真・恋姫†無双 魏END 外伝第2章
~大切な人の為~
「こんなに・・・・・・笑ったのは・・・・久しぶりね・・・くくっ」
そういった華琳は、まだ笑みを浮かべ肩を震わせていた。
「私も久しぶりね~こんなに楽しかったの~。」
雪蓮は芝生の上で大の字で倒れ同じく笑っていた。
一方その頃、桃香はというと・・・。
「いいもん・・・いいもん・・・私は仲間はずれ・・・・・・・・。」
隅っこで蹲って、のの字を書いていた。
「桃香、悪かったからこっちに来なさいな。」
まってましたと言わんばかりに、桃香は顔を明るくして満面の笑顔で駆け寄ってくる。
「あなたもいい加減立ちなさい、雪蓮。汚れるわよ。」
そう言って華琳は手をさしだす。
雪蓮はおどけながら、
「そうね、せっかくの私の美貌が台無しになっちゃうわ。」
「はいはい、そうね。」
手を取り、ゆっくりと立ち上がり服の誇りをはらう。
「で?これからどうするの、華琳?」
「そうね・・・・・明日、皆に伝えるわ。今だけはこの瞬間を楽しませてあげたいの。」
「そう・・・頑張ってね。」
「えぇ・・・・・。」
「ぶぅ~また2人でお話して~。仲間に入れてください!」
そう言うと桃香は華琳の胸を弄りだす。
「ちょ・・・やめ・・・・・なさいってば!・・・桃香!・・・・・・くすぐったいわよ!」
「嫌です。やめませんよ~。」
「雪蓮・・・・・見てないで助けなさいよ。」
「嫌よ。巻き込まれたくないし。」
雪蓮の顔から笑みがこぼれる。
それは、親友(とも)へ向ける最上の微笑み・・・。
こうして宴は夜を徹しておこなわれた。
在る者は、大声で歌い踊り、
在る者は、酒を飲み高らかに笑い、
また在る者は、今までのことを思う・・・。
今日という日を喜ぶために・・・。
その日、宴の席から聞こえる声は・・・・・
朝日が昇るまで途切れることは無かった。
翌、太陽が天の真上にさしかかった頃。
華琳は魏の主要メンバーに集合をかけた。
「ふわぁ~眠いの~」
「ほんまや~いったい何の用やねん大将は?なぁ、凪?」
「・・・・・・・・・・。」(グー。)
「凪ちゃん?」
「あかん、寝てるわ。」
「たまに見るけど、本当に器用なの~、沙和には真似できないの~。」
立ちながら目を開けて眠る凪を見て飽きれる沙和と真桜。
とある隊の三羽烏と呼ばれる、仲良し三人組。
「ぐぅ~~~。」
「もう、季衣ったら起きなさい!!」
「流々~もう、食べられないよ~~~。」
「何、寝言言ってるの!起きないと、華琳様に怒られちゃうよ?」
地面に座り込んで、眠りこんでいる季衣を必死に起こそうとしている流々。
2人は華琳の親衛隊、そしてあいつの妹分。
「大丈夫か姉者?」
「あぁ、さすがに飲みすぎたようだ。」
「あぁ~頭が、ガンガンする~。」
「霞、だらしがないぞ。」
「んなこと言われもやなぁ~~、頭が痛くてたまらんのや。」
頭をかかえる、春蘭と霞。霞にいたっては地面にあぐらをかき俯いている。
秋蘭は、そんな2人をみて溜息をもらす。
霞と春蘭・秋蘭、魏屈指の武官、そしてあいつを憎からず思っている。
「まったく、そろいもそろって何やってるのよ。」
「桂花ちゃん、そんな目くじら立てると駄目なのですよ。」
「風の言うとおりです。」
「ふん!華琳様に呼ばれたと言うのに、だらしがなさすぎよ。」
「まぁまぁ、昨日が昨日ですしー。」
「それにあの万年発情男は、まだ来てないじゃない!」
「そう言えばそうですね。風、何か知ってますか?」
「ぐぅ~~~~」
「「寝るな!」」
お決まりをかます風と、つっこむ稟と桂花。
魏の三大軍師である。
あいつを想う風。大嫌いな桂花。何の想いもない稟。
皆、華琳が来るのを待っていた。そして、あいつの事を考えていた。
「皆、待たせたわね。」
華琳が幕をあけ入ってくる。
