもり。

どうやら二人の話題は三ヶ月目の初日のことについてみたいだから、会話に加わるチャンスね。

「三ヶ月目の初日のイベントのことを話してるの？」

「うん、そうだよ。お姉ちゃんはあそこ分かった……？」

「分かるわ。」

「えーっ！助かったぁ。私もロムちゃんも謎解きが解けないんだもーん。」

二人とも私を暖かく迎えてくれる。

なんだか幸せな気分。

「ゴホン……あそこのイベントはだな」

「うんうん！」

ロムとラムは身を乗り出して私の言葉を待つ。

こんなに私の言葉が熱望されるなんて嬉しい……

よっしゃ！気合入れて説明するぜ！

「ルウィーでの会議の後にシェアクリスタルが盗まれるイベントが発生するよな？

　その日のゲイムギョウ界のシェアについてだけど、

　ルウィーの占有率が50％以上なら発生、それ以下なら次回に持ち越されるんだ。

　そのあとはシェアクリスタルの捜索イベントになるんだけどよ。

　そういや、いつも外にある雪だるまがその日はミナが立ってる影に隠れて見えなくなってるだろ？

　何か重要な意味があると思ったんだけどな。

　虫眼鏡モードで散々調べたんだけど『なにもない』って出てきやがる。

　そこで発見したんだけど『なにもない』ところを五十回調べると、

　『あなたもひまじんですね』なんてコメントが出るんだよな。

　百回調べると『裏モード』に入ることができて、そんで……」

「お、おねえちゃん……」

なに？まだここからが本番なのに。

「す、すっごく参考になったよっ！ありがとう！」

「えっ、でもまだ…」

「やっぱ謎解きは自分で攻略しないとね！お、教えてくれたことを参考にして頑張ってみるから……

　じ、じゃあロムちゃん、部屋に戻ろっ！」

「う、うん……」

ラムがロムの手を取ると、なんだか焦ったように出て行った。

……あっ、もしかしたら私の話を聞いてゲームの続きが気になって、

いても立ってもいられなくなったのかもしれない。

可愛い妹たちからあんなにお礼を言われるなんて……

嬉しい。

妹たちから頼りにされるってなんていい気持ちなんだろう……

よし、私もあとでゲームの続きをしよう。

今日はベールとのお茶会イベントを徹底的に調べあげるわ。

「ねぇ、ラムちゃん……シェアクリスタルを盗んだ犯人を教えてもらうんじゃなかったの……？」

「それを言わないでよぉ……ロムちゃん……」