第2章 反董卓連合編 07話 『 反董卓連合・汜水関攻防戦開幕 死闘!緋蓮VS華雄』
謎の船団が静かに河を降っていく
「●殿! もうすぐ■の言っていた上陸地点に到達する模様ですぞ!
しかし、■は何故こうも急がせるのでしょう これならいっそ・・・一緒に旅立ったほうがマシでしたぞ~」
と●にボヤく▲▲▲
「▲▲▲ まだ?」
と▲▲▲の愚痴を聞いていなかったのか?と思わせる華麗なスルーを●はみせた
「●殿ぉ~ ですからもうすぐ着きますぞ それにしてもなにゆえ それほど急ぐのです?
戦はまだ始まったばかりですぞ?」
「やな予感する・・・ だから急いで!」
▲▲▲の問いかけに対し、短く回答する●
●のこうした直感が外れた試し等なく
何度も窮地や修羅場を潜り抜けてきた二人だったからこその信頼感が二人にはあった
「●殿 承知しましたぞ! 皆の者! もっと力一杯
と●を崇拝する▲▲▲は漕ぎ手に向かって、速度を上げるよう促す
兵達「「オオォーーー」」
河を降っていたことが幸いしたのか、漕ぎ手の兵達の余力はまだまだ残されていたようで
謎の船団の速度が飛躍的に上がり、猛スピードで河を降っていく
この者が言う”悪い予感”とは一体!? 果たして間に合うのか!?
・
・
・
謎の船団の動きを誰一人として把握出来ないまま
緋蓮と華雄の闘いは、徐々にヒートアップの様相をみせていた
「そんな大振りが私に通用するものか! 華雄!」
と言い放ち、さっと振り下ろされる金剛爆斧から回避し、華雄の背後へと回り込む緋蓮
華雄の金剛爆斧は先程まで緋蓮がいた場所へと、大きな爆音を轟かせ地面を大きく深く穿つのだった
背後に回りこんだ緋蓮も、挨拶代わりにと古錠刀の一閃を華雄に浴びせるが
「ふん! そんな一撃!」
華雄も緋蓮の一閃が飛んでくる事を予期していたのか
振り下ろした金剛爆斧に素早く身体を預けて、緋蓮の古錠刀の一閃が届かない反対側の場所へと身を翻し素早く態勢を整える
「言っただろう? 昔の私とは違う さっきのも含めて挨拶代わりの一撃だよ」
「それは・・・ご丁寧にどうも この挨拶高くつくわよ?」
と返してくる緋蓮に、豪快に笑い飛ばす華雄
「いいねぇ~孫堅 この時をどれほど夢見た事か!
以前、大怪我をして一線を退いたと聞いていたから、どれほどのモノかと思っていたが・・・
想像していたより酷くて正直ガッカリしたが・・・ まぁこれはこれで中々に楽しめそうだ」
「言ってくれるじゃない? 貴方 私に全敗なの忘れているんじゃない?」
「忘れてはいないさ そちらが”想像”以下の動きだったもので、つい少し遊んでしまった
私の悪い癖だな すまないすまない これから徐々に本気を出させてもらうさ 覚悟しな!」
と言い放つ華雄の顔には、先程まで浮かべていた余裕の笑みが消え去っていたのに緋蓮は気付いていた
さて・・・あの一撃が序の口となると困ったわね
昔の私なら、膂力に頼ってあの一撃を受け止めるか、弾き飛ばしていたんでしょうけど・・・
先程以上に数段強くなる華雄に、今の私の身体がどこまでもってくれるのか・・・未知数の部分が多い
頼むわよ! 私の身体! 最後までちゃんと動いてよね!
