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真恋姫†夢想 弓史に一生 第八章 第四話

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

八章の始まりは、原作の魏ルートにある凪たち参軍の戦いに、聖たちが介入したらという名目で書いてみてます。


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2013-07-21 00:52:10 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1983   閲覧ユーザー数:1844

 

 

~聖side~

 

 

 

 

 

「駆けぬけろ!! 鳴り物を高々と鳴らせ!! 良いかい、少しでも奴らにあたいたちの数を多く見せな!!」

 

「声をあげるだけでも良いのです!! 少しでも数を多く見せれればこの策は上手くいくのです!!」

 

「「「「「うおおおぉぉ~~~~!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

 

 

西門付近の森から鳴り響く銅鑼の音と人々の掛け声。

 

 

 

その大きさは、とても百人という人数で出しているものとは思えぬほど大きく、奴らに与える精神的ダメージとしては申し分ない。

 

 

「よしっ!! 矢を射かけろ!! 目標は落とし穴付近の賊だ!! 射て~~!!!!!!」

 

 

ヒュヒュヒュヒュッ!!!!!!!

 

 

弓兵部隊による一斉射撃は、落とし穴付近で動揺し動きを止めている一団を的確に射抜いていく。

 

 

「………西門を攻略するには、その兵数でこの矢の雨の中を抜けながら、背後の敵に対処しなければいけない……。ならば、敵はどうするか………答えは一つ…………。」

 

「報告します!! 敵、西門から南門へと進路を変更!!」

 

 

すると、堪らず賊たちは西門を攻略することを諦め、南門へと攻撃の目標を変更する。

 

その隙を見逃すはずは無い……。

 

 

「よしっ、計画通りだな……。これより、我等は南門へと移動した賊の背後を突く!! 全軍準備は良いか!?」

 

「「「「おおおおおお!!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

俺の背後には、先ほどまで門を守っていた五百の兵が整列し、皆その手に剣をひっさげ目つきは獰猛な獣のように感じる。

 

獲物を狩る狼と言った所だ。

 

だが、あまり気負いすぎてもいけないし、それに殺すことに悦を感じられても困る。

 

すこし、注意だけしとくか……。

 

 

 

「良いか!? これより賊を一網打尽にするわけだが……いくらやつらが獣に成り下がった者たちだとしても、お前たちが人を殺すことに変わりは無い!! 人を殺すことは悪いことだ。だからこそ、殺すということの意味を今一度考え、罪の意識を持って欲しい!! 決して悦になるな!! 自分を戒めよ!! 我等は正義の為に剣を振る者たちなり!!!!!!!」

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

まぁ、これで良いだろう。

 

さぁ、行くぜ!!!

 

 

 

「全軍、突撃だ~~~!!!!!!!!!!!!!」

 

「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉ~~~!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

 

時を同じくして、偽装兵部隊を率いていた橙里と奏も、賊の背後を目掛けて攻勢に出る。

 

こうして、約四千人の賊が僅か六百人の兵に追いかけられ、その数を減らしながら南門へとなだれ込んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして南門では………。

 

 

 

「おいっ!! まだ門を破れないのか!?」

 

「はぁ……。やつら案外しぶとくて……。」

 

「うぐぐっ……。やつらの数はほんの少しだろうが!! もっと数で押して攻めろ!!」

 

「しかし……既に全軍を投入しています。」

 

「ぬぬぬっ………。どうにかしろ!!」

 

「ご報告申し上げますっ!!」

 

「どうした!!?」

 

「西門の方より味方の軍が雪崩れ込んできます!!」

 

「おおっ!!援軍か……。西門の奴ら、随分早く片付けたみたいだな。」

 

「いえっ……どうやら、敵に追われているようです!! 大混乱のまま我が軍に突撃してきます!!」

 

「何っ!! 急いで避けろ!!」

 

「無理です!! 既に手遅r――――っうわぁああああああ!!!!!!」

 

 

わぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

南門を攻撃していた兵と西門から逃げてきた兵がぶつかり合い、お互いの指揮系統はぐちゃぐちゃ。

 

部隊は大混乱に陥り、数の差はあれど負けるような状況ではない。

 

 

 

「銅鑼を鳴らせ!! 南門の一刀に打って出るように合図を送るんだ!!」

 

「はっ!!」

 

 

ぐわぁ~ん、ぐわぁ~ん。

 

 

「っ!? 銅鑼の合図だ!! 蛍ちゃん、準備は!?」

 

「………んっ………既に出来てる……。」

 

「よしっ!! 出陣だ!! 聖の部隊と挟撃し、敵を打ち倒すぞ!!」

 

「「「「「おおおおおお~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

南門がゆっくりと開き、その内から一刀と蛍が率いる兵が飛び出して来る。

 

時を同じくして、南門付近の森から音流と勇の部隊が飛び出し、賊の全方位を取り囲む。

 

これで賊の逃げ場は無くなり、さらに伏兵による混乱で相手はボロボロ。

 

確実に敵は討ち取られていき、その数は確実に減っていく。

 

 

 

「な……なんだって言うんだ……。なんでこんなに強い奴らがこんな町にいるんだ!!?」

 

「………てめぇらは運が無かったな……いやっ、これも天運か……。」

 

「っ!? てめぇ!! この軍の大将だな!!」

 

「あぁ。そうだが?」

 

「てめぇら一体何者だ!? なんでお前らみたいな奴らがこんな所に……。」

 

「『新撰組』…。その名を忘れないようにしときな…。」

 

 

カチン!!!!!

