まえがき コメントありがとうございます。そろそろ梅雨が明け、夏本番に近づきそうですね。梅雨時に雨が少ない年は例年より厳しい暑さになると聞いて、若干の絶望感を味わっているsyukaです。皆様、体調管理はしっかりされていますか?私は毎日起きるとカピカピの煮干しみたいな状態で起きますので、最近は寝る前に水分補給を欠かせません。さて、今回は一刀の両親+αが登場します。それではごゆっくりしていってください。
ご主人様が未だ目を覚まされぬ状態で始まった軍議。肝心要の桃香様はどうやら天幕に篭られているらしい。平時ならご主人様、桃香様もご一緒されるべきなのだろうが、管轤に、
「今はそっとしてあげてほしい。」
と言われてしまったからな。私は家臣として、義妹として相談に乗るべきなのだろうが・・・管轤に手段があると言っていた。私は・・・桃香様の支えになろう。
「とりあえず魏軍は追い返したが、曹操のことだ。すぐにでも再び戦ができるように準備してくるだろう。こちらもそれらに対応するだけでなく、こちらからも動く必要がある。孔明、何か手はあるか?」
周瑜が一歩前に出てこれらからの方針について話しだした。こちらの主な応答は朱里がやっている。
「周瑜さんもお気づきでしょうが、魏には多くの拠点があります。つまり、どこが戦場になろうとあちらには兵糧、兵站が積まれている可能性が高いと推測します。」
「ふむ、つまりはその各拠点を襲撃し、補給物資を潰し、そこにある城を一つずつ潰していこうという解釈だな?」
「はい。地道な作業になりますが、これが最も効率があり効果的なものかと。」
「了解した。」
「冥琳、孔明ちゃん、その拠点に向かうのは呉蜀の将が一丸となって潰しに行くの?それとも呉は呉、蜀は蜀で別々に行くの?」
「共に動いたほうが良いでしょうね。そちらの方が互いの情報、近況を把握しやすいというのも共に動く理由です。」
「そうだな。それに・・・私たちとしても一刀のことが心配だ。」
周瑜が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。彼女はご主人様に命を救われたと聞いている。
「冥琳を救ってもらったのに一刀はほったらかし。というのは有り得ないもの。それともう一つ、劉備のことも心配なのよ。王族として、何か手助けけができればとも考えているし。まぁ、蓮華は頭が固いからそっちはそっちで心配だけど♪」
「どうせ私は頭が固い頑固者ですよ。」
孫権殿のぼやきが締めの言葉となった。
「では各自解散。私たちは一度建業に戻る。蜀はどうする?」
「私たちは・・・そうですね。私たちもとりあえずは成都に戻ります。」
「分かった。では、こちらが一段落したら数名だが成都に将を派遣しよう。情報交換ついでにな。」
「はい。お待ちしています。」
蜀、呉とそれぞれ行動を始めた私たちは、一度ご主人様の眠る天幕の側へと場所を移した。
・・・
「まだご主人様は目を覚まされないか・・・どうする?負傷されたご主人様は迂闊に動かすのは得策ではないと思うのだが。」
「けど、起きるまでここにいるのも問題があると思うぜ?あたしたちも仕事は残ってんだしよ。」
「それなら儂と貂蝉でダーリンとご主人様を運ぶから安心じゃ。ご主人様も天幕よりは寝台で横にさせたほうが回復も早いじゃろうて。」
「そうね。私たちだけならすぐに成都に到着するし、桃香ちゃんは帰り際にでも皆と相談する時間が必要だわん。」
「そうだな。では、頼む。」
天幕の中に貂蝉と卑弥呼が入り、華佗と眠るご主人様を連れてきた。ご主人様の左目には眼帯が巻かれている。それと一緒に桃香様と鈴も一緒に出てきた。
「では私は勾玉に戻っていよう。お前たちが戻ってくるまでは私が看病をしておくから安心しておくといい。」
「では儂らは行くとするか。」
「分かったわん。華佗ちゃん、行くわよ~。」
「あぁ。」
貂蝉たちは地を蹴り、上空を飛来しながら戦場を離れた。
「桃香様・・・まだ、悩んでおられるのですか?」
「なかなか考えが纏まらなくて・・・ごめんね。私がしっかりしないといけないのに・・・。」
見ていてこれほどまでに弱っている桃香様を見たことがあっただろうか。付き合いの長い私でもそう思えるほどだ。
「桃香お姉ちゃん、元気出すのだ!いつもみたいに笑ってれば元気になるのだ!」
「鈴々ちゃん・・・。うん、そうだよね。」
桃香様が微笑むもどこか弱々しい。それは鈴々にも伝わったようで・・・。