と気合を纏った緋蓮は、次は自分からと古錠刀を八相に構えた態勢から、華雄へ数種のフェイントを交えながら飛び掛る
「ええい! ちょこまかと!」
華雄の金剛爆斧は、またもや緋蓮フェイントにひっかかり、地のみを豪快に
二人が死闘を繰り広げて始めたちょうどその頃
緋蓮と別れた雪蓮と一刀は、後方に控えていた蓮華と合流していた
「兄様・・・」
「なんだい? 蓮華」
「母様・・・大丈夫かしら?」
と心配げに一刀へと聞いてくる蓮華
「どうかな? 見た感じでは五分五分・・・ ”隠し玉”の差で勝ち負けといった感じじゃないかな
全盛期の母さんを知らないからね 俺は・・・」
と蓮華の不安を払拭したいのはヤマヤマな処であったが
一刀としても蓮華はそんな一時的な気休めの言葉を期待している訳でもないだろうから、自身の感想を素直に述べていた
「母さまの全盛期? それはもう・・・とんでもなかったわよ? 今の私が思い返しても膂力・胆力といい隙がなかったもの
祭ですら軽くあしらう域じゃないかしら? まぁ 今の私なら勝てると思うけどね~♪」
と暇だったのであろう、雪蓮が胸を張って誇らしげに、一刀と蓮華の会話に割り込んでくる
「姉様・・・ってそんなに強くなってるんですか!? 兄様!」
と蓮華は兄・一刀へ向かって驚きの声をあげるが・・・
「うん? さぁ? 俺は昔の母さんの腕前を知らないからねぇ? ”ものさし”がない以上、俺の口からは何とも言えないなぁ」
と蓮華の質問に関して、少し困った感情を面にだす一刀
「そうねぇ 蓮華 二人の勝敗については見ていれば、いずれ判明するでしょうけど
今の母さまには判ってないと思うけれど、きっと”後々に”一刀に修練してもらった”効果”に気付くことになるわ
だからそんなに心配しなくても、ちゃんと帰って来るわ 私達の処に・・・(きっと身体はボロボロになって・・・でしょうけどね)」
と雪蓮は心配する妹の蓮華を落ち着かせようと気遣いをみせる
「はい 姉様・・・」
と蓮華が答え終ると、三人の視線は華雄と緋蓮の闘いへと注がれる
華雄に力で押される場面が見受けられるものの・・・数度、撃ち合う限りは互角ともとれる内容であった
相手が斧なだけに、南海覇王ならば正面から撃ち合うのもありではあったが、今南海覇王は雪蓮の腰にある訳で・・・
自身が手にする古錠刀も、先祖代々から受け継がれた名品と言える刀であったが
この武器を持つ事を勧めてくれたのは、他でもない一刀であった
華雄が先程より言っていた通り、身体が癒えはしたが、力や覇気等、全盛期の自身には”ほど遠い”事は理解していた緋蓮である
ただ、癒しながら一刀から習得していた剣技については、緋蓮が理解していない未知数な部分が多い
それもその筈で、剣技を習得しているのは、この大陸広しと言えども雪蓮と緋蓮、そして蓮華と明命の四名だけなのだから・・・
他の者達は自身が習得したモノの上に、一刀から教わったモノを重ね合わせた感じのモノが多い
一例で例えるなら、思春の鈴音での剣技は、思春独自の技のみで構成されているが、それに一刀から教えられた”神速”を加えている
明命に関しては武器が”魂切”な事から、野太刀に近い形態により、古流剣術の方を一刀から習得している
といった具合に、皆それぞれの独自に築き上げてきた技に、一刀からの修養をプラスさせている
雪蓮達を育て上げた事ですでに実証済みだから、一刀という師に不満や不安がある訳ではない
今の雪蓮には、全盛期の緋蓮でも勝てないと思わせる動きを、すでに一刀との修練で何度か目にしていたからだ
もしかしたら自身も・・・と思わない事もなかった緋蓮ではあったが、成長しているという実感に乏しかった
静養中であったという事もあり、未だに修練中はおろか一刀以外と対峙したことがない
冥琳が修練の様子を見ていたならきっと、お辞めくださいと止められ咎められたことであろう
そして緋蓮が全力で戦うことに、一刀と華陀の了承が今まで一度も出ていなかったからでもある
