第6話『天災と聖獣』
曹操と名乗る少女に連れられ、歩く事しばらく。急に周りは慌ただしく動き始め、同時に空気もピリピリし始めた。
「どうかしたのか?」
「私達は元々賊の討伐のために軍を率いていたと言ったでしょう。」
一刀の問いに曹操が答える。
「さて、郭嘉と程昱だったわね。あなた達二人には策を用意してもらいましょうか。」
呼ばれて、郭嘉と程昱が曹操の前に出ていく。
「はっはい。まず、夏候惇殿に一当てしてもらい、後退し、引き付けたところを今度は夏候淵殿の弓兵で攻撃。足の止まったところを再び夏候惇殿と星…趙雲殿にも協力してもらい、挟撃して一気に畳み掛けるのはどうでしょう?」
「悪くは無いわね。程昱、あなたは?」
郭嘉の話を聞き終え、今度は隣にいる程昱にその目を向けた。
「一つお聞きしたいのですが?」
「何かしら?」
「此処にいる者達は自由に使っても?」
「ふむ、でしたら、風は・・・」
「…なぁ。」
「何?あっ君。」
「何で俺たちこんなとこにいるんだろうな。」
先の程昱の発言。それは「こちらのお兄さん達に任せます。」というものだった。しかも何を思ったのか曹操はそれを採用。兵を貸すと言われだが、兵法なんて知らないので断った。ついでにいえば、非戦闘員の一刀と現状、よく分からない暦も置いて来たので、聖愛と亜久斗の二人だけで対峙している。
「どんくらいいるんだ?」
「3000くらいって言ってたよ。」
「そか。」
そのまま、二人は黙って眼前を見据える。賊は舐められていると感じたのか既に突撃を仕掛けようとしていた。
「じゃあ、やるとしますか。頼むぜ、相棒。」
「うん、任せておいて♪」
亜久斗の無機質な拳に聖愛の拳が触れ合う。それを合図にするかの様に賊は突撃を仕掛け、二人もまた、賊めがけて駆け出した。
「始まったわね。」
本陣では、全員が成り行きを見守っていた。
「一刀殿、今更言うのもなんですが、本当にあの二人だけで大丈夫なのですか?」
郭嘉が心配そうに訊ねてくる。
「うん。俺が一緒に行っても足手まといになるだけだしね。」
「それならせめて曹操殿から兵と将を借りれば。」
「それだと今度は味方が巻き添えになる。会ったばかりで連携もとれないなら尚更ね。それよりは。」
一刀は程昱に向き直る。
「何で程昱が俺たちに任せるって言ったのか気になるな。」
「…それは、お兄さん達が何か隠していると感じたからです。戦の前でも落ち着いていましたし。一体何を隠しているんですか?」
「俺も全部を知ってる訳じゃ無いけど、少なくとも、あの二人は俺の大事な友達で、『天災』、『聖獣』って呼ばれるくらい強いって事は言えるよ。」
「そうですか。」
それきりは誰も口を開かず、ただ、二人の戦いを観ているだけだった。
戦場を駆ける二人の前には、賊が間近に迫っていた。
「どうする?あっ君。」
「まずは勢いを削ぐ。」
瞬間、空気が凍てつく。
「凍えろ!」
その言葉と共に、極低温の冷気が吹雪となって賊を凍り付かせる。
「次は私だよ!」
亜久斗の側を走り抜ける聖愛に一筋の雷が落ちる。その光が晴れた場所には先程までの聖愛の姿は無く、代わりに、身体を鱗と白い毛で覆われた一角獣の姿があった。『麒麟』聖愛が『聖獣』と呼ばれる由縁。麒麟はそのまま落雷と共に、縦横無尽に駆け抜け敵を薙ぎ払ってゆく。
「聖愛!下がれっ!」
頭上に掌を掲げた亜久斗が叫ぶ。その掌の先、賊の頭上には巨大な氷柱が形成されている。
「これでトドメだっ。」
亜久斗が手を降り下ろすとそれに合わせて、燃え盛る氷柱が雷と共に賊に降りかかる。ある者は雷に討たれ、ある者は火だるまとなり、ある者は凍りつき、無事だった者ももはや戦意の欠片も残ってはいなかった。
「もう、終わりかな?」
聖愛が話掛けてくる。先程の麒麟の姿と違い蒼白い髪に額から角を生やした半人半獣の様な姿になっている。
「多分な。」
二人が後ろを振り返ると一刀達がこちらに来るところが見える。
「むしろ、この後が面倒くさいな。」
「あはは、どう説明しよっか?」
そんな話をしながら二人はとりあえず、皆と合流するために歩き始めた。
あとがき
ダブルクロスの醍醐味は中2病だと信じて止まないツナまんです。f(^_^)
今回は簡単な戦闘でした。
ここで少し捕捉ですが、ダブルクロスを知ってる人はワーディング使わないの?とか思ったかもしれませんが、基本この作品はワーディングは使いません。理由としてはワーディングを使うと能力者以外が戦闘出来なくなるので( ̄▽ ̄;)
それ以外はある程度ルールどうりので行く予定です。
では、また次回(^o^)/
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久々のDX 外史録更新です。今回は簡単な戦闘パートです。上手く書けてればいいけど…(・・;)
注意:この作品は真・恋姫無双ほかTRPG DX 3rd の内容を含みます。