No.595344

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 546

soranoさん

第546話

2013-07-07 13:58:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:861   閲覧ユーザー数:817

 

~夕方・中央広場~

 

「皆さん、お疲れさまです。本当だったら自分も協力したい所なんですけど………」

「ううん、塔の探索を手伝ってくれただけでも十分よ。」

「そうそう、正直助かったぜ。」

「そうですね……ここまで送ってくれましたし。」

「お蔭で帰り道がすっごく楽になったよ。」

「曹長、本当にありがとう。」

申し訳なさそうな表情をしているノエルにエリィ、ランディ、ティオ、シャマーラ、ロイドはそれぞれ声をかけた。

「ふふっ、どういたしまして。でも、何かあったら遠慮なくタングラム門に連絡してくださいね?今日のことは副司令に一通り報告しておきますから。」

「ああ………その時はよろしく頼むよ。」

ノエルの言葉にロイドは頷き

「わかっているとは思うけどリウイ達のクロスベル来訪やイリーナ様の出身の事は話したら駄目だからね?さっきも忠告したけど、これらはメンフィル皇室内の重要秘密なんだから。」

「………正直な所、リウイ陛下とイリーナ皇妃のクロスベル来訪は警備などの関係で見逃したくないんですけどね……」

カーリアンはノエルに注意し、それを聞いたノエルは真剣な表情で考え込んだ。

「ああ、そんなの絶対にいらないわよ。リウイに警備なんていらないし、イリーナ様には私クラスの護衛がついているわ。あなたたちが束になってかかってきても、余裕で勝てるわよ♪というか却ってリウイ達の邪魔になると思うわよ?」

「………そうですね。今日の貴女の戦闘を見たら、本当にそう思えてきました。」

「カーリアンさん。あんまりノエルさんをいじめないで下さい。」

そしてカーリアンの説明を聞いたノエルは複雑そうな表情をし、その様子を見たティオはカーリアンに突っ込んだ。

「そんじゃあ、またな。」

「はい………!それではお疲れ様です!」

ランディの言葉にノエルは頷いた後敬礼し、警備車両に乗り込み、そして運転をして去って行った。

「さて……と。私もここらへんで失礼するわね。」

ノエルが運転する警備車両が去った後、カーリアンはロイド達を見回して言った。

「………お忙しい中、今日は私達を手伝ってくれて本当にありがとうございました。」

「カーリアンさんのお蔭で、塔内の探索も大分楽ができました。ありがとうございました。」

カーリアンの言葉を聞いたエリィはカーリアンに会釈をし、ロイドは頭を下げ

「フフ、またお会いできるといいですね。」

「ええ………カーリアン様はしばらくクロスベルに滞在するのですか?」

セティはカーリアンに微笑み、エリナは頷いた後尋ねた。

「まあね。……それじゃあね♪あなた達のこれからの活躍……期待させてもらうわ♪」

尋ねられたカーリアンは頷いた後、ロイド達にウインクをし、どこかに去って行った。そしてカーリアンを見送ったロイド達は互いの顔を見回して相談をした後、支援課のビルに戻って行った。

 

その後――――ロイド達はアルカンシェルの関係者に連絡してプレ公演での段取りを詰めていった。その結果、ロイドとエリィが当日劇場内での警戒活動に当たり………ランディ達は劇場外で待機、エリナは劇場の屋上に待機して、空を飛んでいつでも犯人を追えるようにし、さらにロイドの提案により、メヒーシャをプレ公演の際、マクダエル市長の護衛に当てるよう手配した。そしてプレ公演当日――――ロイド達がそれぞれの所定の配置に付き、捜査一課を主体とした刑事達の警備の中、マクダエル市長を含めた招待客たちが次々とアルカンシェルに入り始めた。

 

