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英雄伝説~光と闇の軌跡~ 519

soranoさん

第519話

2013-06-29 09:33:18 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2295   閲覧ユーザー数:2226

~マインツ山道~

 

「ま、まさかセティちゃん達がこんなに強かったなんて………」

「ああ………それに連携もハンパなかったぞ………」

「というか、本当に本職が職人なのか怪しいぐらいですよ。」

戦闘が終了した後、セティ達の戦いも見ていたエリィとランディは驚き、ティオはジト目でセティ達を見つめ

「………――――セティ、シャマーラ、エリナ。お疲れ様。とりあえず………彼女達の事を紹介してもらってもいいかな?」

ロイドは考え込んだ後セティ達を労い、水那達に視線を向けて尋ねた。

「は、はううう~………」

すると水那は恥ずかしそうな表情をした後、セティの背中に隠れた後、頭を少しだけ見せて恐る恐るロイド達を見つめ

「アハハ………水那ったら、相変わらず人見知りだね~………」

「もう、水那!私達はセティ達のお姉さんなんだから、そんな所を見せては駄目よ?」

水那の様子を見たアトは苦笑し、クレアンヌは呆れた後水那を見つめて言った。

「そ、そうですね………私はセティ達のお姉さんなんですから………うん!」

すると水那は自分を叱咤した後、恐る恐るセティの横に出て来て自己紹介を始めた。

「あの………水精の水那です。よろしくお願いします。」

水那は恥ずかしそうな表情で言った後頭を下げ

「はーい!私はアト!ご主人様に創られたアースマンだよ!よろしくね♪」

アトは元気よく挨拶をし

「僕はクレール!ユイチリさ!ユイドラ一の弓使いとは僕の事さ!」

「もう、クレール!何勝手な事を言っているのよ!?………私はクレアンヌ。クレールとは双子の関係でクレールの姉よ。」

クレールは胸を張って自己紹介をし、クレアンヌは呆れた表情でクレールに言った後、ロイド達に微笑んだ。

「はは……よろしく。彼女達は君達が契約している異種族なのかい?」

それぞれの個性を出しながら自己紹介をした水那達に苦笑したロイドはセティに視線を向けて尋ね

「いえ。水那姉さん達は私達の護衛の為にお父さんに頼まれて、一時的に私達と契約しているだけです。」

尋ねられたセティは答えた。

「”姉さん”………?」

セティの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をし

「その………失礼ですがウィルさんとはどんなご関係なんですか?」

ティオは不思議そうな表情で水那達に尋ねた。

「えっとね………クレール兄さんは父さんとは友達同士で水那姉さん達は父さんの愛人かな?」

「え”。」

「ええっ!?」

「ハアッ!?」

「………………………」

そして少しの間考え込みながら答えたシャマーラの話を聞いたロイドは表情を引き攣らせ、エリィとランディは驚き、ティオは呆れた表情になった。

「はうう~………わ、私がお兄様の愛人だなんて、恥ずかしいです~………」

「えへへ………」

「まあ、間違ってはいないわね。私達みんなウィルが大好きなんだから!」

「ちなみに僕はウィルとは男と男の友情だからね!ウィルは僕が認めた男だからクレアンヌを任せているのさ!」

一方シャマーラの言葉を聞いた水那は頬を赤く染め、アトは嬉しそうな表情で笑い、クレアンヌは力強く頷いた後微笑み、クレールは自慢げに胸を張った。

「フフ………私達が産まれた頃からずっとお世話になっていますから、水那姉様達は私達にとって姉や兄同然の存在なんです。先程セティ姉様が説明しましたが水那姉様達は私達を守る為にいます。なので姉様達も戦力に数えてもらって構いませんよ?姉様達の方が私達より実力が上なのですから。」

そして水那達の様子に微笑みながらエリナは微笑みながら説明した。

「そ、そうか………(一体、どんな人なんだ………セティ達の父親は………?)」

(権力者は複数の女性と関係を持っていてもおかしくないとはわかっていはいるけど………どうしてこんなに仲がいいのかしら?普通なら誰が一番の寵愛を貰うかで争ってもおかしくないのに………お姉様の時もそうだったのよね………ペテレーネ様達を含めた側室の方達全員、お姉様を慕っている上、私にまで親切に接していたし………まあ、仲が悪いよりは断然いいけど………)

(クッ………セティちゃん達の母親達に加えてこんな幼い娘達にまで手を付けるなんて………なんて、節操がない野郎だ………しかも”ご主人様”に”お兄様”だ~?なんてうらやまけしからんプレイをしているんだ!)

