No.594205

GGO~剣客の魔弾~ 第30弾 幻影の一弾

本郷 刃さん

第30弾になります。
キリトとハジメは、PoHとザザを相手にどのように戦うのか?

どうぞ・・・。

2013-07-04 09:58:09 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10049   閲覧ユーザー数:9150

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第30弾 幻影の一弾(ファントム・バレット)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

「はぁっ!」

「Hyu~、相変わらずやるじゃねぇか!」

 

気の篭った声を発しながら『フィンズ』こと『PoH』と刃による斬撃の奔流を放ちあう俺達。

俺が両手に持つマットブラック塗装とライトホワイト塗装の『フォトンソード・カゲミツG4』による《二刀流》の連撃、

それを奴は敵ながらにして見事な反射神経で全てを回避していく。

奴もまた、かつての魔剣である『友切包丁(メイトチョッパー)』に似た形状をしたダガーの刃を振るってくるが、俺も全て回避する。

ただ厄介なのは、奴の持つ刃がこちらの光剣をすり抜けることだ。

 

「お互いに、武器で防御する暇も、ないな!」

「HA! いいだろ、楽しくてよ!」

「お前らじゃなければ、俺も楽しいんだがな!」

 

皮肉を含んで叫ぶが、そんなことは奴にはお構いなし。

俺の気を知ってか知らずか、大変愉快そうに喋りやがる。

だが、本当の命のやり取りではないせいか、俺自身もまた……この戦いを楽しんでいるのも事実か…。

 

「やっぱり訂正してやるよ。俺も、この戦いを楽しんでやる…そして、勝つ!」

「いいねぇ…Come on、キリト!」

 

奴が受けてたつ反応を示し、俺はそれに応えるように覇気を纏い、PoHは口笛を吹いた。

 

「おおおぉぉぉぉぉっ!」

「ぐぅっ、ちぃ!」

 

俺はSAO、そしてALOでOSS(オリジナル・ソードスキル)に設定している二刀流16連撃スキル、

《スターバースト・ストリーム》をこのGGOでも再現し、放った。

致命的なダメージを与えることは出来なかったが、かなりの攻撃が入ったのも事実。

しかし、奴も反撃とばかりに短剣2連撃スキル《ラピッド・パイト》を再現してきたので、

これには不意を突かれ、HPを削られた。

 

「お前ほどじゃないが、この程度のスキルなら再現できるさ」

 

それは大打撃を受けたことからの悔しさなどではなく、

本当に戦い…いや、この混乱を楽しんでいるからこそ言えることなのかもしれない。

やはりこの男は強い、何度も俺達の攻撃から逃げ切り、幾人もの人間を影から操ったその力は本物だ。

 

「なら、ありのままで行くとしよう…」

 

俺は全身の力を抜いて楽な姿勢を取ると、一瞬で足に力を溜めて解放、一気に接敵する。

そのままソードスキル《ヴォーパル・ストライク》を再現し、強力な一撃を行う。

 

「くっ、さすがだなぁ」

「そりゃどうも…」

 

短く言葉を吐き捨て、次いで連撃。

 

「神霆流闘技《鬼雫・双波(きしずく・そうは)》」

 

両手の剣で最速の突きを同時に放ち、奴は一撃は避けたものの、もう片方の一撃を脇腹に僅かに受けている。

まだ、続ける……そう思ったが、奴は今まで使わなかった左手を動かしてきた。

 

「確かに剣での戦いだが、油断は良くないぜ…キリト!」

「っ、なにをっ!?」

 

そう言いながら奴は手榴弾を取り出した。バカな、この距離でそれを使えばお前も!

