No.593221 超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 リーンボックス編2013-07-01 12:47:58 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:706 閲覧ユーザー数:669 |
太陽は沈み、煌めく星々が闇夜の空を覆っている時間に俺とベールはモンスター討伐の為にやってきた。
ダンジョンの中はラステイションと同じように独特の光を放つ水晶があり、ダンジョンはいつも明るく松明は不必要だ。
更に水晶を餌とするモンスターがこのダンジョンに多種、存在するので防御力が高いモンスターが多い。
しかし、元から光る水晶を食べている所為なのかモンスター自身も光ってどこにいるのか非常に分かりやすいでので奇襲には、気づきやすい。
とはいえ、レベルは高めなので注意は必要だ。
「なぁ、ベール」
「なんでしょう、紅夜」
「一応、ここは危険地域なんだよな」
「えぇ、そうですわ」
「………なら、なんでお前は俺と腕を組んでいるんだ?」
頬に冷汗が流れているのに体中の熱が顔に集まっていた。
ハッキリ言ってしまえば、俺の腕は完全に
デペア曰く、このゲイムギョウ界においてトップクラスの巨乳と評されているベールの胸が形が少し潰れ、俺の腕は完全に彼女の胸の谷間に挟まれている。
「それは、これがデートからですわ」
「デ、デート…!?」
自分でも声が震えているのが良くわかる。多分それは、ベールもよく分かっているだろうが、俺の反応を楽しんでいるかようで微かに頬を赤く染めて笑みを浮かべていた。
「真夜中に若い男女が人気のないところで仲良く肩を並べて歩く。それはデートでは、なくて?」
「ははは……ところで、俺がいない間のリーンボックスはどうだった?」
「もう、強引な話の入れ替えは、時に好感度マイナス評価ですわよ」
察してくれ……俺には、とりあえずそれぐらいしか話題が頭に浮かばない。
ベールはわざとらしく頬を含ませ、しばらく考えるように指を口に付けて思い出したように口を開いた。
「特にお変わりはありませんが、確かルウィーの宣教師が近々こちらの教会にお世話になるそうですわ」
「ルウィーから?そうなんだ」
「予想ですが、現在ワールドシェア一位の我が国のシェアをいただこうとしていると思いますわよ?あの小さな国じゃ、シェアも少ないでしょうから」
「ふぅん……どこの国もシェア確保に忙しいだな」
シェア、それは女神を信仰することによって生まれるエネルギーだ。
それが多い国ほど守護の力が大きくなり、モンスターによる被害が低下して、女神自身の力も大きくなるらしい。
因みに四大陸ではリーンボックスが一番の領土が広く、自然多く生活しやすい環境として有名だ。今の所、女神不在でモンスターによる被害が多いプラネテューヌからこちらに移り住んでいる人が多いとか。
「私は女神ですから、いずれこのゲイムギョウ界全てを束ねる女神になってみますわ」
「……徹夜でゲームして、大きい隈を作る奴が…か?」
「しゅ、守護の力は意識しなくても働くので、問題ないですわ!」
そういう問題じゃないと思うんだけどな。
人の上に立つ存在が、このリーンボックスを総べる女神がこんな調子でいいのかと頭に手を置いた。
「それにしても紅夜!」
「うっ…!?…なんだ…?」
唐突にベールは頬を膨らませて俺を睨んで手に力を込めてきた。
ベールは、つま先立ちで俺との距離を一気に縮めてきや。互いの吐息が感じられるほどまでに。
彼女の二つのメロンに挟まれている腕は柔らかい感触と共に潰しにかかってくる。鼻からちょっと赤い液体が垂れそうになったが、根性で抑える。
「こんな美少女がこんなにアタックしているのに、何か感想はないですか!?」
「び、美少女ってお前の場合は、どちらかと言えば美女が合うだろう?」
「うっ…美女の響きもいいですが、やっぱり美少女でお願いしますわ。ただでさえ、女神の中で外形は一番大人びている私だけ除け者は嫌ですわ!」
喜怒哀楽がコロコロと変わるベール。
いつものおっとりとした慈悲深い笑みやら、ゲームなどをするときの真剣な表情はどこへやら。
こう見ると、ノワールにも言えるんだが本当に女神とかじゃなくて可愛いどこにでもいそうな……美少女なんだよな。
「分かったよ。ええっと……ベールは綺麗だよ。こんな美少女と一緒に肩を並んで一緒に話せるなんて、凄く嬉しいよ」
「……80点ですわ。紅夜は初心で謙虚すぎて、もうちょっと強みがほしいですわ」
口調は厳しめだが、ベール自身はとても上機嫌そうに見えた。例えるなら今にでも羽を生やして飛びそうなくらいに。
「…………っと、ベール」
「むぅ、楽しい雑談は終わりですわね」
同じタイミングで俺とベールの足は止まった。
名残惜しいようにベールも腕組み状態も解除した。……若干、腕が痺れた。
俺達の本来の目的は、ベールの言うようにデートじゃくてモンスター討伐なんだ。
気を抜いたりすれば、怪我するのは必ずであり、それはベールも重々承知しているはずだ。