 

 

刀の納刀の音だけが響くと、次の瞬間には男の体は地面にうつ伏せに倒れこんだ。

 

 

「さて、これで西門と南門は終わった……。これからは隊を二つに分けて残りの門を救出に向かうぞ!!」

 

「「「「「「御意!!!!!」」」」」」

 

 

直ぐに隊を編成し二つに分け、俺、一刀、蛍は北門へ。奏、音流、麗紗、橙里は東門へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

~夏侯淵side~

 

 

「弓隊構え!! 敵に一斉射して勢いを削ぐぞ!!」

 

「「「「「はっ!!!」」」」」

 

「義勇兵の皆さんは、門を死守することに集中してください!!」

 

「「「「「はいっ!!!!」」」」」

 

 

 

北門では、曹操軍の兵と義勇兵で構成された部隊が戦っている。

 

敵の数は約五千人、対して此方は千人。

 

五倍の兵力差では正面から戦っては不利なことは否めない。

 

さらに、千人の中にはついこの間まで農民であった者が多くいる。

 

しかし、防衛戦ならば彼らでもどうにかなるだろう………そう思っていた。

 

 

 

「流琉!! そっちの被害はどうだ!?」

 

「はい。徐々にですが、数が減ってきてます………。」

 

「そうか………。何とか二日守れそうか?」

 

「そうですね………義勇兵の指揮さえ保てれば大丈夫だとは思いますが………。」

 

「よしっ。ではまずは、今日を守りきることを考えよう。義勇兵には一度後ろに下がってもらって、第一線を私たちで支える。流琉は義勇兵の指揮を執った後手伝いに来てくれ。」

 

「分かりました、秋蘭様。」

 

 

やはり数の差は大きい……。

 

この戦線を保つだけでどうやら手一杯のようだ…。

 

私たちの所でこのような状況なのだから、東門を守っている義勇兵の楽進、李典、于禁。南門、西門を守っている徳種の所はもっと大変なことだろう……。

 

未だに報告が来ないところを見ると、陥落はしていないみたいだが何時までもつのかは分からない……。

 

こうして考えている今にも…………。

 

 

「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

「っ!? 何事だ!!!」

 

「南門の方からです!!!」

 

 

南門から大きな歓声が上がる。

 

くそっ…………一つ門が落ちたか………。

 

 

「兵を二分して南門へと向かうぞ!! 他の門からも兵を出すように伝えろ!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

 

ただでさえ人が少ない状況だというのに………しかし、内と外からの挟撃を受けないためには………。

 

 

 

「ごっ…ご報告申し上げます!!!!!!!」

 

「今度はどうした!?」

 

「はっ。南門、西門共に敵の殲滅完了。そのまま東門と北門の救援に駆けつけるとのことです!!!!!」

 

「なっ……!?」

 

「伝令!!!! 西門方向より兵到来。旗は………赤と白で模様付けされ、金で縁取られた白い十字架とその上に同色で『誠』の文字!!」

 

「っ!? 徳種の所の兵か!!!?」

 

 

先ほどの報告が本当だとするならば、奴は自分の所の賊を全て片付けたということになる。

 

これは一体どういうことか………。

 

奴らの兵は義勇兵ではなかったのか………。

 

何故奴らは賊を倒すことが出来たのか………。

 

 

 

駄目だ………考えていても分かるものではない………。

 

ともかく今は、彼らの兵が駆けつけてくれて助かった………。

 

 

 

「夏侯淵様!!! 賊が援軍の到着で動揺しています!!」

 

「ならば私たちも討って出るぞ!!!! 徳種たちと挟撃し、賊を一網打尽にするのだ!!!!」

 

「「「「「「応っ!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

どうやら、彼らのお陰でこの戦は早く終わりそうだ………。

 

 

 

 

 

 

 

~楽進side~

 

 

「皆、頑張れ!! この門を抜かせる訳にはいかないぞ!!」

 

「せやで!! 皆、踏ん張りや~!!!!!!」

 

「皆、気合入れていくの~!!!!!!」

 

 

ここは東門。

 

夏侯淵様から曹操軍の精鋭を多く配置してもらい、指揮系統を一任されてこの門を守る私たち。

 