「お姉ちゃん・・・。」
「っ・・・ごめんね。やっぱりまだ上手く笑えないよ。」
気不味い雰囲気があたりを覆う。
「気にするなと私も言っているのだがな。・・・まぁ、そこはおいおい解決するだろう。」
「鈴さん、桃香様にも考えがあるのですよ。」
「そうなのか。人間というのはややこしい物なのだな。」
「え、えと~・・・鈴、人の姿で言っても説得力ないよ?」
「蒲公英にまで言われるとはな。私も人に近づいてきたということか。」
「蒲公英にまでって・・・いつもどんな印象を受けてるんだろ?」
蒲公英が思案顔を浮かべる。その近くにいた翠と蒼は顔を見合わせて、くすくすと笑っている。
「お前の印象など悪戯好きの小娘程度に決まっているだろ。何を今更。」
「焔耶にそんなこと言われたくないよ!それを言うならあんただってちょっとおっぱいが大きい脳筋じゃん!いっつも蒲公英の罠に引っかるし~♪」
「お前たち、少しはあたりの状況を考えて物を言えといっているだろう!」
「うっ・・・!」
「あいた~!」
桔梗さんが焔耶ちゃんと蒲公英ちゃんに拳骨をお見舞いする。二人とも頭を押さえてうずくまっている。
「桃香様のことも察してやらないか。」
「桔梗さん、気を遣ってもらってすみません。」
「なーに、悩むときはとことん悩むべきですぞ。そしていつでも相談には乗りますゆえ。」
「桔梗さん・・・ありがと。」
「桔梗は悩む前に即行動ではなかったかしら?」
「儂はな。だが、桃香様は違うだろ。それに、紫苑の相談にも乗ったことあるではないか。」
「あら、そうだったかしら。」
「抜かせ。」
「ふふっ。」
「ふんっ。」
あたりの空気が少しだけ和やかになった気がする。そうだよね、困ったときは皆と相談しないと。今までも私たちはそうやって色んなことを乗り切ってきたんだから。
少しだけ、桃香の表情が笑顔になったのを愛紗は見逃さなかった。彼女もまた義兄、義姉を心配している一人なのだ。桃香の微笑は少なからず愛紗の心の負担を軽くしたようだ。
・・・
戦場を去っておよそ十分。儂らは成都上空まで辿りついた。
「貂蝉よ、そろそろ降りるぞ。」
「分かったわん。」
とりあえず地上に降りる儂と貂蝉。ふむ、人目に付かぬように城の庭に降り立ったのだが、先客がいたようじゃ。
「あんたら、もう少し普通に戻ってこられないの?」
「お二人とも、お帰りなさ~い。」
「何か変わったことはあったか?」
「特になかったわよ。 市の方も言うほどのことは起きてないわ。 あったとしても馬騰がいつの間にか解決しちゃっていたから。」
「そうか。なら安心じゃ。」
「残りの問題はご主人様と桃香ちゃんだけね~。」
「もしかして、二人に何かあったの・・・?」
「桃香ちゃんは気持ちの問題ね。こっちは多分すぐに解消出来るわ。けど、ご主人様の方が戦場で負傷してしまったのよん。」
貂蝉がおぶっていたご主人様を木陰に横たわらせる。あれだけの勢いで滑空しておったのに、まだ目を覚まさぬか・・・。
「一刀さん、眠っておられるのですか?」
「・・・姉様、多分違うわ。眠っているだけだったら一刀は眼帯なんてしないもの・・・。」
「流石に気付くか。とりあえず、儂はダーリンを起こしてご主人様の看病に当たらせる。貂蝉よ、董卓と馬騰を呼んできてくれ。流石に璃々にはまだ教えられんからの・・・。」
「月と馬騰なら市で食材の買出しをしてるわよ。」
「了解したわん。」
貂蝉が市へ駆け出したのを見送ると、劉弁が心配そうな目をしながら儂の服の裾を引っ張ってきよる。
「一刀さんは・・・目を覚まさないのですか?」
「そこは心配せずとも良い。一度目を覚ましたとダーリンが言っておったからな。」
「そのだーりんはまだ気を失っているんだけど?」
劉協の指差す先には目を回したまま気を失っているダーリン。
「ダーリン、成都に着いたぞい。」
ダーリンを軽く叩いて起こしてみるかの。
「ごふっ!?・・・げほっ!げほっ!」
「あ、あんた!そんなに思いっきり殴らなくてもいいじゃない!華佗、大丈夫?」
「あ、あぁ、問題ない。私は医者だからな。体は丈夫なんだ。」
「お医者様って凄いんですね~♪」
「いや、医者と体の丈夫さは関係ないと思うんだけど・・・。(私が間違ってるのかしら?)」
「それで、今どういう状況なんだ?」
「貂蝉が董卓と馬騰を迎えに行っておる。儂は今のうちにご主人様を部屋に運んでおくから、ダーリンは劉姉妹たちと謁見の間に向かっておいてくれ。」
