「ん・・・・ここは?」
確か俺は子供の自爆に巻き込まれて・・・そこまで考えて周りを見渡す。
見渡す限り山と砂しかない景色・・・ありえない、俺が最後に向かった場所はベトナムの熱帯雨林の中だ。
(仮に爆発で吹き飛ばされたのだとしても外傷がないのはおかしい。)
寝すぎたのか軋む体を無理に起こし目の前に視線を向ける
「・・・っ!?南と杏か!・・・まずい!?」
彼女たちの周りを三人の男たちが囲んでいた・・・いかにも盗賊ですという格好で・・・
((・・・・どうしてこうなった・・・・・))
一刀が目覚めた頃、彼女たちも目を覚ましていた・・・のだが・・・
(・・・・動け・・・ない?)
(おぉ、首を動かすこともできないとは・・・・まずいです・・・)
そして、さらに状況は悪化し、彼女たちは周りを三人の男たちに囲まれていた・・・いかにも盗賊ですという格好で・・・
「へへっ、こんなところに女二人が寝てるとはな。それもかなり上玉じゃねぇか。」
「どうしやす?アニキ、売りやすか?それとも俺たちで・・・ジュル」
「な、ならオイラは、そそっちの背の小さいほうが良いんだな。」
「けっ!デブは相変わらずだな・・・まぁいい、誰か来るかもしれねえからな、デブ!こいつら担げ!チビはこいつらの荷物だ!」
「了解っす!」
「わ、わかったんだな!」
(!?・・・・い、いや、怖い・・・助けて・・・・隊長!)
(ホントにまずいですね・・・あぁ、北郷一尉はどこに・・・)
盗賊の足音が徐々に近づいてくる・・・祈るは神でも悪魔でもなく、初めて自分を家族と呼んでくれた愛しい人。
盗賊の足音が自分たちの近くで止まる・・・しかし、こんな状況下でも唯一動く頭をフルに活用する。
(足音が大きいのはデブ・・・、一番足音が小さいのがチビ・・・そして一番安全な場所で止まったのがアニキ・・・?)
(さっきの会話からするに、恐らくデブと呼ばれた巨漢が私・・・更にもう一人を運ぶ。そしてチビと呼ばれた小柄な男性は私たちの手荷物を、そしてアニキと呼ばれた恐らくリーダー格の人物は高みの見物といったところだろう。
そして、もう一人がなんの反応も示さないということは私と同じく動けないか、まぁ寝てるかですね・・・ほんっとに最悪な状況下ですねこれ。)
そして、目を閉じていても自分の体を何かが覆ったのが分かった。
二人が最後まで諦めず見えない状況下に奮闘し、窮地に達した時、ずっと祈り続けた愛しい人の声と、一つの破裂音が辺りに響き渡った。
「けっ!デブは相変わらずだな・・・まぁいい、誰か来るかもしれねえからな、デブ!こいつら担げ!チビはこいつらの荷物だ!」
「了解っす!」
「わ、わかったんだな!」
まずいまずいまずい、走って間に合ってもあっちは凶器持ちにたいして、こっちは無手・・・いくら無刀術を学んだからといってあまり危険なことはしたくない。
盗賊たちは俺の様子に気がつきもせず、南一等陸士と河原曹長に近づいていく。
くそっ、何かないのか・・・
太ったデブと呼ばれた男が南一等陸士に触れようとした瞬間、頭が沸騰するように熱くなり、後先考えず突っ込もうかと考え足の位置を変えたとき砂に埋もれた何かに触れた。
それは、番犬に入って何度も撃ち、幾多の戦場を一緒に渡り歩いてきた愛銃・・・M92Fだった。
これなら!・・・そう思うか、動くか早いか。
愛銃を素早く拾うと、そのままの前傾姿勢で銃を構え撃つ。特別射撃に自信があるわけではないが、この距離なら外さない。
「俺の・・・・・俺の家族に触るんじゃねええええええええ!!!」
銃弾は逸れることなく狙い通りの場所に飛んでいく・・・・一刀が狙ったのはデブと呼ばれた男の肩。
大柄なため的は大きく、多少安定しない体勢でもあの大きさなら外さない。
「ぎゃあああああ!い、痛いんだな!」
「大丈夫か!デブ!てめぇ、何しやがった!」
「黙れ、お前らに答える必要はない。まず、そこの巨漢の男と一緒に二人から離れろ。妙な真似はするなよ、巨漢の男にしたことが次はお前らの眉間に代わるだけだ。」
「・・・・ちっ、折角の女だってえのによ!チビ!デブ!こっち来い!」
「う、うっす。」
「い、痛いんだな!血が止まらないんだな。」
「うっせえぞ、デブ!騒ぐんじゃねえ!」
銃口だけは盗賊に向けたまま、二人のもとに寄る。
「大丈夫か二人共?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
反応はない・・・・・頬をペチペチ叩く。
「起きないとキスするぞー?」
「「喜んで!!!!」
「よし、二人共大丈夫だな。早速で悪いが南はデブの治療と杏はバッグの中を確認してくれ。」
「・・・・了・・・解・・・」
「えー、助けるんですかー・・・私としては腹をかっ捌いて内臓引きずり出して野犬の餌にでもしたいんですけどー?」
「い、嫌なんだな!?」
「あ、あいつ結構えげつねえこと考えるな。」
「う、うっす・・・」
