真・恋姫†無双 魏END 外伝第4章 前編
~大切な人のため~
洛陽へ戻った華琳は張三姉妹に一刀が消えた事を説明した。
「なんで一刀・・・・。」
「一刀の馬鹿!」
「一刀さん・・・・。」
三人は目に涙を浮かべ一刀がいなくなった事に絶望した。
だが、それは華琳の言葉によって消える。
「泣くのは自由だけれど、それを一刀が望むかしら?」
「あなた達が大陸一番の歌手になるのを一番望んでいたのは誰かしら?あなた達の歌を笑顔を愛したのは?」
「あなた達の歌で沢山の人が笑い元気になっているわ。あなた達は笑顔をあげる側なのよ。それが、そんな顔をしては駄目ね。一刀のためにも、あなた達の歌を待っている人たちのためにも笑顔でいなさい。」
「一刀と支えてくれるファンのために頑張る!」
「そうよね!一刀とファンのために!」
「一刀さん、大陸一になるからね・・・・。」
華琳が帰った日、洛陽でひらかれた数え☆役満姉妹のステージは今まで以上に熱をおび、今まで以上の声援が響き渡っていた。
北郷一刀が消えて一年と少しが経過した。
消えた直後は数々の問題がおきたが、それは華琳達の手で解決されていった。
そして、魏・呉・蜀の関係はより深くなり、誰もが平和が続くものと思っていた。
そう誰もが・・・・・。
成都で行われた、終戦一周年記念の祭りが終わって幾許かの月日が経過したある日。
華琳は平和に向けて内政に力を入れていた。
農地開拓・治水工事・格街の発展、維持そして軍部の縮小など・・・・。
それは、戦争をしている時よりも忙しかった。
そんなある日、いつものように朝の会議が行われていた。
そこへ
「し、至急、報告します!」
ボロボロの兵士が華琳達の前に現れた。
「どうしたの?」
「魏・呉・蜀、各国の国境を越え、五胡が攻めてきました!!」
「「「!?」」」
その報告に皆が驚き、怒りに覆われる。
「で、数は?」
「呉・蜀ともに100万、我が国は50万!!」
「どう思うかしら桂花?」
「五胡は、我らに手を組ませたくないのでしょう。だから三方面から攻め入ったかと。しかも軍部が縮小したからと言って未だに我が国の軍は強大。だから先に蜀・呉を落とすべく100万の軍を差し向け、我が国の50万は・・・・。」
「時間稼ぎか・・・・。」
「はい、そう考えてよいかと。」
「舐められたものね。」
「華琳様!!ここは私にお任せを!!五胡の軍勢など全て打ち砕いてみせましょう!!」
「そう、頼りにしてるわ。稟、今一度に動かせる軍はいくらかしら?」
「はい、有事にそなえての準備は常に万全です。ですが、30万が限度でしょう。各方面に早馬を放って迅速に準備させても最低五日はかかるかと。」
「そう・・・・ならばその30万全軍を春蘭が率いて蜀に援軍に向かいなさい。季衣・桂花は春蘭の補佐を。」
「「「「御意!」」」
「え・・・・華琳様!?蜀に援軍ですか?」
華琳の発言に思わず聞き返す。
「春蘭、蜀・呉は我が連盟国。それを敵が狙っているのよ?それを無視したら私の評判もこの三国の連盟も全てが終わってしまうのよ。」
「ですが、それは我が国にいる民が納得しないのでは?」
「そんなのわかっているわ。・・・・秋蘭!!」
「っは!」
「あなたは、琉々・稟と手勢を率いて呉へ援軍に向かいなさい。道中で兵と兵糧を確保しなさい。」
「「「御意!」」」
「霞!!風!!」
「おぅ!」
「はいー。」
「あなた達は後から届く兵と兵糧を各方面に迅速に振り分け運びなさい。そして、遊撃軍として直ぐにどの方面にでも援軍に行けるように。」
「「御意!」」
「私と凪、真桜、沙和で我が魏に進行している五胡を叩く。同じく道中で兵・兵糧の確保を行う。」
「「「御意!」」」
華琳は指示を言い終えると、一息をつき目を瞑る。
そして少しの間の後、開いた目には覇王の輝き・憤怒の炎があった。