「分かった。」
儂はご主人様を抱えると主の部屋へと歩を進めた。
・・・
ご主人様を部屋へ運び終えたあと、儂は謁見の間へ向かった。
「皆、集まっとるの。」
「卑弥呼さん、お帰りなさい。」
「卑弥呼、貂蝉からあらかた話は聞いたわ。劉備ちゃんと北郷殿に問題が起きたってことは分かった。」
「ご主人様・・・左目の視力が戻らないかもしれないって、本当なのですか?」
董卓が裾をギュッと握り締め涙になっておる。こうなるのは当然かもしれんの。戦場におった蜀、呉将たちが激昂したくらいじゃからな。
「それで、私たちは何をすれば良いのですか?」
「何、気負うことはないさ。桃香の相談に乗って、一刀の体調に気を配ってくれてればそれで良い。俺も二人がいつもどおりでないと調子が出ないからな。」
「分かったわ。」
「薔薇ちゃん、月ちゃん、一刀さんのお部屋に行こ。起きた時に誰か近くにいた方が嬉しいから。」
「そうですね。あっ、晩御飯前には厨房に戻ります。」
「了解した。今日も期待している。」
「はい♪」
・・・
蜀呉同盟戦がひと段落着いた翌日、劉備たちは成都に帰還した。此度の戦は重鎮である北郷一刀が負傷したが、一般兵や他の将が重傷を負うこともなく痛手は少なかったようにも思える。しかし、自分の遣える主が負傷したという事実に心を痛めるものは少なくない。皆の願いは一刻でも早い主の復活。帰還直後、将たちは自室に戻るよりも前に主の部屋へと直行した。
「ご主人様!」
桃香たちがノックなしに部屋に入ると、そこには看病する月と薔薇百合がいた。視線を動かし一刀を見やると、瞼が閉じられており額には水で濡らしてあるであろう布が置かれている。
「ご主人様、目を覚ました?」
「今朝方に一度、目を覚まされました。軽いお食事も食べてくれましたし、順調に回復しているようです。」
「よ、良かった~。」
戻ってきた面々の表情が安堵したものに変わる。
「激しい運動はまだ駄目だそうよ。華佗に念を押されたわ。まったく・・・一刀は目を覚ましたらすぐに外に行こうとするんだから・・・世話が焼けるわ。」
「そうは言っても、今朝のお散歩は一刀さんと一緒だったから薔薇ちゃん、嬉しそうにしてたよ~♪」
「ね、姉様!//そ、そりゃ一刀との散歩は久しぶりだったし、嬉しくなかったとは言わないけど・・・少しだけ・・・。そう、少しだけだから!!//」
「私は嬉しかったですよ?ご主人様が目を覚まされたときはあまりの嬉しさに抱きついちゃいました。」
「一刀さんに頭も撫でてもらいましたしね~♪」
「いいなぁ。」
羨ましがる桃香や三軍師たち。その光景にただただ微笑む紫苑、桔梗、星。一刀が少しでも回復したという事実に思わず涙を流してしまう流琉、胡花など各々違う反応を見せた。
「一刀様が少しでも回復しておられて安心しました。桃香様、少しばかり外出許可をいただいてもよろしいですか?」
「また随分と唐突だね・・・うん、良いよ。どのくらいで戻ってこれそう?」
「明日の早朝には戻って来られると思います。朝食の時間には間に合わせますので。」
「分かった。気を付けてね。」
「はい。」
管轤は踵を返し、一刀の部屋を後にした。目指すは幽州、五台山の麓。
・・・
ふぅ、少し急ぎすぎました。とりあえずは現代に戻ってきましたが、時刻は・・・14時。まだ時間はありますね。一刀様の部屋にいつまでも土足というのも失礼なので、とりあえず靴を脱いで・・・美桜様たちに戻ってきた挨拶くらいはしないといけませんね。一階に降りて、居間の方に・・・おや、影刀様がテレビを見ています。こっそり驚かせてみましょう。気配を消して背後から・・・
「不法滞在者撲滅。」
「あたっ。」
なんと、私の背後に美桜様がいるではありませんか。不覚にもお玉で頭を叩かれてしまいました。
「あなたねぇ、この家に戻ってくるのは良いけど、いきなり背後から驚かそうとするのはいただけないわよ?」
「バレていましたか。」
「一刀の部屋に入った時点で私も影刀も気付いていたわ。というか、あなたクラスの気が近くに来たら嫌でも気付くものよ?」
なんと。では私の計画は始めから成功する確率は0だったということですか。少し悔しいですね。
「・・・リベンジさせてもらってもよろしいですか?」
「どこからやり直すつもりよ・・・。」
「一度外史に戻って・・・」
「却下。」
「後生です。」
「却下よ。」
