No.583196

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編

さん

その23

2013-06-03 20:19:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:666   閲覧ユーザー数:650

「くしゅん!」

 

「夜天さん?」

 

紅夜の介護を終え、プラネテューヌに戻った僕はネプテューヌの変わりにこの大陸の信仰シェアの維持や、モンスターによる災害、経済状況などのことを事務室にて整理していた。

疑問に思うんだが、あんなナマケモノの女神の下で何故、四大陸で一番技術力が発展したのだろうか?女神不在によりこの大陸には影が差しこんでいるが、それを祓うように今日も新しい技術や行事が生まれる。あの太陽の様な元気が、ポジティブ思考の塊が醸し出すカリスマ性がここまで人の意思を大きくするものなのか。

 

「あの……おちゃを入れてきました…」

 

「あー、ありがと」

 

ネプテューヌの紫色の髪より薄い腰まで伸ばした桃色の綺麗な髪、強く握ってしまえば折れてしまいそうな体に、幼く可愛げな容姿と丸っこいドングリのような瞳、大きいお友達なら涎が出る程の美少女……今はまだ美幼女の方が近いかもね。

ネプテューヌの最愛の妹ーーーネプギアが気を利かして持ってきてくれたお茶の入ったコップを一口啜る。うむ、美味い。

 

「あのだいじょうぶですか……?」

 

「何が?」

 

「このごろ、夜天さん……きゅうけいしているところ、見ていないから……」

 

「たかが、十日間だよ。眠らなくてもノープロブレム」

 

一応、君たちとは次元が違う存在なんだよ?

昔は修行の為に100年間くらいは滝行を一睡もせずやっていたし、今の所の人生の中じゃ最高一万年間死闘を繰り広げたことがあるんだよ?それに比べれば、この程度の仕事量なんて平和すぎて欠伸が出るほどだ。

 

「けど、さっきのくしゃみはもしかして風邪のひき始めなんじゃ……」

 

「どうせ、誰かが僕の噂でもしてるんでしょ」

 

具体的には紅夜とか紅夜とかネプパーティーとか

あと僕はあまり風邪なんてひかない。ぶっちゃけ、一億年に一回あるかどうかだ。

 

「君はどうだい?多少は強くなったかい」

 

「毎日、素振りや外周を走ったりしています」

 

ふむ、女神候補生で、身体能力は凄まじくても見た目も精神も年相応の子供だからね。

あまり無茶しすぎてしまえば、あとあと悪影響が生じるかもしれないしね。

女神化は……あとあとの課題として今は、まだいいだろう。

 

「さすがに夜天さんのように木刀で木をバラバラには出来ませんけど……」

 

「普通、出来ると思うけどなぁ」

 

「夜天さんの常識は異次元です!」

 

あれって君が将来会得するであろう『パンツァーブレイド』を見よう見まねでやってみただけなんだけどな。

片手にカップを片手に書類の体制を取りつつ、僕はネプギアを見つめる。

 

 

ーーーお姉ちゃん、ノワールさん、ベールさん、ブランさん、ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃん。

 

ーーー寒いよ。

 

ーーー暗いよ。

 

ーーーみんなを犠牲にしたこの世界は……とても、冷たいよ。

 

ーーーこんな剣があるから、私が生きているから、私がダメだから

 

ーーーごめんなさい、ゴメンナサイ、ごめんなさい、ゴメンナサイ……

 

 

「…………夜天さん?」

 

「はぁ、なんでもない」

 

今の彼女がまさか家族、友人を犠牲にしてまで掴んだあの味気のない世界の行方を脳裏に浮かび、思わずため息を吐いた。

彼女は、今まで僕が見てきた時間軸の中で妙に『女神を要求する魔剣(ゲハバーン)』の使用率が高いんだよなぁ……あの剣に好かれているのかな?

とにかく、あの時、ネプテューヌを見殺しにしなかって良かった。もし、あの時、見殺しにしていればこのネプギアは闇墜ちする確率が上々で妙な運命で『女神を要求する魔剣(ゲハバーン)』に辿り付いてしまう可能性があるからね。恐い怖い

 

「あの……夜天さんはおねえちゃんと会ったんですよね?」

 

女神である(・・・・・)ことすら忘れていたね」

 

「……あははは」

 

ネプギアは苦笑する。

ある意味でネプテューヌらしい。

あいつのやることは、過程はともかく問題を解決してまうからな。主人公補正パネェ。

 

「……私のことも忘れているんですね」

 

「そんな調子だったよ。まぁ、君に妹がいると知った時は大はしゃぎしていたけどね。私には姉妹がいるんだーとかそんな感じで」

 

