フシュンッ!
「……………」
ギョウカイ墓場へと再び足を踏み入れたソニックとアイエフはまず周りを見回した。
辺りは先程の戦いで滅茶苦茶だった。
「レーラッ!」
ソニックは周りを見回しつつ彼女の名を呼んだ。しかし、声は虚しく周りのゲーム機の亡骸に反響すると虚空へと消えていった。
「バカッ、あんまり大きな声出すんじゃないわよ……!」
アイエフはシーッと人差し指を立てて言う。
「………………!」
しかしソニックは彼女の言葉を無視し無我夢中に周りを見回している。
「さっきまでここに居たのは確かのようね?」
アイエフは戦いの影響か近くの抉られた地面へと近寄りしゃがむと地中が浮き彫りとなったそこを観察する。明らかに自然的ではない人工的な跡だった。
「あの時……俺達がギョウカイ墓場からワープする瞬間、レーラはジャッジをもう少しの所へと追いつめていた。あいつがジャッジをそのまま倒したのかまでは分からないけどな……」
「――――ジャッジなら、レーラに消された。」
『ッ!?』
突如聞こえた女性の声に二人は声の方へ振り返る。
左目に黒い眼帯を着けており、もう片方の右目が二人を冷たく睨む。
大きく二つに分けられた長く紅い髪がなびいていた。
そして、肩に彼女の武器であろう巨大な鎌がかかっていた。
「アンタはッ!?」
アイエフがカタールを構え、ソニックも身構える。
マジックはソニックを暫し見つめるとフンと鼻を鳴らし天を仰いだ。
「――――私は我らが犯罪神様の信仰により生み出された女神……『マジック・ザ・ハード』……」
「えッ!?」
アイエフが一瞬にして真っ青になる。
「どうした?」
ソニックがマジックを睨んだまま尋ねる。アイエフがカタカタと細かく震えているのが分かった。
「…………前にネプギアから名前だけ聞いたけど……こいつ……三年前に女神様達が束になっても適わなかったって言う…………例の…………」
アイエフの表情が完全に恐怖に支配されている。
「……ほお……?よーするに、こいつが親玉か……」
ソニックが口の端を吊り上げブルーウィンドソウルを抜き出す。
「……貴様等の言う通り、ジャッジは消滅した…………裏切り者のおかげでな。」
「レーラの事か!?」
「………奴も愚かな女よ……あんな雑魚如きに苦戦する程の実力で、私に適うとでも思っていたのか?」
「……あいつが……雑魚?」
以前、アイエフ達の女神救出の失敗の要因ともなったジャッジを軽々しく雑魚扱いするマジックから彼女の強さが伝わる。
いや、それよりも……………
「……お前が、レーラを?」
ソニックが尋ねる。
「…………………………」
マジックは答える代わりに静かに鎌を構えた。
「…………ついでだ。貴様等も消してやろう。」
マジックは再びソニックの姿を見つめる。
「…………貴様には多少興味があったが、最早どうでもいい。死んでもらう。」
「く…………ッ!」
アイエフは一歩退いた。
彼女は悟っていたのだ。『勝てるはずが無い』と。
相手は三年前、守護女神を五人相手にたった一人で勝利を収めた程の実力者である。実力に圧倒的差がある相手を目の前にそもそも女神の力にすら及ばない二人が適うはずが無い……と。
……逃げるしか無い。
「ソニック……!」
アイエフが小声で目の前に居る彼の名を呼ぶ。ソニックは答える代わりに剣を構えたまま少しだけ顔をアイエフに向けた。
「ダメよ、相手が悪すぎるわ……!レーラ捜索は後回しよ、まずは逃げるのが先よ。隙を見てカオスコントロールでプラネテューヌまで戻るの……!」
「…………………」
ソニックは答えない。
「ちょっと、聞いてるの……ッ!?」
アイエフが怒ったように言うと、ソニックは片手でマジックに見えないようにそっとカオスエメラルドを取り出す。
その時だった。
「ッ!!」
アイエフは目を見開いた。瞬きした刹那、マジックが二人の目と鼻の先にまで肉薄していたのだ。マジックが二人めがけて鎌を振り下ろす。アイエフは小さく叫ぶと咄嗟に目を閉じた。
「ハッ!」
間一髪、ソニックが彼女の腕を掴み大きく跳躍した。鎌はそのまま地に突き刺さる。するとまるで隕石が墜落した跡のように周りの地が凹んだ。
「ひゅ〜♪流石は親玉ってところか?」
「感心してる場合じゃあ――――」
アイエフのツッコミが途切れる。マジックが鎌を瞬時にして引き抜き上空にいるソニック達の所へ再び肉薄して来ていたのだ。刹那、マジックが鎌を振り下ろす。
「ッ!」
ソニックがギリギリで鎌を剣で受け止める。そしてすぐさま剣を振りマジックへと反撃しようとするも鎌で防がれた。
「援護するわ!」
アイエフがソニックの腕から離れマジックのへそ元に躍り出ると両手のカタールを振り下ろす。
「小賢しい。」
ガキィッ!
