No.60594

林檎の実を食べた魔女

EP4お茶会後のベアトリーチェのお話。あのベアトリーチェにせめて最後に救いをと思い作りました。
ある大魔女は林檎をある魔女に差し上げました。

その林檎は大層美味で、魔女は夢中になって食べました。
だけど、その後、魔女は白雪姫の様に暗く、深い眠りについてしまいました。

2009-02-27 21:23:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1377   閲覧ユーザー数:1278

 

「……………終わらして…、………。………この苦痛から、………解放して…………。」

 

 

ある大魔女は林檎をある魔女に差し上げました。

その林檎は大層美味で、魔女は夢中になって食べました。

だけど、その後、魔女は白雪姫の様に暗く、深い眠りについてしまいました。

 

 

『林檎の実を食べた魔女』

 

 

「……………私は、だぁれ…?」

 

そんな事を言った後、私の意識は徐々に薄れて行った。多分…、あの後…青で戦人は自分の正体を言ったのであろう…。

 

 

もう今、どこに居るのかわからない、もしかしたら、死んだのかもしれない。いや…、私は戦人に殺されたのだ。そして…、死んでいる筈なのだ。

 

だけど、暖かい『何か』に触れてるみたいで、とても心地良い…。

 

死への孤独さを感じない、そんな、暖かな物。

 

『何か』が何かは解からなかった。

 

 

だけど、安心できた。

 

 

このまま、死ねると言うなら、今の私にとって最高の幸福かもしれない。

だって…、私の罪はもっと重いはずなのだから…、この死に方が…一番幸福で……、申し訳ないぐらいだ。

 

 

師匠…、ガァプ…、ロノウェ…、七杭…、シエスタ…、山羊達・・・、いっぱい迷惑かかっちゃったなぁ…。……ごめんなさい。

 

真里亞…、約束を護れなくて…、ごめん…。

 

戦人の妹の縁寿だっけなぁ…、ごめんなさい…、もう、お前の兄はお前の場所に帰るからな…。

 

 

そして…、戦人…。お前と一緒に…、遊べて…楽しかった……。

もう、私から離れても良い…、お前は自由だ。

妹の所にで戻るが良い・・・、本当に…私の…我が儘を…聞いてくれて…………、

 

 

 

……ありがとう……。

 

 

 

 

一緒に……、動物園………、行きたかったなぁ………。

 

 

 

「……っ?!」

「おい、動くなよ?怪我してるんだから」

何故か、自分の前に居ないはずの男が、目の前に居た。しかも…、自分の怪我を手当てしているのだ…。

私は死んだはずなのだ、私は……最後の最後に…夢でも見ているのであろうか……?

 

「ったくよぉ…、あんな所で寝ちまうか?失血死するんじゃないかと思って部屋に連れて来たんだが…」

「何故…、こんな所に…お前が……、さっさと……見捨てれば良かったのに…」

と言うと、戦人がぷっと吹き出してから言った。

「馬鹿か、例え誰であっても、あそこで女放り出して、家に帰る男がいるか?

 そんなので、家に帰っても縁寿とや親父や霧江さん…、天国の母さんにも会わす顔がねーや」

 

「……くくっ!」

「何笑ってるんだよ?!」

「いやな…、妾はこんな馬鹿な男に惚れていたのかと思ってな……」

「?、なんて言った」

「今は鈍感なお主が憎い」

「?」

「まぁ、良いとするか…」

 

いきなり、自分の横に二人の人物がすぅ…と現れた。

「リーチェ!大丈夫?!」

「ガァプ…、ベアトは怪我をしてるのです、騒がないであげてください」

「ガァプ……、師匠……」

「あら、お取り込み中だったかしら?」

「ぷっくっく、お嬢様の愛の告白を戦人様が聞き逃したところです」

「ロノウェ~っ?!いつからそこに…っ?!痛っ…!」

「おいおい、いきなり動くなよ~?いっひっひっ、後はこの騎士にお任せください…、なんてな」

「うむ…、では…、後は騎士に任せるとしよう…」

 

心地よい『何か』それは戦人の体温なのか、心なのか、わからないが…、

 

 

私が戦人を愛していると言うのは、…確からしい。

 

まぁ、当分の間は教えてやらないが…、だって…、うんと困らせてから、言った方が数倍楽しいだろ?

 

 

 

 

ある大魔女は林檎をある魔女に差し上げました。

 

その林檎は大層美味で、魔女は夢中になって食べました。

 

だけど、その後、魔女は白雪姫の様に暗く、深い眠りについてしまいました。

 

だけど、大丈夫。白雪姫が王子のキスで目覚めるように、

 

魔女も騎士のキスで…、暗くて、深い眠りから覚める事が出来るのです。

 

Aljan

 

 

 

【HAPPY END?】

 

 
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