(どうしてこう、わたしの知り合いの異世界の男性達はみんな、女タラシなんでしょう?………リウイ陛下、セリカさん、ウィルさん、そしてヴァイスさん………みんな、複数の女性と関係を持っているじゃないですか………)

エリナの説明を聞いたロイドは戸惑いながら頷き、エリィは戸惑った表情で水那達を見つめながら考え込み、ランディは悔しそうな表情になり、ティオはジト目になっていた。その後山道を登り続けていたロイド達は再び聞こえて来た遠吠えを追うかのように先に進み、ある程度先に進むと分岐点となった場所があり、そしてデータベースにも乗っていない道があったので念の為調べる為に鉱山町へ続く道へは行かずに、謎の場所へ続く山道を登っていった。するとそこには大きな屋敷が建っていた。

 

~ローゼンベルク工房~

 

「ここは………」

「随分、雰囲気のある建物ね。廃墟という感じでもないし、誰か住んでいそうだけど………」

屋敷を見たロイドは驚き、エリィは呟いた後真剣な表情で屋敷を見つめていた。

「お、そこに看板が出てるぜ。」

一方ランディは柵に取り付けてある看板に気付き、ロイド達と共に看板に近づいて字を読んだ。

 

『ローゼンベルク工房』

 

関係者以外の立ち入りを禁ずる。

 

「ああ、ここが………」

「エリィ、知ってるのか?」

「ええ、その筋では有名な人形工房よ。高価なアンティークドールを手掛ける天才人形師がいると言われているわ。」

「へえ………そんな工房があるのかよ。」

「人形かあ………セティ姉さんの得意分野だね♪」

「ええ。セティ姉様の創った人形は子供達に人気ですものね。」

エリィの説明を聞いたランディは意外そうな表情をし、シャマーラは嬉しそうな表情で静かな笑みを浮かべているエリナと共にセティに視線を向け

「フフ……誉めてくれてありがとう。でも、アンティークドールか………まだ手がけていない人形の種類なのですよね…………」

視線を向けられたセティは微笑んだ後考え込んだ。

「わたしも名前くらいは聞いたことがあります………たしかオークションなどで途方もない値が付けられるとか。」

「ええ………幾つか見た事があるけどまさに芸術品という感じだったわ。クロスベルにあるとは聞いてたけどこんな人里離れた場所にあったのね。」

「天才人形師か………看板の警告といい、気難しそうな雰囲気だけど話を聞かせてもらえないかな?」

ティオとエリィの話を聞いたロイドが考え込んだその時

「――――おじいさんなら留守よ。」

少女の声が聞こえて来た。声に気付いたロイド達が振り向くとそこには菫色の少女がいて、ロイド達を見つめていた。

「え………」

少女を見たロイドは呆け

「レ、レンちゃん!?」

「レンさん。どうして貴女がここに………」

「あら?貴女は………」

エリィとティオは驚き、セティは首を傾げた後少女―――レンを見つめていた。そしてレンはロイド達に近づいて挨拶をした。

「うふふ、こんにちは。エリィお姉さんとティオ、そしてセティ達とは久しぶりね♪茶髪のお兄さんと赤毛のお兄さんはだあれ?この工房に何か用なのかしら?」

「えっと………俺達はクロスベル市の警察の人間なんだけど……」

レンに尋ねられたロイドは考え込んだ後、レンに一歩近づいて軽く説明した。

「あら、警察のヒトなんだ。ふぅん、警察のヒトって街でしか見た事ないけど………こんな所にも見回りに来るのね?」

「ああ、その………見回りに来たわけじゃないんだ。この辺りに出る魔獣について話を聞かせてもらえないかと思って。」

「この辺りに出る魔獣………どんな魔獣について知りたいの?」

ロイドの話を聞いたレンは不思議そうな表情で尋ねた。

「その、狼の姿をした魔獣なの。レンちゃんはこの工房の主から聞いたことない?」

「ううん、聞いたことないわ。でも、そうね………さっき遠吠えみたいな声が遠くから聞こえてきたけど。それのことかしら?」

「ああ、そうなんだ。この工房の主は留守って言ったね。工房には他に誰もいないのかい?」

レンに尋ねられたロイドは頷いた後尋ね

「ううん。レンのお姉さんが留守番しているわ。おじいさんは夕方に戻ってくるって言ってたけど。」

「―――そうか。だったらできれば君のお姉さんと話をさせてくれないかな?」

「ごめんなさい。お姉様は今、お昼寝中なの。起こしたら機嫌が悪くなる人だから………今日は諦めて。」

「………わかった。―――さっきも言ったように、この辺りで危険な魔獣がうろついているみたいなんだ。おじいさんが帰るまでおうちの中にお姉さんと一緒にいてくれるかい?」