ドグォォッ!
「ッ!」
マジックは鎌先でアイエフのカタールを防ぐとアイエフの腹を蹴り地へと叩き落とした。
「アイエフッ!」
ソニックが叫ぶとマジックは急降下しアイエフを追いかけた。
「チッ!」
ドギュンッ!!
ソニックはその場で高速回転するとマジックのスピードを超越した速度で地へと急降下する。しかしマジックはそんなソニックに目もくれずアイエフに掌を向けた。
ドッ!
アイエフが地に着地すると空を見上げた。米粒サイズのマジックとそんな彼女を追いかけるソニックの姿が目に入った。
「ソニック、避けて!」
「Huh!?」
「『ラ・デルフェス』ッ!」
アイエフが片手を振りかざすと頭上に大きな魔法陣を出現させる。
「なッ!?おわあああッ!?」
ソニックは空中で強引に方向転換するとマジックから離れる。
ドギャアアアアッ!!
魔法陣から青いビームが放たれる。それはマジックめがけてまっすぐに飛んでいった。一方、マジックは表情一つ変えずに掌をアイエフに向けたままビームに向かって急降下していく。
二つの姿が重なろうとしたその時。
ドォォォォォッ!!
「えッ!?」
魔法陣から放たれたビームがマジックの掌に触れるとビームはグニャリとスライムのように形を変えて天へと飛んでいく。
「……くぅ……ッ……!!」
しかしアイエフはそれでもビームを放ち続けた。放たれたそれはやはりマジックの目の前で姿を変えて天へと消えていく。マジックはどんどんアイエフとの距離を狭めていった。
ガッ!
「キャアッ!?」
突如腕を掴まれアイエフはその場から離れる。それと同時に魔法陣が消えビームも消えるとマジックはスピードを上げ空中で一回転すると地へと着地した。
「あ、アンタ!何すんのよ!」
アイエフは自らの腕を引っ張り走り続ける姿――――ソニックに言う。
「このままじゃやられるのも時間の問題さ、今の内に逃げるぜ!」
ソニックは瞬時にしてマジックと大きく距離を取ると片手にカオスエメラルドを握る。一方、マジックは二人を逃がさんと言わんばかりに地を蹴り跳躍するとソニックにも劣らないスピードで二人を追いかけた。
「い、急いで!奴が来てるわッ!」
アイエフは焦燥感に駆られソニックを急かす。
バッ!
ソニックは走りながらカオスエメラルドを振りかざす。
「カオス・コントロールッ!!」
カァァァッ!!
ソニックが叫ぶと二人の目の前に大きな光の塊が現れる。同時にアイエフは首を傾げた。
「え?な、何あ――――」
ブンッ!!
