No.605098 超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 リーンボックス編2013-08-04 20:22:19 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:594 閲覧ユーザー数:571 |
ゆっくりと息を吸って、吐く。
乱れる思考を制御して、眼前を敵として認識する。
相手はこの国の女神グリーンハートだ。槍撃による超高速連続攻撃、下手に隙を見せてしまえば瞬殺は間違いだろう。
気にすることと言えば、俺の魔力残量とこの場は教会の前、時刻はまだお昼を少し過ぎた時間帯故に何も知らない民間人が沢山いることだろう。
「悪くはしません。紅夜、なにが合ったのかは存じませんがまずは話の場を……」
「……は、お話…?」
鼻で笑う。遠回しに降伏せよサインか?
捕まったら本当に俺は永遠に動くを封じられるだろうな、情報を隠蔽して改変を簡単にできる人がここにはいるのだから。
………もう、相手のご機嫌取りの為に、この国のためとか、女神の為とか、そんなことを言うつもりも思うつもりはない。最初から仮初の自分で、零崎 紅夜が精神が復活すれば、俺はお払い箱でいつ消えるか分からない状況なんだ。今更難しいことを考えても仕方ない。
「デペア、あと何秒だ」
『んー、あと40秒だね』
『
それだけの時間で、リーンボックスを敵に回した状況で何が出来るのか……ま、とにかくネプテューヌ達に向けられる意識をこちらに出来るだけ鮮明に過激に印象を付けることが得策だ。
「話すことなんて、ない」
「ッ、私では、力にならないと?」
「お前は、いつものように部屋でゲームをしていればいい。俺のしていることはただの自殺行為だ」
傷つけたくない。お前を相手にしたくない。
だから、諦めてくれ。自分の手を汚そうとせず、俺を救おう等という考えを捨てて、背を向けて部下に全てを譲ればいい。
息を思いっきり吸い込む。これ以上話すことは無い。
俺の姿は、ドラゴンを模った鎧を纏っている。それは、他人からすればモンスターと勘違いしてしまう姿だ。
そんな俺に遠回しに降伏しろとか言ってみろ反感を買うかもしれない、それはシェアの低下に繋がってしまうぞ。
両手に握りしめた黒曜日を身に纏わせる様に構える。体中に魔力を流し始める。
莫大な魔力は、オーラとなって俺から放出し始め、徐々に地面に亀裂が走り出して、俺は吠えた。
「ーーーゴギャアアアアァァァァァアアァァァァア!!!!!!!!!!!」
爆発。視界が一瞬、黒く染まり地面が弾き飛ぶ。
一気に放出された魔力は地面を粉砕して消し飛ばし、俺を中心に巨大なクレーターを造った。
背一杯の威嚇。それに民衆は、悲鳴を上げた我先にへと逃げ始めた。
目を見れば、警備員は既に逃げて、後に残るのは物騒な装備の軍人たち、恐怖のあまり逃走した民衆の代わりに俺を囲むように軍人が俺に銃口を向ける。
さて、バトル開始だ。内心呟き、黒曜日を構えた時、またベールの凛とした声が空間に響いた。
「私が……私がーーー相手をします」
「な、何を仰っているのです。グリーンハート様のお手を穢すわけには………」
ベールの傍にいた軍人が思わず口を滑らせる。
しかし、それを睨んで黙らせ、ベールはバックプロセッサのブーストを吹かして、俺と目前同じ所に降りた。
俺は言った。もう話すことは無いと、出来るならこの展開を避けたかったが、もう修正は効かない。
黒曜日をベールに向かって構える。悲痛な表情でベールもランスを構えた。
「紅夜、聞いてくださる?」
「…………」
「私、新しいお友達が増えたのですよ。あいちゃんって可愛らしい子が」
「…………」
「一緒に……ケイブやチカも呼んで、パーティーゲームをしたいのですわ……無理、でしょうか」
「…………」
「ーーー紅夜!!!」
手と足の装甲が開く、翼の様な突起物から魔力を放出させ、その推進力を以ってベールとの距離を一気に詰めて、上から黒曜日を振り下ろす。
ベールは、腕に装着されているランスを横に構えてそれを防ぐ。
空気が振動して、俺達を中心に小さなクレーターが出来る。互いの獲物から火花が飛び散る。
「………紅夜、どうして……」
ドクンっ、心臓が高鳴って鋭い痛みが発生した。
ベールの宝石のような瞳から一滴、雫が流れた。
◇
「なに、この修羅場」
頭を抱えた。なにこの展開、紅夜ひとつの存在で物語ってこうもダークな方に進むの?状況が物凄く悪くなっとる!?本来のルートなら貴族側の密偵が、教会に対しての嫌がらせでネプテューヌ達を救出させる流れだったのになんで紅夜とグリーンハートがバトルしてんの!?
いきなり邪神の隷属が空から降ってきて殲滅して、ヤバイと思って急いでゲイムギョウ界に行こうと思ったら、冥獄界との扉が閉じられてこっちにこれなかったし!絶対にあの野郎、許早苗!と思ってきたらこれ!?こ、これどう収拾したらいいの!?
