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真・恋姫†無双~赤龍伝~第119話「赤斗対張飛・魏延」

さん

主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきますので、ご注意ください。

2013-06-06 02:10:30 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2360   閲覧ユーザー数:2160

真・恋姫†無双~赤龍伝~第119話「赤斗対張飛・魏延」

 

 

赤斗と張飛・魏延が立ち合いをする為、赤斗たちは中庭に集まっていた。

 

赤斗「すー、はーー。…………よし」

 

深呼吸で息を整えて、赤斗は気を高める。

 

藍里と亞莎の軍師二人は、朱里や雛里とともに話し合いをしていて、この場にはいなかった。

 

その代わり恋、月、詠は傍で赤斗を見守ってくれていた。

 

月「はぅ~赤斗さん、怪我しないよう気をつけてくださいね」

 

恋「…赤斗、がんばれ」

 

赤斗「ありがとう月、恋」

 

詠「まったく使者で来たくせに、何で戦うことになってるのよあんたは」

 

赤斗「まあ、色々あったんだよ。それで、張飛ちゃんと魏延さんのどっちから始めますか?」

 

鈴々「もちろん、鈴々からなのだっ!」

 

張飛が勢いよく前に出てきた。

 

赤斗「張飛ちゃんからか」

 

星「赤斗殿。ああ見えても鈴々は我が軍を代表する武将。くれぐれも油断しないようお気をつけて」

 

赤斗「分かってますよ。相手は燕人張飛。油断できる相手じゃないですからね。それよりも星さんや桔梗さんは僕側について下さるんですか?」

 

桔梗「ええ、遠慮なくやって下され」

 

星「赤斗殿の方についた方が面白そうでしたからな」

 

蒲公英「たんぽぽもいるよ♪ 赤斗君、焔耶なんかコテンパンにしちゃえ!」

 

赤斗「あはは……」

 

 

翠「それじゃあ、そろそろ始めるぞ」

 

鈴々「応なのだっ!」

 

赤斗「はい」

 

審判役の馬超に促され、赤斗と張飛は中央で向かい合う。

 

張飛は蛇矛を、赤斗は二振りの小太刀をそれぞれ構えた。

 

翠「よーし、準備はいいな。時間無制限一本勝負、…………始め!」

 

鈴々「はーっ!」

 

開始の合図と同時に張飛は赤斗に突進してきた。

 

赤斗「おっと!」

 

赤斗は張飛の猛攻を、奥義浮葉で流れを読み、全て紙一重で躱していく。

 

鈴々「にゃーーっ! ちょろちょろ避けるななのだーーっ! こうもっと、しっかり受け止めろなのだーーっ!」

 

赤斗「無茶言わないでよ。僕は張飛ちゃんと力比べするつもりなんてないよ」

 

鈴々「にゃーっ!」

 

赤斗「よっと!」

 

赤斗(昨日はただ単調な動きだと思ったけど、今日の動きは自由奔放って感じだな。……これが本来の張飛ちゃんの動きなんだろうな)

 

鈴々「がるるるるるるるるる……!」

 

赤斗「はは……」

 

赤斗(何だか獣と戦ってるみたいだな)

 

 

蒲公英「うわーーー」

 

桔梗「鈴々の攻撃をあそこまで綺麗に躱すとはさすがじゃのう」

 

星「だが、まだまだ本気を出していないように見えるが……」

 

恋「うん。赤斗、まだ本気、出してない……。本気の赤斗は、もっとすごい」

 

星「ほう。それは楽しみだな。……おや、鈴々が本気になったようだな」

 

 

鈴々「………………………………」

 

獲物を見定めた肉食獣のように、張飛がぐっと身体を屈める。

 

赤斗(す、すごい気迫だな。さすが五虎将ってところかな)

 

四肢に充分にエネルギーを溜めて、赤斗に襲いかかろうとした。

 

赤斗(……来るか!)

