No.582661

超次元ゲイムネプテューヌmk2BURST

レオさん

第十一話 素材集めその4 青年のお願い

2013-06-02 07:21:56 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:677   閲覧ユーザー数:675

「……何で遅くなった訳?」

 

「すいません、道草食わされてました」

合流して早々、アイエフから冷たい視線が送られ、シンヤはそれに素直に謝っている。

 

何故こんな状況になっているかと言うと、ネプギア達の合流地点に向かっている途中、見知らぬ人物よりドクロのマークが描かれた機械を買わないか?と言われたのだ。

 

それを見たシンヤはその男の腹に拳を入れ一撃で意識を刈り取り、そのままその男を近くにいた教会の職員に引き渡した。また、何故シンヤがそんな事をしたかと言うと、彼が売っていたのは『マジェコン』だったからだ。

 

マジェコンは普通のコピーツールと違い、大抵の物はコピーできる万能ツールなのだ。マジェコンは普通の市場には出回る事は無く、裏ルートから手に入れる事が出来、そしてその入手する方法と言うのは『犯罪神を崇拝する』というものだ。これにより女神たちの信仰が大幅に低下し、逆に犯罪神の信仰が大幅に上昇してしまった。さらに、マジェコンがあまりにも万能すぎる為、市場崩壊という大惨事を巻き起こしてしまったと言う。現在市場は大分安定しており、マジェコンのコピー対象になりそうなゲームもブロックするなどの措置を取り、マジェコンの脅威は大分減少した。しかし犯罪神崇拝者が増え続ける限りマジェコンは無くならず、さらに彼のようにマジェコンを複数所持し、それを犯罪神を崇拝していない人に売りつける輩も現れているのだ。犯罪神崇拝者を増加させない為マジェコンを売りつける輩を捕まえる為に教会の職員達は毎朝ラステイションを見回っているのだそうだ。

 

話は元に戻るがそんな事をしている内に時間が経ってしまい、約束の時間内に合流する事が出来なかったのだ。それでアイエフから冷たい視線が送られているのだ。

 

「ま、まぁ。シンヤさんが遅れたのもわけがあると思いますし」

 

「……それもそうね。ま、理由だけでも聞いてあげるわ」

冷たい視線を送るアイエフをネプギアが宥め、その言葉でアイエフも落ち着いたようで遅刻した理由聞いてきた。

 

「……理由としてはさっき俺にマジェコンを売りつけてきた男を突き出したりしてたからな、それで遅れたんだと思う」

一瞬、ユニと会話した事も話しそうになったが、それを言ってしまってはユニとの仲直りが出来なくなってしまいそうだったので、マジェコンを売りつけられてきた事だけを話したら全員から驚かれた。

 

「マジェコンを?でも、この街は教会の職員さん達が見回っているはずじゃ……」

 

「見回りをしていると言っても教会の職員の数には限界もある。だからどこかで穴が開く。そこを狙われたんだろう」

と理由を話した所でアイエフは納得した様子で頷いた。

 

「なるほど……遅刻した理由は分かったわ。ま、今回は特別に許してあげる」

 

「あぁ。次からはなるべく気を付けるさ……ところで、血晶の情報は手に入ったか?」

確認を取るも、首は横に振られた。

 

「ダメね、こっちは収穫なし。日本一も情報持ってないらしいし」

 

「うん。ごめんね、役に立てなくて……」

申し訳なさそうに謝るが、シンヤは気にしていない様子だった。

 

「いや、問題無いさ。……それにしても情報がなし…か」

 

「あ、それなら前にシンヤさんが考えた方法ならどうですか?」

シンヤの考えた方法とはもちろん、強いモンスターか珍しいモンスターを倒すというものだが……

 

「確かにその方法でいいかもしれないが、もう少し絞りたいんだよな。例えばどんな場所にいるとかさ。絞られた情報が無かったらダンジョンを虱潰しに探さなければならなくなるからね」

 

「確かに一理あるわね。でも、情報を集めるだけでも一苦労よ?」

 

「……そうだな……」

 

「困りましたね。血晶さえ見つかれば、ケイさんから情報がもらえるのに…」

 

「うーむ……」

 