「マクダエル市長もお出になったみたいだな…………そういえば、今回の新作に全面的に協力しているんだっけ?」

次々と招待客たちが来る様子を控え室へと続く通路にある扉から見守っていたロイドはエリィに尋ねた。

「ええ、元々おじいさまはアルカンシェルのファンだから。リーシャさんのデビューもすごく楽しみにしているみたい。」

ロイドに尋ねられたエリィは頷いた後、”月の姫”の衣装を身に着けているリーシャに視線を向けた。

「あはは……期待に応えられるといいんですけど。それより………”銀(イン)”という人が言ったように本当に何か起こるんでしょうか?」

視線を向けられたリーシャは苦笑した後、真剣な表情で尋ねた。

「………わからない。だが、可能性は高いと思う。捜査一課が警戒しているからイリアさんは大丈夫だと思うけど。」

「そうですか……」

「それよりも………イリアさんに今回のことを本当に伝えなくてよかったの?劇団長も同じ考えみたいだし………」

「はい……いいんです。あの人には――――イリアさんには余計な心配をしないで輝いていて欲しいですから。それが私の………私達全員の願いなんです。」

「君は本当にイリアさんが好きなんだな…………いったい、どうしてそこまで?」

エリィの疑問に微笑みながら答えたリーシャを見たロイドは口元に笑みを浮かべた後、尋ねた。

「ふふ……この劇団には、かなり強引に誘われてしまいましたけど………でも私、嬉しかったんです。クロスベルに来るまで………私は決められた道しか歩いていませんでしたから。」

「え………?」

「だからあの人の演技を見てとても惹きつけられたんです。ああ、こんな風にただ上を向いて力強く輝ける人がいるんだって。ふふ、決して手が届かないものだから憧れてしまったのかもしれませんね。」

「リーシャさん………」

寂しげな笑みを浮かべて語るリーシャをエリィは見つめ、ロイドは考え込んでいたが

「―――手が届かないなんてそんな事はないんじゃないか?」

「え………」

「確かに、今回の君の役は”月の姫”………”太陽の姫”の輝きを受けて映える役かもしれない。でも、素人目から見ても君とイリアさんの演技の良さはそれぞれ別物じゃないかと思った。君は君自身として……いつかきっと輝けるはずだよ。」

静かな口調で語り、リーシャをはげまそうとした。

「そう………でしょうか?」

ロイドの話を聞いたリーシャはどこか期待がこもった様子を見せながらロイドに尋ねた。

「ああ、だからこそイリアさんも君を誘ったんじゃないかと思う。今回の事件……俺達も壁にぶつかったけど何とかここまで辿り着いた。きっと解決してみせるから………だから君も全力で頑張って欲しい。」

「は、はい………!それじゃあ私、そろそろ行きますね。ロイドさん、エリィさん。どうか頑張って下さい。」

「ああ……!」

「ええ、あなたも頑張って。」

そしてロイドの説明を聞いたリーシャは嬉しそうな表情で頷いた後、ロイド達から去って行った。

 

「さてと……俺達もステージが始まるまでどこか別の場所で待機するか。………ん、どうしたんだ?」

リーシャが去った後ロイドはエリィに提案したが、リーシャが去った方向をじっと見つめているエリィの様子に首を傾げて尋ねた。

「はあ………まったくもう。これで無自覚なんだからタチが悪いというか………」

(………将来、女性達を泣かせるような男性にしないよう、教育しないとね……)

(かかかっ!こんな時にもしっかりフラグをたてるとはさすがはロイドだな♪)

尋ねられたエリィは頬を赤らめて溜息を吐き、その様子を見ていたルファディエルは溜息を吐いた後考え込み、ギレゼルは陽気に笑っていた。

「へ………」

「―――何でもありません。それよりも、あそこまではっきりと約束したんだから。今回の事件………絶対に解決しないとね?」

そして呆けているロイドをジト目で見つめたエリィは微笑んだ。

「ああ、勿論だ……!」

「……そういえばずっと気になっていたんだけど、どうしておじいさまにメヒーシャを護衛に付けたの?ルファディエルさんの推理があったから?」

「あ……うん……まあ、それもあるんだけどね。……念のために護衛を付けておいても損はないだろう?」

「フフ、アーネストさんがいるから別にわざわざメヒーシャに護衛してもらわなくても大丈夫よ。アーネストさん、ああ見えて剣術の腕は結構凄いらしいし。」

「……………………そうだな。(俺の推理が間違っていた場合でも、それはそれでいい………)」

自分の話を聞いて微笑んでいるエリィを見たロイドは重々しい様子を纏わせて頷いた後、エリィから視線を逸らして真剣な表情で考え込んでいた。その後ロイド達は別の場所で待機し、劇が始まるのを待っていた。

 

そしてアルカンシェルの新作、”金の太陽、銀の月”が開幕した…………!

 

 

 


 
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