彼女の声が途切れた。同時に彼女の身体が宙を舞う。ふわっとした感覚を暫し体験し、目の前に映ったソニックの姿――――全ての景色が上下逆に見えた。
「アイエフ、先に帰っててくれ。」
ソニックが親指を立てているのが辛うじて分かった。彼女は大きく口を開けるも何故か声を発する事が出来ずただただ彼の言葉を聞いていた。
「――――俺はまだ、奴に用があるんでね。」
最後に見た彼は――――微かに笑っていた。
ギュウウウ…………ゥ…………
アイエフの体が光の中へ吸い込まれると光は消えた。
刹那、ソニックは踵を返す。少し離れた場所でマジックがこちらを見つめていた。
「ほお……貴様は逃げなかったのか?大胆不敵……と褒めてやりたいところだが、貴様の行動は所詮は命知らずの愚者のそれに過ぎぬ…………」
「勝手に言ってればいいさ。俺はどうしてもお前に一つ文句が言いたくってね。」
ソニックはブルーウィンドソウルを構える。
「…………『よくも大切な女神を誘拐したな』とでもぬかすつもりか?」
「そんなんじゃないさ。」
ドンッ!
ガキイィッ!
ソニックは地を蹴りマジックへと肉薄するとブルーウィンドを振り下ろすも、マジックは軽々しくそれを鎌で受け止めた。
「――――『お前のおかげで、俺はこの世界を自由に走れなくなっちまった』てな!」
バッ!
マジックが鎌を振るとソニックの体が弾き跳ばされる。ソニックは空中で高速回転すると着地し再びマジックへと走り込む。
「ワンパターンな奴め……」
ドンッ!
「ぐぁぁッ!?」
マジックが即座に鎌先を地に突き立てるとマジックの周りにバリアーを彷彿させる球体の衝撃波のような物が覆った。その衝撃波にぶつかったソニックは再び吹っ飛ばされる。
ギュウウウッ!!
ソニックは空中で体勢を整え地に着地する。
「なッ!?」
刹那、目を見開いた。マジックが鎌を手にこちらへと飛来して来ていた。
ギュオオッ!!
ソニックはマジックに背を向けると走り出す。マジックもスピードを上げソニックと同じ程の速さとなる。
「……流石にやるな……ッ」
ソニックは走りながら背後のマジックに視線を向ける。
ガチッ!チャッ!
「!?」
ソニックは目を見開いた。彼より10メートル程背後を飛来して来ているマジックが飛行しながら鎌を大きな弓へと変形させていたのだ。
バヂィィッ!!
マジックはもう片方の手に電流を彷彿させる大きな矢を出現させるとギギギ……と鈍い音をたてソニックを狙い始めた。
「チッ!」
ギュオオオオッ!!
刹那、ソニックは更にスピードを上げる。瞬時にして彼とマジックとの距離が大きく開いた。
バヂュンッ!!
マジックが矢を射る。しかし矢はソニックに当たる事無く彼の足下に突き刺さった。すかさずマジックは次の矢を出現させるとソニックに照準を合わせ再び矢を構える。一方、マジックと距離を大きく引き離したソニックの目の前には捨てられた大きなゲーム機の山がたちはだかっていた。
バッ!
ソニックは地を蹴り大きく跳躍するとゲーム機の山へと跳んでいく。
ガッ!!
ソニックはゲーム機の山の壁を蹴り再び宙へと跳ねる。
「ッ!!」
しかし、彼の目と鼻の先にはマジックの射った矢が迫っていた。彼は咄嗟に首を曲げ矢を回避しようと試みた。
――――――――チッ!
矢は彼の頬を擦り上空へと飛んでいった。矢が擦ったソニックの頬から一筋の血が流れる。
しかし彼は再び目を見開いた。今度はマジック本人が鎌を片手でグルグルと高速回転させながら眼前に迫って来ていたのである。
キィィィィンッ!!
間一髪、鎌の矛先をブルーウィンドソウルで防いだ。
ガッ!
「なッ!?」
ドグォォッ!!
「ぐあああッ!!?」
しかし、鎌の取っ手で簡単にガードを崩されるとマジックの踵落しをくらいソニックは地へと叩き落とされる。ゴオオという風を切る音と共に凄まじいスピードでソニックは落下していく。
シュンッ!