俺は咄嗟に自分を庇うように両腕を交差させる姿勢を取ったが、その手榴弾からは強烈な光と音が炸裂した。

スタングレネードか! さらに攻撃の気配を感じ、すぐに後退すると腹部に違和感を感じた。

どうやらダメージを受けたようだ。

 

「う、ぐっ!?」

「Hyu~、まさかあの体勢から少しだけ防いだか」

 

至近距離でのスタングレネードによるものと斬撃のダメージを受けてHPがかなり減った。

しかもさっきの攻撃で左手の白い光剣を弾かれたらしい。

加えて閃光と高音で感覚が変になり、PoHの連撃を気配だけで回避するのが精一杯だ。

感覚が鋭すぎたのは仇になったか。その時、砂に足を取られ、バランスを崩してしまった。

 

「っ、しまっ…!?」

「もっと楽しみたかったが、これで終わりだ」

 

奴のダガーが振り下ろされる、そう思った瞬間…!

 

「ハァッ!」

「Oh!?」

「アスナッ!?」

 

感覚が完全に戻るとアスナが傍にいた。彼女自身の白い光剣を構え、PoHを後退させたのか。

 

「例えゲームでも、キリトくんをやらせはしない…」

「【閃光】か…しかし、どうもさっきの時と感じが違うみたいだな…」

 

怒りの混じった声で話すアスナと違和感を感じるPoH。

おそらく、俺がやられそうになったのを感じ、スイッチが入ったな。

俺もまた、『覇王』の覇気を解放し、立ち上がる。

 

「ありがとう、アスナ」

「ううん…それよりも、行ける?」

「はは、当り前さ」

「ふふ、それじゃあ…」

「「GO!」」

 

俺とアスナは短く言葉を交わすとすぐに前進、奴へと接近。

俺は右手の黒い光剣を左手に持ち替え、アスナは右手の白い光剣で攻撃を行う。

 

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

「う、おぉぉぉっ!?」

 

俺達の眼にも止まらぬ連続攻撃、斬りつけ、突きを放ち、場所を入れ替え、再び攻撃。

会話などない、システム外スキル《接続》を利用した怒涛の連撃。

2つの意思を相手に、1人で戦う男には成す術などあるはずもない。

 

「「ソードスキル《スーパー・ノヴァ》」」

 

二刀流最強の32連撃ソードスキルである《スーパー・ノヴァ》を、

俺とアスナは2人でそれぞれ15連撃ずつ繰り出し、最後に2連撃を同時に放ち、再現した。

いまのは、いままでの接続の中で一番の感覚だった…。奴のHPは0、そう理解したが…。

 

「これは、冥土の土産だ…Good by!」

「「っ!?」」

 

PoHは最後の最後で、俺とアスナを道連れにする為に、今度こそ手榴弾を爆破させた。

くそ、ここまでか……ハジメ、あとは頼む。

HPが無くなった俺とアスナは、手を繋いだまま倒れ伏した。

 

キリトSide Out

 

 

 

ハジメSide

 

強い……【死銃(デス・ガン)】を名乗ったこの『ステルベン』こと『XaXa(ザザ)』は、

紛れも無く攻略組でも上位レベルの実力になっている。

コイツを捕らえたのは一度目の『ラフコフ討伐戦』、そのあとも自身のイメージの中で何度も技を磨いたのだろう。

奴のエストックから放たれる連撃の完成度は本当に高い。

 

「……さすがというべきか、練度が高いな」

「お前は、光剣などという、玩具のせいで、力が、出し切れていない、ようだな」

「……さて、どうだろうな?」

 

確かに、本来の得物である刀とは違うのでそう思われても仕方がない。

だが別に、剣であっても問題があるわけではない。しかし、決め手にはかけるな…。

互いに斬撃と刺突を受けないようにしながら攻撃と回避を繰り返す。

私の攻撃は防がれない反面、防ぐこともできない…それはザザも同様。

そんな時、僅かに後方で大きく光と音が起こった。

見ればキリトが劣勢、しかしそこにアスナが加わり、瞬く間に逆転した……が、爆発が起こり2人がやられた。

私は光剣を左手に持ち替え、攻撃を続ける。

 

「キリトも、【閃光】も、終わった。あとは、お前とシノン、だけだ」

「……やらせは、しない…!

「っ!?」

 

全力で戦い、全力でもう1つの悪意と殺意を止めたキリトとアスナ。

私は2人の期待に応える為にも、何よりもシノンを守る為にも、負けられない!

