No.602850

運・恋姫†無双 第十七話

二郎刀さん

董卓はFateだったらバーサーカーだと思うんだ。
宝具は呂奉先。みたいな。

2013-07-29 19:17:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1925   閲覧ユーザー数:1733

蔓で縛られていた。

小鳥が肩に止まって、美しい声でさえずる。

鼓膜が割れた。

小鳥が耳から啄(ついば)んでいく。

止めてくれ。

声に出そうとしたが、出なかった。

もう声帯まで食われていたようだ。

呂伯奢からの仕事で魯まで荷を運んだ紗羅は奴隷を買っていた。

奴隷は、人ではなく物である。

紗羅はそういう存在を持ってみたかった。

買った奴隷は二人。

男一人に女一人で、買ったその日に、紗羅は女を初めて抱いてみた。

そこまでは良かったが、その後に問題が起きた。

邪魔だ。

紗羅は、大人数による旅はしたくなかった。

旅は気ままに、思った方向へ進んで行くのが彼の指針だったが、人が増えてはそれが出来なくなるではないか、と思ったのである。

奴隷を買ったことで支配欲は満たされ、満足した彼は奴隷を解き放った。

 

 

「好きな所へ行け」

 

 

一振りの剣を持たせて、彼はそう言った。

しかし、その抱いた女だけは、頑なに出て行こうとはしなかった。

 

 

「残酷なお人です」

 

 

もう一人の奴隷は、涙を流して礼を言っていたが、この女は違うようだ。

 

 

「私は出ていきませんよ。絶対に」

 

 

一度、その奴隷を置いて、わざとゆっくり進んだ事がある。

夜、野営をし、飯を食い、寝る。

そして次の日になると、その奴隷が地べたで寝ていたのである。

その疲れ果てている姿を見た時、陳宮は嬉しそうな顔をしていた。

 

 

「名は?」

 

「喬と言います」

 

 

その時から、紗羅はその女を喬と呼んだ。

紗羅の旅に、同行者が一人増えることになったのである。

絶影二号は紛れもなく名馬である。

ただ足が速い駿馬というだけでなく、持久力もあり、毛並みのツヤも光沢も滑らかだ。

名馬という名に恥じないだけのものを、絶影二号は持っている。

 

 

「素晴らしい馬ですね」

 

 

舗装されているとは言い難い、干乾びた細い道を進んでいると、四人の従者を連れた男が声をかけてきた。

顔立ちは整っていて、服も清楚であり、貴族かと思わせるほど気品がある。

 

 

「自慢の馬でしてね。こいつには、馬車を引かせるわけには参りません」

 

「私は、劉備と申します。字は玄徳。突然ではありますが、私の話を聞いてはくれませんか」

 

 

最初に紗羅が感じたのは戸惑いである。

胸の奥がざわめき、次第に波となって大きな動揺を運んでくる。

 

 

「近年では、賊が跋扈しております。それにより民は泣き、耐え忍ぶばかり。私はそれを打開したい。そのために、義勇軍を立ち上げたいと思っております。そこで」

 

「俺に、加わってほしいと?」

 

「その通り。義に立つのです。しかし今の私たちでは、あまりにも非力。あなたのような、物資を持つ人の支援が欲しい」

 

「随分と明け透けに言うのですね」

 

「自らを晒さねば、人に信じてもらえませんから」

 

 

陳宮が皮肉を言ったが、劉備は颯爽と答えた。

 

 

「私は、中山靖王劉勝様の末裔なのです」

 

「劉姓など、そこらにもいますが」

 

「それを証明する手立てもあります」

 

 

劉備は腰に佩いた剣を抜いた。

 

刀身は金色。白銀で縁取られ、鍔から刃の中腹にかけて紅で装飾が為されている。さらにその中に、宝玉が埋め込まれているのだ。刀身は顔を映せるほどで、実用でも劣らないことが窺い知れる。本来、一般人が持つ事を許されないほどの宝剣だ。

 

 

「代々受け継がれてきた宝剣で、靖王伝家と言います。信じて頂けましたか?」

 

 

陳宮は感心するように息を漏らした。

しかし紗羅は、

 

――これが、劉備なのか。

 

と失望のように思った。

武将が女性化している世界で劉備は男だった。

それは残念に思うものの、重要なのはそこではない。

 

劉備玄徳。

間違いなく三国志の英雄の名であるはずだ。

しかし『気』が。

曹操は、英雄足りえるものを持っていた。

しかし、この劉備は違う。

『気』自体は悪くはない。

だが、英雄足る『気』が感じられないのだ。

もしかしたら、こんなものなのかもしれない。

それならばそれも良い、と紗羅は思った。

 

