僕は走る。ただただ走る。目の前が真っ暗になりながらもただ走る。
なんでそうなったのかはよく覚えてない。でも、隣町との対抗リレーなんかに僕は参加させられている。住民のほとんどが強制参加で、僕もその一人だった。
ところで僕は今のところ圧倒的差をつけている。ものすごい差をつけてはいる。でも僕は必死に走っている。
なぜか。答えは簡単だ。ラスト……アンカーはジジィなのだ。なんでこのジジィがアンカーになったのか分からない。立候補でもしたのだろうか?
だから僕はできるだけ差をつけておきたい。あのジジィだとどれだけの差があったとしても不安だ。
しかし、なんで僕はこんなに必死に走っているのだろう? 僕はそこまで町に思い入れがあったのだろうか? いままで本気で生きてこなかった僕が、どうしてここで本気になるんだろう? 訳が分からない。
でも、僕はみんなの期待を一身に受けて走っている。
別に負けたっていいじゃないか。友だちはそう言っていた。でも僕は手を抜かない。ただただ、必死に走り抜ける。本当人間て不思議なものだ。
そろそろジジィの姿が見えてきた。
「おい、ジジィ。こんだけ差をつけてやったんだ!! 負けたら容赦しねえぞ!!」
そう言って、僕はジジィにバトンを託した。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
即興小説で作成
お題:ラストはジジィ 制限時間:15分