「(ご主人様が良いかしら、……それとも旦那様の方が)」
ツンデレ軍師こと桂花は、ここ1週間機嫌が良かった。
「(御館様とか主様とかもありかしら……、ちょっと無骨な感じもするけど)」
今の桂花は、業を拠点として冀州を統治している袁紹に仕える「重臣」の一人である。
「(うーん、やっぱり在り来たりよね……、そんなのじゃ私のあの方へ対する「隷属」の念が示せないわ)」
ただ、その「重臣」の座は名門好きである袁紹の「趣味」の一環として、漢の名門一族である「荀」の名に与えられたものであって。
他の名門である事「だけ」が取り柄で集められた者たちと同じく、地位と俸禄は家格に合わせ高くとも彼女の袁家における役割・権限は極めて低い物であった。
「(なら少し趣向を変えて「兄上様」とか「お父様」とかもいいかもしれないわね。まあ、その辺りは近親相姦プレーにあの方が興味があるか次第だけど)」
その為、一週間前まで彼女の機嫌はとてつもなく悪く、噂に聞く「ドS覇王」こと曹操の元へ行こうと本気で考えていた程であったが。
「(参ったわね……、全然いい「呼び名」が決まらないわ)」
今も桂花は、袁紹から宛がわれた業の屋敷におり、特段袁紹の元から離れようとしていなかった、……いや、正確には「袁紹」とか「曹操」とか全然頭に無かった。
彼女の頭の中にあるのはただの一つの事だけ。
「(とはいえ、早く決めなくちゃならないわ!これ以上あの方に呼び捨てを続けるなんて不遜すぎる!)」
そう彼女の頭の中は、一週間前に手にしたとても「良いもの」で精一杯だったのだ。
「そうよ、私にはこれ以上の失態は許されないわ!」
その一つの事に囚われ、一人っきりの自室で大声を上げ始め。
……そして言ってしまった。
「一刀様の淫乱雌ネコ、そう!この桂花の名に賭けて!!」
……ネジが3本ぐらい外れた台詞を。
ヤンデレ無双 第6話
~淫乱雌ネコの章(自称)~
「(あ、ああん~~!一刀様!貴方様のお名前が付いている物なら、この桂花例え、靴でも靴下でも、いえ、靴下脱いだ後に残ってる毛玉でも舐めて見せます~!)」
そんな事を思いながら桂花は、頬に手を当て頭を振る。
『北郷一刀』それが桂花が拾い上げた物であった。
「(いえ、というより舐めさせてください!貴方様の足をこの淫乱雌ネコに!)」
妙に足フェチな桂花と一刀との出会いは、別になんでもない日常の中にあった。
三人の手から逃れた北郷は業で配達業の仕事を得て、偶々荀彧の屋敷に品物を運んできただけであり。桂花も、ただ暇つぶしがてらに散歩に出かけようとした時に、荷を運ぶ北郷を偶々見かけただけであったの。
そう、本当にただの日常のひとコマの流れであったのだが。
「(ああっー、やっぱり有り触れた呼び名だけど、「一刀様」にする事にするわ……、あの時も自然に「一刀様」って、呼んでしまったし」
『ジャズとじゃまああああああああああああああ!!!( 一刀様ー!!)』
「貴方、私の雄猫(=私貴方様の雌ネコですにゃー!)」宣言した直後(前回参照)に尋ねた「一刀」の名を聞いた瞬間。
そう絶叫しながら桂花が北郷に迫ったので、日常所かホラー染みた展開になってしまった。
「か ず と さ ま、……、ああ、なんて美しいお名前なのかしら、私如き淫乱雌ネコが口にするには神々し過ぎるお名前だわ」
その為、迫られると共に北郷は恐怖から失神し。
桂花の無理やりな説得、正確には「軟禁」と言うが……、でっ、桂花の元で家人として一週間過ごしても、桂花に対する恐怖感はぬぐい切れていない。
とはいえ、桂花がホラーなキャラになったのはちゃんとした理由があった。
「一刀様……」
名前を呟きうっとりしている桂花には、前世、いや、前の外史では、二人の主人がいた、一人目はいわずもがな曹操こと華琳である。
華琳に対する桂花の雌ネコっぷりは徹底していた、また、華琳もドSの本性を際限なく発揮し桂花を調教し尽くした。……ある意味、お互い役割を尽くした主従関係であったが。
「一刀様……、一刀様……」
だが、もう一人の主人、北郷は違った。
そもそも、北郷と桂花の関係は「恋愛」関係に近いものであり。特に北郷はその傾向は強く、桂花との関係も甘甘しくソフトな物であった。
「一刀様……、一刀様、一刀様、一刀様」
そんな北郷との関係は、桂花にとっても心地良い物であったが。
所詮、桂花である……。「M(マゾ)」が本性、北郷に「S(エス)」って貰いたい、という思いはかき消すことは出来なかった。
だが「隷属」と言葉の本筋から外れる二人いる、……「唯一」ではない主人の存在。更に「ツンデレ」っていた為、桂花は北郷の前でその「本音」を出すことは前の世界ではついに成し得なかった。