兵の指揮を執るのは今回が初めてだが、流石曹操軍の精兵。

 

私のたどたどしい指揮でも俊敏に行動し、迅速かつ的確に賊に対処していく。

 

こういうところを見るだけで、曹操殿がどれほど優秀な部下を従えているか分かると言うのものだ。

 

しかし、この数の差はいくら彼らが精兵といえども厳しい……。

 

果たして何時まで私の指揮でこの戦線を維持できるか………。

 

 

 

「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

「っ!? 何事だ!!??」

 

 

 

あの方向は…………南門の辺りか………。

 

 

「はっ!! どうやら南門付近で鬨の声が上がったようです!!」

 

「なにっ!? それはどっちの………。」

 

「報告します!! 南門より東門へ援軍を送るとの伝令が来ております!!」

 

「えっ………。」

 

 

耳を疑うような内容に一瞬固まってしまう私……。

 

今この兵は何と言ったのだろうか……。

 

 

「……すまない…。もう一度言ってくれないか?」

 

「はっ!! 南門より、此方への援軍を送るとの伝令が届いております!!」

 

 

やはり、先ほどのことは聞き間違いではなかった…。

 

という事は……だ…。

 

 

「徳種殿は………この兵数差を打ち破ったというのか………。」

 

 

それは単に彼自身が強いというだけではなく、彼の私兵たちも強いということ……。

 

彼は自分達は義勇兵だと言っていたが………私たちのような者とは違うということなのだろうか……。

 

 

「楽進様。ご指示をお願いします。」

 

「………。」

 

「凪!! なにぼーっとしとんねん!!」

 

「そうなの!! 凪ちゃんが指示出さないと兵隊さんも困っちゃうの!!」

 

 

少し考え事をしていると周りの声が聞こえていなかったみたいだ……。

 

真桜と沙和に注意されてしまうとは……情けない……。夏侯淵様にこの場を任されたというのに……。

 

 

「………すまない…二人とも……。もう大丈夫だ!!」

 

「あんま考え込まんと……ウチラも頼ってや!!」

 

「そうそう…。凪ちゃんは全部背負いすぎなの~。」

 

「そうかもしれないな。よしっ!! 全軍はこのまま守備に徹し、援軍が到着次第反撃に移るぞ!!」

 

「はっ!!!」

 

 

指示を受けた兵士が走っていく後姿を目で追うと、目の端で真桜と沙和の二人が笑っているのが解った。

 

 

「どうしたんだ、二人とも?? なんでそんなに笑って……。」

 

「いやっ………凪も一丁前な指揮官らしいことが出来んねんなと思ってな。」

 

「さっきの凪ちゃんカッコ良かったの~!!」

 

「……まだまだだ。夏侯淵様のようにもっと確りと指揮が出来る様にならないと兵は付いて来ないだろう…。」

 

「はぁ~……。相変わらず、凪は頭固いな~……。」

 

「本当なの……。頭カチカチなの~…。」

 

「うっうるさい!!! お前達も早く持ち場に行かないか!!」

 

「はいはい………。言われんでももう行くで~…。」

 

「じゃあ、また後で~なの~!!!」

 

 

手を振って去っていく二人を見送りながら、こんな状況でも普段と変わらない二人に自然に笑みがこぼれる…。

 

すると、さっきよりも体が軽く感じる…。

 

どうやら指揮官を任されたことに、予想以上に自分の体は緊張していたようだ…。

 

こういう何気ない所で私はあの二人に助けられている……。やはり、あの二人は私のかけがえの無い友なのだ。

 

 

 

空を仰ぎ見れば日は南中を過ぎ、もうしばらくすれば傾きかけるだろう…。

 

この空を見ていると今が賊との戦闘中だということを忘れてしまいそうになる。

 

それこそ、この街が賊に襲われると聞いた時には考えられなかった光景だ…。

 

では今この光景が見えているのは何故か……。

 

勿論、夏侯淵様たち曹操軍の兵たちが駆けつけてくれたのもあるだろうが……。

 

 

 

「徳種殿………か………。」

 

 

 

彼は一体この戦の結末をどう見ていたのか……。

 

彼には一体……何が見えているのだろうか……。

 

彼という存在に………少し興味が湧いてきた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓史に一生 第八章 第四話   たなびく御旗   END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

 

第八章第四話の投稿が終わりました。

 

 

実際に考えると、千人弱で一万人を殲滅するって普通は無理なことですよね…。

 

それをやってのけた新撰組の皆さんと聖さんってやっぱり化け物ですよね…。

 

しかし、これで新撰組の名は知れ渡ることになるでしょう……そうなると、聖さんとしても良いことは多いはず。

 

これからの展開に期待ですね…。

 

 

 

 

次話はまた一週間後に…。

 

それでは、お楽しみに~!!!!!!


 
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