「…そうですか」

 

今度は嬉しそうに微笑みネプギア。

君たちの環境は、色んな世界軸を見て来たけど仲が悪かった姿を僕は見たことがないよ。

 

「夜天さん、おねえちゃんをお願いします……」

 

「唯一の姉をちょっと前に来た奴に頼む?」

 

「……今の私じゃ、足手まといですから。女神化も出来ない私じゃ話になりませんから」

 

………今度は悔しそうな表情だ。

自分の無力を呪うなら、存分に呪え。それが明日への活力の糧になる。

それによっぽどのことがないかぎり、ネプテューヌは大丈夫だと思うけどね。

変わってしまったけど、あの紅夜が近くにいるんだもん。なんとかしてくれる……理屈ない根拠でも、それだけで安心できる。

 

「ネプギア」

 

「はい…?」

 

「君には才能がある。ネプテューヌとは違うタイプの才能が、女神としての可能性が君にある。それを開花できるかできないかは、君の努力次第だ。……女神としての責任と責務を忘れないでね」

 

ネプギアは少しの間、呆気に取られた顔だったが、直ぐに表情を締めて力強く頷いて部屋を出た。

……思ったんだけど、あのセーラー服はどうなのよ。スカートの部分があまりに短くて部屋を出る直前にピンクと白の線のパンティーがチラっと見れたけど……まぁ、女神達の露出狂は今に始まったことじゃないし、気にしないでおこう。

 

 

「さて、いまごろネプテューヌ達はアヴニールに突撃しているころかな……」

 

物置部屋を改造して簡単な事務室の窓から見える蒼天の空を見ながら僕は、今頃忙しく走り回っているだろう紅夜の姿を思い浮かべながら、書類掃除を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大なアームが振り下ろされる。

それを前足を軸に体を回転させ、避けると同時に背後を取る。

ロボットは直ぐに頭部にあるガトリングを後ろに向けるが、放たれた銃弾は轟音と共に天井に突き刺さった。

上半身と下半身を斬り離し、無様に仰向けに倒れたロボットの上半身は。エネルギーが尽きるまで銃弾を放ち、動きを停止させた。

 

「これで制圧できたか?」

 

「まさか、これだけの数のロボットを用意するなんて、可能性としては考えれたけど、ここまでとはね……」

 

黒曜日を担いで、周囲を見渡す。

アヴニールに対しての立ち入り調査、挨拶は銃弾の嵐だった。

なんとか撃ってきたロボットを退治したが、エレベーターはうんともすんとも言わない停止状態と最初のイベントで予想できたことだ。

その為、勿論の如く階段での移動になったのだが、これまたある程度まで良かったが、上層部になると階段の上の階に昇る為に移動しないといけないのだ。

そして、沸く様に来るわ来るわ、地雷や壁からマシンガンが出てきてぶっ放して来たり、重装備のロボットとかも出てきたり、ここは本社と書いて要塞と呼ぶにふさわしい。

 

「うぅぅ……」

 

「ねぷねぷ、大丈夫、ですか…?」

 

「髪がちょっと焦げた。良くも乙女の生命線をぉぉ…!」

 

階層ごとに制圧しなければならないこの鬱陶しさと面倒な作業に遂にネプテューヌが閃き、スパイ映画などでよく侵入される場所として有名なダクトからの進行を提案してきた。

俺は、碌にこの建物の構造を知らないので下手をすれば迷子になるかもしれないと言ったが、言うこと聞かず強行した結果は、ダクト中に動くレーザーが蜘蛛の巣のように張り巡らされており運悪くネプテューヌの頭上をレーザーが掠り、今の様な状況になってしまっている。

 

「大人しく紅夜の言うことを聞いておけばよかったのに……」

 

「だって、そこにダクトがあったんだよー?」

 

そんな登山するような感覚で行くなよ。あともう少しで頭が横に輪切りになるところだったんだぞ?

 

「それにしても、あの人たちを置いてきて正解でした」

 

「あぁ、非戦闘員を守れるほど俺達に余裕はないからな……ここらの仕掛けはマジで殺しにきているからな。最終手段にはビルごと爆破とかありえそうだな」

 

『紅夜……そういう発言はね、フラグって言って後々後悔することになるよ』

 

フラグ?そんなもの簡単に折ることが出来るだろう?鉄製なら大きさによるけど曲げることぐらいできると思う。

 

「そうだよ。フラグなんて立ててぶち壊す者だよ!」

 

『なんだろう。この名状できない不安感は。例えるならクトゥグアを呼ぼうとしているけど明らかにイォマグヌットが出てきそうな雰囲気』

 

