No.599752

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 594

soranoさん

第594話

2013-07-20 22:17:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:869   閲覧ユーザー数:822

~旧市街・ライブハウス”イグニス”~

 

「オイ………居なかったってのはどういうことだ?俺は連れて来いと言ったんだ。聞こえなかったのか、アア?」

ロイド達がサーベルバイパーの拠点であるライブハウスに入るとヴァルドがサーベルバイパーの青年を睨み

「そ、そのう………ディーノの奴、家にも帰ってないらしくて……」

睨まれた青年は言い辛そうな表情で答えた。

「ならとっとと探して来いやァ!!」

「オッス!!」

そしてヴァルドに怒鳴られ、焦りながら頷いた。

(ディーノって………まさか一課のリストにあったパシリの?)

(よくわからんが………行方不明ってことか………?)

その様子を見ていたロイドとランディは小声で会話をした後、エリィ達と共にライブハウスを出た。

「どうなってんだ、ありゃあ……」

「状況はわからないけれど、リストにあったディーノ君は見当たらなかったわね。」

「ああ、それに連中の様子も普通じゃなかったし……」

ライブハウスを出たロイド達はそれぞれ顔を見合わせて話し合っていた。するとその時

「―――やあ、ちょっといいかな。」

ワジがロイド達に近づいてきた。

「ワジ君。どうしてこんなところに……」

「バイパーの様子が気になってさ。新入りの例の子、今朝からいないみたいじゃない。ま、あんな事やっちゃった後だし、まさかとは思うけど………」

「お前……何か知ってるのか?」

「まあね。ここじゃ何だし、トリニティにおいでよ。僕の知ってる範囲でよければ教えてあげるからさ。」

そしてワジはロイド達から去って行き

「………サーベルバイパーの情報についてはワジに頼るしかなさそうだな。」

「そうね………何かあったことだけは確かみたいだけど。」

ロイド達はワジの後を追って行き、トリニティに入って、ワジに話しかけた。

 

~プールバー”トリニティ”~

 

「……来たね。」

「ワジ、早速だけど話を聞かせてくれるか?」

「情報料、って言いたい所だけど今回はタダにしておくよ。僕らも無関係じゃないし………そこそこヤバイ話だからさ。」

「「「?」」」

ワジの言葉を聞いたロイド達はそれぞれ不思議そうな表情をした。そしてワジは話し始めた。

「バイパーのパシリの子はディーノっていったっけ。最近、様子が変だったみたいだね。」

「ああ、噂には聞いてたな。確か幹部とタイマンしたとかなんとか………」

「それがさ、昨日はついにヴァルドに喧嘩を挑んだらしいよ。」

「あ、あのヴァルドに………!?」

ワジの話を聞いたロイドは驚きながら尋ねた。

「そういうこと。聞いた話だけど、ものすごいスピードと力でヴァルドと良い勝負をしたらしいよ。最終的にはヴァルドが全力を出して何とか勝ったらしいんだけど………ディーノの方はそのまま飛び出て行った挙句に今朝、誰も姿を見てないらしいんだ。」

「ヤバイじゃねえか……」

「さすがにそれは………ただ事じゃないわね。」

ワジの説明を聞いたランディは目を細め、エリィは静かに呟いた。

「それで………やっぱり何かのクスリなわけ?」

そしてワジはロイド達を見回して尋ね

「なっ………!?」

「どこでそれを………」

ワジの疑問を聞いたロイドとエリィは驚いた。

「あ、やっぱりそうなんだ。最近『願いが叶う薬』とかいう都市伝説みたいな噂が流れてるからさ。もしかしてと思ったんだけど。」

一方ロイド達の様子を見たワジは納得した様子で呟き

「カマをかけたのね………」

「おい、あんまり周りに広めるんじゃねえぞ?事が事だからな。」

ワジの言葉を聞いたエリィは溜息を吐き、ランディは忠告した。

「フフ、その辺はわきまえてるよ。ま、旧市街じゃ今の所そのディーノって子以外にクスリを使ってるのはいなさそうだ、ただ、誰がクスリをさばいてるのかもわからないしね。僕の方でも気を付けておくよ。」

「……助かるよ、ワジ。」

「頼りにしてるわね。」

その後ロイド達は住宅街に向かった。

 

~グリムウッド法律事務所~

 

「やはり報せた方がいいでしょうか……」

「うーむ、しかし間違いだった場合先方の不利益になりかねない。まずは事実関係を確認してからだね。」

「そうですね……」

ロイド達がトリニティを訪れる少し前、事務所でハロルドとイアンが話し合っていて、そこにルファディエルとティオが入って来た。

「おや、君は……それに貴女とは初めましてかな、ルファディエル警部。」

「初めまして。ルファディエルと申します。以後お見知りおきを。」

入って来たティオとルファディエルを見たイアンは驚き、ルファディエルは会釈をした。

「おお……特務支援課の方達ではないですか。はは、丁度よかった。皆さんに相談すれば解決するかもしれませんね。」

「ああ、いいタイミングで来てくれたものだ。」

ルファディエル達を見たハロルドは明るい表情をし、イアンは頷いた。

「あの、話が見えないんですが………」

「………何かあったのですか?」

2人の様子を見たティオは首を傾げ、ルファディエルは真剣な表情で尋ねた。

「いや、実は昨日話していた貿易会社の経営者なんだが………今朝から連絡が取れないらしいんだ。」

「えっ………!?」

「…………………」

そしてイアンの話を聞いたティオは驚き、ルファディエルは目を細めた。

「『リゼロ貿易』という会社をお持ちで私も少しお付き合いがあったんですが………自宅にはいらっしゃらず、会社の方でも行方がわからないそうなんです。それで警察に届けようかと先生に相談していた所なんですが………」

「やっぱり失踪………でしょうか。」

ハロルドの話を聞いたティオは静かに呟き

「…………ハロルドさん、警察の方は少々事情があって動けないかもしれません。この件は支援課に回すという形を取っていただけますか?警察本部には折を見て話を通すことになると思います。」

ルファディエルは考え込んだ後提案した。

「わかりました………皆さんが捜査してくださるんですね?」

「ええ、少し時間がかかるかもしれませんが………イアン先生も、もし今後失踪者の相談があればセルゲイに連絡を回してもらえますか?」

「ああ………わかった、気を付けておこう。そういえばさっきから気になっていたんだが、ティオ君のその翼は一体………」

ルファディエルの言葉に頷いたイアンはティオに視線を向け

「………その。実はわたしは”闇夜の眷属”でして。あまり騒がれるのは苦手でしたので、今まで翼を隠していたんです。」

視線を向けられたティオは静かな表情で予め考えていた嘘を説明した。

「そうだったのですか………」

「フム………何か心境の変化でもあったのかね?」

ティオの話を聞いたハロルドは驚きの表情で呟き、イアンは考え込んだ後尋ね

「はい。………それではわたし達は早速捜査しようと思いますのでこれで失礼します。」

尋ねられたティオは頷いた後軽く頭を下げ、ルファディエルと共に事務所を出た。

「さてと………次はアルカンシェルね。飛んで行くわよ、ティオ。その方が時間の短縮になるし。」

「わかりました。」

事務所を出た2人はそれぞれの翼を羽ばたかせて空へと飛び立ち、歓楽街のアルカンシェルに向かって飛行して劇場の前に離陸した後、アルカンシェルの劇場に入り、受付に聞くと相談に乗って欲しいので、劇団長達がいるという客席ホールに向かった……………

 

 


 
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