「けち。」
やはり美桜様は一筋縄ではいきませんね。知っていましたが。
「・・・ぶっ、わはははは!!!」
「影刀、今のやり取りのどこに爆笑するとこがあったのかしら?」
影刀様がお腹を抱えて笑われています。影刀様の笑いのツボは未だに理解できません。
「お前たちの漫才を久しぶりに聞いたと思ってな。ぶふっ・・・。あぁ、久しぶりに笑わせてもらったわい。」
「笑わせようと思ってやったのではないのですが・・・私は驚かせようと・・・。」
「儂を驚かせようとするのは別にそうでもないのじゃが、声を聞かれておるのじゃぞ?その上でリベンジなどと・・・それじゃ驚かせようにも無理があるわい。」
普段の管轤は外史の管理者としてしっかりしとるんじゃが、こやつが悪戯を考えっときの頭ん中はどっかずれとる。つまり、ギャップが激しいんじゃ。
「むぅ・・・まぁいいでしょう。これはまたの機会に持ち越しです。美桜様、お茶を一杯いただけますか?」
「分かったわ。」
美桜様かお茶を淹れていただき、それを一口啜る。
「ふぅ。」
「ところで、一刀の容態はどうなっとるんじゃ?左目を負傷したと聞いておるが・・・。」
「今朝方に目を覚まされたようです。外を散歩できるようには回復されたようですね。まだ激しい運動はしないように。と華佗に釘を刺されていますが。」
「そこまで回復すればケロッと本調子に戻るわい。」
「五斗米道継承者の華佗がいたのが幸いしたわね。あの時代は医者自体が貴重だから。」
「そうですね。」
私は少しの間、お二人と近況通達やら世間話に洒落こんだ。
・・・
「ご馳走様でした。大変美味でした。」
「お粗末さまでした。」
「もう行くのか?」
「はい。菊璃様たちをあまり待たせるのも悪いので。」
「あの子たちは気にしないと思うわよ?」
「そこらへんは性分ですので。」
「そうか。気を付けて行くのじゃぞ?」
「勿論です。それでは、明日に菊璃様たちを連れてまたお邪魔します。」
「分かったわ。」
私は北郷宅を後にした。
・・・
「下手に建造物があるというのも何かと厄介ですね・・・。荒野ならひとっ走りすれば到着する距離なのですが。」
飛行機に揺られること一時間半。東京に着いた私は思わず愚痴を出してしまう。
「私にはここより鹿児島の方が合っていますね。信号も少ないですし・・・。このスクランブル交差点というのも苦手です。」
そんなことを思いながら歩くこと30分。目的地である北郷宅に到着した。チャイムを鳴らし、家主が出るのを待つ。
「管轤ね。入っていいわよ。」
「お邪魔します。」
久しぶりのこちらの家に入りましたが、やはり綺麗に片付けられていますね。それに加えて、二人で暮らすのは大きすぎるほどの土地。二人暮らしで500坪は広すぎるのでは・・・
「よくこの家から学校の寮生活に慣れましたね。一刀様も鞘香様も。」
「鞘香は近くにいるから平気だったんじゃないかしら。すぐに向こうに行っちゃったから一時期は機嫌を損ねていたけれどね。一刀は小さい頃から環境に順応しやすいタイプだったから心配なかったわ。」
「・・・それもそうですね。そうでなければ外史で生活出来ませんから。」
というより、順応出来れば死んでしまいますね。
「管轤さん、お久し振りです。」
「お久し振り。鄧禹は元気そうですね。」
「はい。こちらでは体を思いっきり動かすことが出来ませんから・・・たまの暇な時間に近くの道場を借りて霧刀様に指南していただいています。」
「人の夫を月に二回も連れ出しては私もそろそろ機嫌を損ねるわよ?」
「霧刀様は今でも私のご主人様ですから♪」
きりっとして表情が一変して満面の笑みに変わる。
「そうか?オレからして見れば主っつうより兄貴の方がつええんだが。」
「お、お兄ちゃんです!」
「う~ん、いくら兄貴の方が年上っつってもよ、27でお兄ちゃんと呼ぶのは無理があるんじゃねえか?」
「大丈夫です!私、この年でもお酒買うとき年齢確認されますから!・・・誰が中学生ですか!これでも27なんですよ!」
「劉植は幼さが残ってるとこが可愛いんだから。そこは気にしなくていいよ。」
「お兄ちゃんにそう言ってもらえると助かるんですが・・・こう、私としては大人の魅力をですね・・・。」
「・・・。」
皆が顔を見合わせる。
「皆さん酷いです!ふんだ!」
「あぁ、可愛い。」
鄧禹さんが破顔しています。恋ちゃんを見る愛紗さんのような感じでしょうか。
「はいはい。拗ねた劉植は置いておくとして。」