 

愛紗「おや? 模擬戦でもしているのですか?」

 

鈴々「ひゃぶっ!?」

 

中庭に現れた愛紗に気を取られ、鈴々に隙ができた。

 

赤斗「はっ!」

 

鈴々「にゃ!?」

 

その瞬間を赤斗は見逃さなかった。

 

鈴々「あ……っ、う、ううぅ~~~~~~」

 

赤斗「勝負あり……だね♪」

 

鈴々の手から弾かれた蛇矛がくるくると回転して背後に落ちる。

 

翠「風見赤斗の勝ちだな」

 

鈴々「にゃ!? い、今のは違うのだ……愛紗が急にっ」

 

翠「真剣勝負の最中に気を抜くのが悪いんだろ?」

 

鈴々「う~~~~」

 

張飛は唇を尖らせて、それ以上の反論は引っ込める。

 

鈴々「愛紗も、ちょっと気をつかうのだ」

 

愛紗「知らん! 模擬戦とは、戦いを模すと書く。実戦の最中でお前はいちいち気を抜くのか」

 

鈴々「うぅ……」

 

愛紗「将たる者、雨が降ろうが地が揺れようが敵を討つまでは気を抜くな」

 

鈴々「もう! 愛紗はガミガミうるさいのだっ」

 

愛紗「う、うるさい……だと!? わかった。……もう何も言わん」

 

鈴々「黙って見てるのだ! 今の一本はしょうがないから赤いお兄ちゃんにあげるけど、もう一本、勝負なのだ」

 

赤斗「……いや、一本勝負だから、これで終わりだよ張飛ちゃん」

 

鈴々「えええぇぇぇーーーーーっ!!」

 

 

赤斗「それより関羽さん。身体の方は大丈夫なんですか?」

 

愛紗「一晩寝れば、これぐらいの傷」

 

関羽は大丈夫だと斬られた肩を叩く。

 

愛紗「それで、何で鈴々と赤斗殿が模擬戦をしているのだ?」

 

赤斗「まあ、色々と理由がありましてね。……次は魏延さんですね」

 

そう言うと赤斗は魏延の方に振り向いた。

 

焔耶「分かっている」

 

魏延は金棒を持ち、すでに戦闘準備は出来ていた。

 

翠「どうする? 少し休憩してから始めるか?」

 

馬超は赤斗に尋ねる。

 

赤斗「いいえ。このまま始めても大丈夫ですよ」

 

翠「そうか。わかった。それじゃあ、焔耶もいいな」

 

焔耶「あぁ」

 

赤斗と魏延が中央で向かい合った。

 

翠「じゃあ、時間無制限一本勝負、…………始め!」

 

焔耶「うおおおおおおおおっ!」

 

魏延の金棒が赤斗に振り下ろされた。

 

ドオオオオーーーーン

 

振り下ろされた金棒は赤斗に当たらなかったが、轟音とともに地面に大穴が開いた。

 

焔耶「鈴々との戦いの時もそうだったが、たいした回避能力だ。どうやら速さでは、お前が上のようだな。だが、体力や腕力なら私の方が上だ。いつまでも避けられると思うな!」

 

さらに魏延は金棒を振りかぶり赤斗にせまった。

 

赤斗(まあ確かに、今の僕がこっちの武将に勝るものといったら、それぐらいでだろうね。……でも)

 

焔耶「どりゃああああああああっ!」

 

赤斗「陽炎」

 

焔耶「何だと!?」

 

振り下ろされた金棒が赤斗の身体をすり抜けた。

 

赤斗「こっちですよ」

 

焔耶の背後から赤斗の声がした。

 

焔耶「うりゃーーーーっ!」

 

横薙ぎに振り払われた金棒は、またしても赤斗の身体をすり抜けた。

 

焔耶「だぁーーーーっ!!」

 

赤斗「ハズレですよ」

 

焔耶「うぉーーーーっ!!!」

 

魏延の攻撃はことごくと赤斗の身体をすり抜けて行った。

 

 

焔耶「はぁ、はぁ……、お前、いったい何をした?」

 

息を切らせながら、魏延は赤斗を睨みつける。

 

ただ攻撃が避けられるなら兎も角、攻撃がすり抜けてしまうなんて不可解極まりない。

 

その事が魏延の冷静さを徐々に奪っていた。

 

赤斗「うーーん。何をしたと言われてもね。ただ、僕の流派にある独特の足運びが残像を残して、魏延さんはその残像を攻撃しているだけですよ」

 

焔耶「残像……だと?」

 

赤斗「わかってもらえました?」

 

焔耶「あぁ……わかった」

 

魏延はそう言うと大きく深呼吸をした。

 

赤斗(ん? ……ちょっと落ち着いたようだな)

 

魏延の様子を見て赤斗は武器は構え直す。

 

赤斗「それじゃあ、次は僕から行きますよ」

 

今まで攻撃を躱すだけだった赤斗が攻撃に転じた。

 