だから、今の自身の強さがいかほどのモノであるか?という興味は尽きなかったものの・・・
華雄の正直な言動を素直に受け取ると、過去の私より今の私は弱いことになる・・・
それはそれで悔しくもあり、いう事の聞かない身体に叱咤したい自身もいた
まぁ華雄もだろうが、私も”とっておき”はある訳で
使用は短時間限定と一刀と華陀に口が酸っぱくなる程、釘を刺されている訳なのだが・・・
けれど、死ぬくらいならそんなことも言ってられないわよね~と、そんな物騒な考えもしていた緋蓮である
緋蓮の剣撃を柄で受け止め、受け流し、弾き返す華雄に対し、華雄の一撃を緋蓮は回避し続けるしかなかった
受けたが最後、古錠刀は折れるか良くて刃こぼれだろう事は、想像に難くない
その度毎に土を掘り起こし砂塵を撒き散らす為、緋蓮にも舞った埃や土が身体や髪に纏わりつくので不快なことこの上ない
自身が開けた穴に、足を取られ落ちなさいよ!と剣を振るい追い込んだりしたものの・・・
華雄は斧の柄を上手く扱い、懐に潜り込ませない様に斧を短く持ち押さえ込み、距離を取らざる負えない状況へと追い込まれる緋蓮
距離をとれば、柄を長く持たれリーチを生かし斧を振り回した一撃必殺の攻撃へと移って来る繰り返しに、仕方なく”氣”を練り刻を待つ緋蓮
成長の一端を華雄に見せ付けられる始末に、緋蓮の苛立ちも最高潮へ達しようとしていた
一方の華雄としても・・・一撃の強さは申し分ないのだが・・・いかんせん緋蓮に当たらない処か掠りさえしないのである
昔との違いを時折回顧してみるものの・・・華雄の一撃を全て受け止められ、あるいは弾き飛ばされていた華雄である
それは南海覇王の優秀さと当時の緋蓮の膂力による処が大きいのであるが・・・
今の緋蓮は、構えや武器の使い方も異なっている
それだけでなく、時にちょこまかと動き回り惑わせ、こちらの攻撃を回避した隙をついた攻撃が次々に飛んでくる
まるで霞を相手にしているようで・・・胸糞悪い事この上ない華雄であった
以前の孫堅は、恋のような天賦の才に頼った闘い方だったのを記憶してる
それがこの度は、より洗練された闘い方に変貌を遂げ、戸惑いを隠し切れない華雄である
その苦い記憶との”ズレ”と勢いで押してはいるものの・・・決め切れない焦燥が、華雄の表情から徐々に冷静さを削りとっていたのだった
今の二人の死闘は、”決定打”に欠けた小康状態に陥っていたといえる
この状況を打開するために、先に動いたのは焦れた華雄の方であった
「食らえ! 孫堅! ウオォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー」
という叫びと共に、最初に金剛爆斧を地面を割いたかと思うと斧を上下左右と乱回転させ、緋蓮へと突進してくる華雄
金剛爆斧の速度は、先程までの速度より遥かに勝る速度で唸りを上げ
さらに大量の土砂を掘り起こし、砂嵐を撒き起こしながら緋蓮へと迫り来る
「あちゃーーー マズいな華雄 ついに切れよった・・・」
と関から様子を観戦していた霞は、額に手のひらを当て唸る
この技は名前などないが、霞は見た目通りの”嵐”と名づけていた
華雄にこの技を出されたら、余りの斧の回転速度に近づけず、かつて一撃を受けた事もあるが
両手で持つ飛龍偃月刀を簡単に弾き飛ばす程の威力だったのだが・・・
霞はこの技の弱点を長年の付き合いから熟知していた
要は近づかなければ良いのである 迫ってくれば逃げれば良い ただそれだけ・・・いずれ華雄は疲れ回転が失速する
孫堅もそうするだろうと、関から二人の一騎打ちを見つめていた霞はそう思っていた
しかし緋蓮はその”嵐”の中へと身を投じたのだった この行為に霞は唖然とした
攻撃していた華雄とて霞と同様の感想であったに違いない
アホ(無謀)なことをーーーーーーーーーーーと
だが二人の予想を緋蓮は遥かに凌駕する動きをみせたのだ 迫り来る金剛爆斧の必殺の一撃を悉く回避していた
しかし、ただ完全とはいかなかった
