No.601382

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 613

soranoさん

第613話

2013-07-25 08:12:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:957   閲覧ユーザー数:905

 

同日、22:00――――

 

その後IBCに到着したロイド達はキーアとシズクをマリアベルの私室のベッドに寝かせて、総裁室でディーターとマリアベルに事情を説明した。

 

~夜・IBC~

 

「……………………………」

「………お父様……………」

事情を聞いて重々しい様子を纏って黙って考え込んでいるディーターをマリアベルは真剣な表情で見つめていた。

「―――現状で判明している事は確証があるわけではありません。いずれきちんとした証拠を揃える必要があると思いますが………」

2人の様子を見たロイドは説明した後考え込んだ。

「ああ………君達の立場ならそうだろう。………だが私は………今、大きな失望感を感じている。その”教団”の残党とやらの罪深さはもちろんだが………そんな連中に付け込まれ、ここまでの事態を引き起こした愚か者たちには心底呆れ果てたよ。」

「………はい。」

そして重々しい様子を纏って語るディーターの言葉にロイドは頷いた。

「私とて、クロスベルの状況が難しいものであるのはわかっている。ルバーチェのような存在や議員や役人たちの腐敗についてもある程度は仕方ないと諦めていたが………どうやら私はとんだ愚か者だったようだ。」

「……おじさま………」

「そうですわね………IBCは少なからず、クロスベルの政界に影響力がある。お父様は今まで、あえて中立であろうとしていましたけど………」

「その怠惰が今回の事態を引き起こす一因にもなったようだ。………すまない。お詫びのしようもないくらいだ。」

「そ、そんな。」

「いや、さすがにそれは気にしすぎじゃないッスか?」

「実際、権限や責任があるわけでもないですし………」

マリアベルの話に続けた後謝るディーターを見たロイドは恐縮し、ランディとティオはディーター達に非はないことを言った。

「いや、時の政権に対して財界がある程度働きかけるのは本来は常識的なことだろう。………それ以前に、私にもクロスベルを愛する市民の一人という自負があったはずだ。だが忙しさにかまけ……その愛郷心も薄れていたらしい。」

「……………………………」

「……それは私達市民、一人一人がそうだったと思います。」

ディーターの話を聞いたロイドは複雑そうな表情で黙り込み、エリィは疲れた表情で溜息を吐いて答えた。

「ああ………いずれにせよ、ここで愚痴っていても仕方ない。この事態を解決するために我がIBCは総力をもって君達に協力させてもらおう。」

「総裁……ありがとうございます。」

「とても………心強いです。」

ディーターの申し出を聞いたロイドとエリィはそれぞれ明るい表情でお礼を言った。

「といっても、この状況は如何ともしがたいですわね。警察本部やタングラム門とも連絡が途絶しているのだったかしら?」

「はい……何度か連絡してみたんですが。」

「………何らかの理由で通信妨害がかかっているようです。導力ネットワークによる連絡を試すことはできないんでしょうか?」

マリアベルに尋ねられたロイドは頷き、ティオは説明した後尋ねた。

「………どうやら何者かによってジオフロントの導力ケーブルが遮断されているらしいですわね。何とか迂回ルートを確保すれば通信網を回復できると思いますが……」

「ならば技術スタッフに最優先にやらせたまえ。警察本部、タングラム門、遊撃士協会との連絡は勿論だが……市内の各端末との連絡も取れればさらに状況も掴めるようになるだろう。」

「わかりましたわ。」

ディーターの指示にマリアベルは頷いた。

 

「そして………もう一つの心配はキーア君か。」

「はい………操られた警備隊が俺達を執拗に追った目的はキーアの可能性が高いと思います。」

「実際、俺達に発砲した時はほとんど威嚇射撃だったしな。一方、しんがりの課長たちには容赦なく撃ってきてたみてぇだ。」

「キーアは決して傷つけずに身柄を奪い取れ……そんな風に操られているのかもしれませんね。」

ディーターの言葉にロイド、ランディ、ティオはそれぞれ答えた。

「まあ、あれだけ可愛かったら攫いたく気持ちもわかりますけど。ヨアヒムといったかしら?随分、不気味な男みたいですわね。」

「いや………正直、彼が何を考えているのかはっきりとした事はわからないんです。何のためにキーアが必要なのか………白いファイルの最後にあった写真がどこで撮ったものなのか……」

「………そもそもキーアちゃんがどうしてあの競売会の場にいたのかそれすらもわかっていないの。あの子の記憶が戻っていたら手掛かりにはなったんでしょうけど……」

「なるほど………歯がゆいですわね。」

「いずれにせよ、これだけの事態を引き起こしたと思われる人物だ。恐ろしく危険な男であるのは間違いないと思った方がいいだろう。君達をこのビルに匿ったのは簡単には特定できないだろうが………万が一の事はあり得る。」

「……はい。」

「そうッスね………」

ディーターの予測にロイドとランディは真剣な表情で頷いた。

「各所との連絡などは引き続き、IBCのスタッフにやらせておく。キーア君達も休んだことだし、君達も少し休憩したまえ。それともベッドを用意しようか?」

「いや………それは遠慮しておきます。それより、このビルの中で補給できる場所はないですか?少々、装備が心許なくて………」

「確かにさっきはいきなり襲撃されたからなぁ。」

「それなら、1階のカウンターで各種のサービスが受けられるよう取り計らっておこう。各メーカーの支社もあるので武器の融通も利くかもしれない。」

「エプスタイン財団も入ってますから工房機能も使えるでしょうし………緊急時の備えもしていますから食糧なども融通できるはずですわ。」

「なるほど………」

「確かに何でも揃いそうな勢いですね……」

「いや、さすがは天下のIBCビルだぜ。」

「………ご配慮、感謝します。それでは少しの間、休憩させていただきます。」

その後ロイド達はいったん解散してそれぞれ休憩を始めた………

 

 

 


 
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