No.599182

司馬日記35

hujisaiさん

その後の、とある文官の日記です。
また陳琳、張松、法正を人物録に追加致しました。

2013-07-19 14:29:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12544   閲覧ユーザー数:7969

12月24日

※司馬日記2X (仲達さんたちのクリスマス)御参照

 

12月26日

内々にという断りつきで蜀の張松、法正殿から面会を求められ一席設けたところ、魏で王都での中途採用の求人は無いかとの問い合わせだった。

以前人づてではあるが彼女らは蜀での立場も悪くなく、また劉備様を慕っていると聞いていた為意外に思い理由を伺ってみた。すると現在は中央へ出向中の身だが期限が来れば蜀に帰されてしまうため、一刀様の御側近くにお仕え出来る仕事を国を問わず探しているという。

成程そういったことでは蜀の者には聞きにくいことではあろうと思ったが、何故私を訪ねられたのかと更に聞いたところ、張松殿は私と面識程度でしかなく法正殿に至っては初対面であったが元直から私の事を一方ならず一刀様をお慕いする者として聞いており、元直からもおそらく仲良くなれるだろうとと聞いていた為だという。

そこは多少なりとも気になったため、では貴女達は一刀様をどのようにお思いかと聞くと話が盛り上がってしまいつい深酒を過ごしてしまった。しかし彼女等の心根は中々に立派であり逆に『仲達殿は多少盲目的なきらいがあり、より高所大所から一刀様の御為を考えられた方が良い』と意見を頂いてしまった。

 

12月27日

詠様に王都直轄総務室での求人予定について伺ったところ、「張松と法正に探られたんでしょ」とあっさり看破された。是非も無い為首肯すると、

「あの娘達、(仕事)出来るって噂は聞いてるけどうちにはもう張任が居るじゃない?そこと凄く相性悪いって聞いてるのと、引き抜くような形になっちゃうから桃香の手前ボクの方から積極的に動いてってのはちょっと難しいのよね」

と難色を示されてしまった。

張任殿も張松殿等も一刀様への忠心、能力、また女性としても御側に仕えるのに十分な資質を備えていると思われるのだが中々難しいものだ。

 

12月28日

一般事務は本日が仕事納めだ。一刀様が各部を廻られており、慰労の御挨拶を総務部にも下さった。年末の一刀様のお世話は最低限を詠様と月様で行い、年明けは日替わりで各国王にて御対応頂くことになっている。

月様はいつも笑顔を絶やさないが、本日は一段と輝いていらっしゃると思いますと詠様に申し上げると「ふふん…仲達もちょっとは判ってきたじゃないの」とこれまた日頃とは違った笑顔でお答えになった。

 

1月1日

一刀様と各国王様の御年賀の為直轄総務室の者は出勤であったが、廊下で一刀様とお会いし新年の御挨拶をさせて頂いた。

本年も良い年になりそうだ。いや、微力を尽くして一刀様に良い年を過ごして頂くのだ。

 

1月4日

一刀様の夜間襲撃演習が実施される事となり、具体的な計画を練る事となった。

防災計画書に、夜間に構内を走り回る為、警備員なしでの灯火の安全管理方法として桝に水を張り、その上に燭台を浮かべる事で火災防止を図ると記載があった。しかし頻繁に行う予定のない演習のためにそういった設備費を投入するよりも灯火管理の人員を配置した方が経済的ではないでしょうかと詠様に申し上げたところ、笑顔で『他人が松明掲げてる目の前でやれっての?この仲達は』と御叱責を受けてしまった。確かに関係の無い人員が視界に入っては訓練の真剣味が薄れてしまうかもしれない、経済性ばかり考えて効果の薄いものになってしまっては本末転倒だ。

そんなやりとりがあり反省したと御嬢様に魏の事務室に戻った際に申し上げたところ、これまた笑顔で

「仲達も何が『本』で何が『末』か百年後くらいには分かるようになるといいわね」

と語られた。

…笑顔ではあったが、おそらく御嬢様なりの御叱責だったのだろうと思う。

 

1月5日

公達様に魏での中途採用について、具体的に名を出して相談したが

「そうねぇ…普通じゃちょっと難しいわよねぇ、張松って確か前に華琳様に会って、只でさえブスじゃ気に入られないところ持ってきて華琳様の胸が慎ましいとか言っちゃって怒らしてるでしょ?張松の方でも華琳様の事嫌いらしいって聞いてるし。ああでも、出世させない前提でもいいならあたしの権限で一人二人なら人員増やせるけどどうする?あんたの部下にでもする?」

と言われた。

そういえば先日彼女等の相談を受けた際、「かつて曹操様に面会した事があったが一刀様への口の利き方は如何なものか」と言うような事を言っていた。近年そのような所は見かけていないため、おそらくかなり前のことなのだろう。本人達の意向もある事なのでまた御相談させて頂く事とした。

 

1月6日

一刀様御鍛錬向けに李典殿が開発されていた『格闘用まっと』が完成したとのことだ。この製品は『ろーしょん』との相性が良好であり、呉特産のろーしょんとの相互供与特約の文案作成の為李典殿と曹操様が総務部へお見えになった。

性能は如何程なのかと李典殿に伺ったところ、

「開発者として、たいちょと試してみたけどな…あの取り合わせホンマすっごいで、ようけぬるぬる滑りまくって、ウチもう死ぬか思たわ。一つに融ける、言うん?蛸に絡まれて抜けない銛で串刺しにされた海鼠にされたような感じやで、前で何回後ろで何回とかもう判れへん、気ィついたら『あ、今まで失神しとったんや』ってぼやぁーって思った位や」

と言われた。一刀様の安全対策のための『ろーしょん』と『まっと』であるので死ぬほど(滑る)というのでは困るのですがと申し上げると

「仲達はんは『死ぬっほど』やと逆に怖いクチなん?凪みたいやなぁ」

と笑われ、他の方々は全く何も意に介さず打ち合わせを進められたが良かったのだろうか?

