同居人・達 第04話 「契約(後編)」
??? 「いきなり何しやがるですか~!!?」
俺の予想に反して中から出てきたのは巻き毛の少女
えっと・・・とりあえず
J 「爽やかなお目覚めだね(にこっ)」
爽やか系の笑顔で挨拶
すると少女は俺の胸ぐらを両手で掴む
??? 「どこが爽やかなもんですか!水車に縛り付けられて
拷問される夢見たですよ!!」
J 「まぁ落ち着けヒステリックガール、俺が悪かった。ごめんなさい」
俺がそう言うと少女は手を放す
??? 「まったく、何で来て早々水攻めされなきゃいかんのですか」
文句を言いながらスカートの裾を掴むとギューっと絞る
少女がその作業をしてる間に俺は風呂場からタオルを一枚持ってくる
??? 「おっ、気が利くですね人間」
そう言って頭をフキフキ、その作業を俺は黙ってみてた
ちなみに水銀燈はいつの間にか消えていた
数分後
J 「それで君誰?」
とりあえずソファーに座らせ紅茶を出し聞く
??? 「翠星石と呼ぶですよ人間」
そう言って紅茶を一口
J 「そうか、じゃぁ翠星石、君は何で俺の家にいたんだ?」
すると翠星石は面白くなさそうな顔をする
翠星石 「仕方ねぇです、お前が『巻く』って言ったからですよ」
J 「幕?膜・・・?巻く!?」
そう言えば確かに言いました!今朝そんな電話貰いました!!
J 「ま、まさかその電話って・・・もしかして?」
俺の言葉に翠星石は無言で頷く
俺の馬鹿ー!!水銀燈の時にも同じ質問されたじゃん!
少しは学習しろ俺!!
俺が猛烈に反省している様子を見て翠星石はため息をつく
翠星石 「はぁっ・・・どうやら今回のミーディアムはハズレですね」
その瞬間
水銀燈 「誰のミーディアムがハズレですって?」
いつの間にか翠星石の真横に座っていた水銀燈が翠星石を睨む
翠星石 「わひゃぁっ!!!」
驚きすぎてソファーの反対側へ跳び退く翠星石
水銀燈 「これの事何も知らないで好き勝手言わないでちょうだい?
それにこの人間は私のミーディアムよ、勝手にあなたの物するんじゃないわよ」
何故か余裕のあるしゃべり方をする水銀燈を見て翠星石は
どこから取り出したのか如雨露を取り出していた
翠星石 「どこにでも現れる奴ですねぇ、まるでゴキブリ並ですっ」
翠星石はいつでも攻撃できる態勢でしゃべる
同じく水銀燈もいつでも攻撃できるように羽を広げてる
やばい、なんか知らないが、このままじゃエライことになる
なんとしてもこの場を鎮めなくては・・・なんかいい手は・・・
水銀燈 「ほら、どうしたのぉ?来ないならこっちから行こうかしら?」
翠星石は歯噛みする
翠星石 「言われるまでもねぇですぅ!こっちからい・・・」
---ドンッ!!----
突然の音に2人の動きが固まる
音の主はもちろん俺、タダ単にテーブルを叩いただけだが効果はあったようだ
J 「翠星石、紅茶の御代わりはいるかい?
ほら、水銀燈も一緒に飲もうぜ」
そう言って俺は2人に紅茶を勧めた
翠・銀 「「うっさい馬鹿!!」」
J 「あぐっ」
羽根と如雨露が同時に頭に直撃した
出鼻をくじかれ二人は不貞腐れた顔でソファーに座った
そして空気はすごく重いです
しばらく紅茶を無言で飲み続けた俺達
う~む、何か打開策はないもんかねぇ
なんかこのまま翠星石は俺の家に住むみたいだし
どうにか水銀燈と仲良くしてもらえないもんかね
じゃないと学校から帰ってきたら家が全壊なんて事になりかねない
何とかせねば・・・、すべては我が安らぎのため!
翠星石 「あっ、そうだ」
俺が『うふっ、水銀燈と翠星石の百合作戦』をどう決行しようか考えていた時に
翠星石が何かを思い出したらしい
翠星石 「人間、口付けするですぅ」
水銀燈 「なっ!」
---ぶほぉっ!!----
翠星石のいきなりの発言に思わず噴出する
いきなり何を言いやがりますかこのマセっ子は
翠星石 「きっねぇですねぇ、いいから早くするですぅ」
そう言って俺に右手を差し出した
水銀燈 「ちょっ、翠星石!なに考えてるのよ!