女神自ら出陣するほどのモンスター、その名は『アバババイン』と言って、太古の女神が封印したと言われる凶悪なモンスターだ。
報告によるとゲイムギョウ界に起きている謎のモンスター多量発生が原因で、ここの女神の加護が薄くなってしまい封印が弱まって復活したという経緯だ。
「そういえばー……なんて言ったけ、ベールのあの姿の鎧の様なものは」
「あれは、信仰を結晶化させ纏い女神としてのステータスを更に向上させる武装、『プロセッサ・ユニット』ですわ」
ベールは、気を高めるように静かに呼吸をすると彼女に光が包み込んだ。
その光の晴れた先に、ベールは全く別の姿となっていたエメラルドのような透き通った翠色の髪はポニーテールで、白を軸に緑のラインが走る騎士のような鎧を纏い、容姿はいつも微笑が似合う貌から、まるで槍のように尖った眼差しへと変わった。
「さぁ、行きますわよ」
凛とした声を響かせ、手には固定された巨大なランスをモンスターに向かせる。俺も黒曜日を顕現させ構えた。
「■■■■■■ッッ!!!」
モンスター『アバババイン』の姿が見えた。
ナイフのように鋭い牙が不規則に並んだ巨大な口の周囲には幾多の触手、更に針先が毒々しいほど真っ赤な蠍のような尻尾が特徴的で、全体の姿は醜悪に満ち溢れていた。
「背中は任せろベール!!」
「えぇ、頼ましたわよ紅夜!」
ベールはバックプロセッサからブーストを吹かし、少し遅れて俺も地面を蹴って一気にモンスターとの距離を詰める。
見た目は確かに強そうだが、ラステイションで戦った鬼のようなモンスターや紅いドラゴンと比べば蟻と象だ。
このパーティーは二人しかいないが、俺達二人もいるんだ。絶対に負けることなんてありえない!
ただ、柄に力を込め、俺は全身全霊に黒曜日を振るったーーー
◇
夜天 空side
「ズズズっ………」
紅夜たちを映した空中に投影させたモニターを見ながら、僕はカップラーメンを啜っていた。
場所は紅夜達が仲良く入っていたダンジョンの近くにある木の頂上に立っている体制だ。
今日の天気は晴天だ。雲一つない夜の空には幾多の小さな光が真っ黒なキャンパスに輝きを見せていた。
寒い風が吹くと同時に、森林全体が生きている様に木々が擦り合うような音が不規則に合奏された。
「……思ったけど、これは売れるネタじゃない?」
深夜のダンジョンに訪れる女神と若くても有名なハンターが仲良し気にモンスター討伐……これをちょっと弄ってデートっぽくしてやればそれは面白い記事が出来上がると思う。
……なーんて、下らないことを考えて食べ終わり、空っぽになったカップラーメンを空目掛けて放り投げる。
「---『ヴァルヴァドス』
手で銃の形を造ると灰白色の焔が溢れ、見る者を畏怖させる複雑で高貴な呪印が刻まれたオートマチックリボルバー式の魔銃を形成、その銃口を宙に舞うカップラーメンに向けた。
ダンッ!
引き金をひくと同時に響く静寂を破壊する破裂音。放たれた灰白の炎弾は落ちていくカップラーメンの器を寸分狂わず直撃し、塵も残さず燃やし消した。
視線をモニターに移せば、グリーンハートと紅夜は肩を並べて封印されたモンスターと戦っている。
善戦。今まで戦わせてきた彼らとロボットに比べれば、朝飯前くらいのレベルだ。グリーンハートが加速する。それにモンスターは、触手をグリーンハート目掛けて一気に集約させようとするが、地面すれすれに疾走する双剣を構えた紅夜が横から生えている触手を切り裂き、穴を造る。
グリーンハートは紅夜の生み出した決定的な穴を潜り、モンスターの頭部に必殺の刺衝攻撃を決め、モンスターは断末魔を上げながら絶命し、モザイクが掛かり消えていった。
『ヴァルヴァドス』を肩に担ぎながら、その様子を観察する。
やはりと言うべきか、紅夜は風系の魔法を多用する。
例え、記憶が無くても途方もなく鍛練を積んできた紅夜の体にははっきりと戦闘スタイルが刻まれている。
罪遺物を使わないときは自分の速さを向上させ手数を増やして、相手が隙を見つけたのなら『土』か『火』属性の強烈な一撃を加える。
紅夜と契約した邪神ーーー『生ける炎』、『邪悪の皇太子』、『大いなるクトゥルフ』、『闇に囁くもの』はちゃんと盟約に従っているみたいだ良かった良かった。
僕としては使うこと自体を控えてほしいけど、あれは『
「ここは、アザトースの夢の中じゃないにしろ、やっぱり怖いなぁ……」
ぶっちゃけ、紅夜の状態は既に邪神達の間じゃ話題になっているだろうな……絶対に『這い寄る混沌』の野郎が『ティンダロスの猟犬』辺りに捜索命令を下して、今も次元の裂け目で今の僕の様に
一体何を企んでいるのか、はたまたただの遊戯気分で見ているのか……とにかく、直接会わせる事態は絶対に阻止しなければならない。あっちは、紅夜を邪神化させる気が満々だけど僕としてはこの世界で平凡に平和に生活をしてほしかった。……けど、そんなことは高望みは無理だと分かっている。
目の前に困っている人がいれば、例えどんな状況でも手を伸ばすーーーそれが、零崎 紅夜の醜悪で悪魔の様な信念なのだから。
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その2