No.582059

一刀の晋王転生録 第四章二十八話

k3さん

撤退、離脱を余儀なくされた孫権軍に司馬家一の水軍が襲い掛かる。

2013-05-31 22:41:22 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2520   閲覧ユーザー数:2237

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第二十八話

   「劉備・孫権の乱 赤壁の戦い 孫権軍の突破戦」

 

 

「皆さん! 何としてもこの場を突破してください! 蓮華様を無事に離脱させます!」

 

 呂蒙は、周瑜の後を継ぎ、澪羅と綺羅の部隊に向かって突破する指示を出す。

 

 そして彼女達の部隊と交差しようとしたところで、彼女達の兵が孫権軍の船に乗り込み、攻撃する。

 

「冥琳様と祭様の無念……蓮華様を無事に生かす事で少しでも晴らしましょう!」

 

 周泰は蓮華を守るため、乗り込んだ兵を迎撃する。

 

 だが孫権軍の撤退を妨害するのは乗り込んだ兵だけではない。澪羅の兵が乗る船が孫権軍の船に適度に体当たりを仕掛ける。

 

 孫権軍はバランスが崩れ、膝を付くか倒れる。一方、澪羅の兵は多少ふら付きがあったもののすぐに体勢を整え、今だ体勢が崩れて

 

いる孫権軍の兵に攻撃を仕掛ける。

 

(! こいつ等、このような状況でも耐える訓練でもしているというのか!? いや、それ以前に船が壊れないように突進させるなど

 

私の軍でも出来るかどうか……水兵の軍の錬度は我等を上回っているというのか!?)

 

 甘寧は内心で舌打ちしながらも懸命に攻撃を防ぐ。

 

「皆さーん! あそこに矢を放ってください!」

 

 陸遜は兵に指示を出し、孫権に向かって来る兵達を必死に矢で撃退する。

 

「お姉ちゃんは! 絶対に死なせない!」

 

 孫尚香も弓で懸命に孫権を援護し、助ける。

 

(私は……まだ死ねない! 死ぬわけにはいかない!)

 

 孫権は母や姉から託された物をここで潰えるわけにはいかないと懸命に抗い、敵を斬り伏せて行く。

 

 しばらくそれらが続くが、やはり孫権側は少しずつ追い詰められていく。

 

「明命!」

 

 周泰は敵を斬りながらも、孫権を庇い続けたため、傷だらけになっていた。

 

「私の事は良いです、今はご自分の身を」

 

「!」

 

 その言葉に孫権は己が王である立場を思い出し、何とか意識を再び敵兵に向け、迎撃を開始する。

 

「捕らえたよ! 孫権!」

 

 だがそこに、澪羅が彼女の近くに現れ武器を振るう。

 

「!」

 

 それを孫権は何とか剣で防ぐ。

 

(! 腕が痺れて……いけない! このままじゃ!)

 

 孫権は次は防げないと感じ、焦りが募る。

 

 それを感じ取った澪羅は空かさず攻撃を仕掛ける。

 

「貰った!」

 

 この攻撃に対応しようとするが、彼女の腕の痺れで上手く腕を動かせない。

 

(ここまで……なの……?)

 

 彼女は死を覚悟し、歯を食いしばる。

 

 しかし刃は届くことなく、代わりに何かを斬るような動作を見た。澪羅は何を斬ったのかを孫権は確認する。

 

(! これは……矢!?)

 

 澪羅は自分に迫る矢に目が入ると反射的にそれを防ぐため戟の軌道を変え、それを斬ったのだと孫権は理解した。

 

(私がさっき見たとき、小蓮は自分に来る敵に手一杯だった……じゃあ、一体誰が?)

 

 孫権が疑問に思っている間に、澪羅は視線を変え、自分に矢を放った人物を確認する。

 

「へぇ、驚いたね……生きていたなんて」

 

(生きていた?……まさか!?)

 

 孫権は素早く澪羅の視線と同じ方向を向く。

 

「祭! 生きていたのね!」

 

 そこには全身が水で濡れている黄蓋が居た。

 

 実は、火矢が放たれた時、黄蓋は長年の水上の戦の経験から、無意識で水に飛び込んでいた。そのため何とか生き残り、孫権が窮地

 

に立たされているのを理解した彼女は必死に泳いで船を追いかけて行き、此処まで辿り着いた。

 

「これ以上、好きにはさせんわ!」

 

 黄蓋は孫権を守るため、澪羅に素早く何本もの矢を放つ。

 

(これは、流石にきついか!)

 

 黄蓋の参戦により、澪羅は孫権になかなか近づくことが出来なくなった。澪羅が攻めあぐねている間に、孫権軍の船はついに目的の

 

陸地に辿り着く。

 

 孫権は一番早くに離脱し、それを確認した重鎮達も攻撃を防ぎながら離脱を開始した。

 

「これ以上は深追いするな! 姉御の命令では可能ならば討てとの事だ! 流石にこれ以上は厳しい!」

 

「杜預隊もこれ以上深追いしないように!」

 

 澪羅と綺羅は大人しく引き上げる。孫権軍は無理な突破により甚大な被害を被った。ならば立て直すにも相応の時間がいるだろう。

 

そんな軍団より、今だ健在の劉備軍を叩いたほうが後々有利になる。

 

 二人が素直に軍を引いたのは、それが分かっているためだった。

 何とか離脱に成功した孫権軍だが、やはり重苦しい雰囲気が漂う。

 

 それもそのはず、得意としていたはずの水上戦で良い様にされてしまい、彼女達のプライドは壊されたと言っても良い。

 

(……水上戦で敵に何も出来ず、冥琳を失い、ただ逃げる事しか出来なかった……言い訳しようの無い敗北だわ……)

 

 彼女はこれから起こる事を想像する。

 

(これほど無様な敗北を晒してしまった以上、恐らく内乱が起こるわね……まずはそれを何とかしないと……でも司馬師・曹操軍が攻

 

めてくる前に出来るかしら……ううん、弱気になっては駄目!)

 

 それでも彼女は絶望しない、する訳にはいかない。母や姉のために。

 

(何としても守ってみせる。我等の国、孫呉を!)


 
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