No.593981

覇王少女アインハルトStrikerS(続々)

rineさん

時間が空いたので続きを書いてみました。
なお、今回の話は短いです。
アインハルトのキャラが、だんだんと壊れてきています。

2013-07-03 19:50:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1995   閲覧ユーザー数:1945

 

――:*.;".*・;・^;・:\(*^▽^*)/:・;^・;・*.";.*: ――

 

 

 

 

 行動の結果、得られたモノは絶望……とは過言だが、望んだ結果(こたえ)ではなかった。

 この娘が『(かれ)』のことを知らないのは、わかりきっていたハズだ。

 そう、それは必然。

 この娘が『(わたし)』の拳を向ける相手でないことは、悟っていたハズだ。

 そう、ヴィヴィと呼んでしまった子は、決して彼女(オリヴィエ)ではないのだ……!

 

 ――と、つい先程までの自分であったならば思い悩んでいたであろう。

 

「……もっ、もう一度、言っていただけますかヴィヴィ?」

 

 病室で向き合う私と幼子。

 震える声で、幼子にワンモアプリーズと催促する。

 幼子は顔に疑問符を浮かべながら、もう一度だけ、先ほどと同じ言葉を発する。

 

「――オネェちゃん、だぁれ?」

 

 お ☆ ね ☆ ぇ ☆ ち ☆ ゃ ☆ ん ☆

 

 雷に撃たれたかのように全身に電気が走った(ような気がする)

 その威力は雷帝ダールグリュンの神雷すら上回っている(ような気がする)

 

「――何でしょうか、この胸に湧き立つ思いは……」

 

 ――Oh!! My Sister!!

 

 実に素晴らしい響きだ。

 身体に異常な程の活力が宿った(ような気がする)

 きっと今なら、極大ピンクな収束砲すら旋衝破で返せる(ような気がする)

 かつての放浪癖がある友人にも笑顔で挨拶ができ……ない。

 コレはコレ、ソレはソレ。

 奴は絶対に一発殴る。

 

「あぁ、覇王(クラウス)よ。私たちの悲願は「ここで何をしているのです!?」――えっ!?」

 

 余韻に浸っていたのも束の間。

 首元に当てられる硬質的な何か……おそらくデバイスの一種。

 物凄く気が緩んでいたとしても、声をかけられるまで、まったく気が付けなかった。

 覇王(クラウス)の時代には考えられないほどの体たらく。

 

「――手を上げてゆっくり振り返りなさい」

 

 そう、命じられてホールドアップの体制で恐る恐る振り返ってみると、武装したシスターが私を警戒していた。

 デバイスを向け、油断なく私を視ている。

 

 ――Oh!? My Sister!?

 

 まさかのシスター違いである。

 

 

 

 

――ドナドナ-=三ヾ(ヾ(ヾ(ヾ(ヾ(ヾ(*T□T)ツ――

 

 

 

 

 ――正座(SEIZA)、それは由緒正しき反省(HANSEI)を体現して、説教(SEKKYO)を受けるスタイル……!

 

「――まったく、どうして面会謝絶の病室に無断で入っているんですか!?」

 

 病室に忍び込み、再会を果たして数分後にシスターにバレたのが運の尽き。

 身分を問われ……St.ヒルデ魔法学院の生徒だとバレた、というより正直に話した。

 仮病のサボリ、無許可の入室……釈明の余地も一切なく有罪(ぎるてぃ)だった……。

 昨日の幼子が気になったと言ったおかげで、かなり怪しまれたが暴力沙汰にはならなかったのが唯一の救いだ。

 

(あぁ、床が冷たいです……)

 

 あの後、聖王医療院から聖王教会本部まで連行(ドナドナ)され、とある執務室にて正座で説教を受けている。

 否、受け続けている。

 悪いのは自分自身なので、何一つ言い返せない。

 あぁ、だんだんと目頭が熱くなってきた気もする。

 

「……シャッハ? 一体どうしたんですか? それにその娘は……?」

 

 そして説教タイムが30分を超えたくらいで、別の人達が執務室に入室してきた。

 どうやらこの説教をしているシスターはシャッハという名前らしい。

 今後はこの名前に注意こととしよう、と心の内で誓う。

 

「不良生徒の更生です騎士カリム、ハラオウン提督」

 

 入室してきたは、年齢不詳金髪美人の騎士カリムという人と、全身が黒いイメージのハラオウン提督という人らしい。

 見た目は若い印象だが、提督と呼ばれるからには、それ相応の実力者なのだろう。

 ならば有名な著名人なのだろうが、生憎とそっち方面には興味が無く、彼がどれ程の人なのかはわからない。

 それよりも不良生はやめて欲しい。

 自分に対する扱いが酷くなっている気がする。

 結果としては変わらないが、何かとても悲しくなる。

 