飛来する岩や石などは緋蓮の身体に容赦なく打ち付けるし、華雄の一撃は緋蓮の身体に届き、所々で血飛沫をあげていたからだ
けれど何度繰り出そうとも致命傷には至らない・・・
それは緋蓮の”動体視力”の良さに他ならない これが緋蓮の”隠し玉”の正体であった
一刀と華陀の二人は、緋蓮に対してあくまでも”療養の一環”として、剣術を使い身体を動かす事を是としていた
ただ、一人の将として生きたいと願う緋蓮に対し、未来の母である緋蓮の事を参考にすべく思い起こしていた一刀である
その時にふと思い出した事は、未来の母である緋蓮もまた抜群の”動体視力”の持ち主であった事だった
道場での未来の母である緋蓮の腕前をみようとした初稽古時、爺ちゃんの剣筋を初見で見破ったというのだから恐れ入る
そして一刀の桜花、月影の二刀を一本に見せ攻撃する”影討ち”と呼ばれる技を繰り出した時にも、初見で見破られた程である
一刀本人でさえ、何度爺ちゃんの剣筋が見極められず、道場の壁へと打ちつけられたことか・・・
ただ未来の母である緋蓮も、爺ちゃんの一撃を見破りはしたものの・・・
避けるのはまた別であると、苦笑を交え一刀に語っていたのを思い出していた
この緋蓮の飛びぬけた”動体視力”であるが、娘の雪蓮にはあまり受け継がれていない
この”動体視力の恩恵”を授かっていたのは、妹である”蓮華”の方なのであったというから、世界は実に面白い
上記の事に関しては、※序章 拠点ー蓮華編を参照してもらえれば判る事であるが
一刀が蓮華に、実に6回もの剣速を蓮華に対して、細かく試している事からも見て取れる
ならば、緋蓮もまた蓮華と同じ武の頂であるかというと・・・実はそうではない
この時、一刀が蓮華へと示した剣の型とは、全くの”逆方向”で、未来の母・緋蓮と同方向であり
まさに”そのもの”と言っても過言ではない超攻撃型剣術で、”八相”を取り入れていたのは”体力の温存”に他ならない
身体を癒す母・緋蓮を慮って、基礎から組み替え未来の母と近づけるべく鍛え直していた一刀なのである
華雄が自身に致命傷を与えられない理由に、”嵐”へと接近戦を挑んでいた緋蓮もまた、漸く雪蓮が言っていたその”効果”に気付き始めていた
自身の身体が全力で動く今、身体が軽く感じ実に小気味良く小回りが利いて、華雄の一撃から回避が出来ていることに・・・
全ては、一刀と華陀の二人のお陰でここまで闘えている事に、心の奥底で感謝する緋蓮であった
しかし避さける今もひっきりなく、大きめの岩や石並びに血飛沫も次々に受けている現状、緋蓮に残された猶予も余りない
緋蓮は、一刀と華陀に口を酸っぱくして止められていた最後の”封”を解く
「最後までもってよ・・・私の身体!」
そう叫び終えた緋蓮は今、身体強化の一つである”神速”を発動させた瞬間であった
華雄の瞳には、金剛爆斧の一撃に晒される瞬間の緋蓮が、眼前から忽然と姿を消したのだ
もちろん、緋蓮を斬った手応えなどあるはずもない
そんな馬鹿な! ありえん!と驚愕の色に染まる瞳をカッと大きく見開く華雄であったが
次の瞬間には脳にゴツンと鈍く激しい衝撃に襲われ、すると自身の身体が宙へと舞い上がり、砂埃をあげ派手に転がっていたのだった
華雄は素早く起きようとするが意識が朦朧とし、先程襲ってきた衝撃に目をしぱしぱと瞬きさせ、頭を左右に振って正気を取り戻す
口の端より血を滴らせながらも、緋蓮の顔には漸く、華雄の苦い過去に出てきた”ふてぶてしい”までの笑みがこぼれていた
その様子を今度は、あら~とびっくり顔の雪蓮と蓮華
やっぱりか・・・眉を顰めつつ額に手をやり支える一刀といった孫呉の面々の姿があった
それからの一騎討ちの展開は、緋蓮の攻撃一辺倒となり、
今度は鼻を蹴られ、鼻から大量の出血が流れ出し、口からしか息が出来なくなり
必然的に華雄の呼吸が乱れる原因ともなる
致命傷はなんとか避けられてはいるものの・・・息があがり疲労が一気に身体を襲う
結果、動きが鈍くなってしまう悪循環に陥ってしまう華雄
