No.588996

GGO~剣客の魔弾~ 第15弾 ハイライト

本郷 刃さん

第15弾になります。
今回はキリト達が戦闘の様子を振り返ります。

どうぞ・・・。

2013-06-19 10:09:16 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10297   閲覧ユーザー数:9373

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第15弾 ハイライト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

「やはり、ハジメが勝ったな…」

「もう人間業じゃないよ…」

 

アスナと共にハジメとシノンの戦いを観戦し、いまその戦いが終わったところだ。

俺はさすがだと思い、アスナは呆然としながらそういった。

そう思うのも仕方はないが、それはあくまでもVRMMOの世界だからである。

現実世界ではさすがに不可能……と、思ったところで銃くらいなら出来るかも、と考えたのは秘めておこう。

そしてシノンが転送され、ハジメも転送されて戻ってきた。

 

「2人共、お疲れ様。それと、本大会出場おめでとう」

「……ふっ、それはキリトとアスナもだろう?」

「シノン、おつかれさま。惜しかったね」

「うん、ありがとう…」

 

俺はハジメに、アスナはシノンに労いの言葉を掛ける…が、少しシノンの様子がおかしい。

まぁ戦いに負けた事もあるし、なにより他人である俺が聞くわけにもいかないか。

 

「それにしても、予選だってのに随分と強い奴らがいたよ…」

「……それは私も思ったな」

「わたしのところもだよ~。でも、途中でリタイアしたのはなんだったんだろう?」

「こっちも、良い狙撃手と戦えたよ」

 

どうやらみんな満足のいく戦いを出来たらしい。

 

「……第2回戦の『トレス』、紫のロングに黒い瞳をしていて、紫のコートを着こんでいた。

 デザートイーグルやAK-47を使ってきてな、私が銃剣で弾丸を斬り裂いても、怯まずに悠然と立ち向かってきたよ…」

 

ほぅ、真正面からハジメに挑んだのか、かなりの勇気があるということか…。

 

「……それと第4回戦の『神無鴇人』、中距離ではバズーカとアサルトライフル、

 近距離では44マグナムとショットガン、接近戦では中々距離が掴めなくてな。

 高速での連続射撃は厄介だった…まぁ、最終的には狙撃で倒したが」

 

ハジメにここまで言わせるか、結構な実力だったみたいだな。

 

「……最後、第5回戦の『神薙』、彼は凄かった。武器は2丁のデザートイーグルだけだったんだがな、

 《跳弾》や《高速装填》、速度の上昇を促す《軽業》と言ったスキルを用いた戦闘技術には手を焼かされた。

 何度も冷や汗を流したぞ…」

 

それは、なんともまぁ…少ない装備でそこまでの事を、かなりの手練れだったらしい。

 

「私は、そうだね…第2回戦の『観珪』がちょっとやり難かったかも。とにかく小さい体の上に素早かった。

 ハンドガンとアーミーナイフだけなのに、結構な距離まで接近されたしね」

 

ベテランであるシノンの狙撃を掻い潜って接近したのか、やるな~。

 

「第3回戦の『ミサキ』、この子もやり難かった。

 こっちが狙撃ポイントに辿り着く前に全力で近づくんだもの。

 しかも同じ狙撃手だし、アンチマテリアルの使い手。

 なんとか身を隠してから、狙撃したりして、上手く倒せたけどね」

 

相手が狙撃手だと分かったから、とにかく動き回って見つけたってところか。

 

「あとは第5回戦の『ガルム』、彼も狙撃手で…私と同じアンチマテリアル・スナイパーライフルの使い手だった。

 装備やスキルを上手く使って、姿を隠しながら狙撃してきたから、弾丸が飛んできたところをすぐに狙撃してやったわ」

 

なるほど、カウンターで沈めてやったと。彼女の様子を見るに、結構苦戦したようだな。

 

「わたしはね、第3回戦の『コマンダー』さんが凄かったかな~。

 狙撃の雨だし、サブマシンガンだったかな?

 あれでの銃撃も激しくて、最後はとにかく突き進んで光剣で斬ったけど…」

 

ALOでの魔法戦ならアスナは得意だが、さすがに銃撃戦での遠距離攻撃は大変だったろうな。

 

「それに第4回戦の『レイクリッド』さん、なんかもう滅茶苦茶だったの。

 砲撃や銃撃の雨霰状態、必死で戦ったんだけど、危なくなったところでだったかなぁ?

 降参して帰っちゃったの、最後に「面白い勝負だった」って言って…」

 

アスナを押し込むほどの実力だったのに、帰っていったのか?

あれ、第4回戦っていったら、俺が観戦していたやつのような…。

 

「キリトくんはどうだったの? 対戦相手の人達」

 

アスナが訊ねてきたので俺も答える事にしよう。

 

「そうだな、第2回戦の『T-I』。装備の効果による5m外からの牽制銃撃が効かなかったのは予想外だった。

 威力の高い装備も厄介だったが、上手く徒手空拳でいけたよ。ただ、正直にいうとやり難い相手ではあったな」

 

本来ならば俺も剣を使うところだったが、アレは切り札として用意したものだから、

徒手空拳での本気を少しだしたということだ。

 

「第3回戦の『ディーン』、かなり面白かった。

 遠距離のスナイパーライフル、中距離のバズーカとマシンガン、近距離は改造銃と装飾銃の2丁拳銃だ。

 そこにアイテムとしてのダミー効果を発揮するホログラム。

 俺が相手じゃなかったら、騙されたかもしれないが…」

 

視線や気配を感じないホログラム、普通の相手なら騙されたかもしれないが、俺にそれは通用しない。

 