 

1月7日

詠様に呼ばれて会議室に伺ったところ、劉備様に張松、法正殿らを正式に蜀の王都勤務に出来ないか依頼したと教えて頂いた。ただ詠様は、

「一応張任とのアレがあるから難しいなら無理にはお願いしないってボクは言ったんだけど、桃香は『でも、張任さんも張松さんも法正さんもご主人さまの事は好きなんだよね?だったら大丈夫じゃないかなぁ』って簡単に言うのよねぇ。多分、あの種…一刀に寝技に持ち込まさせる気みたいなんだけど、それでいいのかなって」と懸念を示されていた。

 

1月8日

夕方になって突如雷雨があった。庁舎の窓閉めに廻っていたところ何かを抱えた一刀様と行き会い、見てみれば抱えられていたのは璃々嬢だった。一刀様によると雷が怖いとのことでしがみつかれており、しばらく離せなさそうだとのことだ。

しっかりしていると思ってはいたが、雷が怖いとは流石の璃々嬢もまだ少女らしくほほえましい事だ。

そう思いながら会釈して通り過ぎると孫尚香様が笑顔で駆けて来られ、

「一刀一刀っ、シャオ雷こ…」

と言いかけたが、一刀様の後ろ姿を見られると舌打ちされ柱を一蹴りしてどすどすと去ってしまった。

 

1月9日

庁内の会議から執務室に帰ろうとすると、張遼殿が引きとめようとしているらしい凪を引きずりながら向こうから駆けてきた。私を認めた凪が「霞さまを止めてください」と叫ぶので一先ず張遼殿を制止すると、凪の為なので通せと言われた為事情の御説明をお願いした。するとしばらく私の顔を見られていたが、にやりと笑みを見せると凪の口を抑えながら、

「一般論として自分の持ち物には名前を書いとかなあかんやろ」

と言われたので、そうでしょうと答えた。

「ところで凪は一刀のことめっちゃ好きやろ」

と言われたので、頷いた。

「仲達はんは筆を一刀から貰ったって聞いとるけど名前彫ってもらって嬉しなかったか」

と言われたので、嬉しかったですと答えた。

「そんで凪は誰のもんや」

と言われたので、以前凪は一刀様に全てを捧げていると言っておりましたので一刀様のものかとと答えた。すると張遼殿は凪の口を抑えるのをやめて

「な?凪、今仲達はんとした話でなんか間違いあるかいな?」

と凪に聞くと、だからと言ってそれはちょっと短絡的過ぎですと言い返していたが、ともあれ私は凪の不本意な事であれば止めようと思い

「つまり凪は嫌な事をされようとしているのですか、それと張遼殿と引っ張りあっているその袋の中身は何ですか」

と聞くと、何故か顔を紅くして

「そ、その…これは…ぼ、防具、首を守る防具です!首は急所ですから!それとあのその、嫌という訳では決して無くむしろ望むところではあるのですが!…その心の準備がと言いますか、桐花さまみたいな本物の人たちとは違って恋さまと同じ鎖無しにはしましたけど隊長から頂くのならともかく自分で買って、で名前をというのはちょっとその…それはちょっとまずいかと!人として!」

と言うがいまいち要を得ずにいると、張遼殿が「な?凪嫌やない言うたやろ、これは上官の指導の一環やさかい、ほな通してな」と言われ、理はあるように思われたので通すこととした。

 

1月10日

午後に士季が士載と近親上等☆姉妹を迎えに来た。

聞いたところ、士季が士載は典韋殿に焼き菓子の作り方を指導してもらっており、これから半日休暇をとって調理し一刀様に食べて頂くのだと言う。

勤務時間外であれば問題は無くまた感心な事と思い見送ろうとしたが、嬉しげに小走りでついていこうとした姉妹に不意に嫌な予感を感じて呼び止めた。きょとんとしている姉妹に所持品を見せるようにと指示すると顔色を変え脱兎の如く逃走を図った為、逃走先に居た詠様に

「詠様その二人を捕らえて下さい!」と叫ぶと察して頂けたらしく眦を吊り上げ、一声「恋!」と叫ばれた。すると呂布殿がどこからともなく飛来され、姉妹それぞれの喉元に腕を打ちつけて倒すと二人の懐から少量の香水を入れるような小瓶が転がり落ちた。

詠様がその小瓶を踏み割ると

「あ―っ!?せっかくの若い乙女の媚薬、もとい仙薬が―!」

「あれだけでも採って入れるの大変でしたのに!」

等と叫んでいたが「大変なのはあんた達の頭の中よちょっとは懲りろこの変態バカ姉妹っ!あんた達、当分一刀に何か食わせるの一切禁止!」と詠様に叱責され、呂布殿によってどこかへと運ばれていった。

 

…正直、あの小瓶の中身がなんなのかは知りたくもない。


 
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