No.595690

酒と女心 【真・恋姫†無双】 【短編】

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作になります。
前回、拝読、コメント、支援、お気に入り
してくださった皆様。誠にありがとうございます。
今回のお話は星視点となります。
口調がおかしかったり、星らしくないかも知れません。

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2013-07-08 13:21:22 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6380   閲覧ユーザー数:5461

ある昼下がりの日、私は主こと北郷一刀と話しをしていた。

 

この日をどんなに待ちわびていた事か。募る想いを隠し、

 

いつも通りに主と対話を楽しんでいた。

 

 

 

「主。今日は約束の日ですぞ。しっかりと、

 

 覚えていてくださいましたかな?」

 

 

「もちろん。覚えているよ、星。俺は楽しみにしてたんだ。

 

 忘れる訳ないだろう」

 

 

 

 

思わず笑みがこぼれてしまう。私も楽しみにしていたのですぞ、主。

 

ここ数日、愛紗をからかうのを自重していたくらいです。

 

 

 

 

「それでは主。夜に私の部屋にて待っております。良い酒とメンマを、

 

 仕入れてまいりました。必ずや舌鼓を打つでしょう。

 

 期待していてくだされ」

 

 

「ああ。星が用意してくれたんだ、それだけの逸品なんだろ?

 

 期待しているよ。政務も終わり次第すぐ向かうからさ」

 

 

「ふふふ。わかりました。私は準備に取り掛かります。

 

 それでは主。夜に私の部屋で」

 

 

「ん。わかったよ。星」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心地よい風が窓から入ってくる。私は今か今かとあの人を待っている。

 

胸が高鳴る。この時を待っていたのだ。

 

……主、早く来てくだされ。貴方に早く会いたいのです。

 

 

 

 

「ごめん。星。待たせちゃったかな?」

 

 

 

 

待たせ過ぎですぞ主。これでは、私だけが楽しみにしているようではないですか。

 

 

 

 

 

「遅すぎです主。傾国の美女をこんなにも、ほったらかしにしたのですぞ。

 

 責任を取って、私を楽しませてくださいますな。主よ」

 

 

「いや。傾国って。確かに美女だとは思うけどさ。

 

 まぁ、いいか。責任を取るよ今夜は二人だけの酒宴を楽しもうか」

 

 

「さすがは主。器がでかいですな。それでは、

 

 始めると致しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ。このメンマ美味いな。それに酒も呑みやすい。

 

 いくらでも飲み食いできそうだよ」

 

 

「そうでしょう、そうでしょう。なかなか手に入らない至高の逸品ですぞ。

 

 主に、喜んで頂き、私も用意した甲斐があったというものです」

 

 

「うん。ありがとな星。俺の為にこんな酒席を開いてくれて、

 

 嬉しいよ」

 

 

「~~~~~~~~っ!?」

 

 

 

 

……反則ですぞ主。その様な笑顔を向けられると、

 

照れてしまうではないですか。

 

 

 

 

顔が熱くなっているのがわかる。おかしい、今日の私は普段どおりの私になれない。

 

何故こんなにも、胸が高鳴っているのだろう。

 

う~~。主の顔がまともに直視できない。

 

本当にどうしてしまったのだ…私は。

 

 

 

 

「……星、顔が赤いな。どうしたんだ?」

 

 

「ひゃっ!?」

 

 

 

 

そう言うと主は私の額に手を当て、少し心配をしていそうな

 

眼差しで私を見つめていた。

 

 

 

 

「あああああ主!?な、何をしているのです!?」

 

 

「いや。熱があるのかなと、思って。ん~。少し熱っぽいかな。

 

 星、調子が悪いなら悪いと言ってくれよ。心配するじゃないか」

 

 

「いえ!?主!私は風邪など引いておりません。

 

 これは……そう、少し酔っただけです!」

 

 

「酔うほど呑んでいないじゃないか。思えば、いつもと違って

 

 様子もおかしかったし、ほら、寝台に行くよ」

 

 

「いや、あの、しししし寝台って。

 

 主。今日は、その、心の準備というものが…………」

 

 

「………俺をどういう風に思っているんだ。楽になる様に、

 

 横になれっていう意味で、言ったんだけどなぁ」

 

 

「…主ぃ。……胸に手を当て、よく考えてくだされ。

 

 正直、信用できませんぞ」

 

 

「……………うん。ごめんなさい。…けど、今は星が心配だ。

 

 傍に居るから、ゆっくり休むんだぞ」

 

 

「ですから、主。私は風邪など引いては

 

 ………きゃっ!?」

 

 

 

 

まるで借りられて来た猫のように、私は主に抱きかかえられた。

 

うう。恥ずかしい。この様な失態、私らしくもない。

 

 

 

……思えば、ここ一月、主と談話をしていなかった。暫くの間、

 

兵の実践訓練、五胡との小規模な戦などが重なり、

 

主とのお目通しもかなわなかった。まさか、これが原因なのか?

 

 

 

……これでは乙女のようではないか……

 

 

……愛紗みたいではないか……

 

 

 

「さぁ。横になるんだ。星。今までの無理が祟ったんだろう。

 

 この一月、よく働いてくれたからね。感謝しているよ。

 

 だから。身体を休めてくれ」

 

 

 

 

私はもう、主には抵抗できないと悟り、大人しく横になる。

 

全く主は女心をわかっておりませんな。

 

どうやら私は心底、貴方に惚れてしまっているようだ。

 

一月、会わないだけでこのざまです。だから、私の細やかな我が侭を、

 

聞いてもらうとしましょう。これは、勘違いした罰ですぞ。

 

 

 

 

「主。お願いがございます。少しの間、私の手を

 

 繋いでほしいのです」

 

 

「ああ、いいよ。少しとは言わず一晩中、手を繋いでいるよ」

 

 

 

 

………やはり、主は狡いですな。私の心の琴線を的確に触れていますぞ。

 

それにしても、ふふ。何と可笑しい事か。

 

私の動揺から始まり主の勘違いで、この様な事になるとは、

 

本当、面白き夜となりましたな。

 

 

 

 

「では、一晩中、手を握っていて下され。……主、次は必ず飲み明かしましょうぞ。

 

 勿論、二人きりで」

 

 

「うん。わかった」

 

 

「約束ですぞ」

 

 

「ああ。約束する」

 

 

「期待しております。主」

 

 

 

 

私は満面の笑みを浮かべただろう。また、二人きりの時間を作れた。

 

そう思うと心が躍ってしまう。けれど、今は。

 

 

この時間を

 

 

この瞬間を

 

 

大切にしとうございます。主。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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