 

「それで、紗羅殿に仕えろと言うのですか?」

 

「私の友として。同じ志を掲げる仲間として支えてはくれませんか」

 

「劉備。お前が、劉備なのだな」

 

 

短戟を投げる。

それから紗羅は太刀を抜いた。

その時には、すでに劉備以外は倒れていた。

 

 

「なにを」

 

「お前が本当に劉備なのか、そうでないかは、俺にとってはどうでもよい。ただ、曹操の時は出来なかったのでな」

 

 

劉備が剣を構える。

震えているのが、見て取れた。

 

 

「決め台詞でも言っておこうか?」

 

「待って」

 

「義勇の雄よ、俺の手で死ね」

 

 

劉備の頸が飛ぶ。

三国志の世界に来たからには、誰に仕える、何処に属するというのは当然考えることであろう。もちろんのこと紗羅もそれを考えた。

 

あの時、曹操に仕える事も考えなかった訳ではない。

今の段階で仕えておけば、それなりの地位を築けるか、という思いもあった。

確かに元の世界の曹操は、最大の兵力を宿していたし、大陸最強と言っても良かった。

しかし、紗羅が考える最強は曹操ではない。

 

三国志に於いて、最も力を振るった者は誰だろうか?

 

魏ではない。

 

ならば蜀か、それとも呉か?

 

そう問われてもどちらでも無い。

 

武で最強を表すなら、紗羅は呂布の名を挙げる。

しかしそれは「武」に関してのみの話だ。

 

三国志に於いて、最も力を振るった者。

 

それは【董卓】である。

 

洛陽を地獄へ変えたという魔王。

 

反董卓連合において、劉備、孫堅、曹操、天下人でさえも討ち取ることが出来なかった人物。

 

暴虐を尽くした【力】の雄。

 

董卓こそが、紗羅の考える最強である。

 

 

「失望したか、公台?」

 

「いえ。紗羅殿は、お望みのままにして下さい」

 

「お前の至上主義は時に恐い。喬、剥ぐのを手伝え」

 

「はい。これだけあれば、それなりの額になるでしょう。劉備さんのは特に良い値段になる筈です。綺麗に殺されました」

 

「これで資金難は解決かな」

 

「資金難だったのですか?」

 

「お前は高かったんだぞ? 処女だったしな。おかげで、公台に怒られた」

 

「これからは何処へ行くのでしょう?」

 

「南へ。南へ行こう」

 

 

しかし、紗羅が好きな董卓は、洛陽入りしてからの董卓である。

今はまだその時ではない。

その時が来るまで会う必要はない、と紗羅は考えていた。

不思議と、英雄を殺した、という事に満足感も自虐心も感じなかった。

あとがきなるもの

 

そろそろ投稿しとかないとやばいかなーって思った二郎刀です。何故恋姫の動画とかは少ないのだろうか。あっぱれ!天下御免のSSも少ないですよね。

 

あっぱれ!天下御免のSS少な!って思って原作の評価を見てみたら評価低っ!むむむ。これは私が先駆けの一人として行けという事か!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおやあああああああああああああああああああああっちゃああああああああああああああああああああああああああるぜええええええええええええええええええええええええええええええええええ

 

とか思ってますがこれって危険ですね。恋姫まだ終わってないもの。最近の私の悪癖ですが、他作品のSS見るとその作品のSSが書きたくなります。学園黙示録 HIGH SCHOOL OF THE DEADとかAngel Beats!とかエム×ゼロとかうたわれるものとか! その内ゴッドイーターとかISとかストライクウィッチーズとかも書きたくなるのでしょうか。そんな時の私の対処法はとりあえず一話書いてみることです。突発的な創作意欲はとりあえずそれで収まります。エム×ゼロの魔法考えるのとかすげえ面白かったです。

 

 

さてそろそろ本文の方を。

出しちゃいましたねーオリキャラ。極力出さないようにしていたのに・・・・・・名前はもちろんあの方々から。・・・うん、冷遇というか忘れ去られているよね。やはり無印のあの子たちは使いづらいんでしょう。一人は生えてたし。そう考えると華雄はかなりの好待遇だと思われます。TINAMIの顔とか聞きましたしねw真名が無いくらいなんだと言うのか!

 

 

劉備の事とか董卓の事とか書くとボロが出そうなんでここまでにしときます。

 

 

では今回の話はどうでしたでしょうか? 少しでも楽しんで頂ければ幸いです。


 
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