No.600898

マンスリー・ヒーロー発行人 バラさんの説教部屋

つばなさん

モブが出てます。ていうかほぼモブ。この作品はシリーズですが内容が薄いのでイキナリ読んでも訳は分かる。と思います。ポイントは一つだけ。発行人はタイガー好きのアンチバーナビーです!

2013-07-23 23:56:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:898   閲覧ユーザー数:898

(マンスリー・ヒーロー カルチャーコーナー内「バラさんの説教部屋」より抜粋)

 

 

 

 タイトルを見た読者の反応は二種類だと思う。「は?」と思う方と「ああ!」と思う方。

 「は?」と思った方、悪いことは言いません。このページは読み飛ばしてください。

 「ああ!」と思った方。そう。あの人が紙面に戻ってきてしまったのです……。

 

 またも場所は居酒屋。ほろ酔い気分のメンバーでお送りしますので、少々のことは目をつぶってやってください。

 

発行人ウラジーミル・バラノフスキー(以下「バ」):「読者諸君! お久しぶりです!」

編集部シモン・ソシュール(以下「ソ」):「読者がみんな、あなたを覚えていると思ったら大間違いですよ」

バ:「何言ってるんだ。俺は編集部内では不人気だけど、読者には人気だったんだぞ。編集長から発行人に昇進した時も『もうバラさんの記事が読めないなんて寂しい』ってお便りがいっぱい来たんだからな」

ソ:「惜しまれつつ引退するくらいが一番イイですよ」

バ:「そうか、それがお前の意見か」

ソ:「はい」

バ:「よし、じゃあその意見をもう一度、この人の前で言ってみよう!」

ワイルドタイガー(以下「T」):「どうも! タイガー&バーナビーのタダ酒が飲めると聞いてほいほいバラさんについてきちゃった方、ワイルドタイガーです!」

ソ:「……っ」

バ:「ほれ、もっかい言ってみろ」

ソ:「惜しまれつつ…引退するくらいなら! 10万シュテルンドルを盗んだ犯人を捕まえるために100万シュテルンドルの銅像を壊しても一生現役でいてください!」

T:「……ねえ、シモンくん。銅像のことは今言わなくても良かったんじゃない? 明日その件で裁判所行かなきゃいけないの思い出しちゃったじゃん」

ソ:「てかなんでタイガーさんがいるんですか」

バ:「俺が呼んだんだ。お前のために」

ソ:「何が僕のためですか。発行人がタイガーさんと飲みたかっただけでしょ」

バ:「まあそれもあるけど。俺はな、先月のマンスリー・ヒーロー読んだんだよ」

ソ:「そりゃ読むでしょうね」

バ:「お前の書いたバーナビーのインタビュー記事。あれ、ぜんっぜん面白くなかったぞ! なんあの、あれ。『今は仕事が楽しいので、恋愛とか考えられないですね』とかしょーもないコメント誰も望んでないんだよ! もっとホントのところが知りたいの!」