「別に構わないけど………うふふ、お兄さんたちに付いて行くのも面白そうね。」

ロイドの話を聞いたレンは意外そうな表情をした後、小悪魔な笑みを浮かべた。

「へ…………」

「だって、その狼さんと鬼ゴッコしてるんでしょう?それとも隠れん坊かしら?うふふ、とっても楽しそうだわ。」

レンの言葉を聞いたロイド達全員は脱力した後

「確かに………そう言えなくもないですね。」

「はは、なかなか面白い嬢ちゃんだな。」

「えっと………何があるかもわからないからちょっと連れて行けないんだ。ゴメン………家の中にいてくれないかな?」

ティオは静かな表情で呟き、ランディは陽気に笑い、ロイドは忠告した後申し訳なさそう表情で言った。

「もう、つまらないわ。”彼”が直っていなければタイクツしないですむのに………仕方ないから今日もあっちに潜ってソバカス君と遊んであげようかしら?それともガラスのお城に遊びに行ってみようかしら?」

「あっちに潜って……?」

「ガラスのお城……?」

「うふふ、こちらの事よ。そうだ―――まだ名乗っていなかったわね。うふふ……レンって呼んでちょうだい。本当はお姉様と一緒に紹介したい子がいるんだけど。あいにく両足を怪我してておじいさんの治療を受けてるの。」

「そ、そうなのか。(人形かなにかの話かな………?)」

(他に誰が来ているんでしょう………?レンさんが”お姉様”と呼ぶのはプリネ姫、エヴリーヌさん、セオビットさん。プリネ姫は皇女としての仕事で忙しいでしょうから、比較的自由な立場にある2人のどちらかでしょうね………それにレンさんが紹介したい子って………”アレ”だと思うのですが………”アレ”を修理できるなんて、それほどまでに技術力が高いのでしょうか、この工房の主は。)

レンの話を聞いたロイドは戸惑いながら頷き、ティオは考え込んでいた。

「うふふ、どうやら狼さん、とっても頭がいいみたいね。ちょっと遊んでみたいけど………レンはもう大人だからあんまりワガママは言わないわ。頑張ってね、支援課のお兄さんたち。」

「あ、ああ………ありがとう。」

「レンちゃんも気を付けてね。」

そしてレンは門を開けて屋敷の中へと入って行った。

 

「そういやお嬢やセティちゃんたちの知り合いか?お嬢たちの反応を見る限り、知り合い同士のようだが………」

レンが去った後ランディはエリィ達を見回して尋ね

「え、ええ。知り合いの娘さんよ。」

エリィは一瞬慌てた後答え

「………私はある場所で出会って知り合いました。」

ティオは静かに答え

「えっとね、レンは……むぐっ。」

シャマーラは説明しようとしたがセティに口をふさがれ

(シャマーラ。ロレントを起つ前にリウイ様から伝えられたでしょう?クロスベルでレンさんと出会って知り合いに聞かれても、レンさんの正体は黙っておいてほしいと。)

(っと、そうだった。ごめん。)

(まったく………大切な事だからあれほど忘れるなと言いましたのに………)

セティに小声で注意されて謝り、エリナは呆れた後

「………実は以前私が創ったアクセサリーが売り切れて、レンさんが売り切れたアクセサリーを前から欲しがっていたようで、私達のお店でどうしても創って欲しいとおっしゃったのでわざわざ新しく創ったんです。………その縁で知り合ったのです。」

セティが咄嗟に嘘をついてランディに説明した。

「ほ~………ん?ってことはあの嬢ちゃんは異世界の人間か?」

「ええ、そうですね。」

「……………………」

一方ロイドは真剣な表情で考え込んでいた。

「なんだよ。狐につままれたみたいな顔して。」

「何か気になる事でも………?」

ロイドの様子に気付いたランディとティオは尋ねた。

「いや……大した事じゃないんだけど。あの子、最後に『支援課のお兄さんたち』って言ってなかったか………?」

「「「……………………」」」

そして答えたロイドの説明を聞いたエリィ達は考え込み

(………まあ、イリーナ様の妹であるエリィさんが所属している部署なんですから、知っていてもおかしくはないかと。)