この人間は私のミーディアムだって言ってるでしょう!」
翠星石 「誰も1人1体までとは決められてないですよ
翠星石もこの人間に巻くって言われたんですから
契約する義務があるですよ。そ・れ・と・も・この人間を取られるのが嫌なのですか?」
水銀燈 「ぐっ・・・」
意地悪っぽく言う翠星石に水銀燈は言葉を詰まらせる
そうしてる間に俺は翠星石に近づいてるのだが
2人は言い争ってるから俺に気づいていない。
口付けって言われてもどこにすればいいんだ?
俺の予想としては、こいつはさっきから右(水銀燈のいる方)を見てるから
つまり・・・
---チュッ----
俺は翠星石の『左の頬』に口付けした
翠・銀 「「んなっ!」」
驚愕の顔をする2人
J 「ん?」
よく見ると翠星石は右手を震わせてる
J 「どうかしたか?」
翠星石 「何しやがるですか!!??このロリペドがぁぁぁぁ!!!!」
翠星石の抉り込むような拳が俺の顔面を捉えた
J 「へぶろっ!」
そのまま壁にぶっ飛ぶ俺、
J 「いって~・・・俺がなにs、どわっ!」
俺は言葉の途中で頭を下げた。その頭上を羽がガトリング砲のように壁を貫通した
---ドガガガガガガガガガ!!!!!----
振り向くと壁に大きな穴が開いていた
J 「殺す気か!?」
水銀燈 「ええ、死になさい!」
目がマジの水銀燈
翠星石 「うわぁーんっ!もうお嫁にいけないですぅ!」
そう叫ぶと水銀燈の胸に顔を埋める翠星石
水銀燈 「よしよし、ひどい目に会ったわね」
水銀燈は頭を撫でながら翠星石を慰める
お前ら仲悪いんじゃなかったのか?
翠星石が涙をハンカチで拭いている
その時、窓に人影が見えた
J 「?」
視線をそちらに移すとそこには
薔薇 「・・・(じーー)」
窓に手を当ててこちらを観察してる薔薇水晶の姿
J 「・・・・・・?」
薔薇水晶の視線は水銀燈と翠星石に注がれていた
しかし注目されてる2人はまだ気づいていない
俺は無言で窓に近づき、窓を開けてやると
---ガラガラガラ----
薔薇 「あっ・・・」
薔薇水晶が家の中に倒れこんできた
J 「いらっしゃい」
そう言うと薔薇は恨みがましく涙目で俺を見上げてきた
薔薇 「・・・・・・っ」
そんな目で見るなよ
外は雨が降ってるから中に入れてやったのに
報われねぇな俺・・・
翠星石 「あ~~~っ!!!」
突然翠星石が馬鹿でかい声をあげた
J 「うるさいぞ近所迷惑だろ」
翠星石 「んなこと言ってる場合じゃねぇですぅ!
何で薔薇水晶がここに居やがるですか!!??」
どうやら知り合いのようだ
水銀燈 「ねぇあの子誰?」
薔薇とは初対面の水銀燈が翠星石に聞く
翠星石 「ローゼンメイデン第7ドール『薔薇水晶』ですよ!!」
そう言って如雨露を持って身構える翠星石
水銀燈 「何ですって!?」
水銀燈も同じく身構える
そして2人と薔薇水晶の間にいる俺
水銀燈 「答えなさい薔薇水晶、何であなたがここにいるの!?」
家にいる時ののんびりした目ではなく
本気の目の水銀燈
薔薇が俺の後ろにいるので、なんか俺に聞かれてる感覚になるんですけど・・・
J 「ん~と~・・・」
薔薇 「・・・(くいくい)」
俺の服を引っ張る薔薇
チラリとそちらを見ると俺の方を見て手招きしてる
仕方なくしゃがむと薔薇が耳に手を当てて
薔薇 「・・・・・・っ(ぼそぼそ)」
J 「えっ?『たまたま』?」
翠・銀 『嘘つくなー!!』
同時に声をあげる2人
水銀燈 「そんな見え透いた嘘よく言えるわねぇ!」
翠星石 「さっさと白状しないと頭カチ割るですよ!?」
すると再び薔薇水晶が俺の耳に手を当てる
J 「自分の声でしゃべれよ」
そう言いながら仕方なく聞いてやる
薔薇 「~~~っ」
J 「えっと、『人を信じられなくなるなんて哀れな年増のお姉様達ね』だって・・・」
翠・銀 『誰が年増だぁー!!』
J 「げふっ」
その瞬間、翠星石と水銀燈の投げた灰皿とゴミ箱が俺に直撃した
J 「別に俺が言ったわけじゃないのに・・・」
翠星石 「うっさいです!そこにいるお前が悪いんですぅ!!」
水銀燈 「そこをどきなさい人間!」
翠星石 「って言うか捕まえろですぅ!」
怒りの形相で俺を睨みつける2人
こいつら・・・いつか良い声で鳴かす・・・
鼻血を拭きながら、そう決意して後ろを見ると
J 「・・・・・・?」