「劉秀様、酷いです。」
「管轤が来たことだし、今からお義母さまの家にお邪魔し一刀のいる外史に行くことになるわ。改めて確認するけど、良いわね?」
皆が一斉に頷く。劉植はまだ引きずっているようだけど。
「霧刀さん、劉植の機嫌をとるのお願いしますね。」
「面倒なことは俺任せという魂胆か?」
「さて、どうでしょうね。」
「まったく・・・。」
「霧刀様がそういう対応をするから菊璃様が任せるのでは?」
「俺も菊璃に任せられるのは嫌ではないからさ。惚れた弱みってやつだよ。」
「ノロケ話ですね。」
「私たちラブラブですから♪」
バカップルは放置という形で他の方たちは私を含めて家を出た。
鹿児島を出発し、外史にたどり着いたのは翌日の早朝だった。
・・・
今日は桃香と共に朝の警邏中。やっぱり動いてないと落ち着かない。華佗には渋い顔をされたけど・・・気にしない!もう痛みはほとんどないし、眼帯してるけど私生活に支障はきたしてないから。
「うぅ、剣を振るいたい・・・。」
「まだ駄目だよ~。せめてちゃんと治ってからじゃないと。」
桃香が困った顔をしてる。俺も皆に心配して欲しくないから自重はしてるんだけど・・・。
「散歩するお許しが出ただけラッキーだと思っとこうかな?」
「らっきい?」
「幸運ってことだよ。」
「ご主人様、寝台でじっとしてるときにずっとうずうずしてたもんね~。」
「出来れば模擬戦の一戦でもしたいくらいなんだ。」
「じゃあ今は早く模擬戦するためにも休憩しないと!」
「そだね。」
俺たちはそのままのんびりとした時間を過ごしている。おっちゃんや子供たちが俺の眼帯を見て心配そうに声を掛けてきたりするけど、やっぱり目立つよな。
「この眼帯、はずしちゃ駄目かな?目立つし・・・。」
「駄目。」
はい、即答されました。俺の言動、もしかして読まれてる?
「じゃあ、その眼帯より目立っちゃえば問題ないよね♪」
「ん?」
「えい♪」
桃香が俺の腕にしがみついて来た。
「えへへ♪」
「突然抱きつくのは止めなさい。」
「や。たまにはいいでしょ?」
「桃香の場合、たまにじゃないよね?」
「ご主人様が怪我してからまだしてなかったもん。」
そんなやりとりをしていると、前方から見知った顔がこちらに近づいてきた。
「一刀様、桃香様、ただ今戻りました。」
「管轤ちゃん、お帰り~。」
「おかえり。・・・」
またこのパターン?俺へのどっきりサプライズでも考えてるの?
「一刀、久しぶりね。」
「元気にしていたか?」
「う、うん。」
予期せぬ出来事に言葉が見つからない。親や親戚ばかりで知らない人じゃないんだけどなぁ・・・。
「というか、蕾姉ちゃんや美彩叔母さんたちまで・・・どうしたの?」
「ほぅ・・・私はおばさんとな?」
「・・・美彩御姐様。」
「よろしい。」
管轤さんが連れてきたあたり、予想はつくけど・・・まさか、ねぇ?
「ふふっ、何でこんなとこにいるんだ?って顔をしているわ♪」
「それはそうだろうな。一刀、驚かせるような形になってすまない。管轤にお前が負傷したと聞いて心配になったんだ。」
「父さんが謝ることじゃないよ。心配してもらえるだけで嬉しいわけだし。それより、ひとつ聞きたいことがある。」
「言いたいことの予想はついている。まぁ、そうだな。父さんや母さんもこっちに来てたようだし、察しはつくだろ?」
「そのまさか?史実の偉人さんだったり?」
「大当たり。」
「親戚の姉ちゃんや叔母さんたちも?」
「バレちまったら名乗るしかねえよなぁ。」
咲夜叔母さんが一歩前に出る。最近30過ぎて夫が頼りないと俺にボヤいてくる姉御肌の人である。短く整えられたショートボブの黒髪が風に揺れる。
「我が名は呉漢子顔!雲台二十八将、序列第二位にして剛直の死神である!なぁんてな。あ、ついでに言うと、オレの咲夜っつう名はオレの真名だ。」
「咲夜叔母さん、ちょっと声でかいって・・・市の人たちが何事かと出てきちゃったじゃん。」
「あ、わりぃ。」
「お騒がせしてすみません。」
俺は出てきた皆さんに頭を下げる。桃香はというと突然の出来事に頭がついていかないようで・・・。
「ここじゃ色々と迷惑が掛かるわね。城の方に移動しましょう。案内してもらえる?」
「あ、うん。ほら、桃香も移動するよ?」
「・・・っ!う、うん!」
・・・
俺たちはとりあえず謁見の間に移動した。後でもう一回警邏に言って事情を説明した方がいいかな?