「えっ? ふっ、不良生徒?」

 

 聞き返す騎士カリムという人とハラオウン提督という人の顔も若干引き攣っているように見える。

 気の毒に思うのならば、少しばかり助け舟でも出してもらえないだろうか、とも思う。

 

(流石に足が痛くなってきました……)

 

 正座で説教を受け続けて早30分超。

 そろそろ容赦してもらえないだろうか、と少しばかり期待する。

 なんとなく望みは薄そうだが。

 

「……シャッハ。もうすぐ人がきますから、場所を移してもらえませんか?」

 

 予想通り。

 残念ながら、騎士カリムという人の発言には、切り上げるという選択肢が無かった。

 目頭に熱さと痛みを覚えてきた。

 

「いや、流石にやめてあげて下さい。その娘、物凄く泣きそうな顔してますから」

 

 だが、逆にハラオウン提督という人はそれを止めてくれた。

 そう、希望は繋がったのだ。

 

(この人、物凄く良い人です……!?)

 

 彼に畏敬の念すら覚えた。

 名も知らぬ提督だったが、今後の活躍は確認しようと誓う。

 だけどこんなことでは泣かないので、勘違いしないで欲しい。

 決して泣いてなんかいない。

 

「身元がわかっているのなら別の日にするべきですよ」

 

 訂正。彼はもっと性質の悪い何かだった。

 希望なんて最初からゴミ箱の中であった。

 

 

 

 

――ш(´[]`)шオーш(´[]`)шマイш(`[]´)шガー――

 

 

 

 

「まぁ、流石に冗談だよ。これに懲りたら無断で学院を休んだら駄目だよ」

 

 そう、頭を撫でながら私を諭すハラオウン提督という……今後はそのまま呼ぶこととする。

 先ほどのは『一応』冗談だったらしい……こちらの気持ちも考えてから言って欲しい、と思う。

 

「仮病だけではありませんハラオウン提督。病室への無断侵入も、です」

 

 罪科を正確に促すシスターシャッハ。

 事実なだけに胸が痛む。

 

「……あの娘に何か心当たりがあるのですか?」

 

 そして割と確信をついてくる騎士カリム。

 というより、あちらがメインとなって学院を休んでいるのだから、怪しさが満点だ。

 

「…………」

 

 だが、その問いにはすぐ回答できなかった。

 果たして告げるべきことなのだろうか?

 聖王教会の信徒にヴィヴィのことを、聖王の思われる存在について、を。

 そしてソレを話すには覇王(クラウス)の記憶についても話さなくてはならない。

 そうなると経緯がやたら長くなるし、与太話と思われるのも嫌だ。

 最悪は本当に『痛い子供』扱いである。

 そう、認識できてしまう自分の精神性の高さが若干憎い。

 

「まぁまぁ、ところでシスターシャッハは何であの時間に病室に? 今日は迎えがあったのでは?」

 

 黙っているところに助け舟を出してくれたのは、やっぱりハラオウン提督であった。

 でも今回は油断しない。彼の場合、後で確認してくるだろう。

 もしかしたら今この瞬間にも、念話で話し合っているのかもしれない。

 

「はい。医療院から戻る予定だったのですが『定期診断にきていた子供』から『女の子が1人』特別病棟の方へ向かっているのを見たと報告があったので、念のためにあの病室に向かいました」

 

 と、経緯を話してくれるシスターシャッハの台詞に違和感を覚えた。

 今日の自分の行動を思い出しながら、彼女の話と整合してみる。

 

(……子供? 女の子が1人で……って!? まさか!?)

 

 脳裏に浮かぶのは『あぁ、礼なんて言わないで下さいね。コレは決して良いことをしたわけではありませんので』と言って去っていった定期診断にきていた子供(クラスメイト)……。

 

「――っ謀られたぁぁぁぁ!?」

 

 ここでようやく、今の状況を作りやがった犯人が判明した――

 

 

 

 

――(/・ω・\)アァナタハイィマドコデナァニヲシテマスッカァ――

 

 

 

 拝啓 天獄のご先祖様(クラウス)

 

 貴方の記憶(ゆめ)を見て寝坊したり

 病室に無断侵入してシスターに説教されたり

 更に学院をサボったことがバレて、もっと怒られたりしたけれど

 私は概ね健康的です。

 

 とりあえず、ありのまま現状を話します。

 

 ――『お姉ちゃん』という響きは素晴らしい。

 

 かしこ

 

 追伸

 自棄(ヤケ)になって貴方(クラウス)のことを色々と暴露(バラ)しましたが、問題(シカタ)ないですよね?

 


 
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