 

「おぉぉぉぉぉっ!」

 

覇気、その一端にして1つ『極地』を解き放つ。

そして一瞬で状況を理解……背後から、彼女が狙いを定めている。

直後、ザザの額に一筋の赤いラインが止まる。

奴は驚愕と本能からか、後方に大きく後退した。

照準予測、弾道予測線という名のシノンからの最後の一撃、『幻影の一弾(ファントム・バレット)』だ。

 

「っ、アイツ、殺す!」

「……やらせはしないと、言ったはずだ!」

 

距離が開いたことで私は左の腰に据えている物に手を据え、奴目掛けて一直線に駆け出す。

ザザもシノンに後退させられた怒りを込めながら、駆け出してくる。

そして私達が交差する。

 

「ソードスキル《居合》」

 

再現した最速のスキルによって斬り裂かれるザザ、そのHPは一瞬で激減した。

私が腰に据えていた物、それは本選前に『TOKKOU』から受け取った短くはあるが、本物の刀だ。

そして互いに振り向く中、私は光剣をストレージに収め、ある銃を出現させた。

 

「それは、黒星(ヘイシン)!?」

「……お前がどうやって、彼女の嫌いなこの銃を知ったのかは分からない。

 だが、これで撃たれるのなら本望だろう? 終いだ」

 

―――ダァンッ!

 

驚愕する反応を示した奴に言葉を投げかけながら、私は『54式・黒星』のトリガーを引き絞り、

放たれた弾丸はザザの額に命中した。

 

「終わら、ない…。まだ、終わらせ、ない…」

「……共犯者は割り出される。お前達は、少なくともお前は終わりだ…」

 

[Dead]の表示の前に言い切った奴に、私はただそう返した。

銃をストレージに仕舞い、私はシノンの元へと歩いた。

 

 

「お疲れ様…」

「……あぁ」

 

シノンは壊れた大型スコープのついたヘカートⅡを抱えながら、私の方へと向かってきて、そのまま合流した。

 

「ごめん、キリトとアスナは…」

「……知っている。多分、倒れながらも私達を中継でみていると思うぞ」

「それもそうね…」

 

申し訳なさそうにしたシノンに少しの冗談を交えていってみれば、彼女は苦笑して答えた。

 

「……これでゲーム内での銃撃を行えなくなったから、現実も多少は安全になっただろう」

「どうやって警察に説明するの? 信じてもらえないかもしれないわよ。

 あ、でも…私の友達のお父さんなら、警察だから信じてくれるかも…」

 

彼女が言っているのは、おそらく私の父のことだと思う。

確かに詩乃の話しならすぐに信じてくれるだろう。

それに、私はログアウトが終わったら彼女の元へ向かうつもりだ。

 

「……ならそうしてくれ。私は依頼主の公務員に伝える」

「ええ…。それじゃ、勝負を終わらせましょ」

 

そういうと彼女は私の手を掴み、ある物を取り出した。それは、プラズマ・グレネードだった。

シノンの意図を汲み取った私は苦笑し、彼女もイタズラが成功したかのような笑みを浮かべた。

ならば私も、一言伝えさせてもらおう…。

 

「……すぐにキミの元へ行く、詩乃」

「え……まっ、あなた、それって…」

 

シノンが言い切る前に爆発が起こり、私と彼女は同時にHPが無くなった。

 

ハジメSide Out

 

 

 

[試合時間:2時間6分19秒]

[第3回バレット・オブ・バレッツ本大会バトルロイヤル、終了]

[リザルト:『Sinon』及び『Hazime』同時優勝]

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、これにて第3回BoBが終了いたしました。

 

ちょっと物足りなく思う方もいたかもしれませんが、自分としてはこれくらいで満足しています。

 

キリトとアスナがPoHのお土産グレネードを喰らったのは予想外だったかと思いますけどw

 

ハジメのシーンは基本的には原作キリトの描写ですが、この話しでは黒星を使って止めを刺しました。

 

これこそが「剣客の魔弾」というわけですw

 

次回は詩乃の元にあの少年が・・・。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 


 
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