No.580864 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-05-27 23:42:37 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:4642 閲覧ユーザー数:4223 |
第二十話 ブルータス!よくやった!
高志視点。
エリオとキャロが日ごろお世話になっているフェイトの為に、貴重な休日を使ってグラナガンという町に俺とすずかもついて行くことになって一つ問題起きた。
「…凄い人ごみ」
「えーと、いつもこれぐらいですよ?」
「高志君、人ごみは苦手?」
駅前なのにたくさんの人がせわしなく移動していた。
前世は田舎育ち。現世ではスパイ活動。拠点はジャングルを経て機動六課。移動は仕事ではヘリ。プライベートでは徒歩で行ける距離。
・・・行動範囲が広いのか狭いのか。もう少し足を遠くに延ばしてみよう。
キャロも同じなのか、少しだけ苦い表情をしていた。
「…キャロ、不安だったら手を繋ごうか?」
「えっ?あ、う、うん」
そんな不安そうな少女にそっと手を差し伸べるエリオ。
将来はさぞかし女の子にもてるだろうな。…あれ、俺ってば十歳のエリオよりも頼りなくない?
「…プっ。た、高志君も手をつなぐ」
そんな俺の表情を読み取ったのか、すずかは笑いをこらえながら俺に聞いてくる。
現世に至って実は電車移動は初めてだったりもする俺の顔はさぞかし困り顔だっただろう。
「…大丈夫だ」
問題無い。
移動はいつもブラスタの光学迷彩で。異世界移動はガンレオンでやって来た。だから、駅。この世界の電車移動は初めてである。
…大丈夫だ。問題無い。前を移動している人達を真似すればいい。
…S○ICAとは何ぞや?
五分後。
羞恥に顔を赤くしながらも電車に乗り込んだ。
…次、ミスらなければそれでいいんだ。
人が多いので座席側には座れないと思ったが、そんなに乗車する人はいなかったので何とか座れた。ちびっこ二人を先に座らせて、二人を挟むようにすずか、俺と続いて座る。
幾つか駅を過ぎていく際にどんどん人が乗車していき、ぎゅうぎゅう詰めとは言わなくても何人か吊革につかまって移動していく。
すると三つ目の駅を過ぎようとした時に大きな荷物を持った老夫婦が乗車してきた。お爺さんの方は凄いしわがあって何だがヨーダみたいだった。
俺とすずかはすぐに立ち上がり席を譲ると、エリオとキャロもすぐに席を譲り老夫婦の荷物を置かせた。
…フェイト。二人はしっかりいい子に育っているぞ。
それからどんどん人が乗り込んできていわゆるすし詰めという状態になった。
俺はすずかと向かい合うような形になっていた。なので…。
「・・・」
「・・・」
俺達二人は抱き合うように身を寄せることになった。
俺の思い上がりじゃなければだけどすずかは俺に好意を持ってくれている。…らしい。
俺がいなくなってから自分の家。月村の家で一騒動あった。それはプレシアから聞いているし、それを知った時はとても申し訳なく思っていたけど…。
「…あう」
目の前のすずかが顔を赤くしながら俺から目を逸らす。
『深層の令嬢 月村すずか』でアタック!ノーガードでダメージを受ける!クリティカルトリガーゲット!2ダメージ!
今、頭の中で誰かが実況した。
誰かは分からない。とにかく、あと、4ダメージを受けたら俺はやばい状況に陥るだろう。
だが、そんな俺の想いとは別に状況は変わらず、それどころか悪化していく。
「ひゃっ」
「ご、ごめんなさいすずかさん。また誰か乗り込んできたみたいで」
「う、うん。平気だから気にしないで」(むしろグッジョブだよ、キャロ)
駅で停車すると下車する人よりも乗車する人の方が多いので更に俺と密着度が上昇する。
『私服のキャロ』で『顔を赤く染めた黒髪美人 すずか』をブースト!
『傷だらけのネコ 沢高志』を『常時魔力障壁』と『平常心』でガード!ダメージは通らない!
よしっ!
この障壁は常に俺の体を覆う厚さ一センチにも満たない障壁は『放浪者』になってから殆ど解除していない。だから、こうやって密着しても彼女に『スティグマ』を刻むことはない。
だけど、危ないところだった。この障壁。
というか、いつの間にグレード2にライドしたんだすずか?しかも俺は『傷だらけのネコ』か。
常に平常心を持つようにする。
平常心を保つために俺は!
グレード2の『ど、どどどど童貞ちゃうわ! 沢高志』にライド!『私服のエリオ』を後衛に配置する!
…俺はもう平常心を失っているのかもしれんね。
しかもなんだ、今の俺の
だが、エリオという心理的支援を受けた俺は美女と密着という嬉しい状況でも理性を保つことが出来る!
…ギリギリね?
だけど、いつ世界はだって俺を裏切る。
こんなはずじゃなかった事ばかりだよ。と、
「うぷっ」
「っ?!」
「す、すいません。高志さん。また人が乗り込んできたのでもうちょっと詰めてもらえますか?」
「お、おおお。…わ、わかった」(すずかの体温と香水の匂いがぁああああ!)
エリオの方も俺の方に詰めてくるからすずかとの密着度も上がる。
1ダメージ!
・・・まさか支援を要請してダメージを受けるとは。
エリオ改めてブルータス!よくやった!
じゃなく、なんてことを…。
だ、ダメだ!
俺はこのままだと『本能』が『理性』を越えてしまう!ダメージ6になっちゃう!
ノクータンな空気になってしまいそうになる!
だってさ、だってさあ!
「///」
「///」
俺とすずかはお互いに赤面しながら見つめ合うと言っても過言ではないくらいに密着している。そして、すずかも妙に色っぽいというか…。
な、なにか!なにか別の事を考えねば!
理性を保つための何かを!
そんな時、席を譲ったヨー○に似たお爺さんと目が合う。
(考えるな。感じるんじゃ…)
と、言っているかのように。
ありがとう俺のリアガード。何も考えるな。考えるからすずかを意識してしまうんだ。
よし、目を閉じて、心を落ち着かせる。
誰にも迷惑をかけないように深呼吸をする。
そして、スーッと鼻孔をくすぐるすずかの匂い。
1、ダメー、…ジ。
どういうことだ?!
ダメージが受けたのに後悔していないだと!むしろ、『よくやった』というふうに感じているだと!?
慌ててお爺さんと再び目を合わせる。すると、そこには…
(考えるな。感じるじゃ…。ねっとりな♪はぁ、はぁ)
…お前も暗黒面に落ちたか、ヨー○。
と、昔の事を思いだしながら俺とすずかの事を誤解してサポートした事に満足した顔のお爺さんは親指を立てる。
…リアガードすらも俺の敵なのか。
だが、しかし、今の俺なら
グレード2の『ど、どどどど童貞ちゃうわ! 沢高志』のカウンターブラスト!
荒ぶる野生と本能を呼び覚ませ!!
グレード3の『暴食竜イ○ル・ジョーを持つ男 沢高志』にライド!目の前の
かすかな理性『やらせはせんよ!!』
まさか、カウンターブラストまで俺の敵とはな。
赤い
目的の駅まであと二駅。
俺の『理性』と『本能』の戦いはこれからだ!
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第二十話 ブルータス!よくやった!