焔耶「ふんっ」

 

赤斗「はあぁっ!」

 

焔耶「はっ」

 

赤斗の連続攻撃を魏延は金棒で難なく受け止める。

 

焔耶「次は私の番だ! どりゃああああああああっ!」

 

魏延の金棒が赤斗を襲う。

 

赤斗「陽炎」

 

赤斗が再び陽炎を発動させる。

 

そして、金棒は赤斗の身体をすり抜けるはずだった。

 

焔耶「そこだぁぁーーーっ!」

 

赤斗「なに!?」

 

魏延の攻撃は、赤斗の本体を捉えた。

 

赤斗「くっ!」

 

魏延の金棒を赤斗は足で受け止めて直撃を避けたものの、赤斗の身体は衝撃で宙に飛んだ。

 

赤斗「よっと」

 

赤斗は空中でバランスを取り、難なく地面に着地する。

 

赤斗「あー、びっくりした」

 

焔耶「だぁーーーーっ!!」

 

焔耶が休まずに追撃をしかける。

 

赤斗「おっと」

 

焔耶「うぉーーーーっ!!!」

 

赤斗「ちっ」

 

焔耶「ちょこまかと、しぶとい奴だ……いい加減に諦めろ!!」

 

一気に追い詰めるべく、魏延が大きく踏み出し攻撃をした瞬間……。

 

赤斗「かかりましたね。神鹿っ!」

 

赤斗の対武器用カウンターの掌底が魏延に決まった。

 

焔耶「がはっ!!」

 

綺麗な弧を描きながら魏延の身体は宙を舞った。

 

 

ドサッ

 

魏延は背中から地面に落ちる。

 

魏延「ぐぅぅ……」

 

翠「しょ、勝負あり!」

 

赤斗「大丈夫ですか?」

 

焔耶「触るな!」

 

身体を起こそうとして伸ばした赤斗の手を、魏延は思いきり叩いた。

 

焔耶「……笑いたければ笑えばいい……」

 

赤斗「はい?」

 

焔耶「どうせ、腹の底ではバカにしているんだろう。あんなに邪魔者扱いしたのに、お前に負けた私の事を……」

 

赤斗「はあー。何でそうなるんですか。そんな事ないですよ。むしろ……」

 

焔耶「……むしろ?」

 

赤斗「むしろ、楽しかったですよ」

 

焔耶「………………は? た、楽しかっただと?」

 

赤斗「えぇ。魏延さんと張飛ちゃんと戦っていて、本当に楽しいと思いました。殺し合いは嫌ですけど」

 

焔耶「…………」

 

赤斗「ありがとうございました、魏延さん」

 

焔耶「……礼を言われるような事なんてした覚えがないぞ」

 

赤斗「だから、僕と戦ってくれたお礼ですよ」

 

焔耶「…………お前はおかしな奴だ。お前と話していると、調子が狂う」

 

赤斗「別に……自分ではおかしいとは思っていないんですけど……僕っておかしいんですかね?」

 

焔耶「本当におかしな奴だな、お前は」

 

赤斗「あ……」

 

焔耶「……どうかしたか?」

 

赤斗「魏延さんがそんなふうに笑った顔を初めて見ました」

 

焔耶「? 私だって普通に笑う事くらいあるに決まってだろう?」

 

赤斗「だって、今までずっと、険しい目で睨まれていたから……ギャップがあって可愛いななんて思って……」

 

焔耶「な!?」

 

赤斗「どうしました?」

 

驚いた顔をして、魏延が後ずさる。

 

星「どうですか桃香様。二人を立ち合わせてみて正解でしたでしょう」

 

桃香「そうですね♪ 二人とも仲良くなってくれたみたいですしね♪」

 

焔耶「と、桃香様っ!」

 

今まで離れて見ていた桃香たちが、赤斗たちの近くまでやってきた。

 

桔梗「焔耶よ。これで赤龍殿に力添えを頼んでも文句はないな?」

 

焔耶「はい。まだ少し納得がいかない事もありますが……この男の実力は分かりましたので」

 

赤斗「ありがとうございます。魏延さん」

 

焔耶「だから、礼を言われるような事なんてした覚えはないぞ」

 

赤斗「ふふ……僕がただ言いたいだけですから、気にしないで下さい」

 

焔耶「お前って、本当におかしな奴だな」

 

そう言って魏延は笑うのであった。

 

 

つづく


 
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