「あらん、誰かと思えば懐かしい面々が揃ってるじゃな~い。」
「貂蝉さん、お久し振りです。」
「そうね~。ご主人様が小さい頃に会って以来だから・・・15年振りくらいかしら?」
「おっさんは相変わらず物騒なツラしてんな!」
「イタイ気な女に物騒なツラなんて酷いわ!そういう歯に衣着せぬ物言いは咲夜ちゃんも相変わらずね。」
「俺は皆を起こしてくるよ。一度に紹介した方が手っ取り早いし。」
俺が踵を返そうとしたら、貂蝉に片手で制された。
「ここは私に任せて。ご主人様は怪我人なのだからあまり動かない方がいいわん。」
俺が言葉を返す前に行ってしまった。貂蝉と入れ違いで月が謁見の間に入ってきた。
「皆さん、おはようございます。」
「おはよう、月。」
「あの、こちらの皆さんは・・・。」
「俺の両親と親戚の人たちだよ。管轤さんが連れてきちゃったみたい。」
「そうですか。皆様、お初にお目にかかります。ご主人様のもとでメイドをやらせていただいています、董卓仲頴と申します。」
「あらあら、これはご丁寧に。私は一刀の母の北郷菊璃と言う者です。いつも一刀がお世話になっています。」
「い、いえ!私の方こそご主人様のお世話になってばかりで・・・それに、ご主人様の身の周りのお仕事も私の生き甲斐ですので。」
生き甲斐って・・・そんな大それたとこにまで昇華していたのか。俺だって感謝しきれないっていうのに。
「ちょっと、一刀くん。」
「はい?」
海未さんが俺に近寄ってくる。エメラルドの如き緑の長髪が首にあたって正直くすぐったい。
「どこからあんな可愛い子拾ってきたのよ?」
「拾ってきたって・・・危ないところを俺たちで救ったんですよ。で、彼女が俺のお世話がしたいって言うからメイドさんになってもらいました。」
「あのメイド服は?こんなとこには売ってないでしょ?」
「俺が作りました。」
「うちにも欲しいわ。一刀くん、うちの夫あげるから彼女ちょうだい。」
「ダメです。そんなこと言ったら旦那さん泣きますよ?」
「たまには痛い目にあったほうが分かるわ。・・・私が直々にやっちゃおうかしら?」
「殺人はダメですよ?」
「愛のムチよ。」
・・・物は言いようである。ちなみに、朝っぱらから幾つかの部屋で悲鳴が聞こえてきたのは語るまでもない。
・・・
皆を謁見の間に集め、ひとまずは咲夜叔母さん・・・呉漢さんの自己紹介が終わる。声がでかいのはご愛嬌。
「次は私ですね。」
風香姉さんが一歩前に出る。普段はおっとりお姉さんなんだが、恋や愛に関して目がない。というか語りだしたら止まらない。
「私の名は岑彭君然。雲台二十八将、序列第六位。以後、お見知りおきを。」
「彼女は敵国民衆にも惜しまれた仁愛の名将、なんて呼ばれていたのよ。」
「自覚はないのですがね。」
「予想はつくかな。日頃の言動もそうだけど、風香姉さんは誰彼構わず優しいから。」
「一刀くんにそっくりそのまま言い返すわよ?」
「姉さんほどではありませんよ。」
そんな会話をしていると、美彩叔母さんが前に出る。おばさんというとキレるので姐さん・・・もとい、美彩ねえと呼んでいる。茶色のポニーテールが元気印である。もう一つ上げれば星並みの酒好き。宴会を開くと言い出すのはいつも美彩ねえだ。
「あたいは馬武子張!雲台二十八将、序列第十五位!酒と宴会が好きだ!」
「あなたねぇ、自己紹介で言う事ではないでしょう?」
「こういう時に言っといたほうが印象つええだろ?」
「ほう、では今夜あたり宴会でも開く良い機会だな。」
「桔梗はただお酒が飲みたいだけでしょ?」
「お館様の分も用意してありますぞ?」
「まぁ、母さんたちが来た時点でそうなるだろうなって思ってはいたから。」
次は・・・蕾姉ちゃんか。こんな大勢の前で大丈夫なのか?俺より年上のはずなのにどこか危なっかしいというか、ドジっ子なのだ。童顔で、俺と一緒にいるときに、
「鞘香ちゃんの妹もおったんか~。」
と及川に言われたときの蕾姉ちゃんの凹み方は尋常じゃなかった・・・。後でフォローするのが大変だったよ。
「え、えと・・・劉植伯先です。雲台二十八将の序列二十八位で・・・歳は二十七です!」
「・・・。」
やっちまった・・・。これ、また俺がフォローしないといけないパターンだよ。
「え、えとえと・・・かずくんのお父さんは私のお兄ちゃんです!」
「・・・。」
ちょっと落ち着いてください。皆面食らってるから。