「皆の者、愚かにも敵は我ら連盟に戦を仕掛けてきた。我々が多大な犠牲を払って出来たこの平和を崩すために。それを許してはならない。・・・・・・よく聞け!!この戦、完全勝利以外いらぬ!!我ら連盟の強さ恐ろしさを五胡の愚か者どもに完膚なきなきまでに叩き込め!!二度と戦を起こさせぬように!!二度と我らの領土に進行する気など起こさせぬように!!奴らの血と絶望で大地を染め上げて見せよ!!」
「「「「「御意!!!!」」」」」
・・・・・・・。
・・・・・。
・・・。
「敵は?」
「ここより西方、五里先に陣をしいています。」
「ふむ、我らに野戦を挑むか・・・・。」
「華琳さま?」
「凪、念のため周囲に斥候放ちなさい。」
「御意。」
「沙和、我が軍の現在の規模は?」
「えっと、およそ40万ほどなの。」
「そう、思ったより集まったわね。」
「華琳さまと今の平和を守るために皆来てくれたの。」
「そう・・・・やはりこの戦いは完璧な勝利が必要ね・・・・。」
「真桜、戦の準備の方は?」
「いつでも行けます。後は大将の命令次第や。」
「そう、ありがとう。」
全ての報告を聞き終わり、華琳は敵がいる西を見つめる。
敵がいるのは四方を山に囲まれてはいるものの伏兵を隠すこともできないような平地。
(敵が決戦を望んでいる?あの五胡が?)
華琳のなかには何か拭いきれない不安があった。
(っふ、曹孟徳も落ちぶれたわね・・・・。)
不安に悩む自分に嫌になる・・・・。
そしてこんな時に限って思い出す一刀の顔。
五胡の侵略の報を聞いて皆が怒りに震えた。
沢山の犠牲のもとになりたっている平和を、崩そうとするのが許せなくて・・・・。
そして、また民達が脅え恐怖する原因をつくった奴らが許せなくて・・・・。
なにより、我が覇道を皆の夢を実現させて一刀が消えた意味がなくなる・・・・。
ただそれが許せなくて・・・・。
(ねぇ、あなたなら今の私に何て言うかしらね一刀?)
「凪、沙和、真桜・・・・斥候が戻り次第、軍を動かすわ。」
「「「御意。」」」
(悩んでも仕方ないわね。私は今の平和を民を守る。ただそれだけでいいの。)
(いいわよね?一刀。)
そして一刻がたち・・・・。
「華琳さま、全ての斥候戻りました。不審なものは一切なしとのことです。」
「そう、では全軍に進軍を通達。」
「御意。」
進軍を開始して目の前に五胡の軍勢が姿を現し、華琳は、兵達に向かって激を飛ばす。
「よく聞け皆のもの!!敵は愚かにも我ら魏に連盟に戦を仕掛けてきた。我らが友の家族の恋人の血で創り上げてきた平和を崩すために!!その行為を決して許すな!!情けをかけるな!!奴らの血で大地を赤く染め上げろ!!勇を奮え、曹魏の精兵達よ!!我に続けーーー!!!!」
「全軍突撃―――!!!!」
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!!!!」
魏と五胡との戦いの火蓋が今切られた。
――時は戻り――
俺の名前は北郷一刀。
華琳の元から消えて、目が覚めたら目の前に桃色の髪をした小さい女の子と同じく小さい女の子達に囲まれていた。
そこまでは良いとしよう・・・・。
で、目の前にいた桃色の髪の女の子に、
(父上・・・・?)
そう呼ばれた時だった・・・・。
後ろに殺気を感じ振り向いた瞬間、目の前にあるのは誰かの足。
そして後は想像のとおり。
メリッ!!!!!!!
顔面にクリティカルヒット!!効果は抜群だ!!
覚えているのは蒼いどこまでも蒼い空、そしてどこまでも冷たい大地の感触。
んで、次に目が覚めたら・・・・
俺と同じ顔、同じ格好をした奴が目の前にいた。
「おぉ起きた。さっそく何だけど俺は北郷一刀って言うんだ、君の名前は?」
第4章 前編 完
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4章突入しました。すみません。また長くなりそうなので今度は前・中・後編で区切ろうと思います。誤字・脱字があったら、よろしくお願いします。
皆さんが想像したとおり一刀の話にも突入しました。駄文ですが読んでくれたら幸いです。