しかし、彼の落下先ではマジックが鎌を構えて待ち構えていた。ソニックは苦痛に顔を歪めたまま薄く目を開くと落下しながら高速回転し地上のマジックへと剣を突きつけた。
「がすと、お前の技借りるぜ。『新兵器レーザー砲D・S・N』!」
ドォォォォォッ!!
ブルーウィンドの矛先から大きなレーザーが放たれる。レーザーは瞬く間にマジックを包み込むと同時に大きな力の反動でソニックの体が再び上空へと投げだされた。
「これでどうだ!」
マジックの居た場所から大きな煙が生じている。彼女の姿を確認する事は出来なかった。
ズボォッ!
「ッ!」
そう思ったのも束の間、煙の頂から傷一つないマジックが躍り出る。あっという間にソニックの頭上にまで飛び上がると鎌を振り下ろした。
ズバァァッ!!
「ぐぅッ!?」
マジックの矛先がソニックの右肩から腰元にかけてまっすぐを切り裂いた。マジックの矛先から数滴の血が飛び散りソニックの頬についた。しかしマジックはソニックに一切隙を与える事はなく、すぐさま鎌を振り上げ下ろす。
「shitッ!」
ギュウンッ!
ソニックはマジックの鎌をかわすと急降下し地へと着地した。
「ぐ……ッ!」
片手で腹部を押さえる。しかし、ドクドクと流れ出る血を押さえきれずにソニックの白い手袋が真っ赤に染まった。ぜぇぜぇと呼吸を乱していると少し離れた場所にマジックが舞い降り、何も言わずにこちらを見つめている。
「……やはり、貴様も大した事は無かったな……」
マジックが今のソニックの姿をまじまじと見つめた後、嘲笑した。
「…………ッ」
流石は、女神を五人相手にたった一人で勝利を手にした女性と賞すべきその強さにソニックは思わず苦笑を漏らす。刹那、腹の傷が疼きソニックは咳き込んだ。辛うじて立てるものの、力を入れると傷が疼く。
――――少なくとも今の彼に、この戦闘を続行するのは不可能に近かった。
ギリッ……!
彼は固くブルーウィンドソウルを握る。
「…………まだッ、俺は走れる……!」
ソニックはそう言い放つとマジックに走り込む。
「無駄な事を……」
マジックは小さく息を吐くと余裕そうに走ってくるソニックの姿を見つめていた。
ズキィッ!!
「うぐッ!?」
ズザザザザァァッ!!
しかし、途中で再び腹の傷が疼きソニックは躓き地に倒れる。
「ぐぅ……ッ!」
目の前が霞む。しかし彼は自らに鞭打つように強引に立ち上がると顔を上げた。
ゴスッ!
「ッ!!」
顔に何か固い物が勢い良くぶつかり彼の体が吹っ飛ばされる。
ドサァッ……!
「ぐ……ッ!」
ソニックは仰向けになるように地へと倒れると顔だけ上げてマジックを睨む。彼女が片膝を上げているのが見えた。そして、マジックはツカツカとソニックにゆっくり歩み寄ってくる。
「……チッ……!」
動こうとするも体が言う事を利かない。強引に体を動かそうとしても腹の傷が疼き思うように動けない。そうしてもがいてる内にもマジックはどんどん距離を縮めてくる。
――――逃げるしか無い……ッ!
屈辱だが、この状態ではどうにもならない。彼もこの事は十分に理解していた。しかし、そうと決まればカオスエメラルドを取り出さなければならない。
「……ガッ……!?」
必死に腕をのばす。しかし、腹を刺されるような激痛に襲われ彼は呻き声をあげた。
マジックもそんなソニックの行動に違和感を感じ取ったのかこちらに向かって走り出す。
「くっそ……奴が来る……ッ!!」
カオスエメラルドに指先が触れる――――しかし、マジックの掌が彼の鼻先に向けられる。
その時だった。
バキイィッ!!
