No.594251 【獣機特警K-9】摘み奪われる華たち【交流】古淵工機さん 2013-07-04 16:05:33 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:998 閲覧ユーザー数:978 |
…ここはとある廃港。
FIAのシークレットエージェントロボ、ブリーゼことヘレナ・アインリヒトは、
ある任務のためにこの地を訪れていた。
「…と、情報が正しければ奴らここで裏取引をしてるはずだけど…」
港のほうに目をやると、そこには一隻のホバークラフトが止められ、周囲は武装した黒服のマフィアで固められている。
「…動いたか!?」
やがてホバークラフトの扉が開け放たれると、次々に何者かが降ろされていく。
ホバーに乗せられていたのは…テラナー、ファンガー、ロボット…種族はいろいろあるようだが、なぜか女性ばかり。
しかも何やら手錠に足枷、さらにはマスクまでつけられて拘束された様子である。
女性達が連れて行かれた先にあるのは使われなくなった廃倉庫。その前に出てきたのは、片腕が機械の女海賊…シザーハンドだ!
「シザーハンドがいるってことはローゼン海賊団…それに周りのマフィアどもは確かレオーネの!」
…ヘレナの予感は当たっていた。女たちを捕らえて運んでいたのはレオーネ一味。
どうやら今回はローゼン海賊団とつるんで何かをしているようである。
「何をたくらんでンだか知らないけど…ヤバい匂いがする…。これはそのままにはしておけないな」
と、ヘレナは気配を消しつつ港から離れた場所に移動すると、暗号通信をある場所へと送ったのである…。
同時刻・フェザントヒル市内では、パームビーチ警察署NC-7隊がやはり情報収集に当たっていた。
「…どう、アマヨちゃん」
とウサギ形ファンガーのアマヨ・スリートに声をかけたのは同隊の2番手ことクロネコ形ファンガーの要・アージェント。
「やっぱり隊長の言ってた通りでした。レオーネ一味は通りかかった女を背後から襲って捕まえているようです…許せません!」
「はぁ、まったく同感よね…ちととっちめてきm」
「カ、カナメさん、今の任務は偵察…あ、誰か例の現場に向かって走ってきますよ!」
アマヨが気づくが早いか、事件現場にいるマフィア目掛けてひとつの影が走ってきたではないか!
右手に持った鉄パイプ、ボロボロの服に身を包んだオセロット形ロボットの男が一人。
華麗な棒さばきで次から次にマフィアをめった打ちにしていく。フェザントヒル自警団のアンバー・ホイットニーだ!
「くっそー!やっちまえ!」
と、マフィアたちは銃を取り出しアンバーに向かおうとするが、背後で待ち構えていたフェネック形ロボットの少女、クラリス・ヤスカワに次々と殴り倒されていく…。
「速く逃げろ!速く!!」
アンバーが叫ぶと、連れて行かれそうになった女達は一目散に逃げ出した。
「…と、とにかくこちらもケン隊長に連絡です!」
「ええ…そうね」
と、事件の一部始終を見ていた忍者刑事もまた、風のように去っていった。
…翌日。ファンガルド・プラネットポリス本部、中央会議室。
本庁およびラミナ警察署の中でも腕利きの警官達が集められている。
前方の壇上にはラミナ署捜査課長のジース・ミンスター、署長のマキ・ロックウェル、
本庁警視のシーナ・ヴァイスおよびフュア・フランバージュ、そして警察総監のアイヴィー・ヒルトンが並び、
今回の事件の概略について説明をしていた。
「…というわけで、まずはこちらがFIAから入ってきた情報よ」
と、警官隊に説明するのはヴァイス。廃港の上で女性達が倉庫に集められている。
「…港ですかね」
「でも、周りの建物を見る限りだと、もう使われてないよね」
「ってことは…ここはいったい?」
と、フィーア・天神・フトライミツィ、九段下久遠、煌月陸斗が尋ねると、ヴァイスはさらに続ける。
「それに関して、位置情報も送られてきたのだけれど、場所はウォールス・ベイ市内の3番港よ」
「ええ…産業港だったのが、今や新港開発によって用途を失い廃港になっていますね」
と、ミンスターが入ると、映像を指差しながらさらに続ける。
「しかし、この女性達をよく見ていただきたい。手かせ足かせをはめられて拘束されている。逃げ出されては面倒なんでしょう」
「なぜ、そんなことがわかるんです?」
と、マキが尋ねる。
「その先の倉庫に立っている人物です。見覚えがありませんか?」
「っ…ローゼン海賊団のシザーハンド!」
「そう、そして彼女と話をしているのはレオーネ一味のボス、レオーネ・モルボーゾに他なりません」
「…以前にも類似の事件があったと報告が入ってるけど、それに関連してそうな情報が入っているのよ。フュア警視、どうぞ」
するとパネルの映像が切り替わり、フュアが入れ替わりに説明を始める。
「…では私のほうからも報告しよう。これは先の映像とほぼ同時刻に入った報告で、NC-7隊からの情報だ」