「(一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様)」
だが、この外史では、華琳の噂に惹かれる物はあったにせよ。
桂花は実際にはまだ北郷にしか出会っていない。そして、なによりも前の世界の想い、つまり恋愛感情×エス(S)って貰いたい感情は残ってっており。
そして、その感情が北郷の顔を見た瞬間、しかも、袁紹に使え神経をすり減らしている時に一気にきたら。
「(一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、一刀様、 一刀様、一刀様、一刀様、一刀様」
この世界の彼女は全力で「デレ」て「エムる(M)」しかなかった。
「じゃ殿じゃじゃまあああああああああああああああああ(じゃずじゃんんまー!!)」
……そりゃあもう、ホラーなほどに。
「あ、あの……荀彧様、北郷です、そ、その、入って宜しいでしょうか」
そんな、毎日のように桂花のホラーな絶叫が響くため、家人が次々逃げ出し。唯一、拾われた、というより軟禁されつつも……ただメシを貰った恩もあるので唯一桂花の屋敷に残る北郷が、怯えきった顔をしながら桂花の部屋に入室を求める。
「な、なにかしゅら!一刀しゃま!!」
「はっ?」
「い、いえ、なんでもないわ!(いきなり、「様」付けなんてしたら怖がられるわよね)」
桂花本人の自覚が無いこととはいえ。
毎日の絶叫で、元々北郷の中では桂花は「怖い」存在というより、アリナシの「ナシ」な存在なので今更な気遣いである。
「いえ、屋敷の玄関を掃いていたら……、えっと、この方が用があるといって、無理やり入ってきて」
「(ちゃんと順序だって説明しないと、ほら、いきなり奴隷宣言とかありえないじゃないの常識的に)」
やはり、軍師の頭脳である、どんなに「M」ってても、常識はあり物事をうまく進めるために順序は踏む必要性は覚えていた。とはいえ、北郷の「あの~、荀彧様、聞いてらっしゃいますか?おーい、荀彧様?」てっ声と、「いつまで待たせるんですの!勝手に入りますわよ!!」、「あっ、あの勝手に入るのはさすがにまずいんで」、「かまいませんわ!!」って、一連の流れを聞き逃していたのは軍師としてはかなり錆付いていた。
だからなんだなー。
「荀彧さん、この袁本初、この方を頂きに参りましたわ、おっほほほほほ~!」
「…ふにゃ?」
どMでも、さすがに寝取られ属性は無かった軍師の桂花が。
散歩がてらにフラフラしてた馬鹿(麗羽)に北郷とられちゃったのは。
数日後
「おっほほほほ……、一刀さん!」
「はい、如何いたしました袁紹様」
「名前を呼んだだけですわー!」
「はっ、はぁ……そうですか」
前の世界では、馬鹿娘扱いされていたためか。
ちゃんと敬意を持って名前を呼ばれると、麗羽はなんかものすごく気分が良かった。
「「……(少しはこっちにもアニキ(一刀さん)貸せよこの馬鹿)」」
自分の腹心二人に思いっきり殺意を向けられられても気づかないぐらい。
その頃、桂花は一人、馬を飛ばしていた。
名門袁家に唯一対抗できそうな、曹家に向うためである。
自分の雄ネコ様を奪った、袁紹に勝つために。
彼女は軍師である、自分一人が、袁家に勝てぬことは知っている、だから、こそ今すぐ北郷を獲りに行かんとする己が本性を封じ込め、獣が、獲物に飛び掛る一息を力を得るために。
だが、曹操の元に着いた桂花は後悔する事となる。
そう、曹操も同じ獲物を狙う、獣である事を知ったからだ。
「そう、貴方もなの・・・」
「はい、曹操様・・・」
正史の、魏王とその王佐は互いの目的を「北郷」の名を出した瞬間見抜いた。
そう……!
「天下なんて、どうでもいいから。一刀よ一刀(一刀様)!!」
を、瞬時に見抜き。
そして、互いの利益の為に「麗羽を抹殺までてを組む事を決めた」。
そして、二人は、笑顔で見つめあいながら手を握り合う。
互いに「最期にはお前も消す!」と思いながら。握った手に力をこめ相手が悲鳴を上げるまでと、そんな勝負は深夜から朝まで続き。元々のそういう系だった二人は、白百合の関係と噂されるようになる。
だが、真実は一つ。
「(一刀!!!!!!!)」
「(じゃじゅとじゃまあああああああああああああああああーーーーーーーー!!)
手を握りあいながら、2人の少女の叫びが木魂す・・。
まるで獲物を逃した虎(そして、ホラー)のような叫びを
あとがき
ネタが全然浮かびません、なのでかなり唐突な流れで進んでいます。
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