「ぐあぁッ!?」
突如現れた黒い影がマジックの姿を弾き跳ばす。
「なッ……!?」
ソニックが再び顔を上げる。
刹那、彼はカッと目を見開いた。
「……貴様……ッ!?」
今まで人形のように表情を変えなかったマジックも目を見開いた。
――――マジックと対峙していたのは……過去に幾度もネプギアやソニック達を敗ったあのハリネズミ。
「……………………」
ハリネズミは静かにマジックを見つめている。奴の腹部に埋め込まれた眼球がギョロギョロとカメレオンのように動いている。
マジックの頬を一筋の汗が伝った。
「…………貴様、まさか『オード・ビセル』か?」
マジックが鎌を構え直す。
「オード……ビセル……?」
ソニックが聞き返す。
「……………………」
ハリネズミは答えない。
ニヤッ……!
刹那、ハリネズミが口端を吊り上げた。
「――――ミツケタ……!」
ハリネズミは静かに言うと地を蹴りマジックへと肉薄する。
「フッ、一度私に敗れた貴様にこの私が――――」
ズンッ!
「ッ!!!!」
ソニックは目を見開いた。
――――片腕を鋭い剣へと変形させたハリネズミが、マジックの腹を貫いていた。
「ぁ……ッ」
マジックは声にならない声を発する。
ズッ!
ハリネズミがマジックから剣を引き抜く。刹那、マジックの腹から多量の紫色の血が流れ出る。
バッ!
マジックが跳躍しハリネズミと距離を取ると同時に膝をついた。
「ぐ……ッ……馬鹿……な……!?」
腹を押さえたままぜぇぜぇと息を切らしながらマジックが言う。そんな彼女をハリネズミは何も言わずに見つめていた。そんな二人の様子に思わず見入っていたソニックは思い出したようにカオスエメラルドに再び手を伸ばし始める。
「……………………」
ハリネズミはソニックに一瞥をなげるとすぐさまマジックに見直る。
「……こ……こんな…………ことが……ッ!?」
マジックは鎌を杖にしヨロヨロと立ち上がる。目の前が酷く霞んだ。呼吸もまともに出来ない。
「…………あって……たまるか……ッ!!」
ブンッ!
血迷ったのか、マジックは乱暴に鎌をハリネズミめがけて放り投げる。
鎌は、空中で勢い良く回転すると空高く飛び上がりハリネズミめがけて大きな光線を放った。
「……………………」
ハリネズミは動かずにただただ光線を見つめていた。
光線の先端がハリネズミの触れる……その時だった。
コォォッ……!
ハリネズミの腹部の眼球が黄色く光ると光線の動きが止まる。
「な……なに……ッ!?」
ハリネズミは跳躍し、光線の先端をマジックめがけて蹴り飛ばした後空中でパチンと指を鳴らす。
ゴオオオオオッ!!
「!!!!」
光線の向きが、マジックの方へと変わった。
ドオオオオオオッ!!
光線は、マジックに直撃した。同時に彼女の体は大きく弾き跳ばされる。刹那鎌は地に落ちた。
ドサァァ……ッ!!
マジックの身が地へと叩き付けられる。
「ぐ……ッ!!」
彼女はなんとか立ち上がろうと腕を強ばらせる。
ガッ!
「ぐ……ぅ……!」
彼女の体が宙を浮く。
ハリネズミに首元を掴まれていた。
「…………貴様……何故……ッ!?」
マジックが苦しそうに問う。
再び、ハリネズミは口端を吊り上げた。
――――ようやく見つけたぜ…………『我が女神』よ…………
ドスッ!!
「ッ!!!!」
ハリネズミの腕が……再びマジックの腹を貫いた。
「…………ッ!!!」
マジックは声にならない声を発する。一気に脱力した彼女の体は宙を力なくぶらーんとなっている。
シュオオオオオオォォオォォ……!
刹那、マジックの肉体が粉の様に霧散し……消えた。
「ッ!」
それと同時にようやくカオスエメラルドに手が届いたソニックはそれを掴み天へと振り翳し、叫ぶ。
「『カオス・コントロール』ッ!!」
カァァッ!!!
ソニックの姿が瞬時にして掻き消える。
そして、ギョウカイ墓場に残ったのはハリネズミの姿のみ……
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とうとう、奴の出番