No.583129

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編

さん

その22

2013-06-03 14:10:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:555   閲覧ユーザー数:538

「…………」

 

自分が下宿している部屋で俺は手を力強く握りしめる。

あの後、空は指一本も動かせないほど疲労した俺に対して嫌な顔一つもしないで料理や体が冷えないようにと体を拭いてくれたりと気遣ってくれた。

破壊神とか名乗っていたが、俺にはその名の如く全てを破壊する邪悪な属性の神だと思っていた俺にとっては空はあまりに自然に家庭的なことを熟していたので質問に「介護の仕事とか経験があるのか?」と聞くと「興味なかったけど、紅夜があまりに無茶するから独学したんだよ」と少しだけ呆れ顔で答えた。

……俺が言える立場か分からないが、昔の俺は一体何をしていたんだ?それを空にも聞いたが難しい顔で「まだ知らない方がいい」とはぐらかされた。一応、休養の場所を与えられて、世話をやってくれている身なのでそれほど深くは聞けなかった。

とにかく素人とは思えない、プロの如き空の看護により体調は万全、ものすごく精神に多大な疲労感が圧し掛かった事故もあったがなんとか立ち直った。

 

………そういえば、晩飯のみぞれスープは絶品だった。

具材は、クトーニアン一族の卵や黒い仔山羊の肉を使ったと言っている。

どれもこれも聞いたことのない具材だったが、栄養満点らしく味もいい文句なしだった。……そういえば俺が飯を食っている時、ずっとデペアは『SAN値が減るSAN値が減るSAN値が減る……ブツブツ』と言っていたがどうしたんだろうか?その時は、空は黒い笑みを浮かべていたが……うん、二人の上下関係が明白に分かった気がする。

 

壁に掛けてある漆黒のロングコートを手に取り、腕を通す。

俺のいない間に話は着々と進み、今日はシアンの隣の食堂に教院派のリーダーが来てガナッシュとか言う奴からの情報を整理して、これからのことを決めるということだ。

 

「近く、お前を頼るかもしれない」

 

『諒解だよ。……この前はゴメンね』

 

気にするな……とは言えない。

空曰くあれは『クトゥルフ』という水の邪神で、その雄叫びは並の人間なら精神が狂い、感受性の強い人なら自殺に追い込む力があるということだ。

一応、神性はあるので崇められている存在であるが、信仰者は人間ではなくなり、いずれ心も肉体も化物になってしまうとのことだ。

基本、人間の力ならその化身や息子を呼び出すことが精一杯だが、あの術式はこの世界に本物として召喚する一歩手前まで行っていた。

ゲイムギョウ界の未来永劫、過去永遠に絶対に関わらない存在を俺とデペアは自分だけの用事で呼ぼうとして誰もが知らない間にゲイムギョウ界を危険に脅かしたんだ。そのことは俺もデペアも深く反省しないといけない。

 

「もう、使わない様にしよう、あれを呼び出すことが出来る媒体も絶対にだ、厳重封印」

 

『うー………分かったよ。確かにあれは強力すぎるし、この世界の強さの基準を嘲笑うほど超越している極限の魔の書だからね』

 

「そうだな」

 

今日は作戦会議くらいしか予定を入れていないので何も持って行かないでいいだろう。

胸を触る。この体に流れている血と共に空が危険視している暗黒の神書『魔極の書』又の名を『死界魔境法(ネクロノミコン・ディザスター)』の存在に俺は、恐怖感を抱きながら扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーそういえば」

 

「「「?」」」

 

ネプテューヌ達と共にまずシアンの食堂に向かっていた時、アイエフがふと思い出したように声を零した。

 

「あのアヴニールのロボットを一撃で消したあの人って結局何者かしら?」

 

「えーと……ああ!あのものすごく綺麗な人のこと?」

 

「女神様と思ったです」

 

「確かに、なんていうか……人間じゃない威圧感というか、違和感というか、とにかく凄かったわね」

 

確かにどれくらいの熱に耐えきれる装甲かは知らないが、近くの廃棄工場すら微かに射線上に掠っただけで半分ほど溶かすほどの熱量を持った斬撃……普通じゃないよな。

無駄足だとか空はあの時、言っていたが何かを探していたんだろうか?

 

「こぅさんはあの人の名前を知っているですか?」

 

「………あぁ、一応だが」

 

「えっ?あの人?はこぅちゃんと知り合いなの?」

 

「分からない、俺の過去を知っている奴ぐらいしか分かっていない。今はプラネテューヌで働いていることくらいか……あと本名は夜天 空だったな」

 

「………なんか、全体的に中二病っぽい名前だね」

 

………それは俺も思ったな。

少なくても夜天なんて性は聞いたことない。

 

「こぅちゃんは、なんか流血で繋がった一族にいそうだよね」

 

「あっちは零崎ゼロザキで俺は零崎レイザキだからな?」

 

漢字は同じだが、読みが違う。

あと俺はあそこまで人外離れた能力ない。

 

「とりあえず、そのえっーと……夜天 空ってどんな人物なのよ?」

 

「それは……俺よりこいつの方が知っている」

 

歩きながら俺は腕を上げる。

何もない手甲に突如として黒い宝玉が浮き出てくる。

 

『夜天 空のことを知りたいの?』

 

「なんか、この頃ねぷ子を狙う奴らが後を断たないから、怪しい人物の情報を知りたいのよ」

 

『心配ないよ』

 

不安顔のアイエフ達にデペアは、即答した。

 

『自称、ゲイムギョウ界の味方らしいし』

 