と、これからの事について考えていた時、突然背後から声が掛かった。

 

「すまない。聞こえてしまったんだが…君達、血晶を探しているのかい?」

 

「……む?」

声のした方を向くと、そこには中々に二枚目の青年が立っていた。

 

「そうですけど、えっと…どちらさまですか?」

少し警戒しながら青年の身元を尋ねる。

 

「私はこの街の防衛隊の者だ。血晶なら、以前仕事で行ったダンジョンで見たことあるんだけど…」

それを聞いたとたん、ネプギアが青年のもとに詰めかける。

 

「本当ですか?教えてください、お願いします!」

 

「お、落ち着いて。えっと、教えてあげる代わりに、一つ頼みたい仕事があるんだけど、どうかな?」

 

「交換条件って訳?なんか嫌な奴の顔を思い出すんだけど…」

嫌な奴、というのはもちろんケイの事だろう。

 

「やります。なんでもやります!」

ネプギアはかなりやる気であり

 

「……こんな状況だしな、我が儘言っている状況じゃないか」

警戒しているものの、シンヤもやる気のようだ。

その言葉を聞いて青年は安堵した表情になる。

 

「よかった、助かるよ。それじゃ、リビートリゾートってところにいるモンスターを退治してきてもらえないかな?どうにも私達では手に負えない相手でね、困っているんだ」

 

「そういう分かりやすい仕事なら任せておいてよ!」

日本一もモンスター退治という言葉でやる気が出てきたようだ。

 

「すぐに退治してきます。帰ってきたら情報、よろしくお願いしますね」

 

「こちらこそ、よろしく頼むよ」

報酬の約束をしたところで、一行はリビートリゾートに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一行がリビートリゾートに向かったのを確認した直後、青年は背後にいる人物に話しかける。

「…あんな感じでよろしかったので?」

その人物とは、黒いビジネススーツとハーフパンツというボーイッシュな服を着こなした女性―――――神宮寺ケイであった。

 

「うん。少しは疑ってくれると思ったけど、意外と単純だったね。あるいは、それだけ切羽詰まってるのかな」

 

「こんな回りくどいことをせず、素直に教えてさしあげればよろしいのに」

青年の言葉に淡々と答えを返す。

 

「一方的な妥協はフェアなビジネスでは無いよ。とはいえ、材料が無いと困るのはこちらも同じ…苦肉の策と言うやつだね」

どうやらケイもケイでネプギア達の事をちゃんと考えてくれているらしい。

と、そこで思い出したように呟いた。

 

「…まあ、強いて問題を上げるなら、あの子にも同じ情報を渡してしまったとことかな」

 

場所は移りリビートリゾート。青年から依頼されたモンスターを倒す為に最深部付近へと向かっていた。途中何度もモンスターの襲撃があったのだが、それらはすべてネプギア達が倒してしまい、シンヤが手を下すまでもなかった。その中で日本一の戦い方だが、片手サイズのレーザーソードを用いた高速戦闘が得意のようだ。また、ゲイムギョウ界の正義のヒーローと名乗るだけあって、時には戦隊物に出てきそうな必殺技で止めを刺す場面も見られた。やはりそうしたくなるのはヒーローの嵯峨なのだろうか……。

 

などと考えている内に最深部付近に到着しており、数十メートル前方には討伐対象のモンスターが居た。

 

「あれだね、おじさんが言ってたモンスターって!」

そのモンスターはイルカを原型として背中に羽が生え、頭に革製のパイロットヘルメットの様な物を被り、体をチェック柄にしたモンスター―――――シ―ハンターだ。

 

と、モンスターの観察をすると同時に、「おじさんじゃなくてお兄さんじゃないのか?」と日本一の発言に対して突っ込もうとした。

 

「はい。早く倒して、血晶のこと教えてもらいましょう」

が、ネプギアの声により突っ込みを放棄しシ―ハンターに狙いを定める。

 

「だな。じゃあ、行こうか」

吐き捨てるように呟き、シ―ハンターに向かって地面スレスレを跳躍する。それに気付いたシ―ハンターは素早く尾を振り回しシンヤを迎撃しようとするが……

 