ソ:「バーナビーさんはガード固いんで仕方ないですよ」

バ:「そこをなんとかするのがお前の仕事だろ?」

ソ:「じゃあ、発行人ならもっといいインタビュー出来るんですか」

バ:「いや、ムリだな。あいつソツないし」

ソ:「自分にできないことを僕にやれと……」

バ:「だってお前、アイツと仲いいじゃん。リラックスさせて口をすべらせさせんだよ!」

ソ:「はあ」

バ:「そんなお前のダメダメな記事を補完すべく、今日はバーナビーに詳しい情報通をお呼びしたわけだ!」

T:「どうも! お酒飲ませてくれるならたいがいのことはしゃべっちゃうよ、タイガーです! 焼酎もう一杯!」

ソ:「それでいいんですか、タイガーさん!」

T:「ホントは俺もバニーの私生活なんか売りたくないんだよ? でも仕事だから仕方ないんだ…。バラさん、あとでウイスキーも飲んでいい?」

バ:「おお、今日はもうなんでも呑んじゃっていいぞー」

ソ:「……」

バ:「で、どうなの、実際バーナビーは恋人いるの?」

T:「いや、知らねえけど」

バ:「知らないのかよ! 使えねえ奴だな! なんのためにお前呼んだと思ってんだよ。酒没収するぞ!」

T:「やめて! 今度聞いとくから! 今日は許して!」

バ:「はっ! そうか! お前ら、そんなこともお互い知らないくらい仲悪かったんだな…。すまない、余計なこと聞いちゃった! エヘ」

T:「謝りながら、すごいうれしそうだな」

ソ:「出ましたね、発行人のT&B不仲説推し…。そんなに二人には仲悪くあって欲しいんですか」

バ:「わかってる、大丈夫だからタイガー。お前がバーナビーのこと嫌いなのは、俺ちゃんと分かってるから」

T:「いや、別に嫌いじゃないからね」

バ:「いいんだ、隠さなくて。ずっと喧嘩ばかりだろ? 最近だといつ喧嘩したの?」

T:「さっきかなー」

ソ:「さっき!!?」

T:「だってバニー超うるさいんだもん!」

バ:「何があったの?」

T:「あいつ裁判所に提出する資料今日中に作れってうるさくてさー」

ソ:「え? 裁判明日なんでしょう? そりゃ今日中に作らなきゃダメでしょ?」

T:「裁判は10時半からなの。会社の始業は9時なの」

ソ:「はあ……」

T:「1時間半もある!」

ソ:「何言ってんのか全然分かんないんですけど!!」

バ:「明日やれば余裕で間に合うな」

T:「でしょー? ホントバニーはあれだよ…せっかち?」

ソ:「いや、むしろ前日ギリギリまでタイガーさんがやるの待ってたと思うんですけど。むしろすごく気の長い人だと思うんですけど」

T:「シモンくんもあれだね! 結構うるさいね!」

ソ:「いやいや…普通ですよ。ていうかタイガーさんが適当すぎますよ!」

バ:「こいつもさ、後輩とか出来て中堅になってきたから調子乗ってんだよ」

T:「そうか。新人の頃はあんなに可愛かったのに」

ソ:「いえ、僕、ずっとこういうキャラだと思うんですけど」

T:「…そうだな。よく考えたら、最初からシモンくんは結構こうだったな。やっぱこの世代はダメだな」

バ:「そうだよ、この世代はなんか知らんけど、新人時代から既に生意気なんだよ」

ソ:「僕に言わせれば、あなたたちの世代のその傍若無人ぶりはなんとかならないのか、と思いますけど」

T:「今日、俺この取材(?)があったから、急いで帰る準備をしていたわけ。そしたらバニーちゃんがジトっとした目で『取材終わったら戻ってくるんですよね、おじさん』とか言うんだ。『いや、今日オレ直帰だから』って言ったら、『書類はどうするんですか!』ってめっちゃ怒るんだよ、アイツ」

ソ:「まさか、作らないままでこっち来ちゃったんですか?」

T:「だから明日の朝作るんだってば! なのにバニーのヤツ、いつまでもぐちぐち言ってさ。俺が会社出るときも『ぜったい戻ってきてくださいよ!』とか言ってたよ。まあ、戻んないけど」

ソ:「戻んないんですか!!?」

バ:「何言ってんだ、当たり前だろ! このあと、俺たちもう一軒行くんだから!」

T:「そうだぞ! 朝まで呑んじゃうぞ! イエー!!!!」

バーナビー・ブルックス・Jr(以下「B」):「そして二日酔いで明日遅刻して、書類が終わらないって僕に泣きついてくるんでしょう」

T:「バ、ばばばバニー?? な、なんでここに?」

B:「そろそろ取材も終わるかと思って迎えに来ました。今日中に書類出してもらいますからね」

T:「だから明日で大丈夫だって!」

B:「大丈夫じゃないです! たとえ資料作成は明日の午前で終わるとしても、それを上司が決裁して、それを元に法務部が書類を作成してやっと全てが完了するんですよ。間に合うわけないじゃないですか!」