「菊璃、フォロー入れないでいいのか?」
「面白いから放置で♪」
「・・・はぁ。蕾、もう少し落ち着け。言いたいことだけ言えばいい。」
「歳のことは言いましたから・・・じゃあおしまいでいいです。」
「・・・ほんとに?」
「はい♪」
「・・・。」
姉ちゃんの天然ボケには誰もついていけないだろう。従姉弟として育った俺でもそうだったんだから。金髪のアホ毛がぴょこぴょこしてるのを見ると脱力感倍増である。
「こほん。では気を取り直して・・・。私は鄧禹仲華。雲台二十八将、序列第一位にして主に将たちの統率をやっております。」
「彼女は私の学生の頃からの親友なんですよ。」
「公私の区別はつけていますので。」
海未さんは昔から特に仲が良いとは思ってたけど、そんな間柄だったのか。孔子に顔回あり、光武に鄧禹ありと言われるだけあり、絆の深さは計り知れないのだろう。
「俺からも一言。皆さん、はじめまして。一刀の父の北郷霧刀です。以前は私の父と母がこちらを訪ねたそうで、その節はご迷惑をお掛けしました。一刀のことも、父としてお礼を申し上げたい。一刀がこの地でここまで成長したのは皆さんのご尽力の賜物でしょう。本当に、ありがとうございます。」
皆が先ほどとは異なる意味で面食らった。これは父さんの良いとこなのだが、礼を重んじることを大切にしている人だから。こういうとこは俺も父さんから学んだ。
「そ、そんな!ご主人様には私たちを導いていただいています!それこそ、彼なしではここまで来ることは出来なかったでしょうし、むしろこちらから感謝をしなければならないほどです。私個人としてもご主人様のことは心からお慕いしていますから・・・。」
「そう言ってくれると助かるよ。これからも、一刀のことを支えてやってくれないかな?」
「はい!お義父様!」
「霧刀さん、お義父様ですって。こんな可愛い子がお嫁に来てくれると思うと私も嬉しいわ♪」
「そうだな。」
「はっ!// これはですね!その・・・//」
「愛紗ちゃんずるーい!」
「と、桃香様!//」
「ね、ねぇ一刀。」
「ん?」
俺の裾を薔薇が引っ張っている。どこか緊張した面持ちをしてるけど・・・どうしたんだろ?
「さっきから聞いてれば雲台二十八将って・・・光武帝に仕えた家臣たちよね?」
「そう言えばそうだね。」
「ってことは・・・」
「最後は私ね。」
母さんも一歩前に躍り出る。普段以上に堂々と見えるのは気のせいではないだろう。
「私は北郷菊璃。またの名を劉秀文叔。光武帝なんて言われもしていたわ。」
「やっぱり・・・。」
「ということは、私と薔薇ちゃんのご先祖様ですか?」
「そうね。劉協ちゃんが今の漢王朝の皇帝・・・ということでいいのかしら?」
「はい。」
「初見でもうっすらと分かったのだけれどね。あなたと劉弁ちゃん、それに劉備ちゃんの髪色に多少の濃淡はあれど、この桃色は私の・・・私のご先祖でもある劉勝、劉家の証拠よ。だから、私からしてみれば子供が増えた気がして・・・嬉しかったわ。」
母さんが三人を抱きしめる。百合はあったかい・・・と微笑み、桃香はただただ身を委ね、薔薇は思わず号泣してしまった。
「ほら、泣いてしまったら可愛い顔が台無しよ?」
「ご、ごめんなさい。ぐすっ、母様が亡くなってから姉様と二人の時期が長かったから・・・なんか懐かしいなと思った途端に歯止めが効かなくなって・・・。」
「くぅ、泣けるねぇ。それに比べてうちのお袋ときたら・・・。」
「また拳骨を食らいたいかい?」
「へいへい。俺は黙っときゃいいんだろ?」
「母様はあんなお淑やかにはなれねーんだし、拳骨くらいが似合って・・・あたっ!ってぇ~・・・なんだよ!」
「どうせあたしはお淑やかにはなれんよ。まぁ、あんたらにもそこは遺伝してるから覚悟しとくんだね。」
「んなことはあたしがよく分かってるよ。なんせ母さんの子だからな。」
「ちょっと!それじゃ蒲公英も淑やかさが無いみたいに思われるじゃん!」
「だからそう言ってんじゃねえか。」
「ま、お袋の子に生まれた時点で諦めとくんだったな。ガキ大将あたりならなれるんじゃねえか?」
「そんなの嫌だよ・・・。」
項垂れる蒲公英に苦笑いしながらも、この場は解散ということになった。
・・・
解散後、私は劉協ちゃん、劉弁ちゃん、菊璃さんと共に自室へ向かった。お話したいことがあるらしいだけど・・・ご主人様のことかな?