緋蓮の使っている身体能力の強化の一つである”神速”であるが
一刀から習得し使える孫呉の将が増えているが、元々氣を扱える者に限定特化した技であり
瞬間的に信じられないような爆発的な加速を生むが、便利な反面、身体にかかる負担が大きいデメリット部分がある
健常者である雪蓮、明命、瑠璃、思春等は年若く、疲労の蓄積もそんなになく抜けるも速いが・・・
そんな皆とは違い、緋蓮の場合はかなり特殊なケースに属する
一刀や華陀達が緋蓮に”神速”の使用を限定的にしていた理由は
元々大怪我をした時の後遺症が今も残っており、身体に氣を通し
緋蓮の身体の治癒力を高める治療法の一環として”神速”を取り入れていただけで
極力負担を強いない又は使用は短時間に限定して調整していたが・・・
今はそのリミットも緋蓮自身が外してしまっており・・・大きな負担は時間が経つ毎に緋蓮の身体へと還って来る
この一騎討ちは、先に華雄が倒れるか、緋蓮の身体に多大な負荷がかかり動けなくなるか・・・
両者、命を削りあう時限式の闘いへと移行していたのだった
そして両者の死闘は終に最終局面へと移行し、緋蓮は残る力を振り絞り華雄へと向かって一撃を放つ
口を大きく開け、肩で激しく息をする華雄も負けじと緋蓮の一撃を凌ぎ、自身の勝機を見出そうと必死にもがき喰らいついていた
それを関より見ていた霞は、”もはやこれまで”と見切り、華雄を見捨てるのではなく、救うべく関の物見櫓から飛び降りる
関に動きがあるのを認めた一刀は、すぐさま亞莎へと伝令を遣わし”準備”を促す
緋蓮と華雄・・・二人の咆哮が決着をつけんと死力を振る絞ると共に
一騎討ちが最終局面へと移行した現在、死力を尽くす二人以外の動きもまた
活発化する様相を見せ始めていた汜水関攻防戦の一幕である
緋蓮の一撃を防いだ後、何度も蹴飛ばされ地面を這い、大の字になって倒れる華雄
今の華雄は、もはや立つ気力さえ失われていた まさに身も心もボロボロと言えた
孫堅の強さに始めは失望を禁じえなかった華雄であったが・・・蓋を開けてみればやっぱり孫堅は強かった
昔は圧倒的な力の差を見せ付けられたが、今回は力配分の技巧的な差が、明暗を分けた気がする華雄であった
今ここで孫堅に首を討たれ、生きてきた生涯に幕を下ろす事になったとしても、孫堅に全力を出させたのだ 悔いはなかった
ただ願わくば・・・自身亡き後、世話になった月様や霞達、部下の皆に幸多からんことをと願うばかりであった
立っている緋蓮も、今では肩で酷く激しい息をしており、疲労と負荷が完全に緋蓮から余裕を奪っている状態となっていた
今は刀を杖代わりに支えているのがやっとで、華雄を油断なく終始睨みつけているが
一向に斬りつけてくる様子もない事に、安堵したのが不味かったのか・・・
自身の思考と意識が途切れ途切れとなり、カハッと緋蓮は口から大量の血を吐いた・・・
それを倒れながら確認した華雄は、私は・・・もう一歩の処まで孫堅を追い詰めていたのだなと悟ると共に
自身の終りを誇らしげに迎える事が出来た事に、対戦相手である孫堅に敬意を表していた華雄である
緋蓮が血を大量に吐いたのを目の当たりにした娘の雪蓮が蓮華が・・・
そして一刀達が、なにやらしているのを・・・他人事のようにぼんやりとした意識と映る瞳で捉えていた緋蓮
ああ・・・先程吐いた大量の血で、意識が朦朧としていているのだろうと、自身を客観視して理解した緋蓮であった
勝つには勝ったが引分といえない事もない程の拮抗した薄氷の勝利といえた
朦朧とした意識の中で緋蓮の思考はそう思うと・・・
ふんっ・・・今の私にはお似合いな勝ち方かな・・・
目を醒ましたら・・・みんなに怒られちゃいそうかな~ これ~
一刀 華陀 ごめんね 心配かけちゃって・・・ やっぱり神速・・・私の身体では”全力”に耐えれなかったみたい・・・
雪蓮 蓮華・・・迷惑かけちゃってごめんなさい 皆、後はよろしく
最後にあなた・・・私の勇姿みていてくれたかしら? どうだった? 貴方をまた魅了できたのかしら?