「どこのヒーローの言葉よ。……それが信じられるなら心配しなくていいんだけど……」

 

『まぁ、君たちじゃあいつの眼中にも入らないから気にしないでいいよ』

 

そういえば、あの時コンパが話しかけた時は目も合わさず空は答えていた。

それにあいつの動きは、まず人気のない所に移動しようとしている癖がある。

一見すれば、無害ーーーと言いたいがあいつは俺とノワールの目の前でモンスターを召喚している。

噂の魔王『ユニミテス』ではないとデペアは断言していたが、もしかしたら関係者な可能性がある。

とにかく、悪い奴ではないと思うが……それを固めるための証拠があまりに少ない。

 

「……なら、いいけど」

 

『あいつは破壊神だ。あいつに関わろうとすればみんな不幸になる』

 

「えっ!?あの人、破壊神なの!?ゴ○ラなの!?」

 

テンション上げ上げ状態のネプテューヌの興奮した声にデペアは諦めたようにため息を吐いた。

 

『そっちの方がマシかもね。………ある意味で似たような者だし』

 

「…………」

 

どこか影を感じるデペアの声。

まだ聞きたいことはたくさんあるが、目の前にはシアンの工場が見えたので空については保留ということになって、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない。ココで間違いないか?」

 

集合時間数十分頃に扉が開き、そこから護衛役数名を連れてやってきた教院派のリーダーがやってきた。

席に座って待っていた俺達の中でネプテューヌが手を振って声を出す。

 

「おう!来た来た…さ!狭苦しいとこですがどーぞー」

 

ここはお前の家じゃねよ?とネプテューヌの内心に突っ込む。

 

「シアンが会場の下見に出ているからいいものの。聞いたら怒るわね……それより、外回りはどうなったの?会社に突き返した?」

 

ガナッシュ……とか言ったけ、そいつから生体基盤とアヴニールと国政院との不正な繋がりを証明してくるだったよな。

教院派のリーダーは俺達とは真正面の位置に座り、神妙な表情で話す。

 

「素直に吐いてくれたよ。生体基盤も受け取ってくれた……あの、あまりにあっさりすぎて疑問が浮かぶが、我々はおかげでアヴニール本社の立ち入りの調査にこぎつけた。当日は君たちにもお願いしたい」

 

それは、ようやく、あの顔に物理的証拠を叩き込めれることか。

……それにしても、そのガナッシュという人物は怪しい……これまでの流れがあまりに淡々とされている。そのガナッシュという奴は、仕事に不満があったのか?それとも何か目的があるのか…?

 

「ジャッジタイムだね!こんな大切な局面だもん。私達が参加しないなんてないよね、やっぱり!!」

 

「……この前のようにいきなりあのロボットが暴走だとか、テロだとか、そんな後付設定で襲ってこないわよね?」

 

「本社で兵器を起動させ、物理的に排除する可能性はないと断言できないが……明日は特に人の流れが多い、そんな状況で暴れさせるのはないと信じたい。多少の警戒は必要だ」

 

今自分たちは攻めの状態だが、相手のことを全て知っているとは言えない、追い込む側は絶対に油断してはいけない。追い込まれる側は切り札を握っているか、見境なく暴れることをするかもしれないからな。

 

「立ち入りの決行は総合技術博覧会当日。社員の多くは博覧会会場に向かう。だがあの人間嫌いなことで有名なサンジュはそんなモノに興味を示さないだろう」

 

「せっかく女神様も見えるかもしれないですのに、サンジュさんは出ないのですか?」

 

「……私から言うのは、どうかもしれないが、奴の目と頭には機械だけなんだろう、女神様さえも奴にはどうでもいいことだろう」

 

俺から言えば、あいつは失敗を恐れて機械に全部任せる臆病者だ。

失敗と成功は交互にあってこそ、素晴らしい物が出来るんだ。……だから俺をそれを否定するあいつを認めれない。

 

「そういえば、お前らは出るんだろう?博覧会」

 

「そ、そうでした!シアンさんと博覧会に出る約束をしているです!」

 

コンパは、思い出したように口を開く。

俺は関係ないが、確かコンパニオンをするんだっけ?

 

「それなら心配ない。博覧会が始まる前には、早々にけりが付くさ」

 

そう事がうまく運んでくれればいいが…と、胸に微かな不安を抱きながらネプテューヌ達の方へ視線を泳がす。

俺の思っていることに感づいたようにネプテューヌは、笑顔になって口を開く。

 

「大丈夫だよ。例え襲われても主人公補正で薙ぎ払ってくれるよ!」

 

「……はぁ」

 

余計に不安になってきた。

 

「……本来ならこんなことは若い手を頼むようなことではないが……女神様の手を借りられらない以上。君たちの様な力ある若者が必要になる。……頼む」

 

罪悪感に染まった顔で彼は、頭を下げた。

 

「そんな顔をしないでいいわよ。元々を辿れば、ネプ子が突っ込んだ結果こうなっただし」

 

「えー、あいちゃん。それじゃ私が全部悪いように聞こえるよー?」

 

「実際そうでしょ?」

 

「あ、あいちゃん!。困っている人がいれば助け合うのが当然のことです。ねぷねぷは悪くないです!」

 

「はいはい、二人ともお人よしね」

 

「お前もな」

 

「紅夜もね」

 

俺達は理由もなく笑う。

あの時、モンスターを退治しようと買い物していたあの時の出会いがまさかこんなことになるなんて、本当に運命って奴は分からないな。

 

総合技術博覧会ーーーその日、俺達は全てを終わらせてみせる。

 


 
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