T:「できるもん。前できたもん」

B:「あの時は賠償額が少額だったからなんとかなったんです。それでも法務部の皆さんにはすっごく迷惑かけたんですよ。ていうか、今回も既にものすごく迷惑かけてるんです! 手伝ってあげますから、戻りますよ、オジサン!」

バ:「気の利かない男だな、バーナビー。出来る後輩なら全部書類を作成しておいて、明日の朝タイガーに『お疲れ様です、先輩。先輩忙しそうなんで、書類は作っておきました。目を通してサインしていただけますか』って言えよ!」

ソ:「どんだけ要求高いんですか」

B:「前それやってましたよ! でも上司に『ちゃんと自分でやらせなさいよ』って言われちゃったんですよ!」

ソ:「やってたんだ……」

T:「もういいじゃん! 諦めてバニーも一緒に呑もうよ! ちゃんと準備したってしなくたって、裁判にはどうせ勝てないよ!」

B:「ちょっと! なに言ってるんですか。ちゃんとやる気出してください。あなたがちゃんと答弁してくれないと、勝てる裁判も勝てません!」

T:「いや、今回は絶対負けるよ。俺が保証する! 数多の損害賠償請求事件で被告になってきたワイルドタイガーが言うんだ、間違いない!」

B:「そんな保証はいらないんですよ!」

バ:「まあ、待てバーナビー。まだ取材中だから。タイガーはお仕事中だから邪魔しちゃいかんよ」

T:「バラさん! ステキ!」

B:「……分かりました。取材終わるまで僕、あそこで待ってますから」

(と言って、ノートパソコンを取り出すバーナビー)

ソ:「バーナビーさん。まさか仕事ここでやるんですか」

B:「ええ。出来るところだけでもやっておかないと。ただ機密事項は社外へ持ち出せないので、どちらにしろ一度会社へ戻らないといけないんですが」

(バーナビーがパソコンを叩く音がカタカタと響く)

バ:「……なんかやりにくいな」

ソ:「そりゃそうでしょう。あっちは自分の仕事でもないのに一生懸命仕事して、こっちは酒飲んでバカ話しようとしてるんですから」

バ:「……タイガー。今日はもう会社戻って書類作りなさい」

T:「な、なに言い出すんだ、バラさん! バラさんだけはそんなこと言わないと思ってたのに! あなたを信じてみようと思っていたのに!」

B:「バラノフスキーさん、ありがとうございます」

バ:「いいんだよ……。さすがにバーナビーがかわいそうになってきたし」

ソ:「発行人が優しい目をしてバーナビーさんの味方をしている! 信じられない!」

B:「ほら、行きますよ、おじさん」

T:「いやだ! 夜はこれからなのに!」

B:「そうですね。夜はこれからですね。ロイズさんも栄養ドリンク飲んで待ってくれてますから頑張って書類仕上げましょうね」

(タイガーを引っ張っていくバーナビー)

バ:「いや、すごかったな」

ソ:「タイガーさんの仕事できないっぷりが凄すぎて、社会人としての常識をはるかに凌駕してましたね」

バ:「でも俺、タイガーと飲む気満々だったからなんだか飲み足りない気分だよ」

ソ:「そうですか。……では、僕はそろそろ……」

バ:「聞こえなかったの? 飲み足りないって言ったの!」

ソ:「失礼シマース!」

 

 上司や先輩の扱いに苦慮している全シュテルンビルト市民の皆さん。僕とバーナビーさんと一緒に今日も頑張りましょう。ちなみに裁判はバーナビーさんの努力が功を奏し、賠償金の大幅な減額があったそうです。よかったね、タイガーさん。(シモン・ソシュール)


 
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