と思考する緋蓮のぼやけた瞳に、緋蓮へと笑いかける呉公の姿が瞳に映し出され、緋蓮が微笑みかけたと同時に自身の意識を手放した・・・
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である
祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである
髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが
その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである
服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている
背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである
眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から
姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている
均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである
○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ)
荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると
知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる
以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま
呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている
容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女
(背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます
○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族
槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす
容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ
胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている
○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)
弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で
徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる
容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである
二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える
○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)
朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される
その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される
天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる
初期には転属させられた事に不満であったが
一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に
後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している
容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである
服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・
と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)
○太史慈 子義 真名を桜
能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者 桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し
騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)
本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という
両者の良い処をとった万能型である
武器:弓 不惜身命
特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く
隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった
容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子
眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める
一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【あとがき】
常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます
いつもお世話になっております
円安がちょっと一段落しましたので、私の仕事の方も漸く一段落しました
このままずっと安くなり続けたなら・・・きっと過労死していたのでは?と予想できただけに
ホッと胸を撫で下ろしている次第です
そのお陰か 文章量と更新も少しではありますが、余裕が持てる感じになったのかな?と思います
自身の近況報告はこのくらいに致しまして
この度、6話コメントにて観珪様からご指摘がございました『華雄さんが霞の真名を呼んでいる』件につきましてですが
この作中で登場します華雄さんは、原作とは違い少し改変されていることに、お気づきの皆様も多いのではないかと推測致します
というのもその理由の一つに、簡単な挑発に釣りだされていない件をみましてもわかる通り
”猪突猛進”成分を随分と減らし、その分”武人”としての誇りを強調した作りとなっております
華雄さんが登場しました件の時に、すでに霞の真名を呼んでおります その例として挙げますと
第2章 3話での ええい! 何を悠長な事を言っている霞! そうだ! 月様、詠!霞 大変だぞ!
第2章 4話「霞 そろそろ行くぞ」
といった言葉通り、私の作中での華雄さんは、”自身が認めた相手にだけ”は、真名を呼ぶように改変致しております
ご指摘くださった”6話限定”という訳では決してありません
原作では華雄さん自身に真名がない事から、決して相手の真名を呼ばないというコンプレックスを抱いている華雄さんですが
そうした真名に対する拘りは持ちながらも、胸の奥底へとグッと仕舞い込み、自身が認めた相手には最大限の”敬意”を表する
そんな心の広く逞しい”武人”のありかたを示す華雄さんを表現したくて
その一端として”自身が認めた相手のみ”に限ってですが、真名を呼ぶように改変致しました次第です
こんなの華雄さんじゃないよとおっしゃられる皆様もいらっしゃる事も覚悟しております
ですが、華雄さんをそうした心持にさせたのも、過日の緋蓮さんとの一騎打ちで完膚なきまでに打ちのめされた事で
猪突の猪の鼻をぽきりとヘシ折られ、影を潜める根本原因となった出来事と捉え
その後、月さんに拾われたことにより、恋や霞達と接し日々成長する過程において
”武人”としての矜持を持ち合わせるようになった華雄さんという設定にしております
これは第2章 6話での”私の武人としての原点とも言える苦い記憶だ”という華雄さんの回想部分で表現しております
そうした細か~い部分でありますが、原作との違いを楽しめる隠れた?部分も作り込んでいたりしますので
今後もそうした部分を見つけて、楽しんでお読み戴けたならと幸せに思う次第でございます
そうしてこの7話に話を戻しますと、緋蓮と華雄さんとの戦闘シーンだけで終ってしまいました
謎の軍団?+その後の各勢力の動きまで追いたかったのですが
非常に長い尺になってしまう為、直前で断念いたしました次第です(滝汗
なかなか上手いこと1話の文章量を調整出来ない未熟な雪月で、皆様に大変申し訳なく思っております<(_ _)>
それでは皆様、暑い日が続きまして、かなりダレてしまう日々ですが
体調管理に気をつけて日々お過ごしくださいませ
それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪
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常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております
この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
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