「ふっ!」

 

シンヤは体を右方向に回転させシ―ハンターの下に潜り込み攻撃を回避する。途中で足を地面に付け減速しながらシ―ハンターの背後に移動し、回転の反動を利用して神機でシ―ハンターの体を横へ一閃する。一瞬の出来事で痛みも感じなかったのか、シ―ハンターは無表情のまま消滅した。

 

「……ふぅ、討伐完了だ。報告しに戻ろう」

と、軽い様子で話すシンヤに対し、ネプギア達はまた唖然とした表情を浮かべていたが、日本一は目をキラキラと輝かせていた。

 

「……?日本一、どうしたんだ?」

 

「……凄い、凄いよ!」

と、先ほどのシンヤの跳躍を上回るスピードでシンヤのもとに一瞬で移動し、興奮した様子でシンヤに称賛の言葉をかける。

 

「あんなにカッコよくモンスターを倒せるなんて、シンヤってもしかしたらヒーローに向いてるかも!もしヒーローになるなら、アタシと一緒に悪を滅ぼすヒーロー2号になってよね!」

と、かってに話がすすめられ、ついにはヒーローになった時の話まで話が進んでいた。

 

だが、そんな日本一とは対照的に、シンヤは瞳を閉じ、ポツリと呟く。

 

「……ヒーロー、か」

少し悲しそうな声で呟いたが、すぐに瞳を開き先ほどから興奮している日本一に話しかける。

 

「生憎俺はヒーローなんかに向いてなくてね。もし向いているんだとしたら、ヒーローじゃなくて悪役だな」

と、かなり謙遜しながらも、先ほどの日本一の話に答えていく。だが日本一はそれに不満のようだ。

 

「えー?何でそんなこと言うのさ?」

 

「……ま、機会があったらその時に話そう。……それより早く戻ろう。血晶の情報をもらいにさ」

 

「はいです。…あ、ちょっと待って下さい!」

いざ街に戻ろうとした時、突然コンパが走り出した。一体どうしたんだ、とコンパが向かおうとしている方を見ると、何やら灰色の塊が地面に倒れているのが見えた。しかもそれは丸い耳や羽や尻尾を付けた生物……ネズミ(?)らしきものだった。

 

「ちゅ~…」

 

「うわ、でっかいネズミ。そんなのほっときなさいよ」

確かにそのネズミは体中泥だらけで、多少衰弱しているようだ。だが、コンパはアイエフに反論する。

 

「ダメです!怪我してるのに可哀そうですよ!ネズミさん!今治してあげますからね」

と、ネズミの治療を開始した。天使の様な優しさだな、というのがシンヤのその時の感想だった。

 

「ちゅ…ちゅ~…?」

治療が完了して数分後、ネズミが目を覚まし、辺りを見回している。それに気付いたコンパが安堵の声を漏らす。

 

「目が覚めたですか?ネズミさん。よかったですー」

その声に

 

「…!?」

胸に何かが撃ち込まれ、撃たれた所を腕で抑える様な動作をした直後、動きをピタリと止めた。それを心配に思ったのかネズミに声をかけるコンパ。

 

「ネズミさん?ネズミさーん、どうしたですかー?」

反応が無いように思えたが、次の瞬間、思わぬ方法で反応を示してきた。

 

「ちゅ…!あ、あのあの…お、お名前は、なんというでちゅか?」

なんと、喋ったのだ。それにコンパを除く全員が驚いた。

 

「わたしはコンパです。よろしくお願いしますね」

 

「コンパちゃん、コンパちゃん…ちゅー!!」

突然叫び声を上げ、ネズミは一目散に走り出す。

 

「あ、どこに行くですか?ネズミさーん?」

コンパの声にも答えず、ネズミは去って行った。

 

「…あのネズミ、喋ってましたね」

 

「喋ってたな」

 

「喋ってたわね…モンスターか何かだったのかしら。まあいいわ。コンパも気が済んだでしょ。行くわよ」

未だネズミの行方を案じるコンパをよそに、街に戻ろうとするアイエフ。

 

「ネズミさん…」

リビートリゾートを離れる時まで、コンパはネズミの事を案じているのであった。


 
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