「そのままで結構。昨日の疲れがあるでしょう。けど寝ている者は起きなさい。
大事な話があるわ。」
慌てて身だしなみを直そうとする者達に言葉をかけ、皆の前に立った。
そして、華琳は少し息を吸い込んで、吐き出し、
あらためて皆の顔を見渡し1人1人に視線をあわせる。
そして、
「皆、今から話すことは事実である。そして最後まで話を聞きなさい。その後から、意見がある者は述べなさい。いいわね?」
「「「御意。」」」
各々、返事を返す。
「気付いている者もいるでしょう。今、この場に一刀がいないことに。・・・・・北郷一刀は・・・・・・・・昨日の夜に逝ったわ。己が天命をまっとうしたために。」
「華琳様・・・今・・・・・なんと・・・?」
「隊長が・・・・?」
「なっ・・・・・!?」
「嘘・・・・?」
「華琳・・・・・嘘やろ?」
反応は様々だった。華琳にたいして問い掛ける者。
黙り次の言葉を俯いて待つ者。
驚きの目を華琳にぶつける者。
「最後まで聞きなさい。逝ったという表現は正しくないのかもしれないわ。けど、北郷一刀はこの大陸・・・いや、この世界中どこにもいな-「だから、何つまらんことぬかしとんねん!!!!!」
華琳の言葉を遮ったのは霞の怒号だった。
「いくら何でも、信じられへん!!何で一刀がいなくならきゃ、いけないちゅーねん!!冗談で-「黙りなさい!!」――――――っ!」
華琳の一声と放つ覇気に霞は言葉を詰まらせる。
華琳の放つ威圧感に誰しもが身に悪寒を覚える。
今まで誰もこのような華琳を見たことがなかった。
「さて、話を続けるわよ。いいわね?」
「・・・・・・・(コクッ)。」
霞は、しぶしぶと頷く。
「逝ったという表現は正しくないかもしれない。私の目の前から消えてしまったのだから。天の国に帰ったと言った方が正しいのかもしれないわ。どっちにしろ北郷一刀はもうどこにもいないのよ。それにもう戻ることはないでしょ。」
「・・・・・劉備・呂布連合軍との戦いで私を救い、定軍山の戦いで秋蘭を救い、赤壁の戦いで我らに勝利をもたらした。そして今の平和を・・・・・我が覇道が実現したからこそ・・・北郷一刀は自らの役目をはたしたからこそ天の国へ逝った。」
「それが北郷一刀の天命。曹孟徳が覇道を実現させる時まで、天が我らに遣わした存在。ただ・・・・・それだけ。」
華琳は逃げなかった。皆を一心に見つめ、語った。
「今までの話で意見は?」
・・・・・・・・・・。
「無いようね。では、今後についての話よ。警備隊の隊長は凪が、副隊長は真桜が、張三姉妹の連絡役は沙和が引継ぎなさい。北郷隊は凪・沙和・真桜の三隊に振り分けるわ。後、これが一番重要な話よ。・・・・・・・城に戻ってから北郷一刀の話を一切禁ずる。やぶった者は厳罰を覚悟なさい。北郷一刀の事を忘れること、いいわね?」
華琳が言い放った言葉に皆驚愕する。
あまりにも非情な一言。あまりにも思ってもいなかった一言。
言い表せない沈黙があたりを支配する。
「・・・・・ません。」
沈黙をやぶったのは華琳に身も・・・・心も・・・・全てを・・・・捧げた人物。
「いくら・・・・・華琳様のご命令でも・・・・・・・それだけは・・・聞けません。」
そうそれは、魏の大剣。
「・・・・・共に今まで戦い、華琳様につかえ・・・・・。」
そうそれは、魏武の象徴。
「・・・・・私は・・・私は・・・・・・」
そうそれは、
「あやつを・・・・・北郷一刀を忘れるなど、私にはできません!!」
夏候元譲、その人であった。
第2章 完
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外伝第2章です。また勢いで書きました。よろしければ感想等をよろしくお願いします。1章よりもキャラ崩壊があるかもしれませんが、よろしくお願いします。