「いきなりごめんなさいね。用事とかあったんじゃない?」
「い、いえ、今日はご主人様と朝の警邏だけだったので。」
「私はいつもどおりと言いますか、一応客人として扱われているので仕事はありませんから。それに、一度ゆっくりお話したいと思っていたので願ったり叶ったりです。」
「私も薔薇ちゃんと同じですね~。」
「そう?それは良かったわ。」
とりあえず菊璃さんは椅子、私たちは寝台に座って放って話すことにした。
「話と言っても劉備ちゃんの相談に乗ってあげてください。と管轤に頼まれたことだから、身構える必要はないわ。」
管轤ちゃん、気にしてくれてたんだ・・・。心配かけちゃったし、お話が終わったらお礼を言いに行こう。
「そして、劉協ちゃんたちも一緒に考えてくれると助かる。」
「それは構わないのですが、私たちがお役に立てるとは思えません。」
「私の言葉が足りなかったわね、ごめんなさい。これから劉備ちゃんにする話を自分に置き換えて考えて欲しいの。」
「自分に置き換える・・・ですか。」
「えぇ。」
菊璃さんは一度言葉を切ると、一呼吸おいて私に語りかけてきた。
「劉備ちゃん、一刀が倒れたとき、自分がしっかりしていなかったから。だから強くなって将になりたい。そう言ったそうね。」
「はい。私も近くにいたのに見ているだけしかできませんでした。だから・・・。」
「なるほど。じゃあそういう責任云々は抜きで答えてちょうだい。あなたは何をしたくて旅を始めたの?根本的なところに自分のやりたいこと、すべきことがあるはずよ?」
「やりたいこと・・・私の、旅を始めた理由・・・。」
「じゃあ、劉弁ちゃんは何かやりたい事はある?将来的なことでもいいわ。」
「そうですね~。」
劉弁ちゃんがう~ん。と首を捻る素振りを見せる。
「私は一刀さんのお世話がしたいですね~。政治関連は私には向きませんし、それなら好きな人と一緒にいれます。月ちゃんと一緒にお仕事できますしね~。」
「いいわね~。それなら家事が出来るようにならないとね。」
「そこは薔薇ちゃんと一緒に花嫁修行します。」
「ね、姉様//!?」
「ふふっ。じゃあ劉協ちゃんは?」
「// こほん。私は色んなことを勉強したいと考えてますね。兵法や世間の一般常識、物の考え方など様々ですが、私も皇帝ですので。これまでの私は形だけの皇帝で、経験や知力が不足していましたので。孔明や文和を師として学ばせてもらおうと思います。」
「後々には為になることね。私もそれは良いと思うわ。」
二人とも考えてるんだ・・・。
「それで、劉備ちゃんは?」
「私は・・・。」
大陸に住む皆が笑顔になれるようにと思って始めた旅。それから山賊に襲われている村で、村の人たちを守ろうと・・・私が靖王伝家一本で守りきろうと思ったら愛紗ちゃんと鈴々ちゃんに会った。それからご主人様と会って、桃園の誓いをした。義兄妹の契を交わした。それからご主人様のことが好きになって、たくさんの仲間が出来た。私は・・・皆と一緒に皆の笑顔を守りたい。
「私、皆と一緒に大陸に住む人たちの笑顔を守りたい。私たち蜀だけでなく呉も、魏も一緒になって。だから、私は今出来ることを精一杯やります。だから、もう一度曹操さんと会うときが来るから、その時は私が彼女を説得します。三国同盟を結んだ後は・・・ご、ご主人様と結ばれたいなって・・・//」
「よく言ったわ。その言葉を一刀に言うと喜ぶと思うわよ?」
「へっ!?// そ、それはまだ恥ずかしいと言いますか//」
「何を今更・・・//一刀にはバレバレだと思うわよ?」
「うぅ~//」
「ま、少なからず不安は解消されたみたいね。」
「ありがとうございました。心の中のもやもやが取れました。」
「お役に立てたようで安心したわ。続きは朝食を摂りながらにしましょう。董卓ちゃんが一刀と一緒に朝食を作ってるって言ってたから。」
「はい♪」
ここまですっきりした気持ちになったのはいつ振りだろ?でも、私のやることは決まったから、後はそれに向けて前進するしかない。ご主人様たちと一緒に・・・。そして・・・ご主人様に私の気持ちを伝えよう。改めて・・・「愛しています」と。
「早くしないと置いて行くわよ~?」
「あっ、待って~。」
私は軽くなった足取りで自分の部屋を後にした。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回は桃香と菊璃様、それに雲台二十八将にスポットを当ててみました。お好みの子が出てきていたら幸いです。次は少し拠点風になりますね。女の子が増えたので捌ききれるか少し不安ですが、楽しく書きたいと思っています。それでは次回 第八節:勃発、一刀争奪戦 でお会いしましょう。
Tweet |
|
|
21
|
1
|
追加するフォルダを選択
何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。