(フフ、そうですね………)

(というかなんでこんな所にいるんだろう?チキさんがいるラギール商会の店舗ならまだわかるけど。)

エリナは納得した様子で呟き、セティは苦笑し、シャマーラは首を傾げていた。

「あ………」

「何であんなガキンチョが俺達のことを知ってんだよ?」

(……レンさんが支援課を知っていたのは意外でしたね……エリィさんがいるから両親から知らされていたんでしょうか?)

一方考え込んでいたエリィは声を上げ、ランディは目を細め、ティオは静かな表情で考え込んでいた。

「まあ、クロスベルタイムズを見て支援課の事を知ったのかもしれない。それで俺達がそうだと気付いた可能性はあるけど………それにしたって不思議な子だなっと思ってさ。」

「ふむ………」

「……まあ、とりあえず狼型魔獣はこちらの方には来ていないみたいだ。いったん、三叉路まで戻って鉱山町の方に向かおう。」

「ええ、わかったわ。」

その後ロイド達は再び鉱山町に向かって歩いて行くと、トンネルに入った。するとトンネル内に遠吠えが聞こえ、ロイド達は遠吠えが聞こえた方向に向かい、トンネルを抜けた。すると―――

 

「あ………」

「いた………!」

高い段差の上に白い狼がロイド達を見つめていた。

「グルル………」

そして白い狼は段差から飛び降りて来た。

「くっ………」

狼の行動にロイドは武器を構えて警戒し

「白い毛並み………”神狼”の伝承の通りね。」

「へっ………ようやく現れたか。とっとと成敗して―――」

エリィは真剣な表情で呟き、ランディは攻撃を仕掛けようとしたが

「………待ってください。その子………敵意を発していません。」

ティオが制止をかけた。

「へっ………」

「……ここはわたしに任せてください。」

「私も一緒に聞いておきます。」

そしてティオとセティは狼に近づき

「お、おい………!?」

「馬鹿、何やってやがる!?」

ロイドは驚き、ランディは警告した。

「大丈夫………平気です。」

「ええ………どうやら私達と話をしたかったようです。」

「…………………………」

白い狼は黙ってティオとセティを見つめた。

「………やっと会えましたね。」

「私達に会いに来たみたいですけど、何か伝えたい事があるんですか?」

「………ウルゥ………」

「なるほど………」

「………そう、………やっぱり………」

白い狼が一鳴きするとセティは頷き、ティオは納得した様子で呟いた。

「ティ、ティオちゃん!?」

「それにセティちゃんまで!?」

「2人とも言葉が―――わかるのか!?」

2人の様子にエリィ達は驚き

「まあ、エルフの血を引くセティ姉さんなら動物の意思はわかるよ~。」

「………ただ、ティオさんがわかった事には驚きましたが………」

シャマーラは苦笑し、エリナは静かな表情でティオを見つめていた。

 

「言ってることが何となくわかるという程度ですが………それで………何を伝えたいの?」

「グルルルル………ウルゥ………グルルルルゥ………」

「え………それって………」

「そう………わざわざ教えに来てくれてありがとう。」

白い狼の意思を知ったティオは驚き、セティは微笑んだ。そして狼はロイドの前に来てロイドをじっと見つめた後遠吠えをした後、素早い動きで次々と段差を駆けあがって行った。