いつの間にか薔薇は姿を消していた
J 「あれ?薔薇水晶は?」
その言葉が終わると同時に後ろから2つの殺意が溢れる
翠星石 「人間・・・逃がしたですね・・・?」
水銀燈 「まさか・・・そんなわけないわよねぇ?」
振り返るとうつむいて近づいてくる水銀燈と翠星石
前髪が邪魔で2人の表情はよくわからない
J 「お、落ち着け2人とも、なんていうかその・・・話せば分かる、と思う・・・」
翠星石 「話し合うですか?水銀燈」
水銀燈 「そうねぇ、だけどその前に
この憤り・・・誰にぶつけようかしらぁ?」
すると翠星石はゆっくりと前方を指差す。つまり俺に
翠星石 「丁度いいのがいるですよ」
水銀燈 「あら、拳で語り合うのに丁度よさそうねぇ」
J 「は、はははっ、ボディトークってやつですか?」
そんな訳で俺は翠星石と水銀燈に『ありったけの思い』をぶつけられた
J 「あべしっ!」
その晩
翠星石が俺の部屋に尋ねてきた
翠星石 「人間と水銀燈ってまだ契約してなかったんですか!?」
俺の部屋のイスに座り質問してくる
J 「うん、だからあの時、どこに口付けすればいいか分からなかったんだよ。ごめんな」
昼間の事を思い出し、素直に頭を下げる俺
すると翠星石は少し顔を赤くする
翠星石 「そ、そう言うことなら仕方ないですね
今回は特別に許してやるですよ。でも次は出るとこ出るですよ」
人形がどこに出るんだよ、などと言ったら
また機嫌が悪くなりそうなので黙っとく
翠星石 「でもなんで契約しないですか水銀燈は?
契約すればアリスゲームは有利になるですのに・・・」
J 「さぁね、あいつにはあいつの考えがあるんじゃねぇの?」
俺は関心がないように答えた
翠星石 「まぁ、大体の予想は出来てるですけどね・・・」
J 「ん?何か言ったか?」
翠星石 「なんでもないです」
J 「なぁ翠星石」
俺は真剣な表情で真っ直ぐ翠星石を見つめた
さっき気になる単語が出てきたし
この際だから全部聞いておくか。
翠星石 「なんです人間?」
J 「教えてくれないかお前達の事について
そしてあいつが一度俺の前から消えた理由について
言えることだけでいいんだ、頼む」
俺は頭を下げた、頭を深々と地面につくくらいに
翠星石 「人間は本当に何も知らないんですね
って言うより水銀燈がお前を巻き込まないようにしてるみたいですね」
その言葉に俺は少し胸が痛んだ
翠星石は言葉を続ける
翠星石 「水銀燈が教えなかったのはおそらく
お前を危険な目に会わせたくないからだと思うです
そんな水銀燈の思いを無駄にしてまでお前はすべてを知りたいのですか?」
そう言って冷たく見下ろす翠星石
俺はゆっくり顔を上げもう一度翠星石の目を見た
J 「知らなかったのは水銀燈が言わなかったせいもあるが
何より俺が知ろうとしなかったからだ。
『俺は関係ない』そう言い続けてあいつを心のどこかで拒絶して逃げてた・・・
だけど、あいつがいなくなって気づいたんだ
俺の中に在る水銀燈の存在の大きさに、だから俺はもう逃げない。
これ以上家族を失いたくない。ただそれだけだ。」
不思議なくらいスラスラと言葉が出た
いや、多分自分の中で答えは出てたんだな
だから翠星石の問いにすぐ答えることが出来たんだ
翠星石は俺の言葉を聞いたあとしばらく俺を見つめた。
翠星石 「分かったです、翠星石の知ってること全部教えてやるですよ
それにしても水銀燈は幸せものですね。
歩み寄ろうとしてくれるミーディアムを見つけられて」
ため息混じりにそう呟く翠星石
J 「ありがとう、だけどお前ももう俺の家族だぞ」
俺が微笑んでしゃべると翠星石は急に慌てた様に手をバタつかせる
翠星石 「な、なに言ってやがるですか!?
翠星石はお前と家族になるつもりはねぇですぅ
勘違いするなですぅ!!」
照れてる顔もかわいいな~
J 「ははは、分かったよ、家族じゃなくてファミリーな」
翠星石 「それじゃ言い方が変わっただけじゃないですかぁ!?」
こうして俺はローゼンメイデンとその使命
そしてアリスゲームと言うものを知ることとなった
あと、翠星石が我が家の一員となった
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ローゼンメイデン二期のサブストーリー的なもの・・・でしたorz