No.605437

リリカル龍騎 -深淵と紅狼-

竜神丸さん

プロローグ:交わる物語

2013-08-05 14:13:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2095   閲覧ユーザー数:2051

ある戦士達の戦いが、虚像の世界にて繰り広げられた…

 

 

 

 

 

一人は、契約していた怪物に喰われ…

 

 

 

 

 

一人は、使い捨ての盾にされ…

 

 

 

 

 

一人は、従わせていた手駒に裏切られ…

 

 

 

 

 

一人は、仲間の運命を変えて…

 

 

 

 

 

一人は、復讐で目的を見失い…

 

 

 

 

 

一人は、教え子の裏切りに遭い…

 

 

 

 

 

一人は、手にした幸福が砕け散って…

 

 

 

 

 

一人は、親子を救って英雄となり…

 

 

 

 

 

一人は、姉の仇を討てずに終わり…

 

 

 

 

 

一人は、病魔に負けて約束を果たせず…

 

 

 

 

 

一人は、苛立ちが頂点に達して…

 

 

 

 

 

一人は、誰かを頼れず孤独に死に行き…

 

 

 

 

 

一人は、自分の戦う答えを見出し…

 

 

 

 

 

一人は、最後の戦いに幕を閉じられ…

 

 

 

 

 

一人は、目覚めた恋人に変わり眠りについた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、繰り返されし戦いは終結を迎え…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして何処かで、鏡の割れる音がするのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海鳴市、ある大学…

 

 

 

 

 

「あぁ~…やっと退屈な授業が終わったわ!」

 

「もう、アリサちゃんったら…」

 

ある二人の少女が、大学の授業が終わって帰路についている所だった。金髪でショートカットの少女はアリサ・バニングス、紫髪でロングヘアーの少女は月村すずか、二人は豪華な屋敷に暮らしている金持ちのお嬢様である。普段は大学生として、レポートの作成などで忙しい毎日を送っている。

 

ちなみに彼女達には友人があと三人いるのだが、その事についてはまた後ほどに。

 

「しょうがないでしょ? 私からすれば、大学の授業なんて大してする事が無いんだから」

 

「それで暇だからってノートに落書きって……アリサちゃんのそういうところ、小学生の頃と全く変わってないよね」

 

「ほっときなさい……あ、そうだ」

 

公園の近くまで来たところで、アリサがすずかに提案する。

 

「確か、すずかも今日は暇だったわよね。これから私の家まで来ない? 帰ったら鮫島がお菓子でも用意してくれるわよ」

 

「う~ん……じゃあ行こうかな。レポートもある程度は書き上がってるし」

 

「そう、んじゃ決定ね。近道でも通って行きましょ」

 

アリサの家まですずかも同行する事が決定し、二人はバイングス家へ帰るのに近道となる公園を通って行こうとする。

 

「…あれ?」

 

その時、すずかが何かを発見する。

 

「ん、どうしたの?」

 

「アリサちゃん、あれ…」

 

「え……嘘、人が倒れてる!?」

 

すずかが指差した方向。その先には、砂場でうつ伏せのまま倒れている青年の姿があった。流石の二人もこれをスルー出来るような非情な人間でもなく、二人は青年の下まで駆け寄る。

 

「怪我はして……ないっぽいわね、ただ気絶してるだけみたい」

 

「良かった。でも何でこんな所に…」

 

怪我人ではない事が分かって取り敢えず安心する二人だったが、今度は何故この青年がこんな所で倒れているのかという疑問が生まれる。

 

「…とにかく、一旦私の家まで運ぶわ。この状況で放置なんかしたら何か申し訳ないし、鮫島にリムジンで来て貰いましょ」

 

ひとまず自分の家まで運ぶ事にしたアリサは携帯を取り出し、執事である鮫島に連絡を入れる。その一方ですずかは青年をうつ伏せから仰向けの状態にする。

 

その時だ。

 

「よいしょっと……あれ?」

 

青年が着ているジャケットのポケットから、水色の何かがはみ出ているのが見えた。すずかは何だろうと思って、ポケットからその何かを取り出して見る。

 

「これは…」

 

すずかが取り出した、水色の四角いデッキのような物。

 

 

 

 

 

 

中央には、鮫のようなエンブレムが刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公園から少し離れた距離にある、住宅街。

 

 

 

 

-キィィィン…キィィィン…-

 

 

 

 

突然響き渡る、金切り音。しかし周囲の人達は全く気付かない。

 

『グルルルルル…!!』

 

前日に雨が降っていたのだろうか、道路のあちこちにある水溜り。その水溜りの中で、橙色の狼らしき怪物が人間達を視線に捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来なら交わらない筈だった、二つの物語。

 

 

 

戦わなければ生き残れない。

 

 

 

そんな状況が、異世界で再び起こりだそうとしていた。

 


 
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