「こいつらには色々聞くこともあるから我慢しろ・・・・抵抗するなら構わん。」
「了解でぇーす。」
一刀の指示を受け、二人が行動を開始し、一刀自身も自分のバッグを中身を確認する。」
「えーっと、携帯食料とスタングレネード3個、簡易式地雷2個、催涙グレネード3個、通信機1個・・・あと何で爺さんの日本刀があるんだ?」
「こっちは・・・携帯食料・・・プラ爆弾・・・ナイフ10本・・・ツールキット・・・通信機1個・・・何故かグルカナイフとバレットM82・・・南一等陸士のバッグからは・・・工具一式・・・筆記用具一式・・・携帯医療器具一式・・・通信機一個・・・麻酔銃一丁・・・以上です。」
「杏ちゃーん、医療器具あったらこっちくださーい。」
「ん・・・はい。」
「ありがとうです。」
「どうだ治療できそうか?」
「まぁ、この無駄に厚い脂肪のおかげで貫通もしてませんし骨にも達していません。ただ麻酔がないので痛みは堪えてもらいますけどね。」
「そうか・・・悪いな、緊急事態だったから威嚇射撃する余裕もなかった。」
「い、いいんだな・・・・ぐっ、やっぱ痛いんだな。」
「男なら我慢する!」
「男女差別良くないんだな!」
「デブおめぇ結構平気だろ・・・それにしても襲った相手に謝るなんてあんたも大概甘いな。」
「よく言われてるよ・・・それでこちらの要件としては、ここがどこで、今は何年なのかを聞きたい。」
「は?そんなのも分かんねえのか?・・・ちょっ分かったから、その変な得物こっち向けんなって・・・ここは交州の村からちょっと外れたとこだな。今は腐った漢が治めてるよ。」
(交州?・・・聞いたこともないな。かん?・・・治める・・・三国志?・・・いや、しかし・・・・)
「で、お前らは何をしている。」
「へっ、俺らは腐った漢に嫌気がさしたんでな。こうして蒼天已死 黄天当立 歳在甲子 天下大吉という張角様のお言葉を信じて行動してるわけよ。」
「張角・・・それにあの言葉・・・決まったな・・俺たちは三国志の時代に飛ばされた。」
「なら、何でそのお前たちが盗賊なんてやってるんだ?」
「いや、俺らも最初は真面目に漢と戦ったりもしたんだぜ?だけどな・・・やっぱりこっちの将軍さまたちも漢のお偉いさんたちと同じだ・・・負けそうになれば真っ先に将軍が逃げて兵たちは見殺しだ。」
「・・・・」
「俺らも元は普通の村人だった・・・しかし、今の皇帝に変わってから全てが狂った。税は一気にあがり、その税はおえらいさんたちの私腹を肥やすためにあった。そして現状を変えるために戦って得たのは人を殺せるようになっただけ。」
「・・・・」
「沢山の仲間が死んで、その分沢山の奴らも殺した・・・結局は俺たちも盗賊やお偉いさんたちと変わらない下衆だったて訳よ。」
「・・・・」
「さて、長話になっちまったな。殺すなら殺せ。この先もっと沢山の民や兵が死ぬ・・・俺も今回のことをしないとも限らねぇ。」
「そうかもな・・・」
「まぁ、今の酷い有様を見たいなら洛陽か長安に行くんだな・・・あそここそ、この世の地獄だ。」
「殺すつもりはない・・・ここから一番近い交州だったか?そこまでの道のりを教えてくれれば開放する。」
「へっ、とことん甘い坊主だ。ここからあっちにまっすぐ歩いていけ。そうすりゃあ小さな村があるだろうよ。」
「協力感謝する。あちらの治療も終わったようだ・・・お互い生きられるといいな。」
「そう簡単に死ぬつもりはねぇよ・・・じゃあな。行くぞ!デブ!チビ!」
「うっす!アニキ!」
「あ、ありがとうなんだな。」
「いえいえー」
「健闘を・・・・祈る。」
三人の後ろ姿を見送ると、一刀たちも交州に向けて歩き出す。
「いやー、あっちの世界もそれなりに腐ってましたけどこっちはそれ以上ですねー。」
「・・・下衆。」
「あぁ、こっちでも番犬・・・それ以上の仕事をすることになりそうだ。」
「お?救世主でも目指すんですか?」
「茶化すな・・・でもあっちの世界じゃ出来なかったことをこっちでは出来そうだな。」
「・・・・?」
「そうなんですか?ついでに言うと交州の州牧なら黄巾に恐れをなして逃げたと記憶しています。」
「・・・お前の頭脳には期待してるよ・・・」
「・・・・・・・???」
「杏にも期待してるよ。」
「!!・・・・はい。」
「さて、俺の目標のためにもまずは交州に行かなきゃな。南一等陸士!河原曹長!」
「「はっ!」
「二人に協力を申請する!・・・俺が平和な世界にするのを手伝ってくれないか?」
「・・・当・・・然・・・!」
「仕方ないですねー、北郷一尉は私がいないと何にも出来ないですからねー。」
「杏行くぞ。」
「・・・はい。」
「ちょっ、冗談ですから!あぁ、二人共走るの速いですよー!」
こうして、三人の三国志での作戦は始まった・・・目指すは交州。
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