「だれ?モンスターの名前かしら」

 

『熱血脳筋アホと壊滅大好き幼女だよ』

 

「なんなんだ、その無条件バットエンドになりそうな選択肢は」

 

そんな話をガチャガチャガチャと四足のロボットが溢れるように出てくる。

ため息を一つ。直ぐに意識を切り替え、床を蹴りロボットとの距離を詰め魔神剣・斬刀で一刀両断に切り裂き、足を前に動かし加速を維持したまま続けてロボットを切り裂く。

真ん中を崩されたロボット達は囲む形で俺に銃口を向けるが、ネプテューヌは右をアイエフは左に斬撃を与え、体制を崩した所にコンパの射撃が止めを刺した。

 

「……なかなか、私達息が合ってきたんじゃない?」

 

「そうだよね!このパーティーならどんな敵でも無双だよ!」

 

「どんな障害でもこの四人なら何でも乗り換えられるです!」

 

「少し前まで、一人狼みたいなことをしていた頃が懐かしいなぁ……」

 

ぶっちゃけ、俺はあまり話すことが得意ではないからな。

のんびり、静かに一人で読書したりゲームしたりするのが俺にとっては最高の一時と思える時だ。

 

『(あぁ、過去のキャプテンが邪神絡みで安息を求めていたのがこんな形になったのか……)』

 

 

とにかく、こんな感じで俺達はちゃくちゃくと階層を征服していき、遂に最上階の扉の前ーーー代表取締役兼社長室サンジュの部屋へとたどり着いた。

 

「……ネプテューヌ、一応変身しておけ」

 

「えっ、なんで?」

 

「追い詰められたネズミは猫をも噛むとか言うだろう?念のための保険だよ」

 

「んーー、了解!」

 

ネプテューヌは、頷くと気合を入れるように握り拳を作ってぴよんと呼ぶと光が彼女を包み、晴れるとその姿は余裕が溢れる微笑みが似合い表情で、誰もが振り向くであろう美少女に変身したネプテューヌの姿だった。

 

「これでいいかしら?」

 

「あぁ……」

 

思わず声が上がる。

ギャップというか、いつもは天真爛漫な彼女がいきなりクールになって体のラインがはっきりと分かってしまうレオタード状の衣装になれば、どうしても動揺してしまう。スタイルが物凄く良い癖になんでこう露出が多いんだ?ベールの女神化を初めて見た時は、反射的に鼻を抑えてしまったのも思い出としてある。

 

「あら?紅夜、顔が赤いわよ?」

 

「う、うっさい!それよりお前は先陣だ。左右に俺とアイエフで援護はコンパに……」

 

「うぅーーー……」(まっずぐ涙目で紅夜を睨む)

 

背筋に冷や汗が流れる。

アレ?なんだこのボスイベントかもしれない直前の場面で、これはなんなんだ。

 

「こぅさんは、今のねぷねぷのような大人っぽくて、露出が多い服が好きなんですか!?」

 

「い、いや、今はそんなことを言っている場合じゃ……」」

 

「うぅーーー……」

 

アイエフヘルプ!と必死で救助サインを送る。

必死の懇願が伝わったのかアイエフはヤレヤレとため息を吐いて、コンパの耳元でぼそぼそと何か呟き始めた。

 

「(紅夜は、きっと穏やかで(なま)やかな女性は好みなのよ。今はネプ子の急激な変わり様に動揺しているだけで、まだチャンスはあるわよ)」

 

「(で、でもねぷねぷの変身時のように……スタイル良くないです)

 

「(それは私に対する嫌味?……んんっ!とにかくあいつは多分どこぞのラノベの主人公並の唐変木でヘタレっぽからガンガン攻めなさい!あとは運命の女神様任せよ!)」

 

「(分かったです!私頑張るです…!)」

 

……良く聞こえなかったが、コンパはやる気に満ち溢れた顔になって良かった。(その横でアイエフは面白い物を見つけたように笑っている)

 

『健気だねー、青春だねー』

 

お前はどこのおっさんだ。

 

「……もう、いいかしら?」

 

若手ジト目でこちらを見つめてくるネプテューヌに俺達は直ぐに意識を切り替える。

よく考えなくても、この奥にあのサンジュがいるんだ。決して油断できない。

 

 

「---行くわよ!」

 

ネプテューヌの手がぶれた。

刀は紫色の軌跡を残して、扉に幾多の斬痕を刻む。

バラバラになった扉は砂煙を上げながら崩れ落ち、俺達は突撃する。

 

 

そして俺達が、見た人物はーーーーーーーー。

 

 

 

 


 
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