そこに映し出されたのは、フェザントヒル市内某所で女性達がレオーネ一味のマフィアに捕らえられて連れ出されようとしている瞬間である。
「ひでえな…あいつらは女を何だと思ってやがる」
「ああ、まったく頭にきやがるぜ!」
と、そろって拳を固めるのは機動3課の隊長ヴィルマー・マクダネルとK-9隊の超 五華。
「もっともこの後、自警団がマフィア連中を追い払って彼女達は無事だったようだが…同様の事件は本星の各地で起きているようだ」
「そんな…一体連中は何をたくらんでるつもりなんですか?」
と、イシス・トライスターが尋ねる。
「そうだな。では3日前に別の場所でNC-7隊が撮影してきた写真を見てほしい」
と、フュアの合図でパネルが切り替わると、捕まえられた女性は怪しげなトラックに向かって歩かされている。
そして連れてこられた女性はその荷台へと乗せられる。いや、積み込まれると言う表現が似合っているかもしれない。
「こりゃひどい!」
「そんな、まるで物を扱うように…」
と、口々に警官達が嘆きの声をあげる中、K-9隊の隊長であるエルザ・アインリヒトが尋ねる。
「…姉さん、この事件を例の港と結びつけたら不自然だろうか?」
「例の港の映像と…?うむ、確かにレオーネ一味が出張っているから関連性がないわけでもなさそうだが…」
フュアがそう言いかけたところで、報告を聞いていたアイヴィーが立ち上がり、その口を開いた。
「その関連性の話が出たところでだけど…この会議が始まる直前、私宛にこんなものが届いたのよ」
と、アイヴィーが制服のうちポケットから出したのは例のディスク。そこには一枚の手紙が同封されており、こう書かれていた。
『今ファンガルド中を騒がせている女性誘拐事件について、完全ではないかもしれないがある情報を特定した。
各地で目撃された女性達を乗せたトラックを追跡し、そのルートを記録したのでここに取り上げた次第である。
このような非人道的行為はまことに許しがたい。是非この情報を捜査のお役に立てていただきたく願う。 怪盗ノワール、トリッカーズと共に』
「…やれやれ、やっぱりノワールなんですよね。こんな展開だと思ってました」
と、悪態をつくヴァイスにフュアがフォローをかけようとするが…。
「しかし考えてもみろ。奴らがわれわれに対してウソの情報を送ったことが…」
「ああそうよ!ないわよ!ないから余計に悔しいんじゃないの!」
フュアの言葉に対し、声を荒げるヴァイス。アイヴィーがそれを制止する。
「二人ともその辺にして頂戴、今はこの事件の解決が最優先なのよ。…さっそくこのディスクに入っている情報を見てみたのだけれど、トラックは決まって廃港に向かっているのよ」
そのパネルの表示を見ていたエルザが、思わずこう漏らす。
「…同じルートを通るトラックが、一台もない……?総監、これは一体…」
「同じルートを通ればすぐに特定される、とでも判断したのでしょうね。これを見てちょうだい」
画面が切り替わると、日付とともに光の点が映し出される。
「女性たちを集めているであろう場所は日によってバラバラなの。そしてそこからある場所に向けて船が出ている…」
「ある場所?」
すると画面が切り替わり、ある宇宙港が映し出された。
「これは…!」
「グランドキャメル宇宙港…やはり廃港になった宇宙港だけど、最終的に女性たちはここに集められているみたいよ」
…フュアが、ヴァイスが、マキが、ミンスターが、そしてK-9隊が息を呑む。
緊迫した空気が漂う中、アイヴィーが再び口を開く。
「…奴らの目的はどうあれ、このような非人道的行為を見逃すわけには行かないわ。K-9隊はすぐに出動の準備にかからせます。マキ署長、よろしいかしら?」
「はい、勿論です。ここで奴らを止めなければ、被害は広がるばかりですから」
と、マキが答えたのを聞き届けるとアイヴィーはエルザのほうに向き直り、さらに続ける。
「…こうしている間にも、数多くの女性が連れ出されているかもしれない。事は一刻を争います。今回は私とフュア警視も同行させてもらうわ。いいわね?」
「了解しました総監。…というわけだ。K-9隊はすぐに出動だ!いいな!」
「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」
エルザの号令に、残りの8人がいっせいに答える。
果たしてK-9隊は、フュアは、アイヴィーは、この非道極まりない事件を阻止できるのであろうか!
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ⅠGでの事件は久しぶりかな?
人身売買とか、ローゼン海賊団もレオーネ一味もやることがひどいねまったく。
◆出演
K-9隊のみなさん
カナメ:http://www.tinami.com/view/416587
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