「ただ、第5回戦の『キリツグ』、かなり焦ったな。俺と同じ全身黒装備、改造を加えた銃や手榴弾にスタングレネード。

 一番ヤバかったのは光剣を幾つも持っていた事だ。

 投げたりした時はさすがに怯んだぞ…まぁ、奪って応戦してなんとかなったけどさ」

 

正直、ヒヤヒヤした。最初から光剣を使えば少しは早く戦えたけれど、お陰で切り札として残す事ができた。

 

「なにはともあれ、全員の本大会への出場は決まった。あとはそこで決着にしよう」

「そうね、楽しみにしてる」

 

俺の締めくくりにシノンは笑みで応えるが、ハジメとシノンは言葉の意味を理解したのか、軽く頷くだけだった。

 

「さて、他の決勝が終わる前に私用を終わらせるか……行くぞ、アスナ」

「え、何処に?」

 

言葉の意味がさすがに解らないアスナの耳元で、シノン達にも聞こえないように囁く。

 

「(ぼそっ)ご褒美に、ね…」

「っ~~~/////////!?」

 

その一言で茹蛸と化したアスナの手を引き、俺は彼女と共に待機エリアから離れた。

 

キリトSide Out

 

 

 

シノンSide

 

「あの2人、どこに行く気なのかしら? まぁ、本大会出場も決まったから、少しくらい離れても大丈夫だと思うけど…」

「……むしろ知らない方がいいと思うぞ。あの2人のアレはいつもの事だ…」

 

ハジメの言葉の意味が解らなかったけれど、気にする必要もないみたいね。

それにしても、予選トーナメントFブロック決勝、この戦いには敗北したけれど、本大会への出場は決定した。

ハジメに負けたのが悔しくない訳じゃない、だけど自分が少しでも強くなれたとは思ってる。

でも1つだけ腑に落ちない事がある、それは……なぜヘカートⅡの弾丸を斬り裂くことが出来たのか、である。

あの10mという距離、普通なら回避する事は出来ないし、『インパクト・ダメージ』を狙った足元への銃撃であった。

つまりそれを予測するしかないのだけど、このGGOを始めたばかりの人が出来るとは到底思えない。

 

「聞いたら、教えてくれるかなぁ…」

 

小さく呟いてから、ハジメに訊ねる事に決めた。

 

 

「どうして、私の照準が予測出来たの…?」

「……キミの眼、視線だ」

 

私の視線だけで、ヘカートⅡの弾道を読んだということ。

そんなことが出来る人間がこの世界にいるとは思わなかった。

まさに、VRゲームの範疇を超えた強さである。

 

「……この手の技術は私よりもキリトの方が上だ。それに、これは所詮ただの技術に過ぎない」

「嘘よ、あれがただのテクニックなわけがないわ。どうすれば、あの強さを身につけられるの?

 私は、私はそれを知りたいの…ねぇ、どうすれば、あの強さを…」

 

そこまで言って、それ以上は言葉にする事が出来なかった。

私を見つめる真剣な表情と瞳、雰囲気に呑まれて何も言えなくなった。

 

「……守りたいものを見つけ、自分と守りたいものの為に強くなる。

 それは相手に不殺を心掛ける事……私は、かつてそれが出来ず、ただ闇雲に力を求めた。

 いまの、キミみたいに…」

「っ!?」

「……いまのまま力を求めれば、いずれ誰かを傷つける事になる。力がどういうものなのか、よく考えた方が良い」

 

彼に言われて衝撃を受けた。私は、ただ力を求めていただけ?

それは、いつか誰かを傷つける? また、あの時(・・・)みたいに……ケイ、を…?

 

「……シノン、大丈夫か? 顔色が悪いが…」

「ぁ…ご、ごめんなさい。少し、席を外すわ…」

 

私はハジメの言葉から逃げるように、椅子から立ち上って近くの控え室へと駆け込み、ロックを掛けた。

ゆっくりと、心を落ち着かせるように…。

 

シノンSide Out

 

 

 

ハジメSide

 

急ぎ足でこの場から離れたシノン、自分で言ったことに私は後悔した。

 

「……まったく、人のことを言えた義理ではないな…」

 

かつて1丁の拳銃で人を殺し、SAOにて1振りの刀で何人もの人間を殺したやつの言うセリフではない。

後悔がなかったわけではない、罪悪感がなかったわけでもない…それでも、守れたものは確かにある。

だが、もしかしたらその時からかもしれない。

大切な人、家族、仲間、友人、守る為ならば殺す事に躊躇いを持たなくなったのは…。

 

「……最低だな…」

 

SAOから戻ってきた時は後悔ばかりで、そのうえキリトは眠ったままだった。

八雲師匠の手紙通りのリハビリを受け、すぐに力を取り戻そうと半分自棄になり、

落ち着いてみれば詩乃を守る為に人を殺した時と同じに感じた。

ただ力を求めていた…夏の修行でようやく取り戻した力、そこで改めて力は所詮『力』に過ぎない事を思い出した。

結局のところ、思いの力1つで道を作る事はできるということだ。

 

「……シノンなら、それを見つけられるはずだ」

 

 

 

1人物思いに耽っていた時、キリトとアスナが戻ってきた。

キリトは意地の悪い表情を浮かべ、アスナは案の定、顔を真っ赤にしていた。

それからシノンも落ち着いた様子で戻り、モニタでは予選トーナメント最後の試合が終わり、

本大会の出場者が決まった。

 

ハジメSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、参加者(みなさん)との戦闘の様子をキリト達が語りました。

 

なんか纏めてしまう形になって申し訳ない、引っ張り過ぎないようにした結果なものでして・・・。

 

あとはシノンとハジメの真剣な話しでしたね。

 

次回は予選が終わったキリト達の様子です、休憩回というべきかな?

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 


 
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