「正にすれ違った主人公とヒロインの血泥な「死ね!!」あふっん!」
いきなり後ろから話しかけてきたナイアーラトホテップを『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』で一刀両断する。
頭から、股間まで接続している部分を残さず切り裂き、横半分に切り開いたが、その切断口から触手が飛び出し絡み合って、くっ付いてナイアーラトホテップは涼しげ顔でニッコリ笑った。
「痛いじゃないですか」
「次はバラバラにして火山に放り投げる」
「ふふ、私が火に弱いからですか?」
「120%正解だ。お礼に肉塊にして適当なカプセルに入れて太陽に封印してやる」
僕達は争っている紅夜とグリーンハートが見えるように、そこらの住宅街の一軒家の部屋にいた。
ここが街の中でなければ、容赦なく『
「私を封印しても第二、第三の私が……!」
「殺塵牙」
高速の剣舞でナイアーラトホテップを微塵切りにした。
ボロボロと欠片となった奴は、地面に落ちていくが、その場でぴたぴたと海から出された魚のように跳ねるナイアーラトホテップの舌が声を発する。
「二度目ですけど痛いじゃないですか。二度目のネタは禁句ですよ?」
「きもい」
ナイアーラトホテップの屍に背を向けて紅夜とグリーンハートの戦いを見る。
気持ち悪いぐらいに、無価値な戦いだ。
紅夜のことを想っているグリーンハートに攻めの姿勢はなく、防戦一方。
しかし、紅夜もグリーンハートのことを想っているのか、攻めているものの決定的な攻撃をしない。
八百長試合でも、これほどひどい物はないよ?これは戦いでもなんでもない。ただ、じゃれているだけだ。
「ところで、どうするつも…あだだだだ!!」
いつの間にか体を復活したナイアーラトホテップが僕の耳元で囁いてきたので、『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を頭に突き刺して、ぐりぐりする。
「元 を 辿 れ ば お 前 の 所 為 だ ろ う が ! ?」
「えー、理不尽ですー。ブー!ブー!」
頬を風船のようにふくらませ、頭に刀が突き刺さりながら文句を訴えるナイアーラトホテップに一言、U☆ZA☆SU☆GI☆RU(~_ーメ)ヒクヒク。
……落着け、落ち着け夜天 空、クールに……クールに……!
「これでいいと思うのですよ。有機体イムナール」
「……あぁ?」
思わずヤクザ口調になってしまった。未だに額に『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』が突き刺さったままのナイアーラトホテップは、指を一本上げた。
「彼の成長は、貴方も望んだことでしょう。貴方のことだ。せめて消える直前まで己を貫いてほしい……幸せに生きてほしい。絶望なんか味わってほしいとかそんな考えなのですよね?しかし、ニヒルが前に進むためには一を足すか、一を引かなければ、彼はずっと糸で踊る人形だった。それは、あなたもどうにかしたいと思っていたのではないですか?」
「……お前に話すことなんてないよ」
あー、それにしてもどうしよう。
このまま、紅夜が負ければグリーンハートのシェアが上がって、紅夜は多分良くない道に進むだろうな。
逆に紅夜が勝ってしまえば、公共の場という言う言い逃れができない最悪なステージで負けたグリーンハートのシェアは一気に落ちる……只でさえ、ここ時間軸では微妙な安定を保っているワールドシェア率が一気に狂うよ。こっちもある意味バットエンド……。あまりしたくないけど、喧嘩両成敗で無理やりでも紅夜とグリーンハートの間に流れる何ともいえない空気をぶっ壊して、尚且つちょっと大変だけど、グリーンハートが出てくるまえのこの町全員の記憶を『破壊』して、全部無かったことにするか?
「ふむふむ、そういう反応ならば私にも言いたいことがあります……なので、ちょっと抜いてくれまーーあつ!熱いです!熱くなってきていますよぉぉぉ!?!?!?」
グリグリグリグリ、どーしようかな『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』に魔力を流して炎熱効果を起こしながら、どうしようかなと悩む。
今の均衡は、紅夜が『
時間的にもうすぐで解除される筈……。あまりに予想外の展開をどうやって元の形に戻していこうかと悩んでいると、ナイアーラトホテップが口を開いた。どうせ、また下らないことだろうと思っていた時、
「ーーー原始の女神レインボハート」
意識が一気にナイアーラトホテップに向いた。
「どこでーーーその名を知った」
「ふふふふふ、要約私を見ましたね」
「…言え、どこでそれを知った」
「企業秘密という暗黙のーーーがはっ!?」
『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を抜き取り、ナイアーラトホテップの後頭部を掴んで部屋に押し込む。
人間をベースにして肉体なのか頭蓋骨が砕ける音がしたが、構うことなく押し込む。
『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を微かに喉が裂ける位置で突き刺す。
「ネタバレはつまらないですよ……」
「……冥獄界の僕の部屋に勝手に入ったのか?」
「……なーんだ。知っているではありませんか」
一番可能性のあることを言ったまでだが、当たったか助かった。
それにしても、こいつ勝手に人のプライバシーをのぞき見しやがって!
「それにしても、いいことが分かりました。暇つぶしにそれについて調べることにしましょう」
表情は分からない。けど、確かに愉しそうにナイアーラトホテップは笑って、肉体は意味もない血に変換され、その場には僕しかいなくなった。
「……チッ」
忌々しい邪神め、暇つぶしに僕の黒歴史を調べる気か!ってこんなことをしている暇はなかった!
直ぐに紅夜達の方へ視線を向けると、紅夜の姿はなく視線を下にして静かに佇むグリーンハートの姿だった。
紅夜に仕込んでいたナノマシンからの情報で、紅夜は街から脱出しようと走り抜けていた。
見るからにして、グリーンハート寄りの引き分けだ。彼女のランスには微々たる紅夜の血が流れている。
何が起きたのか良く分かんけど、目を凝らせば、グリーンハートの手は微かに震えていた。
「ある意味、OK展開だけど……あー!もうー!」
本当にこの先どうなるの!?世界の修正力さんいっちょお願いしますよ!!
そう内心訴えながら、紅夜のいる方向へ僕は、そこから跳んだ。
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その15