「あっ………!」

「しまった………!」

「ちっ………あんな所に行くのかよ!?」

狼の行動にエリィとロイドは驚き、ランディは舌打ちをし

「「…………………………」」

ティオは呆けた表情で黙り込み、セティは考え込んでいた。

「ティオ、セティ………”彼”は何を言ってたんだ?たしかに俺達に何か伝えたいみたいだったけど。」

「その………ニュアンスだけを伝えると……『最後の欠片はこの先に』………」

「『後はお前達次第だ』………―――だそうです。」

「最後の欠片………!?」

ティオとセティの話を聞いたロイドは驚いた。

「ええ………そんなニュアンスでした。信じるも信じないもロイドさん達次第ですが。」

「ああ、そういう事を言ってるんじゃないって。『最後の欠片はこの先に』………つまり一連の魔獣被害で不足していた最後の情報が揃うって意味じゃないか………?」

「ちょ、ちょっと待って!2人が聞いた言葉が本当だったとしても………あの狼の言ってることをそのまま信じてもいいの?」

「ああ………ルバーチェが飼っている魔獣かもしれねえぜ。そんな知能があるかどうかともかくダマしてる可能性はねぇのかよ?」

ロイドの話を聞いたエリィとランディは驚いて尋ね

「いや………どうやらさっきの狼はルバーチェが飼っていると思われる狼型魔獣とは別物の可能性が高そうだ。」

ロイドは納得した様子で説明した。

「えっ………!?」

「おいおい……どうしてそうなるんだよ!?」

「ああ、それは………村と病院では、さっきみたいな遠吠えが聞こえたという証言はなかった。それに、研修医のリットンさんの話では襲って来たのは真っ黒な姿の狼みたいな魔獣だったそうだ。」

「そ、そういえば………」

「確かに、結構違いがあるな。」

(フフ、気付いたみたいね。今回の件の魔獣は『神狼』と関わりが低いことに)

ロイドの推理を聞いたエリィとランディは納得し、ルファディエルは微笑んでいた。

「まあ、だからといってさっきの魔獣がルバーチェに飼われていないと断定までは出来ないけどね。あいつがボスで、手下の黒い狼にやらせていた可能性だってあるわけだし。」

「群れで行動している以上、その可能性もあるわけですね………」

ロイドの話を聞いたティオは複雑そうな表情で呟き

「………多分、その可能性はないんじゃないかな~?」

「はい。それは私も思いました。」

シャマーラは不思議そうな表情で呟き、エリナはシャマーラの意見に頷いた。

「なんでわかるんだ?そんな事が。」

「………先程の”彼”からはユイドラの近くにある火山に生息している”炎狐”と同じ雰囲気を感じました………なので恐らく違うと思います。」

「”炎狐”?一体何なんだ、そりゃ。」

エリナの説明を聞いたランディは不思議そうな表情で尋ねた。そしてセティ達は”炎狐”は決して人を襲うような生物ではなく、逆に人を災厄から守る存在であり、ユイドラでは聖獣扱いされている事を説明した。

「フム………同じ聖なる獣同士なら今回の事件に関わる事はありえないか………しかも以前も多くの人達を守った功績がある事から、信頼されているしな………」

「でも、本当に違うのなら考えを改める必要がありそうね。………狼型魔獣は2種類いて、1種類は先程の白い狼―――『神狼』、もう一種類はルバーチェが飼っている思われる狼型魔獣が別々に動いているって。」

説明を聞いたランディは納得した様子で頷き、エリィは真剣な表情で言った。

「ああ、そういう事だよ。」

そしてエリィの言葉にロイドは頷いた。

「『最後の欠片はこの先に』………この先というのは、やっぱり鉱山町のことかしら?」

「ああ、間違いないだろう………近くまで来たことだし………ルファ姉の作戦の事もあるし、予定通りこのまま訪ねてみよう。」

「ええ、わかったわ。」

ロイドの提案にエリィは頷き

「しかし………『後はお前達次第だ』ねぇ。どうでもいいけど、やたらと偉そうな物言いだよな。」

「そうですね………何と言うか、少しばかりナメられていたとは思います。」

ランディは去って行った狼の意思に溜息を吐き、ティオはランディの意見に頷き

「あー、そう言えば父さんやアト姉さん達の知り合いの”炎狐”も口調が結構偉そうだったって話だよね~?」

「………彼らには”炎狐”としての”誇り”があるのでそれは仕方ないかと。」

「フフ………その可能性は高そうですね。」

シャマーラはある事を思いだして呟き、シャマーラの言葉にエリナは静かな口調で呟き、セティは苦笑していた。

「ま、まあそれはともかく………最後まで気を抜かずに調査した方がよさそうだな。」

一方ティオの言葉を聞いたロイドは表情を一瞬引きつらせた後、提案した。

 

その後山道を登って行ったロイド達はついに鉱山町マインツに到着した……………

 

 

 

 

 

 

 

レンがなんでローゼンベルク工房にいるかは後にわかります。ちなみにレンの話にあった”姉”が誰かはまあ、大体の人が予想できるかとww………感想お待ちしております。


 
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